12/31/2010

大晦日

実家に移動。久しぶりに息子に会う。
本年中はお世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願いします。
よいお年を。

12/29/2010

解析事例








先日もちょっと書いたけれども,ここずっと,あいた時間にこつこつと解析をやっています。以前の水熱連成をポイントだけついたような解析を,と思って。
潜熱項が大きくて,水分移動による熱輸送はそこまで考えなくても良いのかもしれない。ケースバイケースかもしれないけど。

添付は,熱輸送をオフして,熱移動→水分移動を解いた場合のマスコン内の挙動。
ただし,吸着等温線に温度依存性を考慮したモデル化を適用して,水分移動を化学ポテンシャル基準で評価した。水セメント比が0.45くらい。


なかなか複雑な挙動で,中心部が乾燥して,温度ピークから少したって冷却されてくると,外側の水分が中に入っていく挙動を示す。外側で始めに少しはねれているのは,内部の温度上昇時に水分が外に押し出された結果。でも,ほんの少し。

水分移動モデルは,水蒸気圧勾配で移動する,毛管圧を駆動力とするものなど,いろいろあるのだけれども,(前の黄表紙の水熱連成ではそのようにモデル化した。これは,de Vries以降,多くのモデルで提案されている。)基本的に圧力一定下(空気が入ってくる)の条件で考えるのであれば,化学ポテンシャルの勾配を駆動力とするほうが良いだろうということで,構成式を見直した。
初期の脱型などの問題に対応して,異なる空隙構造間での水分移動を少なくとも筋書き上は適切に評価する必要があるとか,温度勾配の時の移動を評価するとか,いろいろ要因はあるけれども,こちらの方が汎用性が高いのではないかと。


しかし,解析も簡単とはいいがたいけれども,これを実験で実証する方が何倍も難しい。

この解析だと,その様子が見られるのは温度が下がってきた打設後1週間後くらいとなっている。その後は水分移動が生じてしまって,だんだんと差が解消される。コンクリートサンプルからどうやって取り出して,どうやって含水率測定しようか,というのは,きっと皆が一度は考えたことがある実験なんじゃないかとおもうけれども,こればっかりは難しい。


将来的にはやりたい実験ではあるんだけれども。

12/28/2010

学生ウェブ

学生がウェブを作り始めました。ブログ作成までいけるといいんだけれども・・・。
寺本君(リンク
五十嵐君(リンク

寺本君の論文リンクはまだ,うまくいってません。海外からの転送なので・・・。

二人とも研究者志望です。

12/25/2010

近況

・水分移動のFEMを再度作り直し。水和モデルを完全に入れ替えたのにともなって,水分移動もやり直すことに。今後の方向もあるので,水分移動のポテンシャルを化学ポテンシャルに置き換えることにした。水分移動係数については,修了生の実験結果を再度アレンジした。彼のノートを全部見直したが,よく見ると,ボルツマン変換したあとの積分が間違っていた。まだ,外に公表してない(AIJ大会には一回だしたかも?)と思うのだけど,データを全部見直してよかった。

・松本先生の論文を読むのにつづき,以前に収集した水分移動関係の論文,最近,Tさんなどに教えてもらった論文などを根こそぎ読む。土壌関係なども,有名論文は目を通す。小説もそうだけれども,論文も読み直すたびに新しい発見がある。著者の裏の意図がわかるようになる,ということもあるし,その論文の限界が見える場合もあるし,著者が意識していない重要な点を発掘する場合もある。そのときの興味の対象とか,知識の成熟具合が影響するんだろうが,大御所の論文というのは味わい深い。こういうのを書けるようになりたいところ。

・ローマ人の物語を読み直し始めた。日本の政治の混迷とローマ人の政治の深化とか停滞の様子を比較しながら読むと面白い。少し感度が上がっているようだ。

・最近,14C研究にともなって,古いコンクリートを集めている。まあ,あつめてもちゃんと分析したりしないとダメなんだけど,なかなか時間がとれず,部屋にどんどんたまっている。部屋の一角がコンクリートシリンダーの山のようになってしまった。どうにかしないと。引越までの間に考えることにしよう。

12/19/2010

http://www.sponichi.co.jp/sports/flash/KFullFlash20101213029.html

建築見学でいったことがあるところです。
東京ドームのモデルが、雪で屋根崩壊とのこと。

豪雨が豪雪にかわっちゃったら、こういう可能性はありますねえ。

建築に限って、構造最適化って意味をなさないんじゃないかと思う今日この頃

12/12/2010

小論文:乾燥収縮に及ぼす骨材寸法に関する考察

今回はカジュアルな文面ながら,ブログで論文を公表するということを試みてみたい。査読付き無しの論文であれば,タイムリーに情報公開をした方がよいのではないかと思っている。特に最近委員会などでの,研究テーマのオリジナリティなどが曖昧になっている場合があって,不愉快な思いをしたこともあったりで,査読付き無しではあるが,論文のつもりで記載する。
幸いにして,ブログというのはタイムスタンプももたれるし,その時点から,世界中に発信される。英語で記載するほうが佳いのは論を待たないが,まずは国内へ,ということで。
なお,このような試みは,多田眞作博士がすでに,JCI(2009年3月号)に記載している。

乾燥収縮に及ぼす骨材寸法に関する考察
丸山一平


1.はじめに
最近,収縮と骨材の話を少しやっている。ペーストの力学挙動については,いろいろ外には出せていないデータも多いのだけれど,おおよそわかってきたから,そろそろコンクリートでやっていこうということである。引張クリープの湿度依存性もさんざんしっぱいしたけれども,やっと一系列データがとれつつある。いやあ,クリープってなんなのか,ということは改めて議論する必要があるとおもうんだけれども,挙動としてはこんなもんか,と。話がとんだ。

さて,骨材の話に戻ると,今年のAIJではおもしろい論文がいくつかあった。
一つは,北方建築総合研究所の松村さんらの論文で,細骨材率が小さいほど収縮は大きいという結果,である[1]。

2.骨材寸法と収縮影響について
竹本の斉藤さんと出したのは,私自身は複合則理論の成立根拠が不明で,ある条件で適用できるツールと認識していたので,その傾向をちゃんと把握するために,細骨材だけ,粗骨材だけといった系で乾燥収縮を測定した[2]。

たぶん,昔にはこういうことをやった人がいたと思われるのだが,文献は探せなかった。ACIでは強度やヤング率と骨材寸法の図はある。川上英男先生も博士論文でそういった検討をされていた。JCIにもたくさん論文がある[3]。乾燥収縮のデータ,きっと馬場先生はやっている思うんだが,見つからない。知っている人がいれば,是非,メールをください。

で,その結果が下図である。ここに示されるように,同一骨材量でもその収縮への影響は異なっている。

(なお,連名者のT先生は,当初本研究を否定されていたんだが,本研究がAsCOTのひび割れ委員会で実施が決定した論文なので,連名に入ってもらっている。)


図1 骨材寸法,骨材量とコンクリートの乾燥収縮ひずみの関係

そもそもの議論としては,2009年で猪飼さんが発表したように[4],完全に線形な関係が骨材・ペーストにあるのであれば,そしてひび割れがあったとしても,破壊エネルギーが一緒なのであれば,収縮の関係は一緒になる。骨材の寸法依存性はないはずである。


図2 乾燥による骨材周囲のひび割れに関する計算結果:骨材とセメントペーストは完全付着。骨材は完全弾性体として計算


図3 ペーストの収縮量とコンクリートの乾燥収縮の計算結果


3.骨材と遷移帯,体積変形に関する考察
このことから,考えるに,骨材周囲の遷移帯とかブリージングが重要な役割を果てしていると思われる。たぶん,流動性能から決定する水膜=遷移帯が,骨材抵抗のクッションになっている。遷移帯は,骨材寸法に依存せず一定になるがため,結果として,遷移帯/骨材直径比の関係から,見かけの剛性(あるいはペースト収縮に対応する剛性)が決定するというのが現在のところの仮説である。

なお,遷移帯というのは,難しい定義であって,ナノインデンテーションなどで実質的な計測がなされている。Monteiro先生の教科書などには[5],顕微鏡写真で特定できるというようなことも記載されているが,実際はグラデーションをもっていて,正確な定義は難しい。

我々の研究室では,中性子ラジオグラフィによって打設直後からの骨材周囲の挙動を評価した[6]。この際,水分分布からみれば,骨材周囲には遷移帯だけではなくて,0.5mmくらいの厚さで,水セメント比が周囲よりも大きい範囲が存在することがわかった。この領域は,乾燥収縮に対しても緩衝帯として働くに違いない。

図4 中性子ラジオグラフィによって確認した硬質砂岩周囲の水分子の存在比率の比較(材齢1時間と材齢24時間,水セメント比は0.25)

遷移帯は,目視で確認するよりも[7],こうした統計量で評価することが今後は重要かもしれない。加藤先生らが昔行われた,細骨材と遷移帯の量を統計的に処理する手法は,さまざまに応用が可能と考えられる[8]。ながらく,日本では遷移帯の研究というのは,欧米での着目具合に比べてずいぶんと少なかったように思うが,今後は,力学的にも,あるいは水分などの物質移動性を考える上でも,再度整理の必要な分野になると考えられる。

4.結語
乾燥収縮の問題はもとより,コンクリートをセメントペーストと骨材の複合材料として考えるのであれば,今後は,その相互依存性を評価することが重要である。すでにあまたの実験データはありつつも,まだ,コンクリート工学上の諸問題が解決されていないのは,メカニズムを評価するための実験が行われてこなかったからである。
こういった諸要素の解明を国内で効率的に行うことで,現象解明・性能評価・設計・材料選定が適切に行われるようになると考えられる。




参考文献
[1] 松村宇(北方建築総合研究所),桂修,吉野利幸:細骨材率の違いがコンクリートの乾燥収縮性状に及ぼす影響,日本建築学会学術講演梗概集,2010北陸,905-906,2010
[2] 齊藤和秀(竹本油脂),小林竜平,丸山一平,寺西浩司:骨材量と骨材寸法がコンクリートの乾燥収縮に与える影響,日本建築学会学術講演梗概集,2010北陸,915-916,2010
[3]http://data.jci-net.or.jp/data_html/13/013-01-1007.html
 http://data.jci-net.or.jp/data_html/22/022-01-2089.html
http://data.jci-net.or.jp/data_html/25/025-01-1054.html
[4]猪飼陽子,寺本篤史,早野博幸,丸山一平:コンクリートの乾燥収縮予測における構成則構築のための基礎的考察,日本建築学会学術講演梗概集(東北),pp. 247-248, 2009.8.26
[5]P. Mehta, Paulo Monteiro:Concrete: Microstructure, Properties, and Materials,McGraw-Hill Professional; 3 edition (September 26, 2005)
http://www.amazon.com/Concrete-Microstructure-Properties-Materials-Mehta/dp/0071462899
[6]丸山一平,兼松学,寺本篤史,早野博幸,飯倉寛,野口貴文:中性子ラジオグラフィによる骨材とセメントペースト間における水分挙動評価,日本建築学会構造系論文集,Vol. 74,No. 645, pp. 1905-1912, 2009.11
[7]たとえば,羽原俊祐,平尾宙,内川浩:多量の鉱物質粉末で細骨材の一部を置換したコンクリートの組織形成と物性発現,コンクリート工学年次論文集,Vol. 17 No, 1,325-330,1995
http://data.jci-net.or.jp/data_pdf/17/017-01-1055.pdf
[8]加藤佳孝,魚本健人:細骨材の量と比表面積が遷移帯形成に及ぼす影響,コンクリート工学年次論文集,Vol. 20,No. 2,775-780,1998
http://data.jci-net.or.jp/data_pdf/20/020-01-2130.pdf

12/09/2010

Hempcrete

http://en.wikipedia.org/wiki/Hempcrete
大麻の入ったセメント系材料。
カーボンネガティブ

構造材にはならないが,温湿度調整材として機能するらしい。
ヨーロッパでそこそこ知名度のある建材らしいが,まったくしらなかった。

12/05/2010

とある試験

とある試験が,3日,4日に行われました。私は面接を担当しましたが,非常にすばらしい方々で,是非とも皆に入ってもらいたいと思いました。
正直申し上げまして,前回担当したときとは全然違っていて,面接自体が楽しかったです。
こんなにすばらしい学生さん方に名大建築を志望していただいていて,非常にうれしかった。

残念ながら,今回の件では,人数は決まっていますが,是非,一般の入試の方でも,名大建築を受験してほしいと思います。心から,来年にお会いできることを楽しみにしています。

いやあ,本当にすばらしいかった。

12/03/2010

しわす

12月になってしまいました。

1日は減災センターの立ち上げで,マスコミ各所に取り上げてもらえたようです。大学という学問追求の場で何をやるか,ということのプレゼンスが個人的には弱いかなあと思ったり。

2日は天気が最悪でした。豪雨の中,チャリンコで帰るのを久しぶりに体験。学生のころを思い出した。家族が相方側の実家に移動してしまったので,半年くらい一人ぐらしになります。健康管理に気をつけないと。

11月25日に,某所で実験の仕込みを行った。ずいぶん前から興味があって,やりたい実験だったので実験データ的に非常に楽しみ。モデリング上,実用的なデータがでるかなあ,と。
過去には,同様なトライアルは竹中さんとか,建築研究所などでも取り組みのある材料データなのではある。ただ,やっぱり,自分で確認したいということがあって,やってみることにした。模倣であっても,やってみることによって技術的知見はたまるでしょう,ということです。

Powersの論文を,たぶん3度目くらいだと思うけど,読み直している。他の論文でReferされているのを見て,そんなデータあったかしらんとおもって,再度見直しているところ。吸着等温線におけるアルカリの影響というのを定量化している,とReferされているんだけど,それっと読んだ記憶がなかった。あるいは自分で抹消してしまったのかも。
読めば読むほど,全部やっているんですよね,おっかないことです。

11/30/2010

喪中

そういえば、今年というか年始は喪中であります。喪中はがきを書いて、知り合いの方にお送りさせていただきました。あの、届いていないからといって、お知り合いでないという意味では無いので、もしはがきが届いていないようでしたら、ご了承ください。

喪中はがきを書いていて、各種礼式の本などを読んだりもしたんだけど、喪中はがきを料金別納で送ると失礼だ、という人のコメントをみて思ったんですが、この人は、年賀状を切手貼ってだしているんですかね。年賀はがきをそのままだしていたら、やはり問題ではないでしょうか。

主旨は、手間を惜しんでいるので、無味乾燥の上失礼である、ということなんだろうけど(その心情なり、ベースとなるものはもちろんわかる。)、だけど普段していることとのギャップがあって、そういう矛盾を堂々と力説するのはなんなんだろうな、とも思ったり。

結局、喪中切手は売り切れで、仕方なく普通切手を購入して出したんですけどね。

世の中、よくよく考えると何が「適切」なのかは難しいですね、という話です。

年末・年度末

年度末になってきて、だいぶん焦りだしてきた。比較的大型のプロジェクトの締めが2件ほどありこれらの実験も最後の追い上げ状況になってきたからだ。
こういうときに限って、種まき研究でとんでもなく将来性のあるデータが出てきて、そちらの方に頭が動いてしまう。できれば、こういうホットな時に論文の骨格くらいは書いておきたいのだが、その時間が今はないので、ノートに走り書きして、プロットだけを保存している。

年度末に向けて実験をすべきものもあって、一つは建築研究所で超高強度柱のせん断の実験をする予定である。仕込みをしつつあるが、あくまでもスタディ的な実験で一発で良い実験がでるとは思えないが何がしかの結果は出るだろう。
でも、こうやっているうちに大成さんが超高強度コンクリートで軸力だけ負担させるという構法を発表していて、そりゃこうなるよなあ、とかなんで今までこうやってこなかったんだろうかなあ、などと思いをはせたり・・・。


学内では、概算要求のシーズンであり、慌ただしくひっきりなしに会合が開かれている。個人的には良いものもあるし、あんまり、と思うものもある。
イメージというか、言葉尻が良くても、結局実行ができない組織になると後が困ったことになるのだが、執行部は執行部で、花火だけは打ち上げておきたいという現象があったりで、なかなか困ったものである。
個人的にコンサバな人間だからなんだろうが、もう少しじっくりやって実態のある成果を出すようにしていこうよ、とも思って提案をしたりもするのだが、こういうのはあまり好まれないらしい。
リーディング大学院とか、なんなんだよ、とも思ったり。

そういえば、中日新聞で報道されたように、減災関係の組織が名大でできる。これに建築もかなり深く関わることになる。これはかなりユニークで医学関係も組織に入っているので、本当に分野横断方でのアプローチが可能になる。
一方で、大学として防災のなにをやるんだ、というと,問題を洗い出して体系化できる部分をする、という環境学と同じような枠組みになぞらえざるを得ない。なにしろ、学問体系の無いところで、なにかディスプリンを作ろうという試みなんだから、学問的深みというのは最初は無いに決まっている。

マネジメントでもそうだが、結局、言葉にできなかったり、分野を超えていたり、諸現象が複雑に絡まってひもとけない社会の矛盾なりリスクなりに対して、問題解決方で、局所の問題を拾い上げて、お互いがまず問題を認識して、それにむかってアクションとっていきましょう、というのはやはり重要だろう。たこつぼで成果を出すのは今の時代、戦略さえあれば、かなり容易にできることであり、困難なことというのは、学問と学問、人と人との狭間にあるように思う。


個人的には、補正予算、来年度予算に関連して、研究申請案件についていろいろご提案をいただいていて、軌道にのりつつあるものが数件。いずれも大型案件だけども、今の研究組織でこれだけの拡張路線でよいのか、という自問自答を最近よくしている。

超高強度関係では、宝の山である実験データが積み上がっているが、これはまだ、論文化がほとんどすんでいないし、その他の水分関係のデータも公開していないデータが山ほどあって、これを消化しないで先にいってしまってよいわけがなく、これをどうやって裁くのか、いつ考えていくのかというマネジメントが自分に求められている。夜な夜な時間があれば、論文を読んでは、データを整理して仮説を検証するというプロセスを行っているけれども、なかなかエレガントな結果にはたどり着けず、頭が悪いのか、実験のプロットが悪いのかは不明だけど、やはりセメント・コンクリートは複雑怪奇で非常に魅惑される。そういえば、以前に熱伝導の論文を書く、と宣言したのだが、未だ3ページ以降が書けていないなあ。

そんなわけで、全然、各関係委員会に出られていないんですが、私は日々こんな生活をしております。申請書を書いたり、学内会議に出たり、個人的には引越の手続きをしたり、自転車を整備したり、本や報告書の分担を執筆したり。

11/16/2010

等温吸着線装置のメンテナンス

現在,研究室には,定容法と質量法の水蒸気吸着装置があって稼働している。質量法は,おもに処女脱着線用のデータをとるために活躍している。定容法は,測定が早いので水和の影響が少ないことなども含めて,おもに,C-S-Hの性状を評価する目的で実験を行っている。

定容法の装置は,とくにリークと低圧環境下における試料の巻き上げが,測定に影響を及ぼす。いずれも配管を掃除した後で,再調整するので,データをとるのに1日,それを調整するのに1日かかるので,2,3往復するとそれだけで,人員代だけでも相当な額になってしまう。初期費用が少ない点が有利ではあるが,年1回のメンテナンスで3,40万はみこんでおかないと少し怖い。あと,真空ポンプのオイルの交換,および窒素代金が主なメンテナンスコストである。

真空ポンプのオイルは,メンテナンス前に交換しておかないと,蒸気圧のキャリブレーションに影響を及ぼすので注意が必要。これは,自分達で配慮しておかないと,メンテナンス期間がそれだけ伸びてしまう。
また,窒素ポンプのレギュレーターについても,窒素量が少なくなってきたときには,メンテナンスをしない方が良いらしい。どうも,キャリブレーションに影響を及ぼしてしまうようだ。

また,メンテナンスをするのであれば,交換可能な部品は極力新しくしておいた方が無難である。車検と同じで。Oリングなどは,すべて交換する。劣化してなにかの拍子にずれるだけで,いきなり,値がとんでしまって,わけがわからなくなる。

すでにうちの装置は,3年が経過しているが,なかなか愛着がわくというか,手間のかかりようがある。
測定量だけでいえば,すでに500検体以上のデータがあるので,もとではとったといえるかもしれないけれど,まだ,ほとんどが論文化できていないので,完全な元を取った状態ではない。


質量法は,今年入ったものだが,いくつか試行をくりかえした。すでに30サンプルくらいはとってみたと思うが,いくつかの条件で想定通りの挙動をしていない。国内第一号の製品なので,なかなか,販売側もノウハウがたまっていないので,一緒に検討するような状況である。
ただ,消耗品は,窒素と水だけなので,それほど大変ではない。キャリブレーションも基本的には質量計のみに依存しているので,原理もわかりやすい。
あとは,機器の癖とか限界を理解して,そのぎりぎりで我々のやりたいことをやるしかないかな。こちらは,まだ,性能の限界を見極めていないので,おってまた,記載できればと思っている。

11/11/2010

ICCC

今時分,締め切り間近なので,ICCCの論文を書かれている人も多いとおもうのだが,このTemplateに書かれているのが,ラテン語のLaelius on Friendship by Marcus Tullius Ciceroの一部であることに気づいた人もいるかもしれない。
しかし,そんなことに気づいたとしても,ちっとも原稿はすすんでいない。

10日

10日は,ラファージュのガートナー博士に来名いただきました。最近の収縮理論や線膨張の話を聞いていただき,収縮低減剤にも理論の応用が利くという点で非常にディスカッションが弾みました。
いくつか,今後の方向性についても,アドバイスをいただきました。が,C-S-Hのモデルができるまで棚上げになりそうです。

ラファージュで今後想定している研究で,アカデミックなものについていくつか伺いました。以前,これやったらいいんじゃないか,と某先生にいっていたデータ取りをまさしくやるといっていたので,本当か,と聞き返してしまいました。うまくいけば非常に新しいデータになると思われます。
セメントにかかわらず,研究をされているそうで,私ももう少し俯瞰的視野で研究を進めた方がよいかな,とインスパイアされました。

11/09/2010

病院

最近,家族のものが重大な症例で病院に通うことになったのだが,気づいた点,経験した点など。誰かの今後に役に立てば幸い。

1.セカンドオピニオン制度
日本のセカンドオピニオン制度は,第3者が意見を述べるだけであるが,そこに最初の診断で得られた診療結果の内容すべては伝達されない。加えて,セカンドオピニオンが最初の医者の先生と意見が対立した場合があっても,セカンドオピニオンの先生のところにかかることはできない。患者の横取りという形で見なされるので,日本の医療界では認められていない。
この場合,患者としてどうすればよいか,というとセカンドオピニオンとしてふさわしい人を自分で調べて見つけたならば,この先生に初診から受けるしかない。つまり,同時に複数箇所で診療を受けるしかない。
お金がかかって,(国の税金も!)しょうがないが,この方法でしか自衛できない。

注意しなくてはいけないのは,初診の先生のところにセカンドオピニオンの先生を推薦してもらってしまった場合,セカンドオピニオンの先生のところの診療を受けるということは難しくなる,という点である。つまり,横取りがすぐにわかってしまうので,なかなかやりにくいらしい。
むしろ推薦を受けない方が良いときがあるので,制度の利用には注意が必要である。

2.派閥の問題
セカンドオピニオンを受ける場合に,診療する先生の経歴,学閥は十分に注意が必要。特に同一の医師会に所属していて,かつ学閥が一緒であった場合,診断に第3者意見はもらえないと考えて良さそうだ。特に初診の先生が重鎮(50以上であれば,配慮が必要そうだ。)の場合,こういう傾向が見られるように思う。(あくまでも思う,です。)私の実家のY市において,特に脳関係は,非常にこのヒエラルキができいる。クリニック(人間ドックを受けるような場所)でさえもこの支配下にあって,客観的な意見をいわず,お金稼ぎのためのコメントが出ることがあることがわかった。非常に憤ったが,どうも,これは医師業界の全般の書物やエッセイを読むと,さまざまにあるので,憤ってもしょうがないらしい。

3.脳みそ
脳ドックを行っているのは日本だけらしい。(伝聞なのでデータなし。ただし,医師の人のコメントである。)人間だれしも欠陥はあるので,それといかに同居するべきか,というのが老後であるという意見がある。一方,出てきた欠陥は安心のためにも,すべて直さなくてはいけない,という意見もある。どちらにくみするかは,人それぞれではあるが,私は前者が正論ではないかと考えている。無理に直すコストも含めると,手を触れなくてもよい部分というのがあるのではないかと。
コンクリートも同じで,補修したら余計に錆が進行したなんてことは,よくあることだ。
ま,そういうわけで,脳みそを弄るのは,相当にいろんな人を意見を聞いてからの方が良いと,私は思う。

11/08/2010

戌の日

本日は,戌の日の祈願ということで,午前中に神社に行ってきました。

11/07/2010

11月1日~

最近の近況

論文・研究関係
セメント・コンクリートでは,4件,無事,すべて受理された。
・水和反応と水蒸気吸着による比表面積に関するもの
・セメント硬化体のヒステリシス現象に関するもの
・14Cの測定により中性化進行の評価を試みたもの
・高炉スラグ微粉末を混和した場合の水和圧曲線に関するもの

いずれも今後の評価や制御において,材料分野の人に貢献できるデータになるものと考えている。応用がちょっと難しいものも含まれているが。

なお,昨年度のものは当方の投稿時原稿をこちらに掲載したので,興味があるかたは見ていただきたい。高炉セメントを用いた場合にマスコンクリートでひび割れが生じやすくなる理由が,自己乾燥による線膨張係数の増大に起因するという発見的論文と,それを制御する手法の一例についての論文が閲覧可能になっている。これらは,昨年度のセメコン論文集のものである。

黄表紙関係では,最近4件の論文が受理された。1月号,2月号に掲載予定。
・アルミネート系水和物の水和反応速度によるもの。
・異なる温度で水和圧曲線の測定を試みたもの。
・乾燥によって,セメント硬化体の体積弾性率,ポアソン比,ヤング率が変化することを詳細に検討したもの。
・ゲルスペース比等の相組成データと,セメントの物理特性とを工学的に関連づけたもの。
などである。

これ以外に,現在,比表面積や吸着等温線などの論文投稿を検討している。

実のところ,以前検討していた熱伝導率の検討は中断している。水分移動が厳密に評価できない点が難しく,データとしては良いものとおもうのだが,(すでにJCIで公表している。)どうも理論の練り具合と実験との対応の完成度が高くならず,もう少し既往文献の調査から再構築している。

一方,懸案となっている異なる温度で測定した水分移動係数については,現在,既往文献との評価などを踏まえ,工学的なモデルに展開しつつある。水分容量との関係で,綺麗に整理できないかとも思っている。

もっとエレガントにとけるはずと思っていた仮説は見事に崩れた。現実はやはりそんなに甘くない。どうも,セメント硬化体の屈曲度とも言うべきパラメータは,相当に難物で,特に水セメント比が0.40を切ると挙動が切り替わる。これは,PowersやBentzが言及していることでもあり,パーコレーションの閾値の話である。これを統一的に評価しようと思った点が,現状の課題の難しさであるが,このあたりは,総空隙の関数として表す形で工学的に整理をして,まずはモデル化しようと考えている。
それなりの解析データを示さねばならないこともあるので,そことの両にらみである。


水和反応モデルは,最近簡易版を黄表紙に投稿した。(エーライトビーライト論文,今度掲載のアルミネート系の論文)。しかし,この後,さらなる簡易版で,パラメータを切り替えて,PLM関係の国際会議論文として投稿した。今後はこれをベースに議論していこうと考えている。未反応核モデルは難しすぎるし,変数が多すぎるので,今後は適宜利用する程度になると思われる。

速度論の表現は,実に多様で,理論が無いので,いかにハンドリングがしやすい工学的モデルに落とし込むか,ということになる。μicでは,もっと難しい理論で水和直後から表現しているが,それでも速度パラメータは3変数以上は必要になっている。
どこのレベルで利用していくか,という点を考えることが重要だが,コンクリート工学として利用するのであれば,全域でそれなりに水和実験を表現して,かつ,少ない変数でやれるものが良いだろう。
モデルの拡張性を踏まえながら,モデル化するという技量は,なかなかに難しい。ドンぴしゃの構成則があれば,それで良いが,現実はそうでもないので,水和関係のモデル化は,いったり,もどったり,になってしまっている。


プライベートでは,諸事情あって,今月末に引っ越しを急遽することになっててんやわんやとなっている。引越屋もさることがら,事務手続きが偉い大変で・・・。プライベートなんて,結局,国が介入したらなくなるんだから,早く,総背番号制にしてもらって,統一番号で一カ所かえたら,全部切り替わるようになってほしいところだ。
子供がもうすぐ2才になるが,勝手にiPadをあやつって,動画を見ているのはびっくりした。おそらく,横にいて使い方を学んだんだと思うが。iPadというのが直感的というのは本当かもしれない。

10/29/2010

反例

もちろん,バランスをとるために,別の側の意見も掲載せねばなるまい。
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51541395.html

そうではあるので・・・。

長生き願望、20 代ではわずか2割
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/10/27/045/index.html

負けが決まってる勝負を死ぬまでやらされる若者世代。 : ひろゆき
http://hiro.asks.jp/74599.html

哀しいけどこれ真実なんですよねえ。
そうではあるんですが,これをひっくり返すのが我々の仕事でしょうか・・・。


でも,まあ,チャンスはいっぱいあります。

10/27/2010

maxima

Maximaすごいじゃん。
http://maxima.sourceforge.net/

ずうっと,こういうのMathematicaやMapleじゃないとだめなんだと思ってたけど,今のところ問題無く動いている。命令文がMathematicaとちょっとちがうけど,感覚としては同じに利用できる。
代数計算も数値計算(Octaveとか)もいろいろフリーなものがそろっていますねえ。
Mathematicaの最近の高度な利用は,プログラミングを挫折した私としては,このMaximaくらいでちょうど良い。

10/25/2010

MATLAB オブジェクト指向

MATLABのオブジェクト指向プログラミングでインスタンスの作成のところが,よくわからなくてつっかかった。
意外に,そういう情報は出ていなくて,結局海外のウェブサイトのMLログで理解できたのだが,やっぱり,本格的なプログラミングというのは,スピードも遅いこともあって,あまり利用されていないのだろうか。

ようは,Classdef の時の<Handleをつけるかつけないか,の問題なんだけども。

10/23/2010

10月18~23日

18日には,久しぶりにゼミを行った。基本的には実験データの報告,互いの実験の理解,およびその背景。I石君の実験データが非常に良い成果を出しつつある。おそらくJCIの年次論文に発表できると思うが,水和圧理論の別方向からの実証になるもので,従来から予測された現象があらためて確認された。

19日は1限,3限の授業。大学院では収縮ひび割れ指針とその背景についてのレクチャー。構造系の学生もいるので,いろんな角度からの収縮問題を取り扱う。夕刻に,群馬のN井先生とそこにゲストでこられている研究者の方と会食。久しぶりの英語で,出だし,聞き取りにくくていろいろ勘違いしてた。やれやれ。

20日は,上述の研究者の方々と少しディスカッション。五十嵐がGEMSをいじっているので,少しレクチャーしてもらう。当方では原子力関係の取り組みやモデル化についての話をさせていただいた。

21日は久しぶりに,時間がとれた1日で,いろいろ自分の研究についての整理。
・最近,ツールとしてMATLABを導入しようと購入した。線形解析計算と可視化が楽にできるということなので,1次元のFEMとか,差分法などでスタディをおこなおうかな,と。FortranやC♯,Java,Pythonなんかは手軽で良いとおもうけど,一長一短。特に私の資産は多くがFortranやC++,出できていて,オブジェクト指向のプログラムになっているのだけれど,これをブラックボックス化するのもいやなので,Matlabのクラスに移植することを試みる。主として学生が利用できることが目的。支配方程式から書き下し,自分のモデルを入れる部分は,MATLABであれば,より,数式に近い取り扱いでできるだろう。
MATLABは,基本的にC++やJavaでプログラムしたことがあれば,Helpとウェブのサンプルコードを見れば無理なく書ける。型宣言が無いところが少し苦手だけれども,7割くらい新しい水和モデルの移植が終わった。もう,あと半日あれば,終わるだろう。いつになるかわからないけども。

・吸着等温線のモデルの論文の執筆が終了。半月ほどクーリングして,それでも変えたいところがなければ投稿する予定。この後,もう2編ほど,吸着等温に関する論文を執筆しようと思っている。英文化したいものもあるんだけど,時間がおっつかない。

・水分移動について再度勉強を開始した。中性化とのカップリングなども考えていきたいので,松本先生の論文などをCiNiiで最初から読み始めた。数式は今,全部手書きしてトレースしている。いくつか,支配現象別にモデル化があって,だいたい3タイプくらいに分けられる。コンクリートでは,主としてハイグロスコピック領域として考えてよさそうだけれども,爆裂現象ではバルクの空気移動問題,若材齢の養生問題では液水問題をモデル化しないとあわなさそう。
空隙構造が変化しているところの水分移動を適切に評価するために,水分ポテンシャルを考えた矛盾の無い支配方程式で,再度,水熱連成問題をくみ上げる構想を練りはじめつつある。FEMでは,展開がめんどくさいのと,応力と連成させないかぎり1次元問題で考えれば良いので,物質移動は差分法に切り替えようかと考えている。しかし,イオン移動まで連成させるとなると,こりゃあ,支配方程式を何個連立しなくちゃいけないんだろうか・・・。

22日は,就職ガイダンスを行った。学生生活委員長なので,司会などを担当。大学もかなり就職支援に乗り出している。本当は学生自体が動かなくてはいけないんでは,と思うが,東京と名古屋ではあきらかに学生に入ってくる情報量がちがう。情報量というのは本当に大事な時があるのだが,就職活動においてはその大事な場合の一つだと私は思う。それを大学が支援するというのは,重要かなとも思う。

一方,本来は生涯の問題として,中学くらいから折に触れて考えさせることが必要だと思う。就職前の数ヶ月で,一生に関わる(職歴というのは一生の問題だ。)決断を取り急いで行っている学生が多くて驚く。私は学生に折に触れて将来何をやりたいか,というのを聞くのだが,冗談だと思って,まじめに答えない学生が多い。私は別に冗談ではなくて,考えるきっかけになればと思っているのだが,どうも就職活動の中で考えるものだという観念が醸成されているように思う。あるいは難しいことは後回しにする,という癖がついているのかもしれないし,学生時代と社会人時代というのを連続的に考えられていない,ギャップがあるからかもしれない。

終身雇用ももはや無いんだし,世界は常に動いているので,将来こうなったら,こうしていこうとか,こういうことも勉強して職の領域を広げておこう,というような生涯の課題,すなわち情報収集能力と自己鍛錬を常にやれるかということが問われている。それもなかなか伝わらない。英語も就職(の内々定をもらう)のためにやっているというモチベーションは,あんまりでは,と思う。

23日 ばあちゃんの49日。墓まで行ってきた。なんだかずいぶんカジュアルなものいいの坊さんで驚いた。浄土真宗というのは何でもありなんで,こういうのもありなんだろう。いろいろ念仏の内容を講釈してくれたが,諫言を仏さんに求めるという思想はなかったので,少し勉強しようかと思った。なんにしても,慢心しがちな人間に諫言する存在が重要であるというのは,全くその通りであるので,その謙虚さをどこに持つかという心として,理解したいと思った次第。
坊さんにすると,頭でっかちな人は理解で終わらすからいけない,ということなんだけれども・・・。

10/18/2010

ホームカミングデー

学生生活委員長という役柄で,保護者に説明を行いました。
就職活動とか就職をかなり意識した発言も見受けられました。
結局「人」あるいは人と人の延長上のものなんです,としか言いようが無いところがあって難しいところでした。


最近,大学のアウトプット評価というのがありますが,学生というのは最初のアウトプットではありますが,学生というか,人をどのように量るのか,というのはなかなか難しい。
なんか,論文数で甲乙つける風習の延長でいくと,ひょっとすると・・・,なんて邪推もしてしまいますが,恐ろしいことです。
こういう品質管理は,底上げにはよいですが,上が足を引っ張られるので,現代の日本を支える方向とは逆方向じゃないかと思ったり。ゾーニングというのは大事です。

追いつき追い越せの時は良いですが,時代は革新を求めているわけで。

10/17/2010

論文の査読

査読って、結局親切でやっているようなもんだと思うんだけど、どうなんでしょうか。

間違った論文を出してしまって一番恥ずかしいのと責任とらなくちゃいけないのは、書いた人でしょう。パブリッシュされたら一生残るわけで。
間違ったデータ出して、信用されなくて、以後相手にされないなんて哀しいじゃないですか。
大御所なのに勘違い論文なんて出してしまったら、陰口のオンパレードで最悪でしょう。
偉い先生ほど、そういうのはケアするもんだと思うんだが。

なので、間違っているものは間違っていると指摘してあげた方がよいし、考えとして立場が明確でない場合は引用文献を明らかにしてそういうのしっかりしておいた方がよいと思って指摘しているんだけど、あきらかにけんか腰の回答がかえってきたりしてげんなりすることが最近連続した。
やれやれ。


一部、特に海外のジャーナルにあるけど、自分たちの論文だけがサイコーみたいなノリになって、それと別の見解が示される論文を、意地悪な指摘で落とそうとする人たちがいますが、そういうのもなんとも・・・。
でも、論文でそれが本当にまちがっているなら、最大の意地悪はそれを指摘せずに通すことだと思うんですよね。取り返しつかないし、未来永劫、将来の学生とかに笑われちゃうわけですよ。それって一番怖いと思うんだけどなあ。


そりゃあ、がんばって書いた論文にけちがつけば気分を害すのは、まあ、なんとなくわかりますし、はじめは頭に血がのぼって余計に理解が足りないこともあると思います。でも、辛辣であればあるほど(意地悪で無意味な指摘は別として)、論文の客観性は高まるし、自分にとってありがたい話ばっかりなわけですよ。
無意味なものは別にスルーして、そうでないと言えばすむことだし。

なんか、大学の評価などで論文の数なんかが評価対象になってしまっているので、数稼ごう、みたいなことになっているのかもしれないけど、本筋はそういうところじゃないと思うんですけどね。



また、別話。
論文の査読がひっきりなしにくるようになってしまった。年輩の先生方が良くおっしゃっていたように。
特に英文ジャーナルなどが増えてきたのと、あとはアジア系の新しいジャーナルの査読依頼がよくわからないスパムのようにくる。スパムというと失礼かもしれないけど、どんな経由できたのかまったく理解できず。きっと誰かが推薦してくれたんだとは思うんだけども。
でも、投稿したこともないのに、アメリカ化学会とかの論文は、いくらなんでも人間違いではないかと思われて、そういうものはお断りしている。査読できるものしかしません。
海外の研究助成の査読とか、そういうのも多い。最近増えているんだろうけど、2,3カ国連続できたのでびっくりした。なんか自分も出さないと損な気がする。

それとそれと某日本の学会から、難しい論文ばかりひっきりなしにきますが、どうしたことでしょう。(ビフォアーアフター調で)。最近、黄表紙の査読数頻度を超えてしまっているのですが。

10/09/2010

ビーライトの水和

セメントの水和反応速度のデータは哀しくなるくらい難しい。モデル化をしようと思って、式をつくって検証するとデータをとればとれほど、大混乱に陥る。

結局、速度論はまだ、モデル化できるほどにデータが成熟していないということなんだろう。現状、各セメント毎にフィットするのが一番安全ではある。でも、それって、友澤先生の時代から変わっていないということいなってしまうので、少し悔しい。

特にビーライトとフェライトの水和のデータは、人によってまったくことなった挙動を示している。手元にあるサンプルのデータも本当にまちまちだ。
これは、測定手法のばらつきを含めたとしても、それでもトレンドとして、全然違う挙動をしている。

黄表紙で発表したようにエーライトの反応にビーライトの反応初期は相当律速されているというのは、何となくわかる。ただ、その後、特に材齢91日以降のデータはほとんと他の人の(Tayler、Copeland、あとその他少々くらい)データが無いので、判断に苦慮する。

五十嵐氏の1993年のセメント・コンクリート論文集に示されるエーライトとビーライトの割合を変えた場合の反応、というのは、当方の試験用セメントの水和データと非常に合致する。初期、ビーライトの反応は、エーライトに抑制されて、エーライトの反応率が80~90%くらいになってから急激に反応が増え、のちに停滞する。
一方で、Copelandとか、当方の黄表紙のデータだとビーライトは材齢91日以降に停滞しないでずっと伸びる(場合がある)。
そもそも、長期封緘を完全にやるということも、まま、難しい課題であるので相当に慎重にやる必要がある課題であはるが、そうはいってもこっちもそのつもりで実験しているので、困ったものである。

正直、何回追試をしたことか・・・。気を取り直して、また、取りかかろう。

名古屋建築総合展

大学の出店で、名古屋建築総合展にいった。
http://www.chukei-news.co.jp/kenchiku/
大学としてブースを出したので、その呼び込み役である。
豊橋技、愛工大、中部大、名城大なども出店していたが、昨年出店していた名工大は出店をしていなかった。
各大学は、売りの研究室がブースを占拠する形がだったが、名大は全研究室でアラカルト的に出店した。

こういった総合点は、おもしろいアイデアがいろいろ出されているのでおもしろい。
・現場施工でやる偽岩コンクリート
・竹チップを舗装の仕上げにするもの
・ポーラスコンクリートを壁面に貼り付けるもの

などが興味深かった。軽量骨材は、コンクリート用骨材としてはなかなか発展しなくて、ほそぼそというようなイメージもあるのだけれど、全然別のものとして使うというのはおもしろいかな、と思った。
多孔性ではあるけれど、断熱性能があるかどうかは微妙。コンクリートの中に入れれば乾燥した後であれば、若干、コンクリートよりはよいのであろうか。

今日は、あいにくの豪雨であったので出足は遅かった。
学生さんにも、こういうのは行くように指導したほうがよいかな。なによりも商品の話をダイレクトに聞けるのはなかなかおもしろい。材料・施工関係であれば、ちょっと足を伸ばしてみると良いと思う。

10/04/2010

科学技術政策担当大臣と有識者議員との会合

http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/100916giji.pdf
ここに概要があります。

先日,若手の意見交換会が東大で行われましたが,土木・コンクリート系の方からも,超有名人が出られていましたね。
おもわず,うぉ,って声を上げてしまいました。

学内では,来年の運営費交付金のシミュレーションなんていう書類もでまわってきましたが,当分,大学も安穏とはしてられないですねえ。

10/03/2010

渋谷での活動

日本国内のメディアでは報道されていないようですが,
渋谷で以下のようなことがあったんですね。CNNから。
http://edition.cnn.com/2010/WORLD/asiapcf/10/02/japan.anti.china.protest/index.html

報道しない理由がわかりませんが・・・・。
これ以上のコメントは難しいかもしれないので,報道されなかった点につちてブログに書いておこうと思います。

10/01/2010

中国の覇権主義

客観的にみて,良い記事だと思った。
http://www.nikkei.com/biz/world/article/g=96958A9C9381959FE1E2E2E1EB8DE1E2E2EBE0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E3E7E2E0E0E2E3E2E6E1E0E2

日本のカードとして,今後何があるのか,ということはもう議論尽くされているのかもしれないのだが・・・

歴史から学ぶ弱小国の対応,というのは,得てしてテロ的に転がるところもあるけど,どんなのがあるのかしらん。春秋の話とかでも,おもしろいかもしれん。縦横家?
基本的にアライアンスを組んで,周囲を囲み,攻撃的にならざるをえないのだろうなあ。
大国間をけんかさせる,というのもあるけど,今の世界,けんかさせてしまうとチュドンで終わってしまう。
冷戦構造になってしまうのか。
環境問題の枠組みのたかがはずれると,米中冷戦がまっているんかな。あるいは環境問題が米中冷戦をもたらすんかな。

マインドマップがこういうときは便利ですね。

日本は,追い込まれてからが強いはず。

セメントとFT-IR



そもそも,C-S-Hの構造評価のために購入したFT-IRだが,汎用装置だけにさまざまなことに利用できる。共同研究でも他所でやっているのがあって,加算則が成り立つので,非常に合理的な性能評価ができそうなこともわかってきた。これは,セメント技術大会かAIJ大会にでも出せればよいかな,と思っている。

学内では,せっかくなのでということで五十嵐君と一緒に,セメントの水和プロセスをとってみた。それが上の結果である。以前にも書いたかもしれないが,FT-IRの鉱物の吸収スペクトル波形については,1980年代にすごい本が書かれていて,セメント鉱物の大抵のことが書かれている。当初アルミネート水和物で判別しづらいものができたらよいなあ,と淡い期待を持っていたが玉砕した。ピーク分離が難しすぎる。
これは,やっぱりDSCでしょうね。買うかなあ・・・。

C-S-HのCa/Siの違いによって,Si-Oピーク位置が異なるので,これもできるかな,とおもったが上図のようにあまり変化していない。ちゃんとピーク分離をやれば,ピーク位置の差がとれるかもしれないけど。
あとは,もっと短くステップを踏んでとるかどうか。

FT-IRでもセメント鉱物の組成とか水和率をとっている人もいるので,やろうとおもうと出きるのだろうけど,XRDの方が便利だよなあ。やっぱり。

9/26/2010

教育 動向

http://jp.techcrunch.com/archives/20100919the-global-education-race/

だいぶん,こういうのが常識として普及しはじめましたねえ。
断固として,耳をふさいでいる教員も多くいますが。

9/25/2010

新しい試験体




近況ですが,新しい試験装置が導入されて,厚さ500μmのセメント硬化体の試験体が作製できるようになりました。
目標は300μmなんですが・・・。
いろいろ夢がふくらみます。

いやあ

こじれると戦争になっちゃうかもしれないなあ・・・。
国,というのを見直していかないと,本当に漂流してしまうなあ。

9/16/2010

AIJ大会 質疑補足

AIJ大会の最終日、丸山セッションと揶揄されるセッションがありました。私は参加できなかったのですが、うちの研究がなぜかそこに集約されていた・・・。

学生からあげられた質疑の結果に対して、私がコメントを追加しました。


○爆裂に関する研究

質問1 
実際のコンクリート部材にどのように応用していくか。
回答1
最終的には爆裂の解析モデルを構築することを目標としていす。
補足
今回の実験は、たとえばFEMの一要素の破壊基準に相当するものと考えており、水熱連成移動と爆裂のクライテリアから、部材中の爆裂挙動の予測ができないかどかを検討する予定。モデルとしては、空隙構造(我々の場合は水分吸着曲線)と水分移動、熱移動を考慮して、内部の化学ポテンシャルがある一定の状態になったときに破壊点が定まるというものになる。

質問2 
骨材を入れた場合、今回の実験結果がどのように変わると予想されるか。
回答2
現状確かな見解を持っておりませんので、今後の課題とさせていただきます。
補足
骨材周囲に損傷ができ、そこか水蒸気が逃げる場所になる。実際のコンクリート部材の場合には体積変化、力の釣り合い、ひび割れ-水分移動モデルの複合、という観点の考慮が必要である。
一方、爆裂は内部に水分が押し込まれる現象になるので、この損傷がどちらに重要なやくわりを果たすかは、今後、解析的に明らかになるものと思われる。


○ヤング率の含水率依存性について

質問1
引張強度はどのようになっているか。
回答1
引張強度には特に傾向が見られなかったため,今回の発表には載せませんでした。
圧縮では乾燥により強度が増加するという報告があります。
補足
今回の実験では、ユニバーサルジョイントを用いていても、破壊近傍の応力度では適切に引っ張ることができておらず、強度に多きなばらつきが見られ評価ができなかった。今後、曲げ試験を行い、評価を検討する予定である。
質問2
概念図はこれで正確か?本来の吸着水を表していないのではないか。
回答2
あくまで簡略化したものなのでこのような図としました。今後検討したいと思います。

質問3
セメント硬化体でこのようにヤング率が変化したのは引張特有のものか。圧縮ではどうなるのか。
回答3
コンクリートでは圧縮でもヤング率は低下する傾向となっています。またSeredaらのデータでも高湿度領域ではヤング率は低下する傾向が出ています。
補足
コンクリートの場合は、骨材周囲の損傷(ペーストの乾燥収縮による)が原因と考えられ、さらにヤング率の低下が認められる。


○モルタル用温度応力型枠に関する研究
質問1
試験体は、それぞれのセメントに対して1本ずつしかないのか?
回答1
それぞれのパラメータに対して試験体が2つずつあり、示したデータは2本の試験体の平均を用いている。

質問2
結局、この研究の目玉は、高炉セメントの品質を比較して、それぞれ異なると言うことが判明した、と言うことで良いか?

回答2
研究の根本的な目的としては、セメント品質を簡易評価可能な拘束型枠(拘束試験法)を提案した、と言うことになる。その上で、今回の実験では、市販とサンプル品の高炉セメントの品質を相互比較している。
補足
今回の結果は、そういうことを示している。判明というべきかどうかはわからないが、JISのセメント規格内でも相当のばらつきがあるということは、知る人にとっては認識されていた問題であると思う。高炉の混和率の違いはB種といってもかなり大きな違いが以前はあったという報告もある。
本試験はスクリーニングとか、ひび割れしにくいセメントというの簡易にチェックするような目的で開発したもので、研究の目玉としては、あくまでもそういう手法を提案したという点にあると考えている。


○セメント硬化体の水和反応と各種物性との関係に関する研究

質問1:
C-S-Hの封緘状態の結合水量は4.0ではなく2.0とした理由
回答1:
11%RH以上の結合水は水の体積と同様に扱われることが多いため,11%RHと同じ値を用い,C-S-Hに弱い拘束を受けているものの,ふるまいとしては,C-S-Hではなく,自由水として取り扱っている。
補足:
異論はあるとおもうが、これより大きな水はかなり用意に脱水し、自由水との区分は明確ではない。そのため、暫定的に11%をクライテリアとして用いている。ヒステリシスの性状や乾燥プロセス中の比表面積の研究などを追加していけば、今後あきらかになるものと考えられる。

質問2:
強度や剛性の評価として,ゲル/スペース比ではなくセメントの水和率では評価できないのですか?

回答2:
今回の検討におけるパラメータの範囲では,おおむね評価できるものと考えられますが,
今後,様々な鉱物組成のセメントで統一的な評価をする際には,セメント硬化体中の相組成に基づいたゲル/スペース比で評価を行ったほうが適当と考えております。
補足
水セメント比の違いは乗り越えられない。温度履歴の違いはおそらく無視できると考えられるが、水セメント比の違いは水和率ではうまくいかない。あくまでも単位空間あたりの水和物量という指標が重要であるという認識。ヤング率は、相組成でも評価できないという点は興味深い。他の研究者で評価できるとしているものもあるが、なぜ、うまく評価できているかに注目している。

9/11/2010

AIJ後

AIJでは,収縮・クリープのセッションを聞けるときには聞いた。9日のこと。
おそらく意図していないのだろうけど,やっぱりそうなるよね,といういいデータが2,3編でていた。
北方建築総合研究所さんの研究で,細骨材率の件は,当方も骨材寸法によって収縮に対する抵抗性が変化することのひとつの裏付けを行っていた。発表者さんの方では,別の要因に影響を求めていたけれども,たぶん,骨材寸法の影響の方が大きいと思う。

建築研究所,ベターリブングなどの実験結果が水セメント比の影響が乾燥収縮にほとんど影響が無いという点も非常に面白い点である。エーライトの反応の観点からみると良いんじゃないかな,と思っている。発表者の方もいっていたように,脱水量は異なっているのとヤング率等も違っているので,全体的なバランスの問題でもあるわけなんだけれども。

V/Sの検討もいくつかあったけれども,水分移動の観点から考えれば,寸法の絶対的な大きさの議論がかならず必要になるので,小さいところで議論しても意味がないだろう。


膨張材関係では,膨張材の収縮ひずみ換算の話が出ていた。これは厳密に議論することもできないし,膨張材の温度依存性の話もわからないので,初期に蓄えられる圧縮ひずみをその後の収縮に換算するモデルをつくって,評価する,というのがおとしどころだろう。建築ではエネルギー一定則もなりたたない部位が多いので,適当のクリープで有効ヤング率法で応力の蓄え具合を予測する方のモデル化も必要。その場合の有効ヤング率に関する係数は,鹿島の法から出ているデータで整理するか,あるいはいろんな拘束度試験の条件から逆解析して合意をとる方法があるかな。


2日目は,原子力の再生骨材の方に顔を出した。再生骨材Hのクオリティというものに興味があったので。砂利ということも考えると,かなりのメリットがあるけれども,凍結融解抵抗性が良くないというのは興味がわいた。後で聞くと,別の産地の骨材だと凍結融解抵抗性も良いらしいので,骨材由来らしいのだけれども,そもそも,凍結融解に対する骨材のクライテリアってなにかあるのかしらん,と思って調べているところ。勉強不足でした。


あとは,なんかもう,それそもそも目的がまちがっているんじゃないか,とか,目的に対してアプローチとか実験水準がまちがっているのでは?というものが多数あったけど,初っぱなで脱力して,それ以後,なにもいえなかった。でも,こういうのいってかないと,学会としてのレベルはあがっていかないよな。
特に学生さんは,自分で考えてこうなったのか,教員がそもそもまちがったのかもわからないけれども,本人には教えてあげた方がよいよなあ,と思うことがしばしば。


一方,AIJ中は,実験・研究の打ち合わせが4件程度あり,聞けないセッションも多数あったのは残念だった。もう少しディスカッションしたいような話もあったのだけれども。


帰りは,特急で一本で帰ってきました。

9/09/2010

AIJ

8日に富山入りしました。しらさぎで、延々電車にのって。
台風の心配もあったのですが、どちらかというと、社内の冷房の尋常でない効きが驚きました。こんなに冷やさなくても・・・。

富山は先月、出張で通りましたが、降りるのは初です。昔、車でも通ったことがあったっけなあ。

9/08/2010

9月初旬

気づいたら,9月になっていました・・・。

8月30日 JCI膨張委員会で,共同実験に関するうち合わせ,今後の指針の方向性などのディスカッション。共同実験ができれば,本委員会の目玉はできるんじゃないか,と思うのだが。予算の中でも落とし込みのプロセスで各位の思い込みがあるので,なかなか調整が難航。

昼に半井先生と収縮耐久性力学委員会の下うち合わせを行い,その後,蕨へ。

佐藤先生に紹介いただいた企業で,圧力系のマニアックな装置を作成できる企業で,広大のTSTMというか横型クリープ試験機も作製いただいたところであります。新しい試験装置の開発の下うち合わせに行く。
この企業の会長さんは,ポンチ絵と我々がやりたいことを伝えると図面を作ってくれるところがすばらしい。ここには書けないですが,本当にすごい技術力で,ノーベル賞級の研究の裏で,かなり,活躍していたりします。会長さんは,企業の工場などの機械を入れるときなどにも,名古屋によっていただく時に声をかけてくれたりします。飲みの場で,話せる範囲でいろんなことを教えてもらいます。

8月31日 東大で今後の研究方向性に関するディスカッションを野口先生と行う。そろそろ,次の10年から15年くらいの研究のための種まきをしていこうと思うのだけれど,全体との兼ね合いから,相談をした。ちょっと脱線気味だったけれども,いろいろインスパイアされる部分があった。

午後は,K社で某共同研究のうち合わせ。こちらも予算のタイトさから,理想的な実験ができないのだけど,なるべく,目的を網羅するパラメータの抽出作業が今後も残る。

9月1日 G-COEうち合わせ。最近,G-COEでは,理学系が主体となって活躍している部分が大きい。どうも,工学系がうまく入れていない。コーディネータや特任教員が自分の領域外に目を向けることをちょっと怠っているようにも思う。このままでは,中間評価は結構厳しいと思う。内部から見ても。

9月2日は,アルコツ関係の実験で,某さんが大学にきて,作業をする。骨材の特性がわかって非常に面白い結果が得られた。たぶん,わかる人はわかっているので,常識の範囲のデータなんだけれども,やはり,実際にそのデータを見てみると,いろんな可能性を感じる。
夜は,皆で飲む。理科大のK松先生と,名古屋の重鎮T川先生とが合流。名古屋のリーサルウェポンぶりは健在で,飲み過ぎました。自分の限界をよく知る,苦しい日になりました。やりすぎです。

9月3日 祖母が急逝。通夜,葬式の準備など。最近は火葬場がこんでいるので,結局,6日通夜,7日葬儀になる。両親と連絡をとりながら,調整。
なんというか,いろいろ胸にこみ上げるものがあるが,言葉にするのは難しい。

9月4日 一方で,最近,楽しい家族計画が大幅に変更になったので,引っ越し先の下見,車の買い換え,引っ越し手段などが目白押し。車の買い換えのために,各社を見て回ると,補助金締め切り,決算期などがかさなって,相当強引な勧誘があるが,営業でだめな人はだめだ,という見本を数名目撃し,こちらもつかれてしまった。こちらの時間,予算,パフォーマンスを考えて,最適な説明をしてほしい,というのにもかかわらず,だらだらすすめるのはいかがものか。こちらの購買意欲はみるみる減退していった。

9月5日も同様な一日。

9月6日,7日は千葉に移動。いろいろ思うところあり。両親の体調や,家族のことを考えると今後も時間をとって考える必要がある。

8/28/2010

理系文系

少し前の読売でもでていたかとおもうが,
http://scienceportal.jp/news/daily/1008/1008271.html
理系・文系での給与の差


いまもって企業の中で,あるいは企業ごとに文系理系に区分けがあるのかどうかわかりませんが・・・,少なくとも,私は文系の方が給料が高いと習ったクチです。

高校の時の担任が東大の文学部出で,高校の時の同級生に文系いった方がよいよといって勧めたら,東大の材料かどっかの先生であるその親がどなりつけたということがあったような,なかったような。
結局彼は,文系にいったわけですが,その後ハッピーなのかどうかはわかりません。

ハッピーさからいえば,家庭の教育で何に心理的に飢えてしまい,それが満たされるかという構図で決まるような気がします。
研究者にもいろんなハングリーさで,すごさが出る人がいますね。アイデアがあふれてしまって,それをまとめずにはいられない人とか,この業界だと社会的権力が目標である人とか,ご本人の口からも伺ったことがあります。こういうのって,やっぱり,後天的なんじゃないかな,と思います。理由は無いけど。

8/24/2010

下の投稿について

下の最後の部分ですが,実験しない以外は,耐震診断業務と同じ内容ですね。
でも,ぜんぶ部材拾って,解いてみないとどういう考えてやったかはわからないだろうしなあ。
もっと工夫がいりますね。

弱い構造体を補強するのは,かなり難しいです。バランスを考えるというのは,重要のような。
特に曲げが弱いとか材料自体が弱い場合は,どうしようも無いというか,力を流す場所が無いんで。

50年後



元図引用 国立社会保障・人口問題研究所 金子隆一氏

先日,50年後の話をしましたが,今後を考える気になるいくつかの点と建築・建設業について。


上の図は,2055年,45年後くらいの日本の人口分布予測図です。超高齢化社会であることが見て取れますが,その中心付近にいるのが私,ということになります。生きていれば,という前提ですが。
80才ですね。

今後考えられるビッグプロジェクトとは,何でしょうか。今,ここでいっているのは,若い世代が考えて設計して,実施するという,技術を残すため,あるいは技術を前進させるためのそういう事案です。

今後,日本で大きなプロジェクトというと,建築では現在のスカイツリーくらいでしょうか。あとは原発が数個は作られるでしょう。これのメンテナンス,解体というのはある意味ビックプロジェクトではありますが,まったく新しいということでもないでしょう。
今後,都市を新しく開拓することはないでしょうが,縮約するためのリアレンジはするかもしれません。でも,政策的なのか,民間のディベロッパー主体なのか,地方でやるかもわかりませんが,多くみつもっても現在の建設規模程度のものでしょう。設計,施工,それらに新しい技術はないかもしれない。
個別事案で奇っ怪な形態をつくるという点で,建築には小さいながらの新陳代謝はあるでしょう。それは人間の本能にもとづくものですから。でも,こういう新築物件があるということは,70,80年代にくらべて,せいぜい25%程度の人間に対して,新しい成長の場を供給することができるものと思われます。

土木でいうと,リニア新幹線は大きそうです。チャレンジも多いし。技術的課題が大きい。残りの高速道路,新幹線はおおよそ設計ができているので,これはビッグプロジェクトとはいえないかも。港湾は新しい場はあるでしょうか。地下構造物は,今後も少し新しいことが行われそうです。CO2埋蔵,廃棄物の貯蔵,資源のストック,地下構造物は土木の今後のフロンティアの一面かもしれない。風力発電なんかも,フロンティアですね。

スマートグリッドは,土木・建築にインパクトを与えるでしょうか。建築の構造には与えないでしょうが,都市設計にはインパクトがあるでしょう。小学校を中心とした街区設計ではなくて,エネルギー主体になるでしょう。今後はお年寄りのコミュニティが中心となるような街の設計になるでしょう。少しづつの変化はあります。

こういった場の提供で,上の図のビッグプロジェクトの無い世代というのが育ちます。50年は大きいと思いますよ。こう考えると,その後の世代において,新しいことはできないでしょう。技術の継承もままならないし。そう考えると,日本の50年以降のビッグプロジェクトがもしあったとしても,あるいはビッグでないとしても,日本の技術者がその任を担えるでしょうか。
これは難しい問題だと思います。
容易に思いつくのは,中国のゼネコンが日本の公共事業を受注するという姿です。中国の国土から考えれば,土木技術者は向こう100年くらいは,技術の継承がなされるでしょう。すべて新築という形で。これは大きなことです。

もし,地方の公共事業が無くなったら,将来の新築の備え,災害時の復旧などについて対応ができなくなるものと思います。こういう土木事業が潜在的にあるというのは,一種の安全対策,福祉政策の一つにもなるべきものです。(この意見は昨日,ディスカッションさせていただいた企業の方に教えてもらったものです。)

技術継承というのは,先のトピックで鉱床学の話をしましたが,建築・土木でもそろそろ政策として,どの程度の人員をどの程度の規模で,どこに,どのように温存していくかという議論が必要です。

これは,国交省,土木研究所,建築研究所,大学の教員,地方と併せて議論が必要だと思います。若手でこういうディスカッションをしたいと思いますが,いかがでしょうか。


ちなみにですね,近々の大学を対象として考えると2022年には,13.4万人の定員割れが予測されていて,300名規模の学部が400ほどなくなる勘定になっています。
(参考資料リンク
最近,建築,土木の人気は落ちつつありますが,そういう中でどういったやりくり,ビジョンを描くというのは我々教員としても重要ではないかと思う次第。


今後,大学はメンテナンス学やランニング・解体時の話が主役になるでしょう。新築の学問も大事なんですが,市場は,建物の延命,リユースの方向に向かうモノと思われます。ただ,大事なことはその時代の設計や思想を理解した上で改良することなので,新築ができなければ,構造的延命もできないんじゃないか,というのが私の持論です。その新築の場をどういう形で提供して,人の血肉にしていくか,向こう50年の教育体系は,今考えるべきではないかと思います。

私の腹案は,比較的大きな建物の解体時には,政策として複数の技術者に対して研修という形で,鉄筋と断面を拾わせて,構造計算させ,振動実験やプッシュプルで壊すような実験をして,破壊プロセスを見ながら設計がどこに効いているか,ということを理解させるというものです。
どうせ壊すのであれば,そのコストを大きくさせる目的が一つ,そのコストを有益に利用するために,そういった施策を強制介入させて,技術者の知見にするというのはあっても良いかなあと。

コストを増大させると,経済的回転はさらに停滞してしまうかもしれないので,ある意味では諸刃の剣かもしれないです。いまの電化製品のように。でも,それで建物が延命の方向に行くのであれば,それもまたよしではないかと。


施工技術の方が実は難しいです。こればっかりは新築しないといけないので。この点については,もう少し考えて見ます。本当は,施工が一番チャレンジングで難しいんですよね。

あかん

日経が9000円割った。秋の二番底は,結構インパクトが大きいかもしれんなあ。アメリカも対策つづかなかったし,EUも決め手がなくて,ギリシアは離脱しそうだし。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/994

この記事は,最近,いろんな人にすすめているけど,わかりやすく,ポイントが絞られていているインタビューだと思いました。

8/18/2010

近況 その2

・英語での対外発表について,もう少し精力的に行おうと決意した。いろいろ原因があるが,やはり,技術は対外的にも出していかないと,日本のプレゼンスとして問題だと思うからである。
英語の能力は上がらないのがだが,最近はいろいろ便利なツールが開発されている。英字郎なんかもすごいツールだが,今回は対訳くんというアプリケーションを購入した。
例文の中から,正しい使い方をセレクトしていくというコンセプトのアプリケーションで,英訳例をたくさん登録していくと,自分なりの独立したツールになる。これは,論文という特殊用途においては,かなり良い手法のツールではないかと思う。ちょっと高いが,購入したので,しばらく使いこなしてみようと思う。また,報告する。

・お盆中に新しい試験装置が導入された。質量式の吸着等温線測定装置である。こういった装置はBell社が有名だが,定容法でカンタクローム社を選んだので,同一の会社のものにした。日本第一号ということで,立ち上げに時間がかかるということで,とりあえず,試しの1回目を行っている。シンプルな測定なので壊れることはあまりないだろう。湿度調節だけは,気にかけたいところだが。水も窒素バブリングの必要はあるかもしれない。
湿度一定の温度変化ができるとか,温度一定で処女脱着線からデータがとれるなど,いろいろ良いところが多い。欠点は時間がかかること。脱着線だけでも,1週間くらいは覚悟しなくてはいけないかもしれない。
本格的な運用は3ヶ月後くらいを目標にしたい。

近況

・新素材開発の依頼がもう一件きた。セラミック系のものよりもさらにビッグプロジェクトになりそう。さすがにこのプロジェクトは,当研究室だけでやるものではないものと判断して,周りの方々に協力をお願いしようと考えている。私が基礎研究よりのことをここ5年くらいやっていたせいもあるのかもしれないが,建設業をはずれると材料開発のスピードというか,その要求はめちゃくちゃ高いですね。私は,ちょっと耐用年数とかそういった点でどうも慎重に考えてしまうきらいがあります。


・盆で実家に帰ったら,子供の時につかっていたベニヤ板の層が崩壊していた。集成材の耐久性というのはどんなものなんだろうか。最近,木が環境関連で着目されていて,集成材による高層とか大空間などがもてはやされているが,接着剤というのはどういう位置づけで議論されているのか気になった。ちょっと一回しらべてみるか。建築というのは,結局,材料とかではなくて,おさまり,ディテールの研究なんだよな。鉄筋コンクリートだって,結局,付着・定着の話になってしまうわけだし。コンクリート自体だって,結局,界面がものごとを律速している。
木材こそ,ジョイントと接着面の集合体だろう。

・細田先生のブログにあったように,新潟方面で講演をさせていただきに出張しました。いやあ,無機材料はおもしろいですね。やっぱり。

・査読がたまりまくり。里帰りの新幹線で,とおもっていたが終わらなかった。時々苦言をここに書いているけど,参考文献などは,適切に引用していないというだけで,本当に落とされるんだということをわかってもらった方がよいかなあ,という論文が2本ほどきている。
恣意的に引用していないことが見て取れるので問題。

・ASCOTで座談会を行った。50年後の話を議論するわけだけど・・・。私がぼんやり考えたことは,以下のとおり。
経産省が示したように2030年には,再生可能エネルギーの割合は10%くらいにはなっているだろう。この調子でいけば,再生利用エネルギーの割合は,50年後には半分くらいになるかもしれない。
そうなると,エネルギーを使うこととCO2排出量とは独立した問題になる。
コンクリート業界はCO2排出を嫌っているわけだけど,そのほとんどは脱炭の問題。
ところが,コンクリートの解体・粉砕もエネルギー的に大きいが,CO2の問題を別にすれば,大してハードルがなくなる。コストの問題だけになる。
コンクリートの微粉を焼成してクリンカを作れるようになれば,CO2はほとんど出てこないセメントができる。
また,資源的にはクローズドロープが完成するので,これはこれであるべき姿ではないか。


このことから,今,コンクリート業界,セメント業界がやらなくてはいけないことは:
・再生可能エネルギープラントを各工場で持つようにする。特にコンクリート構造体の解体,分解,破砕プロセスについて,また,クリンカを焼成,粉砕するプロセスについて。
・コンクリートガラからセメントを再生するための技術の確立。重金属,塩素,その他の問題。エコセメントができているので,ほとんど問題無いとは思うんだけど。
・一部は,低温焼成+副産物という方向もある。(吉兼さんの案)
・ガラを運搬・ストックするための場所の確保,流通に関する研究
・再生骨材に関連する諸処の耐久性に関する研究,品質評価に関する研究(構造的にはもはや解決ずみ。)
て感じではないかな。
・破壊時にコストをかけるというやり方は,啓蒙活動として正しいかもしれないが,経済活動はシュリンクする。マイナス方向への投資というのは,特に気が向かないものだ。ということは新築時にその分をとる方向にすべきだけど,値段はその分割高になる。でも,当たり前ですね。
良い建物を作るというところにお金をかけるか,完全に再生できるようにお金をかけるかの2択になるように方向をすすめれば,世の中よくなるんじゃないだろうか。(8月18日午後追記)

なお,恩師の完全リサイクルコンクリートは,逆に脱炭をしてしまうので,避けた方がよいかもしれない。
破砕・分解のエネルギーと焼成のエネルギー,CO2排出に関するコスト・影響,のバランスで決定すればよいかも。

なんにしても,再生エネルギープラントを業界的にも実用化するのだから,エネルギーをつかっても問題が無い世界がくることを前提として話をする研究もあって良いと思う。

8/02/2010

政策のための科学?

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100802-OYT1T00777.htm?from=top

確かに,前回の仕分けの時のありさまは不様であったとしか言い得ないが,「政策としての科学」は,本質的に成り立つのか,という議論も必要だろう。
結局,これをアカデミズムの人だけに任せる(というか日本のアカデミズム的な人たちに)というのは危険でではなかろうか。


まず,天気予報もできないのに,将来予測はできるのだろうか。
たとえば,資源争奪戦が予測されるのに,鉱物学・鉱床学に力を入れず,結局アフリカとの協業をうまくやれないという事実がある一方,これを予測していた人たちは,行政側にいたのか?
鉱物学の先生の中に,経済的観点でこういう視野を持っていた人がいたのか?
現状,結局40才以下に,鉱床学ができる人はいない。フィールドの力だけでなく,鉱物学,および物理・化学を使いこなす総合的学問分野は,日本で芽がではじめたのに結局,育てることができなかった。

どちらかというと,こういう,今後どういうの必要な可能性があるんだろね,というリストアップのディスカッションとかの方が大事なんではないか,と思う。
その上で,予算配分を決めていくとか。
でも,将来予測ができないので,どんな分野にもエキスパートは残しておこうという考えに,私は賛成だ。


日本人というのは最悪の状態を予測できないだけでなく,そういった事実から目を背け,知見をくみ出すことができない。得てして,失敗した人間をさらに地におとしめることが多く,救いの手やそこから得られる利益をつぶしてしまう。

日本は,結局バブル時期の反省にういて「学」側の人間はどれだけかかわったのだろうか。不動産投資とか,リゾート開発の反省というのは,計画学的になされているのか。経済的な反省というのは,日銀の人がアメリカでリーマンショック時に話をしにいったらしいけれども,そういうのは,どの程度認知されているのか。経済学の中でどうやって説明してるのか。結局聞こえてくるのは,山形浩夫経由のクルーグマン談義とかになっているような気がするがが,そういう責任の所在不明の,いやなことはながしちゃおう気質というのが問題のようにも思う。

ま,そんなわけで,私の意見は,日本はもう少しまともな人の独裁などを許すべきだ。足の引っ張り合いをやめて。
日本人は民主主義になれてないし,使いこなすこともできない。民主主義は最悪ではないベターな採択がなされるということらしいけど,日本の場合,最悪のことがままある。

実は大学内も同様。本当に恐ろしいのは,反対をいいにくい環境が日本の風土としてあるので,(実はあとで直接言おう,みたいな感じで議論がすぎていくことが多くて),皆がメリットが無いとおもっている議決がどんどん通る。こういうのは本当に恐ろしい。

言葉が大きくて(文字通り大声で),必要なんだ!,という人が1,2名いると物事が通ってしまう。投票は一度なので,こういうの日本にはなじみにくいんじゃないかと。
そもそも,日本って,公開の場でものごとを決めたりしない。(私はあまりすきじゃないけど。)たばこの場とか,委員会の後の飲み会で物事のプロットが決まっていることが多々ある。これは,日本的文化であるのはわかるが,フェアではない。でも,これでモノが決まっている。
こういう,陰の形というのが中途半端になるので,投票とかってあまり良くないんだと思う。


決定に人が関われば関わるだけ陳腐でばかげた結果が生じるのは,こういう背景があるんじゃないかと思った次第。

7/31/2010

中性子とタンパク

相性が良くて,かなり宣伝されてはいるのですが。
http://www.jaea.go.jp/02/press2010/p10072801/

こういうの,セメントでもやらないとダメだとおもうんですよねえ。

7/29/2010

C-S-Hとヒステリシス

なんだか,すごい前のGimblettとかという人の論文で,一生懸命やっていることの説明がだいたい書かれていた。
C-S-Hの説明で,荒川先生の教科書にも同じようなことが書かれていて,単に勉強不足だったようだ。

佐伯先生のエーライトの水和で結合水量が水和率と線形関係になるのも,C-S-Hのヒステリシス挙動も,全部同一のモデルで説明できる。やれやれだ。
きっと,セメント化学の人は普通にわかっていたんだろうな・・・。

いやあ,ちょっとへこんだけど,まあ,モデル化ということでもう少し実験をやるかなあ。乾燥とC-S-Hの変化については,時間の関数も必要になるのでこのあたりを地道にとっていくかな。
とらなきゃいけないデータはあるにはある。

著作権

日本も迷走中ですが,アメリカもすごいことになっている。
http://www.crunchgear.com/2010/07/26/now-legal-in-the-u-s-jailbreaking-your-iphone-ripping-a-dvd-for-educational-purposes/

最近iPadを購入して,その利便性に魅入れられている私としては,購入したものについては,自分の権利を最大限利用したいと思うし,私的複製も昔のようにもっとおおらかになると便利なことが多いのではないか,とも思う。

一方で,創作活動に対するペイというか,経済活動としてどう位置づけるかということはやっぱり大事で,プログラムなり,アイデアなり,小説なりには,やはり対価があってしかるべき。我々も一部ではそこで食べているわけですし。

中間マージンで生きていた人たちの機能を認めないわけではないのだけれども,創作者とユーザーがダイレクトにやりとりややりやすくなっている現状で,どういうサポートとして,誰にたいしてどういう対価をもらいたいか,という話をもう少しオープンに議論したら良いと思う。

マーケット提供者がフィーをもらうのはある意味で,所場代ということで健全なわけですが,そういうことを明確化するような話も特にない。どっちかというと,法律でしばって,自分達の利権を法的に確保しましょう,みたいな話が多いような気が。
今までの仕事を利権化してマージンとろうというのは,ユーザーと創作者,双方に嫌われるのでやめた方がよいように思う。


JASRACの話も,機能は重要な部分も多い。本を書いたことのある人なら,図版の引用の交渉の面倒くさいことはよくわかるはずだ。それをどっかで一括でやってくれるというのは,ある意味便利なことだ。金で解決できるなら,是非すべき問題だ。
サービス,金額,市場の実際の乖離の点で,問題がヒステリックになっているような気もする。

7/27/2010

ファーストクラス

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100727-OYT1T00858.htm?from=area5

じゃあ,誰がファーストクラスのるんだよ,と。

海外出張の移動で疲れて,仕事にならないということが生じるくらいならファーストクラスにのるべきじゃないのか。
国民に選ばれた人で,それに見合う働きをしているという自負があるなら,のるべきじゃないか。


というか,要は,それだけの価値のある人なら,堂々と利用してその分だけ,成果を果たせばよいのではないかと思う。ほとんどの日本人は時間を買うということにお金を払わなさすぎると思う。

7/23/2010

14C 検討

理学部の先生方と14C,13C,18Oについて,実構造物の分析を進めている。コンクリート中の空気・水の交換作用がどのような形になっているか,というのがだいぶんわかってきた。
同位体分別を評価するということは,実は強力なツールになりそうである。

これを通じて,実構造物と促進炭酸化で大きくことなる現象が何か,ということも議論を重ねてきてだいぶんわかってきた。
特に,実構造物上の固有の現象というのが,非常にシンプルなモデルで説明できることに気づいたので,そのモデルについてディスカッションしたが,高校生にもわかるレベルでありつつ,かなり網羅的に現象を説明できそう。

実構造物に特徴的なこの現象が,複数建物で検証できつつあるので,9月末には,海外ジャーナル投稿を目指すということで,合意。
こういう協業で非常にはやいスピードで論文化できる,というのは刺激になる。
やっぱり,もっと特異分野で協業して,欧米なみの研究スピードを持つということは重要な気がする。

7/20/2010

連休

土曜日は,連休ではあったのだが,日程調整ができなかった共同研究プロジェクトの打ち合わせ。新しい外装材を開発するということで,模擬生産ラインのお披露目会と,今後の課題検討会があった。
生産ラインの方では,歩留まりの問題が出てきており,コストに反映されてしまうので,そのあたりが今後の課題。これ,結構重要な問題です。

開発研究をやっていくと,いろいろ個別要素で突き詰めたい事項が出てくるので,脱線しがち。
しかも,技術課題がいろいろ明らかになっていくので,当初の契約とゴールが異なってくることがある。そのため,プロジェクトマネジャーとしては,開発企業側の経営側とかマネジャー側がどこで線を引くかということの交渉ごとを必ずミーティングに入れておかないといけない。
得てして(私も時としてそうなんだけれども,),現場の人間は技術論に走りがちでコストや商品性を無視して動いてしまう。経営者側は,少なくとも,プレスリリースや実際のコスト,今後の市場化の見通しの上でしか,技術課題を見ていない。今やっていることが何に反映されているかという整理は,現場の人間にとっても必要。ゴールが見失われたプロジェクトほど徒労感の多いモノは無い。

時として技術課題が製品の信頼製に直結する場合もあるので,現場の意見を無視することも問題なんだけれどもね。

予算の中で,どこを落としていくかについては,常に気を遣う。こちらとしては,名古屋大学ブランドを利用させてもらっているので,それに傷をつけるわけにもいかないし。
何とか年度末のプレスリリースでは,皆様をちょっとおお,とおもわせたいな,と思ってる。難しいかな。



以前,商品開発の技術コンサルティングをした,道路用補修材は非常に好評なようで,今はNEXCO中日本でも採用されているらしい。(共同研究契約の形をとっていないのと,ライセンスの問題で技術資料やパンフレットには名古屋大学の名前は外してもらっている。)この時代にもかかわらず,売り上げが順調らしくて,小さな会社だったせいもあるかとは思うけれども,現場開発者の方が役員になっていて驚いた。私としては,少し誇らしい。
この成功は,会社自体がちゃんと人を送り出して,実験を自前でやろうとしたところにある。小さい会社が,数百ケースの練り混ぜを整理して,ノウハウを取得したということは,実に重要なことだ。私は反応に何が必要で,粒度はこういった性能に反映するという基本的なコンセプトを提案したのと,性能評価としてこういったことが重要であるという,ごく一般的な点をわかりやすく説明して,アドバイスしただけだ。でも,これを数十と繰り返せば,やはり,ノウハウとか独自の技術力が芽生えてくる。

教育と一緒と思うのだが,最近,こういうのをすっ飛ばして,研究やりたがる人・企業が多い。大学や銀行経由でいろいろ相談を受けるのだけれど,こういった事例を持ち出して説明しても,全く理解できない人も結構多くて,驚く。世の中,そんなにうまい話はないんだけれども。
成功の秘訣なんて,成功するまで考えて考えて考えて,ただ,ひたすら続けるだけなんですけどね・・・。




日曜日は,修了生の岸くんが大学に戻ってきてくれた。たった数ヶ月ではあるが,社会人になったあとも,私の教育の意図が強くつたわっているようで非常にうれしく思った。彼は,最近,建築学会の優秀修士論文賞にも選抜された。最近発表している,水和圧・収縮理論の研究や,熱伝導率,水分移動に関する今後の研究発表は,彼の精緻な実験に基づくところが大きい。彼は,最終的に2000強の試験体を管理していた。これは,なかなか超えられないのではないか。
最初は,打設から3ヶ月たってやり直しになることが数回あり,本当にふてくされている時期もあったのだが,粘り強くよく頑張り,こういった成果に結びつけた。

彼との出会いは,私にとっても,彼にとっても,非常に幸運なものだったと私は思う。

7/17/2010

iPad を購入

iPadを購入しました。

良いところ
・起動が速い。
・電池の持ちが良い。
・画像がきれい
・PDF画像がさくさく閲覧できる。
・実験データや文献を見ながら,話をしやすい。研究の打ち合わせの時に過去のデータを見ながらやれるので非常に便利。

悪いところ
・データの移動が面倒くさい。iTuneもなんだかとっつきにくい。
・アプリが片っ端から有料。
・やはりキーボードが無いのはしんどい時がある。まあ,わりきり。
・出張にもっていくかというと微妙。PCをもっていくならもっていかない。議事録とらなくてよくなるならもっていくかも。

7/16/2010

検査

諸事情あって,一部の人にはお伝えしましたが,今週は検査三昧でありました。
結論から言いますと,医者もなぜそういうことが起きたのかわからない,というほど健康そのものということで,自分としては驚きであるとともに,うれしくもありました。

まあ,こういうこともあったので,一家の主としても,研究室の主としても,体調管理をさらに徹底する必要があるということがあらためて浮き彫りになり,摂生を誓ったしだいです。

誓ったそばから,おなかがすくと,どうも欲望がまさってしまうのが,本質的な課題なんですけども。

7/14/2010

年次論文奨励賞

学生の受賞は,指導教員としては非常に励みになる。
昨年度,I君の論文は,相当にインパクトのある論文だと自負して投稿したのだが,残念ながら受賞に至らなかった。悔しさは,I君よりも私の方が大きかったかもしれない。

今年は,I君はポアソン比に関するデータと分析の結果を報告したのだが,ようやく雪辱を果たした。実は途中まで,電力中央研究所の河角博士のデータの存在を忘れていて,途中でI君が持ってきて,博士の時に読んだのを思い出した。さすがは,電力中央研究所のデータですばらしいものである。

それでも,水和とかと連結して,モデルに利用しやすい形でデータをとりまとめたので,それが評価されたのではないかと思う。


M淵先生のご質問はもっともなことである。あの発表するなら,マスコン解析に入れてみればよかった。すぐに結果は出るわけで,間違い無く違いがでるし,隅角部の問題も少なくなるわけで,良いことも多かったはずなんだが,なまけていてそれをやらなかった。
I君自身は,FEMをつくっていないので,うまく説明できていなかった。
クリープポアソン比の問題は,普通の増分型にもっていくのはしんどい。広大のS藤先生がBazantの式をもってきて,紙の上で解いて見せてくれたことがあるが,その書類は今も手元に残っているが,まだFEMには反映できていない。
今年後半から,解析については,集中的に取り組むので,そのときにやってみたい。

JCIなど

近況。
7月5日には,旭化成建材の方とリートベルトに関するディスカッション。ALCでは,トポケミカルな反応であることが多くあって,現象を把握するにはリートベルトは良いツールになりそうな感じ。
いやあ,過去のデータも紹介いただきましたが,興味深いです。セメント系でも知っている人も多いかもしれませんが,我々は少し勉強した方が良いな,と思いました。

7月6日 午前中に新しいセラミック建材系の打ち合わせ。意匠の先生の方で,設計上の問題点の抽出,新しい材料のメリットなどをチームを組んでやってもらったので,その報告の上でディスカッション。やはり,新しい建材の開発は,難しい点が多くありますね。今後の戦略の見直しが必要ということで結論。

午後から,JCIに出立。

7月7日 JCIでは発表,司会を行いました。今年は残念ながら委員会などが多くて聞きたいセッションにあまり出られなかった。加えて,会場は非常に使いにくかった。なぜ,ここが選定されたのは,いずれ聞いてみたいが,移動がしにくいうえに,エレベータがあきらかにオーバーフローしていて,近年ではあまりない不測の事態だったのでは,と。

・高温養生の実験では,ついにというかあらためてというか,ちゃんと出ましたね。今までのデータが乾燥条件があまくて,拘束効果の方が大きくなることがよくわかるデータでした。


・最終日の午後,非常に楽しそうなセッションだったのですが,裏のJCI委員会のために途中退出。しかし,論文をみていて,実験として,こういう風にはならないよな,という論文もちらほら・・・。セメント硬化体やモルタルでは,もっと厳密な前養生管理が必要だと思いました。どのように水和をとめたのか,測定まで何日かかっているのか,その間の履歴はそれぞれどうなっているのか,ということをキチンと書くことが重要。自分としても,今後の論文では配慮していきたい。


土日は,東大材料研OBの合宿。現状の研究を含めた状況を紹介しあい,研究についてディスカッションしたりする場。場所は,東大の山中寮でした。
趣旨が,曖昧になってきたので,来年以降は,もっと一つの研究にしぼるとか,ディスカッションすべき内容が明確になるようなプレゼンをしてもらう,ということには配慮が必要に思った。


12日は,某社さんとの共同研究の打ち合わせ。今年は,ちゃんとした実験なのでもう少し,予備実験も行って適切なデータが出るように進めていく必要があることを確認。

13日は午前中に,電力共同研究関係の打ち合わせ。非常に長期の実験についての打ち合わせで,個人的にはコンクリートよりも,自分の健康の方が問題になったりするんじゃないかと。冗談ですが。

7/06/2010

期日前投票

今日から、大宮入り(というか実際は赤羽だけど)。明日からJCIだが、いの一番に発表なんで、そういうことになった。
土日には、東大材料研OB連の合宿があり、投票できないので今日、期日前投票もすませた。ここで何かかくと、ちょっとよくないんだろうな。

さて、M1の学生君が今月黄表紙に投稿する。努力してそれが実った場合の学生だと、ペースがかなり早くなっていて、これは、多分に先輩学生の蓄積によるものも多いわけだが、よい傾向。少なくとも自分が学生の時に、こういう雰囲気ではまったくなかった。

もちろん、研究というのは失敗もつきものなので、努力してもすぐに結果に反映しないものも多い。かならずしもうまくいった(論文を投稿できた)学生が優れているとかそういうものではない、ということはここで言っておきたい。
やはり、卒論・修論の期間頑張った成果というのは修論の重厚さで評価すべきものだ。新しいことをやる、ということは、形にならないことも多いが、修論としては残る重みというものが出てくる。そして、場合によって、それは下の世代にとって偉大な成果として残る。

そういうのが、実は大事なんだ、ということは学生諸君には知っておいてもらいたい。わからないかもしれないけど・・・。

リーダーとして、指導者として、もっと、平均値があがるように努力していきたいところ。

7/05/2010

C-S-H 比表面積

水分吸着挙動のデータ取りで,かれこれ500以上はとってきたので,過去のデータを全部見直すことにしてみた。学生さんに手伝ってもらって。というか学生さんが整理した。五十嵐君,どうもありがとう!

まず,1番最初に気づいたのが,収束時間の件で,どうも105℃24時間の乾燥は強烈すぎて,若干の水和反応を伴う。40%RH以下のヒステリシスが大きすぎる。
既発表の論文のデータに整合性が出ないわけではないが,この点は改善の余地がある。

しかも,水和が止まっているとおもって,105℃で24時間乾燥した試験体を数ヶ月後に追試をすると,BET比表面積はかならず小さくなっている。これはどういうことかというと,乾燥後の試験体を水和停止したつもりになって封緘しておくと,乾燥期間が長くなる効果が働いて,C-S-HのSi鎖長が伸びて,比表面積が小さくなるということになるわけだ。
これは私にとって驚きだった。実験上,大いに留意する必要がある。

半年くらいでBET比表面積は,かれこれ30m2/gくらい変化する。強烈な乾燥条件だと,厳密に試験プロセスを管理しないと,実験データのばらつき要因になるので注意が必要だ。

一方で,RH11%乾燥は非常に安定していて,長期保存についても再現性が高い。RH11%乾燥した試料を30分ほど脱気すると,平衡時間が少ないだけでなく,安定したデータがとれる。最近の若材齢データは全部この方式に実は変更している。

ちなみに,105℃乾燥との換算係数もわかっているので,まあ,あるていどのばらつきはあるが,再現することはできる。水和圧も出すことは可能だ。

いろんな人のデータを見ているが,やはり数をこなさないとわからないことが多くある。そして,思いついたら確認が必要だ。今回,気になって追試したデータは,非常に有用な知見も与えてくれた。

最近,個人的にいろいろなトラブルがあって,心身穏やかにならず,土日は家で過ごしました。
貧乏性のせいか,いろいろやってしまうのですが,基本的には息子と過ごす時間をとりました。昨日は,天気予報がくもりだったのですが,午後から晴れ間がみえて,夏の日差しになったので,車で海に家族で行きました。

息子は昨年にサイパンにいったのですが,全然覚えていないらしく,最近覚えた言葉で,「海」を連発していました。
潮干狩りもできるところに我々は着いたらしく,遠浅で,貝や蟹がたくさんいて,息子的には刺激的な一日になったようで良かった。蟹の地面に潜るさまは,非常に面白くて何度も実験してしまった。
やっぱり,いろんな体験をさせてあげるのは親の役目だと再認識。


メキシコにいって思ったのですが,すごいもののはずなのになぜか,感動が少ない自分にがっかりします。たぶん,小学生くらいでみれば,洞窟なんか感激してどきどきすると思うのですが,今ではそんなではない。
感動をあじあわせてあげられるのは,親なんじゃないかと思ったわけです。
また,大学の時の海外旅行なんていうのは,最後のチャンスくらいなんじゃないか,とも。学生さんには是非,海外旅行をたくさんして,できれば,現地の人と話をしてもらって,頭を柔らかくしてもらいたい。

7/04/2010

デジモノ

大学でDocomoの携帯を契約した。出張先でのメールアクセスや対応用件が以上に増えて,個人用の携帯を使うのがばからしくなったからだ。
海外出張も増えてきたので,ローミングも対応するようにした。
さすがにAndroid携帯はやりすぎとおもって,普通の携帯にしたけど,十分高機能すぎてびっくりだ。
N04Bは,瞬撮携帯としてCMされているけども,3GインターネットのWiFi端末として機能する。つまり,この携帯をもっていると,PCやiPadなどを利用しているときにWiFiアクセスができるようになる。B-mobileの豪華版みたいなもので,出張先にいくと非常に便利。
ただし,月額max11000円らしい。
当座,携帯からメールチェックをするだけなので,パケホーダイダブルのみの契約にしておくが,今後の利用次第では,契約を変更するかもhしれない。

Windows7にして,普段利用していた計算機プログラムがVisualStudio6.0で作成したもので利用できなくなった。再コンパイルもうまくいかないしで,似たようなものがあるはず,とおもって探したらChromeOptionsの中に
Chromey Calculator

というものがあった。秀逸である。いや,賢すぎる。
学生でなくなったので,Mathematicaをインストールできなくなったんだけど,そろそろ,アカデミック版を購入しようかなあ。
でも,私の場合,本当に計算機としてしか利用しないので,ちょっと高額かな。もっと,使い方を勉強すれば無限に利便性はひろがるんだけろうけども。

7/01/2010

ACTとか

生まれて初めて,筆頭の英語論文がACTから出ました。感激です。
収縮メカニズムに関する黄表紙で書いた2本の論文ののち,いろいろ反芻して,もう少しエレガントにしたものになっています。
整理の仕方がクリアになったのと,黄表紙には書けなかった,背景もイントロに記載しました。また,かなり多めに参考文献を載せたので,収縮メカニズムというマニアックなことをやる人にとっては,なかなか良いものになったのでは,と自負しております。

一方で,まだまだ,網羅とまではいかなくて,先日のように数本の記載もらしが現在までに発覚しています。2005年のLangmuirにあるNonat先生のAFM論文は秀逸です。これは,本当にすごい。

ところで,先日,S.T.さんのところに伺ったところ,Ipadが転がっており,その使用感をみて感激し,すぐに発注をかけてしまいました。学会にPDFをコピーしたIPADをもっていたら,結構,イカシテイル気がします。

6/30/2010

ICCC

やっと,ICCCのアブストのリプライが来ました。
ずいぶん,時間がかかっていたんですねえ。

6/27/2010

超高強度関連

報告書の関連で,超高強度関連のデータを見直している。SFを入れた,超低水セメント比でこれだけ網羅的に物性と水和のデータをとった,という事例はないのではないかと思われるが,あまりに膨大すぎてとりまとめができない。シリカフュームの反応の観点では,非常におもしろいデータが得られている。ビーライトのデータとか,フライアッシュの長期材齢での反応に通ずるものがあるが,なにしろ,教科書に書いているのとちがうことばかりが起きているので,なかなか,対外発表にはいけないが,モデル化の観点を含ませて,はやいところまとめていきたい。

久しぶりに,また,FEMを書いていたのだけれど,流して書くと形状関数とインプットのメッシュの情報を混乱してしまう。逆系でメッシュを切っていたので,いくらやっても,熱が外に出ないで流入してしまい,しまいには発散してしまっていて,プログラムの問題かとおもって,2時間ほど考えてしまった。
なんのことはない,メッシュの問題で,久しぶりにやるとこういう基礎的なことも怠ってしまうので,怖いものだ。

やれやれ。

日曜日には,また,不動産に行った。名古屋というのは,かなりマンションが少ないということがよくわかった。間取りなども,よく見ると不満が出てしまってよくないなあ。

6/26/2010

訪問

昨日は,旭化成の基礎研究所を訪問。旭化成グループ全体の基礎研究部門だけあって,網羅的な研究グループ,研究設備,人員配置。

セメギに参加されていた方は,ご講演を聴いたかもしれませんが,今度のJ.Am.Cer.Socに掲載される,Spring8でのInSituのALC生成中の反応プロセスで,特に,溶液の組成が同等なのにトバモライトが生成する時とそうでない場合に関するデータを拝見して,ディスカッションをさせていただきました。
熱力学平衡計算を否定する反応プロセスで,光田先生が指摘されたという,トポケミカルな反応であって,形態が反応系を律速する好事例だろう,ということでした。

C/S比は違うのですが,セメントのC-S-Hの中性化とか,溶脱中のC-S-Hの挙動推定には共通する部分があって,個人的には,非常に研究的な刺激を受けました。

また,ALCの収縮挙動とセメントの収縮挙動についてのディスカッションもよかったです。Ca/Si=0.9程度以下で,ポロシ,N2吸着によるDH理論では,10nmあたりにピークができます。これが・・・・,と書いてみましたが,ちょっと研究ネタになりそうなので,やめておきます。
なんにしても,N2吸着,水蒸気吸着は,今後,さらに有用なツールになるのは間違いありません。


また,非常に多くの文献をご紹介していただき,読むものが増えました。
思うに,最近の大事な文献の発表速度は非常に速くて,さらに,そうでな文献もまして多いので,探索範囲が広くて網羅しきれません。そういう意味では,ヨーロッパのようにコミュニティをうまく生かし切るということは重要なように思います。
そういう,小グループながら,先鋭的な研究をやっているコミュニティを生かす研究形態を模索していきたいと思います。

今回,3本程度,本当に重要な論文を見逃していたことを知り,ちょっとショックを受けました。ACTに投稿した際に引用すべき論文があと3本はありました。

1日,2本程度は目をざっと通すのですが,先日の書物になるとまとまった時間が無いと,読んだとしても血肉にはならないので,時間の創出が重要です。

学内の仕事は最優先事項ですので,対外的に少し調整してもらわないといけないかもしれません。

6/22/2010

税金その2

増税はしょうがない,と言いましたが,なんで日本の役人とか政治家って,今ある現物から搾取しようとするんですかね。自分達が規制緩和をするとか,別の努力をして産業を拡大して,税収を増やすビジョンとかって出てこないんでしょうか。常にマイナス方向なのはずっと変わらないですね。

グリーンイノベーションとかいってますが,アメリカとか中国に実際にってから確認した方が良いと思います。すくなくとも,自分で首をしている部分があるのは事実だし,企業は日本外に出て行くのも間違いないわけで,雇用が本当に増えるか,というのは,もっと慎重に見積もった方が良いでしょう。

良書

最近,アメリカ鉱物学会のReviewを取り寄せて読んでいる。これは安い上に良書です。

・Mineral-Water Interface Goechemistry
・Hydrous Phyllosilicates
・Chemical Weathering Rates of Silicate Minerals

の3冊は,特にセメント系を考える上で興味深い。

もっと時間をとってゆっくり読みたいのですが,グラフや図を見ているだけで脳みそが刺激を受けます。

増税

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0E3E2E1918DE0E0E2E4E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

増税議論は別に良いんですが,できれば,税金の使途を6割くらいは指定させていただきたい。
4割は固定でも良いでしょう。

税金が自分の思ったことに使われている,ということがないから税金逃れが横行するようにも思う。自分の企業や家庭が社会インフラや社会保障の恩恵にあずかっているということがわかれば,もう少し,有意義になると思われる。

もっといろいろ書きたいけど,不適当発言にもなりかねないので,これくらいかなあ。

1週間

あっというまに一週間,この間,打ち合わせや委員会など,移動と本会議の間に1時間程度の空きができたら大喜び,というような状態でした。

15日は,FTIRが届きました。C-S-Hの挙動を評価するほか,外装材の塗料の劣化など,かなり汎用機として利用できそうです。Brukerのαは,簡易で慎重にいじらなくて良いのが良いところです。持ち運びも簡易だし,乾燥に対して鈍感。従来機では,こうはいきません。Brukerの汎用機なので,高級機種のようにめちゃくちゃ細かくとれるというわけではないですが,これはこれで売れ線の機種ではないかと思います。

午後は学生実験のあと,友人で安藤忠雄事務所をやめた友人と会食。かれは,デザイナーとして,コンセプト設計に多く携わっており,ポートフォリオを見せてもらいましたが,目もむくらむような作品群でした。いや,これ,全部たっているかとおもうと,本当にすごい。

今後のデザインのあり方とか,材料の利用の仕方など有意義にディスカッションができた。今後,彼の作品に対して,コラボができたらよいね,というような話も出ました。

16日は午前中に新しい試験機に関する打ち合わせ。これは高温物性関連です。午後は,JCI中部の総会にでて,その後,また大学で打ち合わせでした。

17日から東京出張で,午前中にJC混和材委員会WG2の会合で,性能型セメント規程の話。収縮ポテンシャルの話は結局,複雑なので記載無しになった。午後は,自己修復委員会での会合。委員会としての共通実験の話が出ました。また,JCI大会中日にシンポジウムを行います。結構豪華なメンツがそろうので,是非参加してください。その後18時半から,今度は赤坂のK社での打ち合わせ。今年から,フィージブルスタディ後の本番でかなり気合いをいれていかなくてはいけない。

18日は,朝,JCIに戻って,マスコン指針英文化の検討会。D.Lange先生(イリノイ大学)に来てもらって,中身の調整など。いろいろ,問題点があらためて出てきました。その後帰宅。土日は,たまった書類整理です。

21日は,Lange先生に名大に来てもらいました。

6/14/2010

はやぶさ

はやぶさ,関連はずっとウォッチしてましたが,これは泣ける・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=u-Xp_-_gLTA

日本技術者の叡智です。

6/12/2010

成田

成田に着きました。今回の出張は比較的長かった。
仕事上の余波は2週間くらいは続きそうです。

海外出張中に黄表紙で論文が公開されました。
テラヘルツ波を用いた含水率推定に関する技術のもので,少しだけ反響がありました。テラヘルツの時間分光技術を備えた試験機は現在3000万くらいするので,とても現場で含水率評価ができるとは思えないのですが,周波数を限定して,透過率を評価できれば,かなり安くいけるでしょう。

周波数は,特徴的な周波数がいくつかありますが,それらを選んでやれば実用化も可能だと思います。サブテラヘルツ派(ミリ波)では,JISもあったりしていますので,組み合わせ次第でしょう。東北大学の方では,木材等への応用で2005~2007年くらいに積極的に検討がなされていました。

もし,実用化に興味がある人は,是非一緒に共同研究をしましょう。

6/10/2010

CONSEC10

前日のエントリーで,セレーノというのはセノーテなのかもしれません。人によって,いうことが違うので,一般名称がセノーテで個別名称がセレーノかもしれません。

今日は,最終日で,チチェンイッツァということろでディナーがありました。有名な現地人の遺跡です。6時から移動して,ディナーの開始が9時,終わってホテルについたのが夜の1時半という強烈な日程です。なお,朝4時半にシャトルバスで空港に向かい7時の便に乗る予定なので,これは寝てはいけない,という神の神託がありました。

最後に,K松先生の中性子ラジオグラフィの論文が受賞をいたしました。すばらしいですね。
ぱちぱち。
私も連名に入っていたのですが,非常にうれしく思います。
愛媛大のU先生チームも受賞されており,日本勢の活躍が目立っていました。


さて,これからパッキングです。

6/09/2010

2日ぶり?

ネットワークが遮断されて2日たちました。
今日は,なんか,カウンターのお兄さんがちゃんと設定して,うまくネットワークがつながりました。ラッキーです。

まず,メキシコで水にあたって,腹を壊しました。
いやあ,困りました。1日飯を抜いて,(きれいな)水を飲んでいたら治りましたが。
水も,ふたをあけてしばらくすると,温度で傷んでくるので油断できません。

CONSECは結構,欠席が多いです。1セッションに一人くらい欠席がいます。まあ,遠いのとビザが必要な国も結構あるので大変なのかもしれません。アジアの人の欠席が多い感じもします。

発表をほっぽいておいて,セレーノという鍾乳洞+湖を見学しました。ホテルからタクシーで1時間くらいのところでした。
手作りの線路の上で,手作りの車体を馬にひかせて,それぞれの鍾乳洞をめぐるのですが,それぞれに20分の移動時間がかかります。移動だけで1時間以上かかるので要注意です。
相当に揺れるのと,サスが効いていないので,乗り物酔いに弱い人とか,おしりが弱い人は厳しいです。
個人的には,十分楽しめましたが。

理科大のK松先生と一緒に移動したのですが,K松先生とイベントを体験すると,大体,面白いことになります。
ちなみにK松先生はスペイン語がしゃべれます。驚きです。

鍾乳洞は,そこらじゅうにあって,穴があいているので勝手に歩くと落ちそうです。落ちたら戻ってこれないでしょう。深さは15mくらいはあります。
上に太陽があって日が差し込むと美しいと思うので,本当は午前中に行くべきです。午後にいっても美しいですが,ベストではないような気がします。
特にフォトレスクなものを望む人は注意がいります。

見学で,70年前につくったステンレス鉄筋の橋がありましたが,欠席しました。
メインのディナーも腹いたで欠席。

ホテルのベッドがすごく快適で,実のところ,寝ているのが最高に気持ちがよいです。

6/07/2010

雑感

メキシコにつきました。
今回のCONSECはすごく多くの日本の方が来ています。来る時の飛行機だけでも10人はいました。驚きです。

アメリカ・メキシコで感じるのは,エコとかCO2排出削減とか,くそくらえ,ということでしょうか。日本は自分で苦しんで生活をするのがすきだからよいのかもしれませんが,一方で,3億人住んでいるアメリカがガンガンエネルギーつかって楽しく生活している状況とか,40℃の環境ですべてのホテルの部屋の設定温度が18℃のメキシコとか,もう少し考えてもよいと思います。楽しくやるっていうのは大事かも。

温暖化議論って,人間の生活の質の話を含めて,もっと詰めた方がよいように思います。


それと,日本の閉塞感は異常です。1年くらい海外にいっていなくて,日本の生活になれてしまったのでしょうけれども,外から日本を見ると,もう,お通夜みたいです。
もっと,ガンガン,エネルギーをつかって元気になった方がよいのではないか,とも思います。

なんか,真面目すぎるかなあ,と思いました。

学生さんはもっと海外出た方がよいです。もっと,いろんな考え方,生活があるんだということだけでも知った方がよい。

こちらでは,博士課程の寺本君が1年,イリノイ大学に留学しているのですが,なかなか思考が深くなっていて,頼もしく思いました。

6/04/2010

ファンズワース邸


シカゴに来たので,無理をおしてファンズワース邸の見学にいった。
ここは,前もって予約が必要で,1回の見学は10人に制限されている。

コルビュジエのサヴォワ邸
ミースのファンズワース邸
ライトの落水荘

は誰しも習う作品だとおもうけども,やっと見れた。あとは落水荘です。

6/02/2010

出張

今日から,イリノイ→メキシコと出張の予定だったのですが・・・。
飛行機が日付変更線を越えたのにも関わらず,戻ってきやがりました。
ミスはあるもので,怒ってもしょうがないんですが,それでもなんというかがっかり感はひとしおです。

やれやれ。

現在,成田の宿。

10時間のって,また,次の日10時間はつらいなあ・・・・。

5/30/2010

セメコン

最終的にセメコン論文は4本になりました。
一つは,別の論文集への投稿という形に。

FTIRの文献を読み込んでいますが,1974年のThe Infrared Spectra of Minerals, V. C. Farmerという本はすごいです。一般的に,FTIRというと有機分野での利用が多いのですが,鉱物系にも結構利用されています。とくにシリカゲルとか界面化学,物質の吸着挙動の評価には昔からやられていて,かなりピークのデータも示されています。

実際にセメント鉱物の章もあったりして,水和率データをとっていたりします。CCRで検索しても少し出てきていますし,その他の赤外線の方のジャーナルにもたまに水和物データがでています。
アルミネート関連のピークがそろっている論文もあったりして驚きます。
ただ,セメントの硬化体でやると,そりゃあ,もう,悲しいくらいピークが出てきます。ただ,C-S-H量は評価できるんじゃないかと思って,研究ネタとしてとっておこうかな,と。
リートベルトから間接的に出たデータと,FTIRデータをつきつければよいだけなんで,すぐにデータ取りして論文化はできそうです。

今日は,家族で不動産屋に行ってみました。そろそろ足場をかためようかな,と思いまして。

5/29/2010

つれづれ

本日は、大学院説明会でした。学生生活委員長として、ご説明申し上げました。
その他にも環境報告書の執筆とか、いろいろたまってきた。出張の怖いところは、同じ日数分だけ、大学生活に余波がくるところですねえ。
2日からメキシコ行きなのに大丈夫か知らん。

研究室内では、二人がセメコン論文集の執筆でがんばっています。
いや、ぜひがんばっていただきたい。今年は、うまくいけば5編の論文が出ます。

・高炉の水和圧に関するもの
・中性化の同位体分析
・吸着等温線のヒステリシスメカニズムに関するもの
・セメント硬化体のヤング率・ポアソン比の平衡相対湿度依存性
・セメント硬化体の水和と比表面積

最後のやつは、とっておきです。やっとリートベルトが軌道にのりはじめたので、その第一弾になります。リートベルトの精度の問題は、いろんな角度から検証して、そのうち関連のあるものは全部掲載しました。厳しい査読があるかもしれませんが、データの美しさはちょっとびびると思います。少なくとも私はびびりました。これは、五十嵐君の実験精度のたまものです。

セメント硬化体のヤング率は、案外データが少ない。昔の収縮関係の人がやっているくらいです。奇しくも、Wittmann先生の実験は、超音波でやっているということがわかりました。直接引っ張りではどうやってもこのカーブにはなりません。気持ち悪のは、Setzer先生のチームのデータです。Setzer先生らがまちがった実験をするとも思えないのですが、なんど再現実験をしても、超音波と載荷試験ではこうなりません。
他の測定手法も試みたくなってきました。

5/28/2010

あっというま(セメギとか)

おかげさまで、セメント協会論文賞をいただくことができました。
いろいろディスカッションを重ねてきてくださった皆様方に心より御礼申し上げます。
引き続き、身を引き締めて研究をおこなっていきたいと思います。今後も、セメント化学とコンクリート工学をつなぐことができるデータを出すことを一つの目標におき、研究を継続いたします。
是非とも、ご支援いただきますよう、お願いします。


といいつつも、やはり、化学の知識が不足しているのを認識します。
どこまでを自分の領域とするかはなかなか悩ましいところですが、ある程度のコラボレーションをしながらも、前線を広げていければよいかな、と考えています。

あっというま(イタリア少々)



























今月も8件くらいしかエントリーができなさそうです。出張が多いと力つきてしまいます。
ちょっと体力不足でしょうか・・・。

まず、イタリアの件。
名古屋市大の先生を筆頭の研究チームに加えていただくことで、文化遺産建築調査について研究ができるようになりました。耐震性を考慮していない組石造を修復するということ自体、どのように考えるべきかというのはたぶんに文化的背景を理解していないとできないことだと思います。
孔をあけて、エポキシ縦断させて、接着剤でつよくしましょう、なんていったら、確実に出てくるワインの質は数段おとされてしまいます。
金閣寺をイタリア人が修復します、といっている状況と同じなんで、どういったアプローチ、どれだけの勉強が必要かというのは押してはかるべし。

というわけで、今、いろいろ読み始めているところですが、買うだけで読めていないものが多いです。その後の出張も多かったことで。

サンタ・アゴスティーノ(Sant’Agostino)教会堂
サン・シルヴェストロ(San Silvestro)教会堂
チヴィカ(Torre civica)塔
がチームに与えられたものです。


それぞれ、上のように見事に壊れていて、まず、なにをやると何ができるんだろう、という感じです。

5/22/2010

NMR関連リンクとか

学内のJOELデータが手元で扱えなかったので,探してみた。

京大の先生のページ
防衛大の先生のページ
NMR-sortwares

JOELの端末でスペクトルまで変換して,上の竹というソフトで取り出して,Originでピークフィットするというのが一番安価かもしれません。
グラフソフトは,最近Originにシフトしつつあります。エクセルファイルも内部で取り扱えるし,グラフのハンドリングがすごく良いので,高かったですが,後悔していません。

ピークフィットも,範囲を限定して,4つ,5つくらいなら優秀な感じです。
さすがにX線のチャートだと,多すぎて無理ですが。
TOPASの全パターンフィッティングアルゴリズムも気持ち悪いくらい優秀です。

セメコン

来週はセメギだし,再来週はCONSECで渡航してしまうので,この週末が勝負。
とりあえず2本書いた。1本は先日,少しここで書いた放射性炭素による中性化現象の評価です。認めてもらえるかわかりませんが,個人的には興味深い現象が少しでている。
残りは学生の数本と,可能ならセメギで発表するやつでもう1本書きたい。しかし,プレゼン資料もまったくおわっていないので無理かなあ。

実験データは分析しておきたいなあ。
おもしろいデータは旬な時に,さくっと出しておかないと,数年越しになっちゃうんですよね。時間が無くて。
そういえば,NMRもやってみました。解釈が少し恣意的になりそうな感じもありますが,でも,定性的傾向ということであるなら,やはり何かを語っている。FTIRと並列で見ると実におもしろい。


イタリアの話もブログに書きたいところだし,いろいろ書きたいことがあっても,なかなかうまく時間がとれません。

最近読んだ本で,土の文明史というのがあります。これは名著です。分厚くて骨が折れますが,環境学的には非常におもしろい。分子間力関係で土壌の文献を読んでいたんですが,そのついでに生命農学先生に紹介してもらいました。

名大の理学系の先生が環境学でいっているのの元ネタでした。もっとオリジナリティあるかと思ったんだけど,そうでもなかった>名大の先生。がっかり。

土がやせ細って文明が終焉を迎える,というもので,非常の論理的に土壌の浸食と農業活動,気候変動の相互依存性をそれぞれの地域,文明,時代についてまとめてあります。

5/14/2010

提出

最先端ほにゃらら,提出しました。
肩が凝りました。30部のり付けってしんどいでしょう。今日は秘書もいなくて・・・。

これから,セメコン論文,イタリアでの調査報告の整理と論文化,セメコンのPPT,熱伝導黄表紙とACTの最終をとりまとめないいこうと思います。

明日は,名古屋でスラグ勉強会です。

イタリア調査で教会などの建物の測量を行ったので,3Dに起こす必要があるのですが,Googleのスケッチアップというソフトを入れてみました。昔,MACにStadio WorkshopというソフトのCADソフトがありましたが,それを彷彿させるソフトで,簡易にモデルが作れます。
ちょっと,練習してみたいと思います。

5/13/2010

戻りました

無事戻りました。通常業務に入ります。
いやあ,書類整理だけで,えんえん10時間くらいたっております・・・。

5/05/2010

5/6~5/12 海外出張

業務連絡です。

当方,5/6から5/12までの期間,海外出張につき,メールでの連絡は難しい状況にあります。
勅使川原・丸山研の秘書に連絡をとっていただければ,携帯での連絡は可能です。

よろしくお願いします。

工学的

すごく,用意周到に,あらゆるデータをとって,万全を期して現象解明のための考察に臨んだところ,まずはあたりをつけるために,すごくクラシックで簡易なモデルをつかって,当てはめたら,びっくりするくらい全部のデータが予測出来てしまい,驚いた。
熱伝導率の含水率依存性なんだけども。

最近,既往の文献で,こういう現象のためには,こういう論文集からこういう人の論文を,とあたりをつけることとか,モデルで何をモデル化していて,コンクリートに当てはめるときには,こういうモディフィケーションで結構いけちゃうんじゃないか,とか,そういう直観力というか,現象把握の確度が結構上がってきていることは実感しつつある。

そもそも,修士論文のGAの時の研究もそうなんだけど,すごくたくさんのデータから,ルールを見つけるとか,それにあうような関数式を見つけるというのは,わりと得意な作業だ。

問題を評価するときには,この手法で全部まにあってしまうんだが,なんという拍子抜け。ま,でも,結構重要な物性値なんで,黄表紙にしますけどね。

5/03/2010

雑感 GW

息子が,「おじさん」を見るとすぐに泣く。じいちゃん二人は,非常に悲しそう。

春の天ぷらは好物で,今年も柿の葉,うこぎの葉などを摘んで,天ぷらにした。
天ぷらにはやっぱり,そば。何回かここで紹介したかもしれませんが,寒河江そばは,池波正太郎も絶賛の乾そばです。本当にうまい。

寒河江といえば,東北のM橋先生の故郷だそうです。

大学の教員は,母校で教員をしてはいけないとか,あるいは一回は外にでて,5年以上間をあけるというようなルールをつくったらどうでしょうか。同じ場所にずっといる,というのはやはり健全ではないように思います。健全な人もいるんですけど。もちろん。でも,そうでない人もそれなりにいます。

GW前に新しいJCIの委員会幹事を仰せつかりました。なかなか,学究的で面白い研究委員会と思います。これから,皆さまに委員などをお願いするかと思いますが,よろしくお願いします。

整理した方がよいグラフやコンセプトがたまりにたまっています。論文化しておかないと,埋もれてしまう。全部1週間くらいずつの作業をすれば,論文までもっていけるのですが。
全体像の2割も出せていなくて,ちょっと気分が晴れません・・・。
もっと時間をつくるように,自分に厳しくしていかないといけないと感じています。

実験系が落ち着いたら,また,モデル系でも攻めていきたいと思っています。5年ほど寝かせておいたので,いろいろ出来ることが増えて来ました。

4/27/2010

社会的役割

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010042700105

ゴールドマンサックスのCEOのコメントですが,大企業が破綻すると,経済的影響・損失が大きくなりすぎて困るので,公的資金が注入されることで,結果として税金によって保護されるというのは,企業規模の特異性というか,公平性の難しさを示しています。
中小企業にはそういうことは無いわけです。


銀行とか証券会社というのは儲かっているときに高給が出て,失敗したときには税金の保護にあるわけなので,市民感情として難しいというのはあります。銀行は国有化して,証券は完全に切り離すというのは,本来あるべき姿なのかもしれません。時代的には相当逆行しますが。

一方,建設市場を振り返ってみますと,バブルの時には個別に建設市場というのは賑わっていたわけで,その後のバブル崩壊時には,経済対策という形でやはり,建設部門は,税金の投入を受けました。
まあ,これは,建設部門が困って税金投入されたわけではないので,保護されているというようには見られないかもしれませんが,経済対策という形で,建設分野に長らく税金が投入されていたのは間違いありません。

まあ,それで何が言いたいかというと,いろいろ考えたのですが,現在結論なしです。
多かれ少なかれ皆,税金の還流の中で食べている部分があるので,公平性ということを考えた場合に,どういう関与があるべきなのか,というのが繰り返し議論があるのは良いことですね,というくらいの結論にしかなりませんでした。

でも,公共財を扱う部門というのは,そういうことを自分で定義していかないと,社会的責任みたいなものは果たせなくなっていくと思うんですが。

まったく,キレが無い文章ですね。

4/26/2010

PDF-Xchange Viewer

http://www.docu-track.com/product/pdf-xchange-viewer/download

別にまわしものでも何でもないのですが,今日しったアプリで,AcrobatのVer.7くらいのことはFree版でほとんどできてしまいます。(PDF出力は別なのが必要なんですが。Primo?とか?)

閲覧も早いし,Windows 7でできるサムネールも感じが良いし,すごいと思いました。

4/25/2010

WORD2007の数式エディタ

MATHTYPEを今までつかっていたのだが,WORD2007に移行してから,数式エディタを最近,はじめて手にした。学生に教えてもらったのだが,TEXの書式がそのまま使えるので,すごく便利。

ちょっとどうにかしてほしい点,まだ調べきれていなくて変更したい点は
・デフォルトのフォントをTimeNewRomanに変えたい。
・Ctrl+Shit+「-」で,数式入力に移行するが,デフォルトでイタリックになっていない
・数式番号がつけにくい (数式番号を入れると行表示になってしまい,数式の大きさを制御できない。
(現在は,テーブルの中に数式を入れて,番号を振っている。)

それでも,ほとんど,パネル操作(マウス操作)でなくて,キーボードだけから数式が入力できるのはすばらしい。

4/13~4/25

4/13 神栄の湿度発生装置について話を聞く。湿度センサをいろいろ検討されている人であれば,国内の湿度センサとして,神栄名前は一度くらい聞いたことがあるだろう。湿度センサとしては老鋪で,高温に利用することもできるものを販売しているし,かなりバラエティがある。私も,たぶん,過去にあるものを合計すれば10台くらいは購入している。
神栄の湿度発生装置は,1960年くらいから出されているものであるが,神栄のセンサの校正用に利用されている。いわゆるマスフロー制御式であるので,理論上,湿度センサの精度よりも高くなる。
収縮関係の試験装置を新しく開発しようとしていて,湿度発生装置をいろいろ検討しているのだが,結局,神栄の装置は,発生量が大きく,完全に窒素置換できないのが設計になっている点で,購入は見合わせることになりそう。
窒素ジェネレータも結局は,CO2濃度が上がってしまうし,セメントの実験をやる限りにおいてCO2を省くことが結構な難関になる。
価格面から考えれば,かなりリーズナブルな値段になってはいるんだけど,非常に残念である。

4/14 JCIのマスコン英文化WGに出席。世界に出していく,というときに日本のセメント中心で構築されたコードがどういう位置づけになるか,というのは再整理の必要があると思う。
また,ひび割れ指数というインデックスがコントロールボリュームに対して一つであるということは,解析を通して評価することで,逆にわかりにくくなっている。これは,改善しなければなるまい。

4/15 自衛隊の駐屯地からコア抜きしたものが届く。1940年代のコアになる。分析を開始する。

4/16 研究科パンフレットの修正についての打ち合わせ,耐震評定など,雑務多し。

4/19 A本先生とM井さんに名大に足を運んでもらう。収縮に関するディスカッション。私はALCの挙動とセメントペーストの挙動の間,あるいはクギリメに大変興味がある。合成したC-S-Hの吸着挙動などを見てみると,Ca/Si比が1.2~1.3くらいのところでトレンドが変わったりするので,そのあたりを詳細に詰めていきたい。M井さんには,非常に多くの文献を紹介いただいた。また,新しい実験方法の取り組みなども紹介いただいて非常に刺激を受けた。

4/21 イタリア・ラクイラにおける文化遺産建築の震災調査に関する科研の打ち合わせ。新しい人たちと知り合いになれることは,本当に刺激になる。一方で,震災調査にどういった貢献ができるか,ということには工夫が必要そう。現在,理学部の人たちと,コンクリート構造物中の同位体の動きに着目した研究を行っているので,その延長で,木材関係から14Cの調査に入るっていうのはありかもしれない。ラクイラ建築の補強の歴史などがあきらかになるかもしれない。

4/22 久しぶりに土木の先生方と懇親会。T先生とK先生は欠席だったけど。コンクリートというよりは,健康に関する談義になってしまった。いやあ,最近調子悪いんで・・・。

4/23 同位体の分析に関するディスカッション。成果がある程度まとまったので,工学的なとりまとめが可能なら,セメント・コンクリート誌に投稿ということになった。英文誌への投稿はApplied Geochemistyとかどうでしょうか,という話になった。同位体分別については,結構昔にセメント技術年報に1編論文が出ていることがわかった。ただ,ちゃんとしたデータはとっていなくて,あくまでも仮説で終了。セメント系でもだいぶん,中身の話がすすんでいることがわかる。酸素の同位体を測定していなかったので,こちらは至急の追加分析へ。

この間,大学事務が住宅局の助成事業の書類を私に伝達し忘れるという驚愕の事態が生じる。慌てて書類をつくるなど,変なロードがかかって非常に神経をいためた。
いや,事務の方は年度初めでいろいろ大変なのはわかるけど,こういうエラーはいただけない。

エーライトとビーライトの水和反応速度の相互依存性に関する論文が黄表紙に掲載されたので,アルミネート相とフェライト相の反応速度論に関する論文を投稿。近年,かなりこの分野はデータがでそろっているのであるが,ポルトランドセメントの系で話しをしている論文となると,少し,本数が少ない。分析が難しいこともあるのだけれども。ただ,相組成別にデータをそろえると,やはり相当量のデータ収集が必要になるので,これは今後の大きな課題である。温度別,というパラメータがやっかい。

4/13/2010

4/5~4/12

4/5 今,どうしてもほしい試験機があるのですが,その関係の説明と値段交渉を行った。様々なやりとりのあと,かなり納得のいく金額に絞り込まれつつある。コンクリートだけでなくて,建材全般でも大いに利用できるし,新しく研究を本格化しつつある外装材の研究にも応用が可能なもの。うまくいけば,8月くらいに納品されるし,うまくいかなければ,私の努力不足で,愚痴をいうことになると思う。

4/6 新入生ガイダンス 1年生ようこそ。こういう世の中だからこそ,高等教育に意味があります。是非,自分の視野を広げるべく,頑張ってください。
夕方には,新しい建材の持ち込みとそれに関するディスカッション。いろいろ良いところがあるんだけど,利用の仕方が不明。開発者の期待はわかるんだけど,もう少し市場ニーズを押さえるとか,ユーザーさんにわかりやすいデータが必要かな。良いところのメカニズムが不明なので,いくら説明をしてもらっても,本当にそういうことが生じるのか,という性能があったりして,個人的にはまだ納得がいかない。

4/7 学内委員会。なんか,いろいろ大変なんだなあ。広報誌の編集委員長は交代してもらった。333委員会の論文を書き始めた。

4/8 GCOEの新しい博士課程に関する授業に関する説明会。博士課程に対してレクチャーをするという新しい試みなんだが,指導教員や学生自身が本当にこれを理解してくれるか,というのは大きなチャレンジ。でも,専門をやるからこそ,教養の大事さはわかるんじゃないかな。コースの内容は,フィールドを提供して,それぞれの専門分野から環境問題・持続可能性についてディスカッションし,他分野の人の意見を聞きつつ,グループでレポートをとりまとめるもの。とりあえず,他分野の人の全く新しい視点に耳を澄ませて,自分の意見を高い位置から見渡す,というのが意図。私が学生だったら,きっと聴講するんだけど。

4/9 環境学研究科ガイダンス 学生生活委員長としてガイダンスに出席。まあ,つつがなく。留学生担当の先生は,英語・中国語・日本語が流ちょうで,トリリンガルで説明を行っていて,すばらしかった。

4/10-11 AIJ大会論文の執筆。学内的には8日にすでに終了していたので,主として学外の方とのやりとり。比較的おもしろいデータがでています。
・複合則の問題点に関する系統的なデータ
・スラグや中庸熱など水和が遅い場合の表層の空隙構造変化・水和変化(最近のはやり?)
・中性子ラジオグラフィによる軽量コンクリートの乾燥プロセス
などなど。大きな問題がなければ,そのまま出るとは思います。

4/12 全学の予算獲得に関する委員会に出席。最近,上から直接のメールが降るようになってきて,個人的にびびってます。なんというか,情報戦だということがよくわかりました。前々から,知ってはいたんだけど。

4/06/2010

今後,話題になるであろう,某県のコンクリートに関する提言を拝見した。このような取り組みを真摯に行ったことに心から,経緯を表する。
特に,現状の問題,矛盾を浮き彫りにしたこの報告書と提言は,建設業に関する矛盾だけでなく,今後の日本の社会のオリを取り除く,一つの先例となるかもしれない。

社会の矛盾を矛盾として取り出して表現するには,それ相応の手法とリーダーシップが必要なのだ。

近況

また,だいぶん,時間があいてしまったな。以下,日記代わりのメモ

3月20日 三橋先生の退職講演会があった。三橋先生の既往の研究で,知らないものがたくさんあって,非常に刺激を受けた。破壊エネルギーの議論についても,わかりやすくご説明いただいたので,非常に示唆に富んでいる。聞けば当たり前のことなんだが・・・。最後にいただいたCD-ROM(三橋先生のセレクト論文集)は非常にお得度の高いCD-ROMであった。デザインもすばらしかったし。残すのが論文というのは,研究者としてあるべき姿だよなあ,と思った。三橋先生らしいような気が個人的に感じた。

3月23日 豊川市で1940年くらいに作られた自衛隊の工場を解体するというので,コア抜きに行ってきた。改築を重ねているので,どんなことになっているか,そうぞうがつかないと伺っていたけれど,まさか,袖壁の半分が煉瓦で塗り込められているとは思わなかった。現場でアドリブが必要とされる非常に貴重な機会だった。なお,コア抜きには,ジャストのNさんにお手伝いいただいた。

3月24日 産学連携の打ち合わせ。時々あるんだけど,儲かる技術をください,という産学連携は,ちょっとしんどいですね。こういうことをしていて困っているから,助けてください,というのはできるんですけど。

3月25日 卒業式 みな,立派に巣立っていきました。ぱちぱち。

3月26日 新年度から新しく共同研究(受託研究)を行う相手先のところに伺ってきました。個人的には,非常に興味深い建材なので,ぜひ,成果を出して,年度末くらいには公開していきたいです。なかなか大きなプロジェクトになりそうで,わくわくしています。

3月27-28日 家族が調子が悪くなったので,家にいました。

3月29日 舗装関係の解析で,人がいらっしゃいました。舗装は,厚さが大きい割に完全拘束体に近いので,日射の影響,風の影響が非常に大きく,設計時の解析は相当に難しい。しかし,コンクリート舗装をする場合には避けてはいけないルートなので,今後は,そういうデータが重要なんだろうと思う。

3月30日 医療関係で利用されている試験機がコンクリートに利用できないかな,と思って話をしてもらった。間違い無く,新しい成果が出ますが,医療関係はやっぱり高額ですねえ。ちょっと,いろいろ検討しないといけません。

3月31日 昼間はASCOTのひび割れ関係の委員会で,最近のデータに関する意見交換を行った。TMY社さんと一緒にやっている基礎的な研究データがそろってきたのだが,これが非常におもしろい。個人的には当たり前だと思っていたのですが,どうにも実験データが無いので,証拠を作りたくて,お願いしたのだが,当たり前のデータが当たり前にでた。AIJの大会にも投稿するので,是非お楽しみに。ちゃんとまとめたら,すぐに黄表紙行きを想定しています。
ただ,この当たり前,というのをちゃんと詰めていくのは難しい。コンクリートとしての難しさを示すものなので,非常に野心的な検討になるかも。細かい分析も含めて,検証していくと,さらに良い論文になる。

夜は,名城大学のT川先生がご退職されるということで,懇親会を行いました。なんというか,T川先生のように懐の大きさは,目指してなれるものなんだろうか。常に刺激を与えてくれる先生です。

4月1日~3日 東海村に中性子ラジオグラフィの実験に行きました。ここ最近1年は,CTデータをとるという方向で動いています。コンクリート中の水分の乾燥プロセスを3次元的に取得したのは,世界初なんじゃないか,と思います。このために,マシンタイムは相当にゆとりをもって,このためだけを中心に絞ってデータ取りをしています。それだけの価値のあるデータだと個人的には思っています。このデータはしゃぶり尽くして公開したいと思いますので,是非,お楽しみに。

4月4日は,下のエントリーの通り。

古稀祝い

恩師の友澤先生が古稀を迎えられたので,日曜日は古稀祝いを東京のレストランで行った。久しぶりに友澤研で集まったので,昔話に花が咲いて楽しかった。
友澤先生からは,学術会議での最近のトピックなど,建築材料にとどまらない話をしていただき,今後のビジョンとして大変参考になるご意見を伺うことができた。

3/25/2010

研究の風

環境学研究科という学問は,分野横断的であり,まあ,現在はなんにでも環境というキーワードが入っていて,結局のところ,既存のディスプリンの集合体である。ただ,同一課題に対して,異なる視点で議論するということには意味があって,個別問題の解決だけではどうも前にすすめない,というときの場としてはよいだろう。

思えば,環境問題といえば,昔は公害問題だったし,名古屋でも10年前だったら,ゼロエミッションで,今はエネルギー問題になっている。ちょっと前にゼロエミッションで頑張っていた人の中でも,うまくシフトできた人,できなかった人がいるわけで。

で,今日は何がいいたいかというと,公的な大学という立場でいうのであれば,大学の先生が,そういうトレンドを追っているだけではだめでしょう,ということである。
まあ,これが東大であれば,どの風に対しても対応できなかったりしないといけないし,それなりに政治的な役割もある意味で求められることもある。

でもですね,トレンドを追いかけていったら1番にはなれない。少なくとも,追い風が吹いたときに,先頭を切っているということは無いわけです。そういうのって,普通に考えればわかるのに,そういうことばっかりやっている先生もいらっしゃるわけで,定年間近でこういうのを見せつけられると個人的にちょっと悲哀を感じてやりきれない。頭はよくてその場での切り返しは抜群なんだけど,根無し草みたいになっている。

日本という国もなかなかトレンドを自ら作る政治力は無いため,研究トレンドというか予算の付け方自体がEUやアメリカの後追いになっている。これがどういうことかというと,欧米の学会で良さそうな話とか,権力のある先生についていって,似たような研究をしていると,おいおい日本で予算が付くようになるということを意味している。
別にそれが悪いというわけじゃないけど,(だって,完全にオリジナルなんて,もはや存在しないし)今もってそういうロールモデルが成り立っているというのはちょっと悲しいな,ということだ。

生物多様性と同じで,どんな風がきても対応できるように学内に多様性をもって,学問深化を目指してこその国立大学ではないかと思う。だから,トレンドでふんぞりかえっている教授だけじゃなくて,どんな分野もその分野で,着実に成果を出している人に対しても同じように大学は評価しないといけない。
問題は,深化を目指していない人であり,トレンドの隠れ蓑になっている人こそ問題だ。


個人的にはですね,生涯1回くるかこないかわからない追い風の時に,日本を代表して議論できるような経験を有した研究者になっておきたいと思います。

3/19/2010

Excel2007

Excel2007のグラフでは,ハッチングができない。
けど,
http://blogs.msdn.com/excel/archive/2007/11/16/chart-pattern-fills.aspx

ここに,そのアドインがある。ダウンロードして,適当なところに解凍して,エクセルのオプション→アドインのところで選択し,設定でチェックボックスをオンにすればハッチンググラフの作成が可能になる。

なんで,この機能,標準からはずされちゃったんだろうねえ。

3/18/2010

環境学 雑感 その2

環境学には,人間側の意図が入るという意味で,学問に哲学が入り交じってしまう,ということを先のエントリーで記載した。

これを別な話でたとえよう。

医学では,さまざまな知見から,体温や血圧をインデックスを健康状態のバロメーターとして取り扱う。あきらかな高温の時には,とりあえず解熱するし,便をみたり,あるいは心音,その他の雑音を聞いたり,あるいはMRIやX線,胃カメラなどで内部の観察に入り,原因究明を行い,理論がある場合には薬で治し,そうでない場合は経験的によい方法という類型化されたデータから対応を行う。


現在の環境学の難しさは,医学でいえば,すなわち,微熱が出ています,ちょっと咳が出ています,というときに劇薬を使うか,暖かくして寝てくださいというか,放っておいて様子を見ましょうというのをどうするか,という問題に相当しているからである。つまり,将来に対する予測が不確定で,システムとしてどうすればよいかは決まっていないのである。


人類史では,未だかつて自然,あるいは地球全体が完全に病気になったことはない。現在,しきりにいわれているのはCO2濃度あるいは温度の変化であるが,これが風邪と相関するインデックスであるとの合意がIPCC等を中心にしてやっとできはじめたところであるが,これはあくまでも合意である。過去にこれが一大事な病気のバロメータになるということは,科学的に検証されていないあ。
一方で,地球史上においてもっとも急激に温度変化が生じていること自体は事実である。このときに将来起こりうる劇的な病気に未然に対応すべきだ,というのは科学的根拠とそれを解釈する哲学,あるいは宗教に類する信念のようなものが必要である。

環境問題の難しさは,病気がクリティカルであるかもしれない危険性と,こうしたクリティカルになる科学的根拠が示すシミュレーションと現状のデータがそれなりのよい一致を示しているという事実に対して,全員がこのような哲学あるいは宗教を共有できるか,という点にある。
もちろん,共有したとしても,その次のアクションで,南北問題をはじめとした情報・経済格差がさらに問題を複雑にする。

また,これは地震防災とも共通するものがある。もうすぐ死ぬから耐震補強をしない,といいはるお年寄りに対して我々はなすすべがない。たとえ火災が生じて周囲に迷惑が生じる蓋然性が高いからといっても,我々の世代はハッピーだからよいでしょうといわれたときに,それを論破する概念が無い。これは,いわゆるコモンズという共有場の価値形成の話に相当する。

年金の世代間ギャップ,南北問題,貧困問題を含め,従来価値観による社会制度で破綻している点については,われわれは新しい価値や規範を作る必要がある。
こういった点を哲学史や宗教史などで議論することは,環境学だけでなく,新しい世代を中心に是非とも必要なことである。

環境学雑感 その1

GCOEでは,医学のアナロジーとして臨床環境学と基礎環境学というのを提案している。これは,いわゆる個別のディシプリンに従った学問体系を臨床という現場対応の場を共有して横の提携を行うとともに,それを抽象化して,個別問題から基礎環境学の場において体系化を行い,現場にフィードバックするということを行うものである。既存の理学的な研究で,いわゆる物事の理解・分析と工学や社会学が合わさり,枠を超えた連携をしましょうと。

これは,GCOEの中の臨床環境学のリーダーである中塚先生のプレゼンにあったものだが,食料不足から農耕地開拓・農業技術の発展によって,食料不足問題を克服したとしても,人口増大にともなって,農地不足という問題が出てきて,農地問題を克服するために,干拓や開墾を行うが,自然破壊を行うことで想定した食物がとれなくなる,というように,今までの人類の歴史は,工学的なあるいは,場当たり的な対応によって新たな環境問題を生み出す,スパイラルループになっている。

このこういった人類史上の問題で,今後,どのような枠組みで脱却を図れるのか,という大きな問題のチャレンジの場がこのGCOEの設立趣旨である。つまり,対応をとったら,さらなる問題として何が起きるかを予測し,さらに高みを目指しましょう,ということだ。


これは,非常に哲学的・宗教的な問題をはらむ。つまり,自然,あるいは地球に対して人間はどのようにすべきか,という価値観が学問的研究の中に入り込むからである。
従来は,あくまでも人間至上主義的であり,その場限りの短いスパンにおいて,人間は常に支配者であり,自然に対して自己の都合を押しつけた結果を要求してきた。

ここでおもしろい矛盾を紹介する。地球という有限な場の中のサステナビリティーを考えた場合に,人間の行動規範をなにがしか自己制約しようということは,人間至上主義の上に成り立つが,一方で,ガイア理論のように人間も地球の一部であるという理論の中で,自己で制約をかけるということは,逆に成り立たなくなってしまう。
完全なガイア理論の立場に立てば,人間は合理的な利己主義を貫き通して,長生きしようが,あるいは種として短命におわろうが,結局,次の種が生まれるまでのつなぎでしかない。地球を支配しようがしまいが,いずれは何かの終わりを迎えるという点で,完全に人間側の行動はどうでもよくなってしまう,ということである。

結局,自分があっての世界であるという意味で,人間世界の限界というのが見えてくる。我思う故に我あり,である。

3/16/2010

無常

今日は,信じられないくらい花粉が多い。行きがけに死にそうになった。恐ろしいことです。

最近,とあるところで話していてわかったんですが,よく,学会の中で研究をぱくっている,オリジナリティを犯していると認識されている人がいたりしますが,本人は自分で考え出したんだと思いこんでいるので,まったく悪意がないんですね。
委員会の中とかでのディスカッションを通じて,話をしているうちに自分のアイディアであると思い込んじゃう,というわけです。
これは,まあ,ある意味本当に不幸です。本人にとっても,周りの人にとっても。


また,同様に頭がよいので,本当にオリジナリティはあるはずなんですが,研究的には既にやられていた,という事態も,まあ,悲哀があります。オリジナリティがあると思い込んでいるので,過去の研究を見なくてリファーをしないというとことは,ままあるんですが,権威あるところの研究室がこれをやると業界的には根腐れしてしまう(他の研究者が浮かばれないので,業界的には発展が閉ざされる。)ので,これまた,注意が必要ですね。

あとは,同時並行的にやっていて,ちょっとだけ出すタイミング違っているというのは,建築や土木の分野ではあまりないですが,こういうのもブームが起こるとままあります。このあたりは,その後の研究者がどっちを引用するかで,評価が生じてしまったりしますが,得てして恣意的です。



こういうのを健全にしていく上でも,論文の査読とか,討論というのはもっとオープンにやるべきですし,自分の成果に誇りを持つ人は,もっとぶつかっていかないといけないのかもしれないですね。
日本ではレビュー論文というのは,おそらくコンクリート工学誌の文献調査委員会の論文くらいだと思いますが,こういったリファーの力量を評価する上でも文献調査論文は,通常の論文と同格か,それ以上に評価すべきと思います。こういった制度が無いこと自体,建築学会論文集の欠陥でしょう。


某師匠には,委員会では2年前くらいのデータを基準で話した方がよい,ということを結構口を酸っぱくして言われていたのですが,最近,思い当たる点がいくつかあります。
結局,はやく論文化して発表するしかないし,発表前の内容は話してはいけない,というのが通常のルールになるのでしょう。研究委員会では,そういうルールで行動するのが一番間違い無く,お互いに問題が生じないのかな,と思います。


ところで,私の研究についても,すでに先行研究があってリファーしてないよ,というのは,是非教えていただきたいです。本質的にリファーが必要な,重要な論文については,かならずリファーいたします。

新しい構造材料

一般的な人に建築の材料を研究しているんです,っていう話をすると,新しい材料というのはいつできますか,という質問が来ることが多い。そういうの,気持としてはよくわかるし,実際のところ,建築材料でなければ,日々,面白い材料とか,高機能化された従来材料というのは研究されているので,研究に対するイメージとしてあながちまちがってもいない。

GCOEの国際会議でも紹介があったけれども,ドイツの方では,ジオポリマーを構造材料にしようという研究がされているようだ。それなりのお金を受けて。(コンクリートのCO2排出量の多いのを嫌って,というのが理由)

あんなに反応する時に収縮して,おまけに硬化してPHが中性で鉄筋があっというまにさびちゃう材料というのは,やっぱり,まだまだちょっとコンクリートには至らない。おまけに高い。

で,新しい建築材料,というか建築構造材料の開発ということですが,そういうのはFRPとか,強化ガラスとかいろいろ可能性はあるんですが,結局のところ高くて無理ですね,というのが今のところの結論である。
コンクリートは,南アルプスの天然水の1/10よりも安いんですよ,っていうとたいていの人はびっくりするけど,僕だってびっくりだ。こんなに,強度が安定していて管理しやすい構造材料がそんなに安いなんて。

たとえばバイオ燃料と石油の関係のように,人為的なことがおきて,価格が置き換え可能になるまで,コンクリート以外の構造材料なんておそらくでない。自給自足可能で,全国に運搬可能で,現地でそれなりに加工できる材料というのは,やはり利点が大きい。
木材で,建築物が一部置換されるということもあるだろうけど,日本は住宅はほとんど木造だし,オフィスビルにはちょっと難しいので,総体としては木造はそんなに増えないと思われる。高層化には,木材は変形も大きいし,モーメントもうまく伝えられないし,防火上の問題もあるし,何より,結局コストが高い。
たぶん,アルミの建築のようにパイロット的なものが東京にできておわり,というのが当面のプロセスではなかろうか。

なんらかの影響,たとえば,このままセメント工場が何個かつぶれて,生コン工場も淘汰があって,コンクリートが1m3で2万くらいになったとしても,まだ,集成材の単価とは比較にならないかと。二酸化炭素分のチャージを払ったとしても,木材の単価にはいたらないのではないかというのが個人的な感覚である。


そんなわけで,なんかうまい説明になっていないが,新しい構造材料というのはなかなか出てこない,その理由はコンクリートが安価で素晴らしいから,ということというのが私の見解。

いや,実際,この価格に見合うパフォーマンスって,すごすぎますよ。本当に。

ディスカッションとか

11日は,午後から太平洋セメントのY田さん,H川さんに来ていただきディスカッションを行った。当方からは収縮関係,最近のC-S-Hの分析,中性化に関する研究の成果を見ていただいた。NMRの分析が必要とのご指摘をいただいたので,早速,次の日に学内の固体NMRを所有されているかたに話を聞いて,4月以降に試し実験をさせていただけることになった。すでに多くの人が研究をされている。ACTの青野さんの高温の影響の論文,ICCCのNonat先生の材齢の関連の論文など,かなり多方面に利用されているので,うまくいけば当方の所有しているデータのバックデータになりそう。シリカゲルやその他のシリカ化合物の研究でも多く利用されているので,現在,データを収集中。H川さんの熱力学平衡モデルの最新の成果について,ご教示いただき,やはり気になっているC-S-Hの考え方などをわかりやすく教えていただいたのは,本当にありがたかった。
本当は,すべてがリンクしてこその研究なんだが,まずは,収縮を通じた分離圧の立場から攻めたい思う。イオンの移動,吸着・固定化挙動,等々の方面も統合されるような普遍的な理論体系をつくってみたい,という欲望がふつふつと湧く。

12日は,午前中は共同研究をさせていただいている某ゼネコンさんのオフィスへ。進捗状況の確認と今後の展望についてのディスカッション。実験が少しルーズだったので,来年度の本番では,きっちりやっていきたいところ。また,分析技術や実験手法のバックデータが不十分だったので,このあたりは相互の知見を持ち合って,定量精度,不確定性についての考察をしましょう,ということに。なんでもそうですが,実験は多角的に攻めておかないと変なデータが突出していることに気づかない。実験方法が間違っていることもあるし,新しい発見の場合もある。でも,いずれにせよ,相互チェックができるような実験データをどれだけ取っておくかで,研究の厚みが異なるので,あまり手を抜くことはできない。
十分,実績のある手法なら,単体でも良いのだろうけども・・・。

午後は,JCIの膨張委員会のWGへ出席。大型の壁試験体の実験要領について大まかなところが決定。この大きな実験は,前の詰め・段取りがすべて。ルーチンには決してならないので,やや不安。まあ,やっぱりNから試験体をつくっておいて,膨張は2回目だろうか。せめて2週間くらい間をおきたいが,温度条件をそろえるということを考えると同日打ち込みになるんだろうか。でも,付属試験が多いから,やっぱり無理だろうな。
大事な部分のデータのバックアップも含めて最少予算で組み上げるには,もう少し検討が必要だろう。

13日は,終日家にいて,論文の査読や大学のシラバスをはじめとした資料の作成など。GCOEのニュースレターの推敲もやったな,そういえば。

14日は,東工大にいったH野助教の結婚式でした。雨がちな日々が続く中で,きっちり晴れたあたりはさすがです。熱田神宮の結婚式に初めて参加させてもらいましたが,初春の美しい緑が映えて,本当に素晴らしい結婚式でした。でも,おわりごろには,へべれげで,終わっても居酒屋で飲んだくれてしまいましたが。

15日,本日からは,GCOEの国際会議です。ハンスペーターデュール先生,エルンスト・ウルリッヒ フォン・ワイツゼッカー先生,真鍋淑郎先生等々,ゴージャスメンバーによる国際会議になっております。明日もやりますので,興味がある人はぜひ,来てください。名大に来れば,わかるようになっています。

3/11/2010

G-COE若手リトリート

火曜・水曜日はGCOEの教育プログラムということで,合宿を行った。いろいろ研究発表,ディスカッションを行った訳だが,古木からセルロースを抽出して酸素同位体を測定して古気候を復元する研究はおもしろそうだった。また,社会学の方では,江戸時代の日記から降雨量などを復元する研究が行われており,分離融合という形で研究が進んでいる点はおもしろい。

また,人間の寿命から考えて,40~50年周期変動に社会が弱いという考察は非常に鋭いし,いろいろなことに応用が可能だろう。古気候では,たとえば,亜間氷期への推移時期に滅亡している文明が多いとか。
温暖な時期に耕地面積拡大→人口増大→気候変動→作物不調→戦争→滅亡という感じ。

また,40年程度のメモリーしかないので,かつては洪水に悩まされていた地域に,亜氷期 に人が移住して,その後に亜間氷期になって滅亡するとか。

GCOE時代1年目の予算状況に対して2年目で既に対応ができないとか,急激な変化に対して柔軟な組織というのはどういうバッファであるべきかというのはおもしろい研究テーマだな,と思った。

AIJ中性子委員会報告会

正確な名前は忘れてしまいましたが,理科大の兼松先生委員長の中性子を建築分野でも役立てましょうという印会の報告会が月曜日に行われた。いろんな人にお願いをして,出席していただいたわけだが,質疑応答も活発でおかげさまで盛会に終わった。

なかなか,現場というか実学に持って行くには難しいのだが,メカニズム解明を通じて,設計なり,材料開発には確実にフィードバックできるツールと思う。

設備が東海村や京大などに限られてしますところが厳しいけど,個人的には細々と続けて生きたいテーマである。ただ,東海村は遠いなあ。

WiMax

早いという噂だけを頼りにB-mobileから移ったが,以下の点で私向きでは無いことがあきらかになった。
-愛知県内でのアクセスポイントが少ない
-室内,特にRC建物での電波受信状況が悪い。
-高層(4F以上)でも受信状況が悪い。総じて電波が弱いと思う。
-東京でも,しょっちゅうアンテナが切れる。安定していない。

個別の事情もあるので,なんとも言い難いが個人的には,B-mobileに戻ると思う。

3/02/2010

近況

最近,対外的な委員会には出席できていなかったのだが,広大S先生の科研に関する意見交換で東京に出張した。コンクリートの収縮と構造性能という意味では,佐藤先生のフィールドでの研究になるが,いろんな角度からの実験がそろったので,興味深かった。いずれ,JCIやその他の学会などで対外発表がされることになるでしょう。

最近では,AIJの東海支部,今週末には材料学会の東海支部,セメント・コンクリート論文集などで成果が出ているので,ウェブでも成果を示していきたいと思う。

全然話がかわるが,先日の委員会の後で鉄板焼き屋にいったのだが,そこで食べた塩がおいしかった。温野菜にかけて食べたりしたのだが。
で,家で調べたら,ヒマラヤのブラックソルトというのは,有名のようだ。
http://ybf.jp/?pid=1175889

楽天などでは,家のバス用にも売られているようだが,食品衛生法関係で,食用とバス用は成分管理が異なっているようなので,まあ,食用を買っておけば問題ない。
家でも早速,1kg買ってみて,家で食してみたが,牛肉などの臭みがあるものとか,あるいは素材の味を引き立てるのに向いている。
ちなみに,塩自体がおそろしく癖があるので,人によっては嫌いかもしれないので,注意。


でも,まあ,1回は試してもらいたい一品。

2/25/2010

大学

先週のダイヤモンドの特集は,サムソンの経営戦略に関する特集だったが,その裏で大学の研究・教育ランキングというのをやっていた。よく見るとまあ,COEと教育GPという文部科学省の大型競争的資金の獲得ランキングと,教員数,あるいは生徒数による単価計算だったので,それがどうなのかというのは,一般的な読者にはわかりにくかったろう。

特に教育について議論されているのは最近の確認で,昔は特許とか就職先とかそういうものが議論されていることが多かったように思うが,ちょっと変わってきている。

奇しくも,
「学生への「職業指導」、大学・短大に義務化へ 文科省」
というような話もあって,大学教育とは何か,というのがトピックになっているように思う。

今後の世界を考える上で重要なのは,
情報を仕入れ,加工して,判断して,自分の能力・技術・人脈・資本などを売り込んで,食べていくことなわけで,それらを分業制にするか自分自身で全部をやるかは,それぞれですが,そういう根本に必要な「原理的に考える力」を教えるのが大学なり,大学なんじゃないかと私は考えている。

多少,トピックがある事例になったとしても,建築をやったから,ずっと生涯建築の閉じた知識で生きていくことなんてありえない。境界領域や未知領域もとりこんで,どれだけニーズを掘り起こしていくかとか,産業をつくっていくか,とか,あるいは食べていけるかを一生,創造していくのが生きていくってことでしょう。

法律があるせいだと思うが,建築学科の研究室には淘汰が無い。分野が固定されている。だけど,本当のイノベーションはそれで大学にもとめられるのか,あるいは新しい学術的深化が起こりえるのか,職業専門学校とどうやってすみわけるのか,っていうのは本当に自問しなくちゃいけないんじゃないでしょうか。


なんか,社会が硬直化しているせいで,利権の中にどうやって組み込めるかとか,こうすると一生食べていけるツールみたいなものを学生さんが大学に求めていたりするのは,おかしいし,そんなものは無いんだということをわかってほしい。家庭の教育とか日本の文化の影響も大きいと思うけれども。

もう,20年,30年前の日本と同じになることなんて,2度と無いわけで,今後の未知なる領域にどうやって踏み込んでいくか,ということを学生自身が考えなくてはいけなくて,それのよりどころが理論的思考でしょう。
未踏の未来に対して,過去30年,40年うまくやってこれた人の意見を素直に聞いたって,うまくいくとは限らないじゃないか。


というわけで,大学における建築研究,建築教育とは何か,というのは結構ホットトピックです。私の中で。

2/21/2010

Full CG

ここにでてくる建物,全部わかりますか?
http://vimeo.com/7809605

フルCG,ここでも作者の力量が出てきますね。

2/20/2010

後方互換

私はMacやWindowsの2つのOSをつかっていたが,Macは新しい技術のために過去を一気に切り捨てる。きっちりはやらない。一方,Windowsは,基本的にがんばって互換性をキープしている。私はビジネスを考える上でもWindowsは正しいアプローチをとっていると思うし,また,文化的な,という意味でもWindowsのアプローチは正しいと思う。

文化の成熟度ということを考えると,技術の後方互換性は基本的に確保しておくべきだと私は思う。理由は,代替技術は,結局代替であって,同じ手段,手法によって得られる成果物(芸術,工芸,機械,その他さまざまなもの)とは異なるからだ。
進化したから,過去にしがみつくのはあほだというのは,言うのもやるのも簡単だけど,それによる失われた機会の大きさへの想像力の欠如だと思う。

建築物や遺跡の保存でもそんな話,よくありますね。

大学の先生でも,過去を切り捨ててという人はそれなりにいるんですが,そういうことを言っている人って
・・・。ま,関わらなければよいだけなんですが,それなりの立場になっちゃうと困ることもあります。

落ち着きました。






さて,今日から,東海支部です。今回は名大で行うのですが,すでにT田先生が獅子奮迅のご活躍で,あまり貢献ができていません。
東海支部の発表では,高炉スラグ微粉末を用いたセメント硬化体の分離圧曲線が発表されます。高炉スラグを用いたセメントがひび割れしやすいということを証明することに,それなりに近づきました。

卒論・修論の発表が終わりました。学生さんの最後の猛追はなかなかのものでした。ご苦労さまでした。特にH君は卒論3週間前に,最終実験がうまくいかず,同じ実験の別のデータから卒論を書くことになり,本人が一番焦っていましたが,それでも,セメント硬化体の体積弾性率の湿度依存性に関するすばらしい成果をとりまとめました。少なくともSetzer先生も,Wittmann先生も,岡島先生も取得していないので,おそらく世界初のデータではないかと思います。
Iさんの方も,12月の寒い中の怒濤の実験が身を結び,これまた,爆裂発生メカニズムについて,興味深い結果がとりまとめられました。これらは,材料学会の東海支部で発表される予定です。

修論の次の日から,金沢にゼミ旅行にいきました。のどぐろは大変うまかったです。酒もうまかったし。食べてばっかりでした。
そういえば,21世紀美術館に行きました。雨漏りがあるとの噂がありましたが,まったくの嘘でした。ちゃんとしていました。建築自体というよりは,建築と中の展示が一体となっている点が評価されているんでしょうね。安藤忠雄の地中美術館や,磯崎新の奈義美術館に通づるのものがあります。
夜の兼六園のライトアップは,雪が降っていたこともあり,幻想的で大変すばらしかったです。しかも,夜のライトアップの時には入場料が無しです。粋なことをするものです。
大変なみぞれ,というか雪の状態で路面は最悪でしたが,その中でハイヒールで突き抜けていく女性を多数お見かけし,これは,美と評価してよいのか悩みました。
残念ながら,旅行の二日目はCOEの会議で早めに帰らねばならず,多くの見所を見逃したようでした。

年度末ということで,報告書関係が山のようにありまして,当分の間,テンションが低そうですが,理由はそういったことにありますのでご了承ください。

2/07/2010

デジカメ

デジカメですが、夜間の性能が良いのでしばらくFujiの

Finepix 200EXRを、携帯・利用していたのですが、その座を渡すことになりそうです。


Canonは、ビビッドな配色で好き嫌いの分かれるところですが、オランダにいた時に友人がPowerShotを使っていた時いらい、使ってみたいと思っていたカメラです。結局F値が大きかったので、当時、帰国してからOlymusを買ってしまったのですが。


こちらのデジカメは、やや大きいようにも思いますが、なにしろ、画像エンジンがデジタル一眼と同じものになっており、ややトリッキーではあるが、マクロモードを使いこなせばボケのある写真も作れることが確認できたので、これにしようかと。
出てから1年以上たっていても、人気が落ちず、ケチがほとんど無いというのも良いかもしれません。

実際に購入して利用してからレポートします。


2/06/2010

研究以外


最近、ますますいろいろ多くのプロジェクトにかかわるようになってきて、時間のマネジメントが厳しくなってきた。クオリティをコントロールしたいとは思うのですが、やはり粗密が出てくるし、レポートなり、論文なりもやはり、ちょっと密度が低いものがあるように思い、反省しています。

一方、30代の間に研究領域を拡大しておかないと、あとでつまってしまうということもあって、基礎的な教科書を読むようなこともしなくては、と思うものの、ちょっとしか実行できていない。

そんな中で、最近、頭の別の部分を使おうとおもってやったことは、

1)子供の段ボールハウスを造る。Dellのパソコン購入時の段ボールが残っていたので、子供用に段ボールハウスをつくってみた。結構、剛性を持たせるには考えることも必要。妻に聞いたら、いまは、段ボールハウスもうっているものがあるそうだ。

2)アバターをみる。名古屋にもアイマックスがあるので、そこまでいってみてみた。キャメロン監督は結局、CGオタクなんだろう、と思った。前回もタイタニックの売りってCGじゃなかったでしたっけ。でも、シナリオはヒーローだいすき型アメリカ映画で素直に面白かった。よくよく考えると、ダンスウィズウルブスに似ているんと思うんだけど、調べたら、ネットでは一般的な解釈のようだ。そりゃそうか。
でも、3Dっていうのはすごい。映画館に足を運ぶ価値がある。特にアイマックスだとスクリーンが大きいので、視野よりも大きく、飲み込まれる感じがある。体験を売るという劇場型に戻ってきた観がある。

映画館から出てきて、現実が色あせてみて、鬱になる人がいるようですが、なんとなくわかる気がする。
フルCGというのは、本当にもう空想の世界だ。アニメと一緒。思ったことが表現できるので、何をおもっているかが、本当に問われる。世界観とは何か、というのをどこまでディテールで示すか、というのがためされるようになっているのは、本当に新しい芸術分野だ。
CGで人に世界観を伝えようとして、世界をつくるって、建築の設計どころじゃないでしょう。本当に。これは面白いことができたんだ、と思った。

3)This is itを見た。私は小学生のころからのファンなんだけど、やっと見た。なんというか、上の映画と同じなんだけど、思いを形にするのはさまざまな表現があれど、本当に努力の結晶でしかないのだな、と。これだけの努力をしたものを、最後の形にできなかったのは、さぞや無念だろうし、最後の形を見てみたかった。

1/26/2010

環境問題

環境問題の中心には、シミュレーションがあるのは皆さんご存じの通り。
しかし、面白いのは政策決定においてシミュレーション結果が大きく取り上げられる点。地球の歴史、というか時間の流れは押し戻すことができないので、現状のベストの技術を組み合わせ、シナリオ設定のもとに、ありうる将来を想定して現状の方向について合意を得るという状況は、科学技術のプレゼンスとして最高の場であろう。

そういった意味で、政治と科学技術が密着しているのなかで、科学技術のあり方自体の変化している。大きなことは、結果を理解するために、難解なものであっても、できる限りの説明責任があるということ。逆にいえば、環境問題を考える上で、市民自身が原著にあたり、政治を考えるように科学を考えなくてはいけない時代が到来したということだろう。

先日のCOP15でも、後進国側から、多くのNPOの発言が出たが、いくつかの発言には環境問題自体の本質をつかめきれていなかったものもあり、特徴的であった。
環境問題を議論するための、データ、手法自体が先進国から出るので、対立する後進国がそれをキャッチアップできておらず、対等に話すこともかなわないというのは、帝国主義とか、あるいはグローバリゼーションによる搾取といったものと構図は非常に近い。

ちょっと話はずれたが、コンクリート業界であっても、それに近いことは結構ある。つまり、多くの人がトレースできないシミュレーションの結果に基づき、指針類を作って、よいものをつくるための配慮をするという事態は、そのシミュレーションの作成者や結果を信任するという行為があり、それは極めて政治的である。
指針類によって利権行為が生じれば、それは、また、いくつか議論を生じさせることになるかもしれない。

高度な実験でも同様である。

説明、っていうのは民主的な進歩において非常に大事なことだ、と再認識する次第。

1/23/2010

最近

今週の主なできごととしては,
19日 ASCOTのひび割れ委員会 骨材データが少しだけ出てき始めた。試験方法によって値は結構ことなる。骨材問題の難しさがよくわかる。ばらつきも大きいのだろう。

20日 修士論文説明会 これからの人もいると思うが,そこそこ良い出来ではないかしらん。

21日 JCI膨張委員会 膨張材を用いたコンクリートの実大模擬試験を行うので,その評価について。当方は参考として解析結果を持って行った。膨張材として何をとるのか,どういった特徴が取れればよいのかの議論については,やはり立ち位置によって意見が多少異なる。実用的な手法ということであっても,力のつり合いとか物理法則を無視しては,適用範囲が著しく制限されるので問題ではなかろうか,という話もあった。

個人的にエネルギー一定則については,適用範囲や取り扱いが茫漠としているので,誰かが再整理しなくてはいけないと思う。当方のデータでは,やはり合わない事例も多くあるし,自己収縮,乾燥収縮はエネルギーにどう組み入れられるのか,強度レベルの問題,線形クリープ則との相互比較について不明なところが多い。私の勉強不足なのかもしれないが,なんだかすっきりしない。ぜひ,そのあたりはすっきりさせてほしい。

環境問題については,生データ,実際の論文を読んでいないとなかなかな議論が進まない。特にバイアスがかかった解説書をもとに話すと,気候研究者のやっていること,IPCCの立ち位置が正確にならないので,誰の何についての話かが堂々巡りになって,結果として感想以上の話にはならない。これは,学内のCOEでも,ときどき議論の論点がシフトしていってしまうところと何か共通の事項であると思う。
分野横断型の部分で議論をすると,バックボーンと自分のしゃべっている根拠については,つねにリファーして確認していく必要があると思う。こういう生データに基づいて,こういう仮説でこう思っているということは,かなり丁寧に相互確認が必要だ。そうしないと,お互いが推察の上で議論を進めてしまうので,変に感情的になるか,あるところで議論が発散して,そんでなんだっけか?ということになってしまう。

この分野の教科書というのは骨が折れるが,ぜひとも必要なところだ。


22日 博多駅のコンクリートの品質評価委員会。フライアッシュを利用した事例で大変勉強になった。なにしろ,実際の現場の問題は,大学にいるだけでは出てこない。一方,ポンプの問題もそうですが,大学でやるにしても限度があるので,このあたりは,もう少し攻め方について検討したいと思う。

夜は,懇親会ののち,九州大学や博多にいる友人と飲んで,深酒。まあ,この年になるとみんなそれぞれ,面白い思想を持つようになるよね。


読んだ雑誌等
Newsweek 世界の教育,グーグルvs中国
世界の教育について。アメリカの最近までの躍進はエリート教育にあった。つまり,天才に金をかけて,何かを生ませて世界をひっぱっていってもらう,という話。おそらく技術開発などにおいては,そういったことは必要だろう。一方で,こういった教育制度は見直しの時期に来ているとのこと。消費社会を考えればわかるが,大量消費の底上げ,つまり,格差の底辺を底上げする必要があり,GDPへの影響で考えると,底辺側の初頭教育が大事で,特に保育園や幼稚園での教育が,高校卒業率をUPさせるというデータがあるようで,このあたりはひょっとすると民主党の話の大本にもあるのかもしれない。
大学教育の立ち位置の問題もあるので,少し調べることにしよう。

国際化によって利益を得てきた先進国の手法が今後もほんとうにデファクトスタンダードとして成り立つのかは興味深い。いろいろな問題もあって,インターネットに情報があふれかえるのことが本当に良いのか,というのは私もいろいろ思うところがある。特に子供の教育を考えた場合に,望ましくない情報がやはり,ネット上には多いわけで,それってどういうタイミングで開示していくのかっていうのは,技術的にも,教育論的にも難しい。まあ,これは個人的なスケールの問題だけど,これと同様なことを中国は国の問題としてとらえているわけだが,これが本当に間違っていることかっていうのは,ちょっと長い時間をもって見ていく必要があるのではあるまいか。

情報が完全にオープンな方が,新しい発想があって,文化も経済力も向上するというのが今まで正とされてきた考え方ですが,たとえば,経済力の向上についても,今後は従来と別な方向性が求められるような気もするし。

中国は欧米を軽んじるようになっているところを考えても,今後どうなるかは興味深い。


日経ビジネス 原発漂流
原発関連なので。核拡散防止条約があることから,原子力を国として売っていくには,原子力協定を結んでいく必要があるが,まだ,カザフスタンと協定交渉中であるだけで,どこともやっていない。
日本のメーカーはまったく,政府によって足を引っ張られているわけだが,これは,まあ,アメリカが裏で手を引いているのかもしれないし,あるいは官僚がビジョン不足なのか,あるいはアジアの国々の牽制なのか,そのあたりは書いていなかった。日本は被爆国というレッテルも,国際政治上は微妙な問題ではあると思うのだが。
東芝はウエスチングハウスの買収に成功したので,アメリカ企業として売り込むことはできる可能性がある。日立,三菱が今後どうするか,というのは独自に買収などで検討した方が手っ取り早くてよいかもしれないらしい。

週刊ASCII
・FMV-BIBRL LOOS U/G90はよいかもしれない。電池の持ちが少し弱いなあ。
・ATOK 2010は2月5日に発売。このMicrosoftの最悪なIMEからは早く抜け出したい・・・。もう,本当に最悪。
・ドラフティングキャドプロ というソフトは便利そうだ。Illustrator+キャドみたいな感じ。
Avira AntiVir Products というのがフリーのウイルスソフトとしてよいらしい。