11/28/2009

断絶は死と同じ

G-COE関連でもコメントが発表されることになりそう。
現在,いろいろな学会がそれぞれ連携して,コメントを練っている段階。

研究が断続するとそれは死です。日本は技術立国(金融立国にはなれなかったし),すくなくとも海外にもの売って稼いでいるわけですが,そうして売れるような技術というのは,研究しまくってなんぼのわけです。かすめとってくるほどの情報戦略もありませんしね。

文部科学省のページで事業仕分けのコメントが載っているが,理想論的にはわかることも多い。しきりなおしたいし,無駄も多いかもしれないし,他の省庁とかぶっているような領域もある。
ただ,止まれない。止めたら,技術は死ぬ。
そんなことは,必死に生きている状況を体験すれば,ベンチャーを立ち上げたり,企業を経営したり,研究に携わったりしたことがあれば,当たり前の事である。1年とめて,といっている人はいかにぬるい世界にいたか,ということを吐露している。現場はそんなもんではない。

野球とかピアノ,マラソン,水泳などでコーチによく言われたが,1日休んだらもとに戻すには7日かかる。毎日やれ。

それを超えてこその政治なんで,そんなんわかんないから,まあまて,なんて小学生が言いそうなことを言ってほしくないんだよね。

11/27/2009

NIKKEI NET(日経ネット):日経の最新ニュースを速報

(昼に追記)

NIKKEI NET(日経ネット):日経の最新ニュースを速報
これは,予断を許さないですね。かなりヒステリックになっている。

今週のTimesにもありましたが,現状の株価はまったくのエコーバブル。金融市場から一度資金が引き上げて,下げを見せたところに,それでも余っている資本が投資されて現況を反映していないバブル状態になった。アメリカの住宅市場は一部持ち直したかに見えたが,海外からの投資による掠いであって,消費者が購入に動いたと言うことではないし,同様に雇用も悪化のままである。金が最高値をつけているのは,余ったお金でいくところが無いものが投入されたからであり,どの市場にも上げが見えないので,換金することできず困ったお金が不動産と同様に金に動いた結果のように見受けられる。私も金に移行したいなあと思ったがタイミングを逸した。

でも,それにユーロに対しても円が上がっているというのは,よくわからない。ドルがユーロ経由で円に戻されたということなのかもしれない。
(ユーロに対して上がっているのは,今朝のブルームバーグで報じているようにドバイをはじめとする新興国市場での先行き不透明感によるものということらしい。)


当初,バブルがはじけた直後に,世界の市場規模が適正規模に戻ったとき,日経は7000円くらいになるだろうということは言われていた。このまま,ドルの信用(魅力)がなくなり,相対的に円依存になると,日経はやはり8000円くらいにはなるという可能性が残っているのでしょうね。

米本昌平氏

先日のGCOEシンポで米本昌平氏の講演があり,環境政策と国際政治という内容で,時間が少なくて全部を伺うことができなかった。非常に残念であった。
基本的に冷戦構造がなくなった後で,世界が政治の枠組みとして環境問題というものが必要であったという考察で,冷戦・核という見えにくい不安と環境というやはり想像しにくい不安の対応ということにおいて合点がいくところが多かった。
最近のブッシュ外交における環境政策の再定義の問題まで話が到達しなかったのは残念だった。
気になったので,
地球環境問題とは何か (岩波新書)
を早速購入して読んだ。

これは,なんというか環境問題といううわっつらの話だけでない,生々しいところが書かれているので,物事を多角的に読む上では,ぜひ,学生には読んでもらいたい。

ついでに,Amazonで購入したときにお勧めされてしまったので,「独学の時代」という氏の考えが書かれたものも読んだが,実は先日書いたような,大学の再定義,あるいは建築学の再定義というのは大学紛争時代の問題であるということに気づかされた。
米本氏の大学・アカデミズム批判というのは大変に強烈で,教員をやらせてもらっている身にはちょっとこたえた。
が,疑問として当然であるところが明快に書かれていた点について,個人的にはすっきりもした。

考え続けることが大事だな,というぬるい考察で今日はおわる。

11/25/2009

Windows 7

将来を考えて基幹OSの移動のための検証作業に入ることにした。
基本的に,新しいものを入れるのは,多くの不具合やトラブルが重なるのでいやなのだが,そろそろアップデータも考えないといけない。
現状はWindowsXPだし,ソフト類も8年ほど前のものをそのまま利用している。

しかし,さすがに次にうつる準備くらいはしておかないと怖いので,せっかくだからということでWindows7の64ビット版のシステムを試すことにした。
それにともなって,汎用的に利用するオフィスソフトやAdobe製品も全部買い直し,プログラムの開発環境もVisualStudio2008へ,VisualFortranもVer.11を購入することにした。
PCより,ソフト代の方がよっぽど高い。しょうがないけど。

1年ほどつかってみて,問題無いようであれば,研究室のOSも少しづつ移行することにしようと思う。結構,お金かかりますねえ・・・。

幸い,メールソフト,エディター,グラフ用のソフトがいずれも64bit版の上でも動いているので,環境はほぼそのまま移行できるものと考えられる。
ガジェット的につかっている計算機ソフトとか,そういったものは必要に応じて変更させていくしかないでしょうね。

年なんだと思うけど,アプリケーションの使い方を覚えるのに時間を費やすのがしんどい。
そんなことないと昔は思っていたんだけど,こういうのをストレスと感じるようになってしまいました・・・。

11/21/2009

データベース化

http://mainichi.jp/select/biz/it/news/20091026k0000m040023000c.html

この話本当なのだろうか。
お年寄りにインタビューをしたのか?
データをデジタルにしない,検索可能にしない,ということなのか?
ただでやってくれるというのに,なんというもったいないことなんだろうか。

ものを利用するという立場にいる人が少ない,ということなんだろうか・・・・。
少しびっくりした。

11/17/2009

事業仕分け

文部科学省が意見を募集しています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm

どのように反映させられるのかわかりませんが,個人の意志は,どうもすべて発露しておいた方が良いようなので,メールを出しました。

思うところを,意見すると良いんじゃないか,と思います。

11/14/2009

仕分け

仕分け人の話を聞いて,憤りを感じて涙が出てきた。
野依先生の抵抗もむなしかったと聞いて,この調子で日本の技術の屋台骨が骨抜きになるような怖さを感じた。
技術や学問は国が全力を尽くして戦うものであって,軽く流して位置を保持できるものではない。2位じゃだめなのか,という言葉は,***の小学生の教えのようである。

日本はもっと競争社会にしないといけない。
軽々しく2位じゃだめなのか,という人がいなくなるまで,徹底的に競争しないといけない。そして,本当に実力がある人をリーダーにする社会にならないといけない。
それは別に殺伐とした社会ではない。実力にふさわしい地位が与えられる誇り高い社会であり,夢がある社会だ。

一方で,振り返れば我々にも責任はある。
基礎研究であっても,それはどういうことがわかったのか,どれだけ夢があることなのかということを国民につたえてこなかった。伝わっていないのに金を出せ,というのは,ちょっぴり不親切だ。

アメリカには多くの一般の科学・技術雑誌があり,技術や学術的課題が身近だ。知的好奇心をかきたて,最新の学問をわかりやすく・多く伝えることをしていかなくてはならないのに日本には科学ジャーナリストが不在だ。
そういう市場の開拓も,人材の育成もやってこず,すべては輸入雑誌に頼っている。
各学部で,それぞれに教育なり出版をしていくことを戦略的にやっていく必要がある。これは,長期的にみて大学に必要な戦略だ。
そういう観点でみると,当研究科の須藤先生の児童文学はすばらしい。福和先生も自分の研究成果を市民にフィードバックしている。こういうアプローチは,もっと大学がサポートすべきだ。

今後,大学は淘汰される。まちがいない。人口に対して不釣り合いに多い。また,それがどのように社会に貢献されているか,国民に理解されていない。

建築学科は存続するだろうか。
建築という産業が成熟しているなかで,本当に建築学は必要なのか,を問うのは建築学科でないといけない。
建築学という学問体系を今後,どう考えるかを検討しないといけないのではないか。
建築士は専門学校でも教えることができる。少なくとも資格はとれる。倫理は,社会倫理として大学によらずとも教育できる。原理原則は大学で教えるべきなのか。専門学校ではできないのか。JABEEは大学でやるべきものなのか。あるいはJABEEではない何かを教えられるのが大学だとするのであれば,「それ」はなんなのか。
研究教育は,今後の日本の産業振興に役に立つのか。あるいは日本のストックのためにどう貢献するのか。アジアや世界との関係の中で日本の建築産業は今後どう発展していくのかビジョンが描けているのか。
今,日本の建築という文化・社会が抱えている問題に対して大学はどうコミットしているのか。
国交省はどうかんがえているのか。ご用学者は本当に意味があるのか。あるいは御用学者じゃない学者に意味はあるのか。

学問は役に立たねばならいのか。学問の深化を標榜するのであれば,それにふさわしい研究を我々はやっているか。

全部,本当は私は答えられないといけないはずの問いだと思う。
学問的興味もつきないのだが,こういったことについて,2,3年本気で取り組んでみようと思う。

11/12/2009

投稿

以前に収縮理論の論文を国際会議に出そうとしたら、なぜかアブストで落とされた。依頼されて出したものだから驚愕したのだが、そこの幹事団は、まあ、世界の大物中の大物なんだけれども、そこで書いたアブストと同じことを学会でしゃべっているという情報提供をN先生よりもらった。

研究は結構どろどろしているし、日本人だけにいろいろハンディキャップがありうる、ということはオランダで横目に見ていたわけだが、手をこまねいているわけにはいかないので急遽英文化した。
日本語で発表していたために、各種の情報をいただけたので、論文の洗練度は大幅に上がった。もはや、2ヶ月前では想像もできないくらいに。

しかし、ヨーロッパのサロンで戦うには英語が十分ではないので、正当に評価されるか、あるいは情報を英語で出すことに意義があるというように受けとってくれそうなACTに投稿した。本日。本当は複数投稿をして、受理されたところを残して、のこりをキャンセルするのが常套(という分野もあると理学系では伺った)ということなのだが、そこまでのバイタリティはなかった。


あとはうまくいくことを願うばかり。
査読者がここを見るとは思えませんが、個人的には日本発の概念ということで言っておくことが重要と認識している論文です。どうか、その意義を踏まえてご検討をいただきたく。

11/09/2009

プログラミング

この土日はプログラミングに相当量の時間を費やした。梁の載荷のシミュレーションはすぐに出来るだろうとおもってたかをくくっていたが,久しぶりに触れたせいか,まったく勘どころが働かなくて,思い出すために最初から書いてみた。
MKLの使い方もわすれていて,マニュアルをみたり,本当に初歩レベルになっていてイライラがつもる。
こういったものを学ぶ作業というのは,びっくりするくらい億劫になっていてびっくりする。
以前は考えるよりも先に例題のプログラムを立ち上げてエラーを重ねて修得していたのに,ついついそういうのもしなくて,立ち止まってしまう。
老化なんだろうか・・・。

そういえば,全然違うが,時間がとれないので冗長な説明をされたり,時間の調整ができないといろいろとため息がでてしまう。なんか人間が小さく成っている気がする。
普通は歳を重ねると寛容になるんだと思うが・・・

反省が多い今日この頃。

黄表紙周辺

ようやく,収縮低減剤論文と人工軽量骨材論文が黄表紙に掲載されました。はやくも,幾人かの人からコメントをいただきました。

収縮低減論文は,戦略上,収縮理論論文と前半が相当量かぶっていますが,ちょっといいまわしを変えて理解していただけるよう努力しました。APPENDIXについても,手をいれましたので,是非読んでいただければ幸いです。難しい話が少しは簡単になるのでは,と思います。
斥力・引張力は,結局,座標をどうとるか,ということで決まりますので,無理して納得しなくても良いと思います。飽水状態を基準にとって,分離圧を考慮すると分離しようという力が減るので結果として収縮駆動力(負圧)になるよ,ということでOKだと思います。

現在,ACT投稿用に論文を取り纏めていますが,英語の方が言い回しがシンプルな分わかりやすいかもしれません。分離圧のデータの整理手法も変えたので圧倒的にわかりやすくなったかも。
最終的にはACT論文が標準の考え方になるかもしれません。

高炉のデータも整理がおおよそできました。東海支部研に投稿したので333委員会に一部は反映させることができそうです。黄表紙にしようかとも思いましたが,セメント協会から助成金をいただいているのでセメント・コンクリート論文に投稿しようと思います。
セメント・コンクリート論文集も年中募集をかけてくれるとありがたいんだけどなあ。

収縮低減剤,普通ポルトランド系,高炉系,のデータを横並びでみると,これまたおもしろいことがわかってきます。高炉ってやっぱ収縮しやすいんだなあ,ということがよくわかる結果になります。がんばって論文化したいところですね。

水分移動係数のデータもそうとうそろってきたので,これもおもしろくなると思います。

11/05/2009

発表

本日は,修士学生以上の発表の授業だったのだが,語彙の問題や研究分野が離れ過ぎているために学生の発表が他の教員に理解されない,という事態になった。
学生は,非常に多くのことをやっているので,できるだけたくさんという気持ちもあるし,そもそも先生には全力で向かうというものだとおもうので,これはこれで個人的には良いと思うが,一方で授業になっているのか,という問題もある。

教員はおおよそのことは理解できるよう努力すべきだと思うのだが,そういうものでもないらしい。

もちろん技能として,修士の学生は自分のやっていることを小学生にちゃんと伝えられなくてはいけないが。

噛んで含めるような発表を学生に指導すべきか,悩むところである。

10/26~11/5

26日は島根に生コン品質管理のオブザーバーとして参加した。季節変動の影響が興味深かった。あれだけ管理しているとどの品質が何に影響しているかが明らかになっている。また,さらにおもしろいのは,急激な品質変化というのは少なくて,どちらかというと除々に変化が生じている点だ。なんか変なものがまじっていれば急に変化したりしそうなものだが,そういうものは特に無い。

27日収縮理論をACTに投稿するために急遽英語論文を仕上げることに。まいにち1,2時間の時間をつくって英語化を行った。日本発のアイデア,ということで是非全面に押しだしてほしいところ。もちろん,査読プロセスにおける議論が重要だし,楽しみでもある。多くの方とディスカッションしたい。Feldmanのデータなどを整理しても同じ傾向が確認されるので,実験的事実としては普遍性はあるものといえそう。ただ,比表面積の定義が諸処依存性があるので,普遍性までいくにはもう一ひねり必要。これは今後の課題となるだろう。

28日高炉のデータをまじまじとみる。水分挙動との観点からみると親水性が高いことを示す証拠がいくつか拾い上げることができた。333委員会にもいくつかの結果は反映させたいので,そのまま黄表紙ともおもったが,東海支部にまずは出すことにした。

29日午前中は某ゼネコンの方と打ち合わせ。実験プロセスに若干の誤解があって,ちょっとうろたえる。データとしては新しいものが出て来つつあるので,楽しみです。研究同士がつながってくるのは非常にうれしい。

30日最近,超音波速度測定器を導入したのだが,なぜ多孔材料で水分を含んだときに水分の影響を混みとして平均値を用いて速度を評価してよいのか,という点についてやっと理解できた。横波は水は伝搬しないのだから,みかけの密度で評価してよい理由って結構,感覚的に難しいと思いませんか?

1日 333スラグTFおよび本質課題検討会という任意の会合に出席。実験データをつきあわせた議論というのはやはり新しい発見があってよいですね。また,議論が高度なのも魅力です。

3日 ACT原稿がおおかたおわる。いろいろ歩いていると修正したい点も出てくるが,まずは英語チェックをお願いに出した。やっぱり,こつこつ英語の文章はつみかさねておかないとダメですね。今までの超高強度などの結果も英語にしておかないといけない。

4日 GCOEの拠点会議。議題が多くて,全部まわらない。パンフレット,ロゴ,リーフレットなどについての担当。つまり,広報担当ですね。うーむ。

5日 RCはりのFEM解析をずっと宿題にされていたのですが,そろそろやらんといかんということでメッシュ切りとプログラム作りを開始した。なんとか今月中に形にはしたいところ。定性的傾向だけでもよいので。最近,ずっとÅレベルの話に頭がいっていたので,ちょっとくらくらしますが,ナノからキロメートルまでを研究テーマの幅として定義しているので,部材レベルの話はなんとかものにしたい。
G-COE関連では,地球上の物質循環などとコンクリート構造物の劣化について取り組みたいと思っている。硫酸劣化とか,おもしろそう。

あと,アナロジーとしておもしろいのは,地球のシミュレーションで大気と海,陸域のモデル化は良くやられているが,地球の中の方の物質循環を相手にするとCaの循環を相手にすることが多いらしい。理由はCO2の相手先がCaだから。なんのことはない。セメント分野は地球の地下循環モデルと似たようなことやっている。

最近,岩石・岩盤力学系の論文を山ほどよんだけど,目からうろこ,で今後はそういった分野にも手を広げていきたい。