10/23/2010

10月18~23日

18日には,久しぶりにゼミを行った。基本的には実験データの報告,互いの実験の理解,およびその背景。I石君の実験データが非常に良い成果を出しつつある。おそらくJCIの年次論文に発表できると思うが,水和圧理論の別方向からの実証になるもので,従来から予測された現象があらためて確認された。

19日は1限,3限の授業。大学院では収縮ひび割れ指針とその背景についてのレクチャー。構造系の学生もいるので,いろんな角度からの収縮問題を取り扱う。夕刻に,群馬のN井先生とそこにゲストでこられている研究者の方と会食。久しぶりの英語で,出だし,聞き取りにくくていろいろ勘違いしてた。やれやれ。

20日は,上述の研究者の方々と少しディスカッション。五十嵐がGEMSをいじっているので,少しレクチャーしてもらう。当方では原子力関係の取り組みやモデル化についての話をさせていただいた。

21日は久しぶりに,時間がとれた1日で,いろいろ自分の研究についての整理。
・最近,ツールとしてMATLABを導入しようと購入した。線形解析計算と可視化が楽にできるということなので,1次元のFEMとか,差分法などでスタディをおこなおうかな,と。FortranやC♯,Java,Pythonなんかは手軽で良いとおもうけど,一長一短。特に私の資産は多くがFortranやC++,出できていて,オブジェクト指向のプログラムになっているのだけれど,これをブラックボックス化するのもいやなので,Matlabのクラスに移植することを試みる。主として学生が利用できることが目的。支配方程式から書き下し,自分のモデルを入れる部分は,MATLABであれば,より,数式に近い取り扱いでできるだろう。
MATLABは,基本的にC++やJavaでプログラムしたことがあれば,Helpとウェブのサンプルコードを見れば無理なく書ける。型宣言が無いところが少し苦手だけれども,7割くらい新しい水和モデルの移植が終わった。もう,あと半日あれば,終わるだろう。いつになるかわからないけども。

・吸着等温線のモデルの論文の執筆が終了。半月ほどクーリングして,それでも変えたいところがなければ投稿する予定。この後,もう2編ほど,吸着等温に関する論文を執筆しようと思っている。英文化したいものもあるんだけど,時間がおっつかない。

・水分移動について再度勉強を開始した。中性化とのカップリングなども考えていきたいので,松本先生の論文などをCiNiiで最初から読み始めた。数式は今,全部手書きしてトレースしている。いくつか,支配現象別にモデル化があって,だいたい3タイプくらいに分けられる。コンクリートでは,主としてハイグロスコピック領域として考えてよさそうだけれども,爆裂現象ではバルクの空気移動問題,若材齢の養生問題では液水問題をモデル化しないとあわなさそう。
空隙構造が変化しているところの水分移動を適切に評価するために,水分ポテンシャルを考えた矛盾の無い支配方程式で,再度,水熱連成問題をくみ上げる構想を練りはじめつつある。FEMでは,展開がめんどくさいのと,応力と連成させないかぎり1次元問題で考えれば良いので,物質移動は差分法に切り替えようかと考えている。しかし,イオン移動まで連成させるとなると,こりゃあ,支配方程式を何個連立しなくちゃいけないんだろうか・・・。

22日は,就職ガイダンスを行った。学生生活委員長なので,司会などを担当。大学もかなり就職支援に乗り出している。本当は学生自体が動かなくてはいけないんでは,と思うが,東京と名古屋ではあきらかに学生に入ってくる情報量がちがう。情報量というのは本当に大事な時があるのだが,就職活動においてはその大事な場合の一つだと私は思う。それを大学が支援するというのは,重要かなとも思う。

一方,本来は生涯の問題として,中学くらいから折に触れて考えさせることが必要だと思う。就職前の数ヶ月で,一生に関わる(職歴というのは一生の問題だ。)決断を取り急いで行っている学生が多くて驚く。私は学生に折に触れて将来何をやりたいか,というのを聞くのだが,冗談だと思って,まじめに答えない学生が多い。私は別に冗談ではなくて,考えるきっかけになればと思っているのだが,どうも就職活動の中で考えるものだという観念が醸成されているように思う。あるいは難しいことは後回しにする,という癖がついているのかもしれないし,学生時代と社会人時代というのを連続的に考えられていない,ギャップがあるからかもしれない。

終身雇用ももはや無いんだし,世界は常に動いているので,将来こうなったら,こうしていこうとか,こういうことも勉強して職の領域を広げておこう,というような生涯の課題,すなわち情報収集能力と自己鍛錬を常にやれるかということが問われている。それもなかなか伝わらない。英語も就職(の内々定をもらう)のためにやっているというモチベーションは,あんまりでは,と思う。

23日 ばあちゃんの49日。墓まで行ってきた。なんだかずいぶんカジュアルなものいいの坊さんで驚いた。浄土真宗というのは何でもありなんで,こういうのもありなんだろう。いろいろ念仏の内容を講釈してくれたが,諫言を仏さんに求めるという思想はなかったので,少し勉強しようかと思った。なんにしても,慢心しがちな人間に諫言する存在が重要であるというのは,全くその通りであるので,その謙虚さをどこに持つかという心として,理解したいと思った次第。
坊さんにすると,頭でっかちな人は理解で終わらすからいけない,ということなんだけれども・・・。

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