3/05/2017

フィロソフィー

Monteiro先生をお尋ねして,C-S-H研究について議論しようと思ったいたのですが,放射線影響研究で存外もりあがってしまい,昨日はあらためて,Prof. Wenkのゼミでプレゼンする機会をいただき,特に石英のメタミクト化について議論しました。
ほんとうは,カルサイトコンクリーションについても議論しようと思ったのですが,そちらは時間切れ,というか,ちょっとやり過ぎかなとおもって控えました。
結晶構造学の権威と簡単にお会いできるのは,素晴らしいですね。ちょうど,クォーツァイトの研究をやられているということでした。

こちらの博士の学生ともいろいろ話をしました。5年目ということです。こちらでは,主となる専攻とサブの専攻2つのクラスをとることが必須で,博士論文はそれほど大事ではないそうです。かれは,放射光をつかった分析で優れた成果を出していましたが,5年目でこれだけ広い知見をもっているのか,と大変衝撃を受けました。
私は,同じくらいの知識を得るのに10年くらいはかかったので。もちろん,世界最先端という環境もあるのですが,幅広いバックグラウンドを持っているということが重要なのだと思います。

博士のあり方についてもいろいろ考えさせられます。日本の博士のプロセス自体は欧州のそれと似ています。しかし,理系で手段の有用性を学問として捉えているのは日本だけではないかと。Ph.Dと博士号のフィロソフィーの違い。リベラルアーツの重要性を理系が真剣に取り組まなければ日本の大学はダメになるな,と,また思いました。「今ある技術で何ができるか」,を考える人ばっかりなのは日本だけです。外に出れば,理系も文系も関係なく,学問を納めた人間は社会が何が必要か,から考えて会社を経営したり,研究していたりすると思います。

結局,技術をどうつかうか,社会にどう貢献するのか,なにが求められているのか,次の世代に何を残すのか。

今の日本は最先端の技術さえ,取り込むことができない上,つかいこなすフィロソフィーを伝える人も少なくなってしまったように思います。
建築学が,建築の新しい価値をどれだけ探しているのか,どれくらい本気でやっているのかが改めて問われていると思います。

3/01/2017

3月に入ってしまいました。

みなさま,気づいたら正月以降,1回も更新なく3月に突入してしまいました。今,LAにおります。明日は,SFに移動で,UC BerkeleyにProf. Monteiroを訪ねます。

近況
1)放射線研究
8年間に渡ったコンクリートの照射研究が終了しました。おおよそ何が起きているかは明らかになりましたが,研究の常ですが,やればやるほどわからないことがわかります。今回,科学的根拠を明快にして新しい健全性評価フローを提案しますが,これが本当に適切化どうかは,さらなる研究が必要です。加速試験はつねに実際の現象との比較が必要であり,加速試験の限界は何かと併せて議論しなければいけません。
中性化の加速試験と実際があわないのと同じです。そもそも,中性化メカニズムちがうんですから・・・。

というわけで,新しい研究ができるよう現在,米国とも協議中。うまく日本国内でも予算が付けばよいですが,最悪,我々のサンプルを米国に渡して,研究を継続してもらおうと思っています。

なお,報告書については概要をすべて英語にして論文として出版する予定です。そちらについてもうまくすすみましたら,みなさまにご報告申し上げます。

2)原子力維持管理特集号
みなさまのご協力で,大変素晴らしい,維持管理の特集号が発刊されました。フリーです。みなさま,ぜひ,一読ください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jact/14/Special_Issue/14_S1/_article

3)研究室
次年度は,D1が一気に3名増えます。昨年秋入学した学生と併せて4名です。今後はプロジェクトと紐付けて博士学生を増やすことを検討していきたいと思います。今,1件の案件で,文科省案件でもこの提案が可能かどうかを検討してもらうようにしています。博士にはサラリーを出し,国際公募で優秀な学生を集めることを,遅まきながらやっていきたいと思います。
学部4年は残念なことに1名でした。一緒に成長していきたいと思います。

4)その他
各種の報告書を記載しているところです。次年度も国プロ関係が多く,ちょっと気になりますが,できる範囲で粛々と,そして前進を目指したいです。