12/29/2012

帰国後

海外出張から戻って,翌日に家族を東京に運び,その翌日に電力やゼネコンさんと打ち合わせしたり,講演会をしたりしたのちに名古屋に戻ってきました。

戻ってきた翌日は,久しぶりに化石生成メカニズム研究会で,理学系の先生とモデルやデータに基づく考察を行いました。謎なデータを異なる背景の人間で解釈しあって,刺激を受けるというのはなんとも楽しい会です。同位体分別反応というのは,時として大きな疑問,大胆な仮説を呼び覚ますすばらしいツールです。

Natureとその他に1本ずつ,投稿を目指すことになりました。私はよこでがやがや言っているだけですが,初のNature投稿で,結構,うきうきします。


さて,木曜日は,午前中に某国から,見学者が来られました。研究室を見学して研究の話を少しして帰られました。
この文書を読むのは国内の人でしょうから,ここに書くのですが,相当の量,JSCEの論文集などから内容がぱくられていましたね。あまりにストーリーが同じだったので,ご本人に指摘しましたが,強烈です。

そもそも,数値解析系の方々は,実験系の方がシナリオを構築したものを数値的に置き換えるという作業をされていますが,そのシナリオ構築という作業のオリジナリティは,それを想定した実験をした人にそもそも帰属するのではないかと私は考えています。数値的にきれいに表現するというのは,実験系の人であってもやろうとおもえばすぐにできるので。

で,そういった数値解析系の方のオロジナリティ尊重についてこまったもんだな,と思っていましたが,まさか,日本の土木学会論文集,黄表紙,材料などの論文がそのまま輸出され,模倣されて,オリジナルと言われているとは思いませんでした。こりゃ,ACTは,偉い先生から基金つのって,丸ごと良い論文を英文化した方がよいですよ。
こんなにあからさまとは思っていませんでした。
日本語で論文を公開することの方が,リスク,と考えた方が良いですね。


木曜日の夜は,忘年会でした。病み上がりであまり飲めませんでしたが,多くのOBが訪ねてくれたので,それはそれは楽しい会でした。企画した学生さん,ありがとうございました。


金曜日は,共同研究などの打ち合わせが3件。来年も楽しい研究ができたらな,と思います。

今日は土曜日ですが,明日まで,たまっている査読(5本!)と,自分の論文(2本),正月明けに提出しなくちゃいけない学内書類とか報告書関係を書いて,それで終わりにしたいと思います。

なんとか,無事,今年もつつがなく追えることができ,来年の正月を迎えられそうです。
皆様方,良いお正月をお迎えられますように。本年中はどうもありがとうございました。


12/18/2012

オスロー

現在,オスローにいます。昨日は8時間ぶっとおしの会議で,なんとか来年度意向の実験について見通しがでてきました。この実験には,結局あしかけ5年ほどの準備がかかっていて,国のプロジェクトとしてかなりの下積みがなされています。

すでに実験計画単体をIAEAの国際会議で発表したり,予備試験の結果は,米国原子力学会やASMEなどに発表しつつありますが,国際共同研究としての打診をいただいたり,かなり大きな話になってきました。

国際共同研究自体は,結局,関係省庁+外務省の話になってしまうということで,現在のところは,担当者ベースの情報交換会+来るべき共同研究の枠組みのディスカッション,を適宜やっている状態です。今回,政権が変わったということで,米国側もかなり対応がかわるかもしれません。

国内においても,こうした国際的な研究・意見交換体制ができたり,そこの参加者にかなり大物がでてくるようになってくるにつれ,アチラコチラで実験協力者も出てきてくれるようになっています。うまくいけば,また別のプロジェクトをたちあげることができるかもしれないな,という感じです。

また,実験を評価し,実務に落としたり設計に反映させるためには,数値計算やモデルが必要になってきますが,ここにおいても,モンテカルロ計算や決定論的手法の計算各種に精通した専門家にご協力をいただけるようになり,今年度にはそろそろ全体像が見え始めるようになってきました。

こちらの研究は建築業界やコンクリート業界で発表してきませんでしたので,来年あたりから発表したいなと考えています。

ケミカルアンカーについて

ケミカルアンカー、後施工アンカーについて
メールアンケート結果です。(全2件)
・70年台には、大きな事故はなかったという複数回答あり。
・75年頃にゼネコンが地中梁を施工しわすれてケミカルアンカーで定着をとったという事件あり。その時には信頼性が高いという評価だった。そのため、この時代に信頼性が高いということで利用されたものと考えられる。
・ケミカルは、埋め込み深さが長いとケミカルが足りなくなることがあり、充填確認ができないのでは、という意見がかつてあった。(ただし70年代かどうかは不明との話。)
・上向き後施工アンカーは作業性の問題、精度の問題から設計時に組み込むするということは、一般論として技術者としては考えにくい。
・この時代では、埋め込みボルトなどで対応するのが一般的。(原発、その他の建築系プラントもそうなっています。丸山コメント)

・同じ構造形式のトンネルといっても、全部後施工アンカーだとは考えにくい。
・ケミカルの寿命についての議論は、すくなくとも実務者の間で共有されていない。
・当時であっても、後施工アンカーで、ケミカルアンカーで、上向き施工であることを考えると、天井を直吊りするという形式を設計時に考えるというのは、おかしいと思う。
建築で躯体に手を加え出来上がった状態を想定して準備するのは、設備配管の梁・壁のスリーブ抜きとか、重量物が取り付けられることが想定できる場合。このとき,位置が判っている場合にはボルトを埋め込むなどするが、かなりの部分は建築躯体に後から明確に位置を決め、あと施工アンカーを用いて取り付けるケースが多い
・この場合は取り付ける者が支持力を求めて取り付けるが、監理・管理するものも特に疑問を持つことなく認可している。この点が問題である。
・40年前はドライヴィットかホーリンアンカー(機械式アンカー)だったが、途中からケミカルアンカーが出てきて信用絶大で画期的に利用された。

土木系の方のご意見。
・天井物は付属物であるので構造設計対象外である。
・付属物はケミカルアンカーで対応しているものも比較的ある。
・一方で,1985年頃以降は,天井板の吊り構造について安全対策がなされているので,施工中の落下などもあったんじゃないか。危険性は認識されていると思う。
(丸山コメント:建築物の天井も安全性が指摘されているのは1990年以降でしょうか。地震,結露その他で天井板落下事故が生じており,設計上の課題として上がっているのは比較的最近だと思います。)

という意味で,この中で考えられる今後の課題は安全性の認識・基準類に対するバックチェックのあり方では無いかと思います。

建築でも他人ごとではない,というのが感想です。

理系の子

理系の子


理系の子、一緒に研究をされている方のFBに載っていたので読みました。理論的思考や実験的検討の良し悪しをスタープレーヤーにするという、サイエンスフェアという取り組みについて、改めてそのすばらしさを認識しました。スポーツ優秀な子は日本の小学校でもクラスの人気者でしょう。でも、科学については?

サイエンスフェアで勝ち抜くには、優秀な頭脳であるということだけでなく、優秀な人が理解者に出会える、ということが大きな要因である。もう、このよき理解者に出会えるということが子供にとっていかに大事か、子供の良いところを伸ばしてあげる環境というのが、いかにして世の中を明るくしていくかということがよくわかります。そういう観点で、偉大な才能(努力をする才能を含む)を見ると涙してしまう私には本書は、涙だらけでした。

私は、1年生のセミナー講義で出会った時には優秀で目が輝いていたのに、4年生のときには本当に活力の無い学生になっていたということが私にはショッキングすぎて、日々、講義や大学の授業について考えていましたが、改めて考えさせられました。

一方で、学生が活躍する、すなわち外で評価されるには基礎力がなければダメです。どのような形で、基礎力の習得できる成功体験を積み重ねていけるか、ということが日本の教育の大事なポイントだと思います。
読めばわかりますが、くもんのくだりは笑えました。


訳者あとがきに記載されている名古屋市科学館の方は、今、地質系の人と一緒にやっている化石生成メカニズム解明プロジェクトでご一緒させていただいてる方でした。
アナログとしてコンクリートの中性化の研究もやっているのですが、旧名古屋市科学館のコア抜きも許可いただいて、いろいろ好きにやらせていただきました。
ときどき、科学館のイベントも教えてもらって、子供と一緒に行っています。

今度、サイエンスフェアについていろいろ聞いてみたいとおもいます。

12/01/2012

11月30日


昨日は、午前中は授業で、毎年恒例のモルタル作品コンペが行われました。なかなか良い作品がでてきたので、後日アップしたいと思います。(中村先生、サーバーアップ、よろしく。)

午後は、東京出張でした。例のプロジェクトの中間報告会。コンクリート系は後半にかためてもらったので、みなさんの発表を聞くことができました。Y国・K先生のプロジェクトは、実務側の方からの意見ももらって、少し整理されました。一方で、質疑の方で出てきたイメージと具体策は、まだ頭の中でつながりません。また、もっと上の規制側でやるのか、推進側でやるのかの議論も整理つかずかなあ、という感想。

最後が私の報告でしたが、照射促進試験と実機との差、という観点での意見は大変参考になりました。今回、予算の関係でできない実験なんですが、ぜったいにやったろう、と思いました。
そののち、今月のノルウェー出張のための実験ディテールについての打ち合わせがあり、ここではいくつか問題が出てきました。終電(東京10時)の電車で、ダッシュすると桜通線の最終・徳重行きに接続可能なことを実証しました。あまりやりたくないですが。


師走です。日が進むのが早いです。