8/17/2011

お盆

夏の間は,比較的時間を好きにつかえる。授業がないからだ。今やるべきことは,過去のデータの再整理,プログラムの再チェック,自分の知識が十分で無い部分の教科書の再読,海外論文投稿のための過去の文献サーベイ,といったところ。

文献については,S.T.さんの文献を幸いにも譲っていただいたので,すこしづつ,移動の時間を使って読んでいる。水分の分野は,本当に他分野と広くつながっており,重要な論文が各分野に散らばっている。これを丁寧に読み取っていく作業は,結局のところ,いかに時間を費やしたかにかかっている。しかも,いくらよんでも,その隅々の重要性をこぼれず理解していく,というのが難しい。

セメント・コンクリートの分野であっても,読み直すと,ああ,この人は実験でここをすごくくろうして,それでここにこういうことを書いているんだな,というのがわかったりするが,これは,もう,本当にしょうがない。
久しぶりに読んでいると,こんなことがこんな片隅に書いてあった,というのは,結局自分に知見が蓄えられてないと発見できない。文献の読み込みは,本当に難しく,一度読みばよいということではない。

最近の事例。水蒸気吸着や長さ変化等温線の研究で有名なRoperがPCAで骨材の収縮研究をしていたのは,最近の骨材の研究をやっていた人としては常識だろう。彼の論文を読んでいくと,骨材の収縮研究は,南アフリカで骨材収縮に起因する過大な変形や破壊があったからだと書いている。垂井橋の様な事例は日本の特殊事例ではなくて,アメリカもまたその道をとおってきているのだが,それを我々が受け継ぎわすれただけのようだ・・・。
やれやれ。こういうの,最初読んだときなんて興味もなくてスルーだった。垂井の話の時に,この話を持ち出せたら格好よかっただろうに。


お盆は,子供とふれあう時間が少しだけ多くとれる。8月上旬には,2歳半の長男と名古屋市科学館に行った。今,恐竜展をやっているのだ。中国から化石類をもちこんでいるが,25mくらいの首長竜の模型(骨模型だと思う。)があって,なかなか壮観だ。子供は,怪獣がいるといって怖がっていたが,ホネホネロック(古い!)がいるよ,といったら入っていった。すごいねぇ,すごいねぇを連発してた。家に帰ったら,首が長くて変な怪獣がいるんだよ,としきりに妻に力説していた。なんでたおれないんだろうねえ,という考察はすばらしいと思った。たしかに,あの首の長さで倒れないのは不思議だ。

その他に,科学館にはいろいろ自然科学現象を利用した,手に触れられるギミックがたくさん展示してある。これも非常に楽しんだ。消防車のシミュレーションもあって,息子は運転を試みた。最後の最後で,火事場を前に右折してしまって,ゲームオーバー。なんだか呆然としていたが,悔しい気持ちはあったみたいだ。また,挑戦しよう。


Facebook上で高校の友人連の動きがよくわかる。その中の一人が,ゴルフ好きがゴルフと釣り好きに変わっていて,毎食,食事の写真をアップしている。どれもうまそうだ。どうも,自分で捌いて料理しているらしい。昔,友澤・野口研で戸田寮にいって海釣りしたことが懐かしく思い出された。あの戸田寮は,どうも,年を重ねるとますますすばらしい思い出に変わってくる。私もああいう経験を学生としなくちゃいけないな。
話がずれた。で,刺激をうけて,久しぶりに烏賊の塩辛をつくってみた。子供は捌くのを横でみていた。肝を塩につけるのだが,塩の量が多すぎて少し塩辛くなりすぎた。サワークリームとあえると結構いける。次,作るときは減塩レシピで頑張ってみよう。

8/05/2011

耐久性力学ワークショップ

8月1日には,耐久性力学ワークショップが行われた。収縮が構造性能(およびその他の性能)にどういった影響を及ぼすかということについてを主眼において話題提供を募った。

建築側では,剛性低下とか副次的に現れる強制変位の問題などが指摘された。付着の問題も表面的には出てくるんだが,実際にはせん断補強筋も入ってくるのでどうなるかはわからない。
しかし,超高強度コンクリートのかぶりの剥落には,かなり自己収縮が影響していると考えられる。根拠は,鉄筋周囲のひび割れと,自己収縮+荷重+クリープ変形によって生じる過剰な鉄筋のひずみである。異形鉄筋だからこそ出てくる問題なのかも。

建築の柱や壁などでは,収縮があったとしても耐力はほとんど変化しない。土木の鉄筋比の条件だと,耐力(あるいはせん断ひび割れ発生耐力)は小さくなるようだ。しかし部材としては,Vc+Vsで耐力全体を議論した方がよいようにも思うので気にはなっている。が,土木の鉄筋比~建築の鉄筋比の間に収縮が影響を及ぼす範囲が存在するようなので,そのあたりをちゃんとやるのは今後の課題だろう。
はりでせん断補強筋込みで,補強筋量をパラメータにした実験を行うべきだな。

あるいは中立軸位置でせん断ひび割れの方向が変化するのだから,圧縮鉄筋比と引張鉄筋比のバランスをパラメータにした実験も土木の場合大事だろうな。建築の場合は対称なので,逆に言うと影響が出にくく主応力の問題だけに帰着される,ということだろう。スケールエフェクトは,土木ほど,利用されている部材に無いし。

8/04/2011

SSH

昨日は,スーパーサイエンスハイスクールの学生さんが,名大にきて建築とか防災について学んでいきました。
私は,構造設計と材料性能,という形で力の流れと材料性能の話をしました。極簡単に。
午後は,水セメント比の異なるモルタルの流動性と強度試験をやって,コンクリートは材料を設計しながらつかうものだ,ということを感覚的に勉強してもらいました。
本当は,レポートを書いてもらいたかったんだけど,時間オーバーでした。読み間違い・・・。

最後に180MPa級の超高強度コンクリートの圧縮試験で爆裂する様子をみてもらいました。学生の一人は携帯で動画撮影していて,なかなか良い映像がとれていた。

結構,みな,いろいろ駆使してるな,と感心した。

8/03/2011

中3理科の教科書

理学・地質学系の人と同位体分析を用いた中性化プロセスの研究をはじめて3年たつ。その間,いろんなところで発表させていただいたが,教科書を執筆する人と,名大・理学側の人のやりとりのおかげで,コンクリートの中性化現象が酸アルカリの項目のトピックで採用されることになった(らしい。)

少しでも興味持ってくれるとよいなあ。
建築とかインフラとかの耐久性,維持管理くらいまで気にしてくれる子が増えると大いにうれしい。