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3月後半について

3月の20日の週は,H大学のN先生のところに研究の打合せをしにいったり,K大学の環境工学系のI先生のところにお話を伺いにいったりいたしました。K大学の建築の状況は由々しきものがあり,他人事ではないな,と思います。なんども外でも発言をしていますが,建築学科が専門職教育を標榜するんだったら,専門学校で十分ということを示すことになってしまうので,学問領域の拡大とか,学問の深化とか,そういったものをつねに自己評価していかないといけないと思われます。なにもわかりやすいジャーナルだけが評価ではないのですから,自分で自分の価値を定義・提議していくことをしていなければ,わかりやすいところに駆逐されてしまうのではないでしょうか。
あと10年もたったら,人口分布から考えても,東海圏に必要な大学は半分以下にならざるを得ないわけことを考えたら,ちゃんとやっていったほうが良いと思うんですけども。

3月最終週は,卒業式がありました。頑張った学生が出て行くのは毎度のことながら,寂寥感があります。とはいっても,それが社会ではあるので,そうした環境で自分と学生がどう高めあっていけるかを再出発しようと心をあらたにいたしました。

さて,新しい論文が一本公開されました。

Ellis Gartner, Ippei Maruyama, Jeffrey Chen:
A new model for the C-S-H phase formed during the hydration of Portland cements
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0008884616303921

従来のC-S-Hの構造は,Richardsonの論文に見られるように,11%RHとか,D-dryなどの乾燥条件で構造形式をとりまとめてきており,それをもとに,湿潤時の評価をおこなってきました。これは,PowersらのEvaporable,Non-evaporable water の研究以降の考え方であり,Porous Materialの考え方を踏襲しています。しかし,実際には処女乾燥化で非回復の変質がおきることもわかっており,湿潤状態のC-S-Hがどういったもので,非回復の変質が何に基づくものかを議論した論文は(ほとんど)ありませんでした。

加…
最近の投稿

フィロソフィー

Monteiro先生をお尋ねして,C-S-H研究について議論しようと思ったいたのですが,放射線影響研究で存外もりあがってしまい,昨日はあらためて,Prof. Wenkのゼミでプレゼンする機会をいただき,特に石英のメタミクト化について議論しました。
ほんとうは,カルサイトコンクリーションについても議論しようと思ったのですが,そちらは時間切れ,というか,ちょっとやり過ぎかなとおもって控えました。
結晶構造学の権威と簡単にお会いできるのは,素晴らしいですね。ちょうど,クォーツァイトの研究をやられているということでした。

こちらの博士の学生ともいろいろ話をしました。5年目ということです。こちらでは,主となる専攻とサブの専攻2つのクラスをとることが必須で,博士論文はそれほど大事ではないそうです。かれは,放射光をつかった分析で優れた成果を出していましたが,5年目でこれだけ広い知見をもっているのか,と大変衝撃を受けました。
私は,同じくらいの知識を得るのに10年くらいはかかったので。もちろん,世界最先端という環境もあるのですが,幅広いバックグラウンドを持っているということが重要なのだと思います。

博士のあり方についてもいろいろ考えさせられます。日本の博士のプロセス自体は欧州のそれと似ています。しかし,理系で手段の有用性を学問として捉えているのは日本だけではないかと。Ph.Dと博士号のフィロソフィーの違い。リベラルアーツの重要性を理系が真剣に取り組まなければ日本の大学はダメになるな,と,また思いました。「今ある技術で何ができるか」,を考える人ばっかりなのは日本だけです。外に出れば,理系も文系も関係なく,学問を納めた人間は社会が何が必要か,から考えて会社を経営したり,研究していたりすると思います。

結局,技術をどうつかうか,社会にどう貢献するのか,なにが求められているのか,次の世代に何を残すのか。

今の日本は最先端の技術さえ,取り込むことができない上,つかいこなすフィロソフィーを伝える人も少なくなってしまったように思います。
建築学が,建築の新しい価値をどれだけ探しているのか,どれくらい本気でやっているのかが改めて問われていると思います。

3月に入ってしまいました。

みなさま,気づいたら正月以降,1回も更新なく3月に突入してしまいました。今,LAにおります。明日は,SFに移動で,UC BerkeleyにProf. Monteiroを訪ねます。

近況
1)放射線研究
8年間に渡ったコンクリートの照射研究が終了しました。おおよそ何が起きているかは明らかになりましたが,研究の常ですが,やればやるほどわからないことがわかります。今回,科学的根拠を明快にして新しい健全性評価フローを提案しますが,これが本当に適切化どうかは,さらなる研究が必要です。加速試験はつねに実際の現象との比較が必要であり,加速試験の限界は何かと併せて議論しなければいけません。
中性化の加速試験と実際があわないのと同じです。そもそも,中性化メカニズムちがうんですから・・・。

というわけで,新しい研究ができるよう現在,米国とも協議中。うまく日本国内でも予算が付けばよいですが,最悪,我々のサンプルを米国に渡して,研究を継続してもらおうと思っています。

なお,報告書については概要をすべて英語にして論文として出版する予定です。そちらについてもうまくすすみましたら,みなさまにご報告申し上げます。

2)原子力維持管理特集号
みなさまのご協力で,大変素晴らしい,維持管理の特集号が発刊されました。フリーです。みなさま,ぜひ,一読ください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jact/14/Special_Issue/14_S1/_article

3)研究室
次年度は,D1が一気に3名増えます。昨年秋入学した学生と併せて4名です。今後はプロジェクトと紐付けて博士学生を増やすことを検討していきたいと思います。今,1件の案件で,文科省案件でもこの提案が可能かどうかを検討してもらうようにしています。博士にはサラリーを出し,国際公募で優秀な学生を集めることを,遅まきながらやっていきたいと思います。
学部4年は残念なことに1名でした。一緒に成長していきたいと思います。

4)その他
各種の報告書を記載しているところです。次年度も国プロ関係が多く,ちょっと気になりますが,できる範囲で粛々と,そして前進を目指したいです。









謹賀新年

あけましておめでとうございます。

あっという間に年が明けました。本年もどうぞ,よろしくお願いいたします。
年を取るということは,夢を見て不断の努力をするとともに,あきらめることの繰り返しのようです。
友人のブログにも書いてありました。
http://blog.tinect.jp/?p=20565

40を過ぎたら,もう先が見えます。限られた時間の。その中で何をすべきか,しなくてはいけないかは大事な問題です。世の中,時間とその対価はもう少し見直されるべきではないか,という点も多いです。
大事なことは何かを見極めながらも,満足できる前進がかなうよう頑張りたいと思います。



12月 近況まとめ

今年も、残すところ4日になってしまいました。毎年毎年、自分の想像していないようなことがたくさんおきるので、来年も何が起きるのか楽しみです。

7日 カザフスタンの研究炉で照射実験ができないかの打合せを行いました。かららの研究炉で受託を受けたことがないようで、議論が少し骨が折れました。それと、研究者なのに物事に対する真摯さ、謙虚さがないのでこりゃダメかもな、と思いました。研究者は、過去の自分のやったことについても厳密に評価しなくてはいけません。正しいものは正しい、できたものができた、でもそれとは裏返しに、自分の研究の意義がわかっている人はどこが限界で、どこが穴でどのように次にやらなくてはいけないかをわかっているものです。対人的に傲慢であっても、研究について謙虚さがないというのは、知識がなさすぎるのと同じで研究コラボの相手として最低です。

9日 教授承認のお祝いで研究室OBの寺本先生、五十嵐先生に開催していただきました。すごく小さなもので、今まで共同研究をしたことのある方だけに絞ったものでした。大変楽しい親密な会になりました。

14日 京都で科研Aの研究としてジオポリマーの研究について紹介させていただきました。材料が利用できるかどうか、っていうのは適材適所でどんなものでもどっかに使えるとは思うのですが、通常のセメントコンクリートほどの汎用性があるかというのはやはり領域は小さいように思います。私はそれよりもいったいどんな反応速度と生成物ができていて、それはどの程度に制御可能なのか、という点に興味があったのですが、AAMとGPの違いについて、おおむね理解して、基本的なところはスペインや英国チーム、日本の電中研チームにキャッチアップはできたと思います。が、それ以上の研究が必要なのか、何を目指すのは、もう少し時間をかけて、周囲状況を把握した上で考えないと出てこなさそうです。

16日 つくばで防災科学技術研究所の振動台(震動台?)で行われている東北大・高橋先生の研究を見学させていただきました。実はパラレルにやっている研究として私の試験体もかかわっています。振動台をつかって自分が実験をする日が来ることも、数年前には考えもしなかったです。

19日 規制庁に照射研究の報告を行いました。今年度、過去8年の集大成の報告書をつくらねばならず、正月返上になりそうです。ただ、この成果で今後の展開…

補足

MITが新しい建築をつくるから,といって研究者を公募した時に,日本の建築の先生方でその公募に残る人ってイメージできますか?
若い人にはそういう人材を目指してもらいたい,と思っているんです。自分もそうなりたいし。

建築雑誌「建築学におけるグローバル化」

「今後の建築(材料)研究者についての意見」ロングバージョン

1.はじめに
今後、日本の大学の建築学科はどのようになっていくだろうか。日本の大学は、選択と淘汰を選ばず研究者の競争は抑制され茹で蛙状態に近いが、そろそろ選択と淘汰、しかもかなり厳しいものを選ばなくては国際的にも国内産業的にも必要とみなされないのではないか。そのためには長期的な方向性を設定した上で、中・短期的に選択と集中によって成果を評価しつつその結果を踏まえて動的に組織を変更できる柔軟性と意思を継続する強さが必要である。その長期的な目標として、一つは新しい建築のための開かれた研究フォーラムとしての建築学科、またもう一つはそれを水平展開する国内産業に根ざした建築学科が考えられる。今後の建築産業は国内市場の縮小と産業の海外市場への進出を考え、おそらく5%程度の大学が国際研究フォーラム型で研究と海外進出用の人材育成を、残りが国内人材育成のための国内産業型をとることになろう。私の意見はこの5%の国際研究フォーラム型の組織とそこで必要とされる研究者についての見解である。

2.概観
住宅建築はそこにある土地、地域、文化とともに発展してきた。材料はその地域にあるもので構造・環境・意匠を支えるものが利用され、構造はそこで課題となる自然災害、環境は一年を通じた気候の変化に対応することを目標とした。神社仏閣、城郭などは信ずるものへの厳かな気持ちや主の野心を渡来された技術により反映することもあって、新しい技術は先進的建築物でまずは試された。住宅建築は経済性を根拠に土地的な結びつきが強いものの、長期的には先進的建築を中心に国際的な技術動向の影響を受け、取捨選択後に緩やかに住宅建築技術に反映されてきた。すなわち、従前より一部の国際的なフォーラムと一般建築のための技術伝達を別のものとして機能させることは行われてきた。
戦後の、特に高度経済成長期以降の建築研究トレンドを外観するには、建築研究所から公開されている建築研究報告がよいかもしれない(http://www.kenken.go.jp/japanese/contents/publications/report.html、2016年9月25日確認)。ここで示されている研究課題は実に先進的で今日的である。性能設計手法、さまざまな外力に対する構造・材料開発、鉄筋コンクリート造建築物の超軽量・超高…