3/16/2010

新しい構造材料

一般的な人に建築の材料を研究しているんです,っていう話をすると,新しい材料というのはいつできますか,という質問が来ることが多い。そういうの,気持としてはよくわかるし,実際のところ,建築材料でなければ,日々,面白い材料とか,高機能化された従来材料というのは研究されているので,研究に対するイメージとしてあながちまちがってもいない。

GCOEの国際会議でも紹介があったけれども,ドイツの方では,ジオポリマーを構造材料にしようという研究がされているようだ。それなりのお金を受けて。(コンクリートのCO2排出量の多いのを嫌って,というのが理由)

あんなに反応する時に収縮して,おまけに硬化してPHが中性で鉄筋があっというまにさびちゃう材料というのは,やっぱり,まだまだちょっとコンクリートには至らない。おまけに高い。

で,新しい建築材料,というか建築構造材料の開発ということですが,そういうのはFRPとか,強化ガラスとかいろいろ可能性はあるんですが,結局のところ高くて無理ですね,というのが今のところの結論である。
コンクリートは,南アルプスの天然水の1/10よりも安いんですよ,っていうとたいていの人はびっくりするけど,僕だってびっくりだ。こんなに,強度が安定していて管理しやすい構造材料がそんなに安いなんて。

たとえばバイオ燃料と石油の関係のように,人為的なことがおきて,価格が置き換え可能になるまで,コンクリート以外の構造材料なんておそらくでない。自給自足可能で,全国に運搬可能で,現地でそれなりに加工できる材料というのは,やはり利点が大きい。
木材で,建築物が一部置換されるということもあるだろうけど,日本は住宅はほとんど木造だし,オフィスビルにはちょっと難しいので,総体としては木造はそんなに増えないと思われる。高層化には,木材は変形も大きいし,モーメントもうまく伝えられないし,防火上の問題もあるし,何より,結局コストが高い。
たぶん,アルミの建築のようにパイロット的なものが東京にできておわり,というのが当面のプロセスではなかろうか。

なんらかの影響,たとえば,このままセメント工場が何個かつぶれて,生コン工場も淘汰があって,コンクリートが1m3で2万くらいになったとしても,まだ,集成材の単価とは比較にならないかと。二酸化炭素分のチャージを払ったとしても,木材の単価にはいたらないのではないかというのが個人的な感覚である。


そんなわけで,なんかうまい説明になっていないが,新しい構造材料というのはなかなか出てこない,その理由はコンクリートが安価で素晴らしいから,ということというのが私の見解。

いや,実際,この価格に見合うパフォーマンスって,すごすぎますよ。本当に。

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