11/07/2010

11月1日~

最近の近況

論文・研究関係
セメント・コンクリートでは,4件,無事,すべて受理された。
・水和反応と水蒸気吸着による比表面積に関するもの
・セメント硬化体のヒステリシス現象に関するもの
・14Cの測定により中性化進行の評価を試みたもの
・高炉スラグ微粉末を混和した場合の水和圧曲線に関するもの

いずれも今後の評価や制御において,材料分野の人に貢献できるデータになるものと考えている。応用がちょっと難しいものも含まれているが。

なお,昨年度のものは当方の投稿時原稿をこちらに掲載したので,興味があるかたは見ていただきたい。高炉セメントを用いた場合にマスコンクリートでひび割れが生じやすくなる理由が,自己乾燥による線膨張係数の増大に起因するという発見的論文と,それを制御する手法の一例についての論文が閲覧可能になっている。これらは,昨年度のセメコン論文集のものである。

黄表紙関係では,最近4件の論文が受理された。1月号,2月号に掲載予定。
・アルミネート系水和物の水和反応速度によるもの。
・異なる温度で水和圧曲線の測定を試みたもの。
・乾燥によって,セメント硬化体の体積弾性率,ポアソン比,ヤング率が変化することを詳細に検討したもの。
・ゲルスペース比等の相組成データと,セメントの物理特性とを工学的に関連づけたもの。
などである。

これ以外に,現在,比表面積や吸着等温線などの論文投稿を検討している。

実のところ,以前検討していた熱伝導率の検討は中断している。水分移動が厳密に評価できない点が難しく,データとしては良いものとおもうのだが,(すでにJCIで公表している。)どうも理論の練り具合と実験との対応の完成度が高くならず,もう少し既往文献の調査から再構築している。

一方,懸案となっている異なる温度で測定した水分移動係数については,現在,既往文献との評価などを踏まえ,工学的なモデルに展開しつつある。水分容量との関係で,綺麗に整理できないかとも思っている。

もっとエレガントにとけるはずと思っていた仮説は見事に崩れた。現実はやはりそんなに甘くない。どうも,セメント硬化体の屈曲度とも言うべきパラメータは,相当に難物で,特に水セメント比が0.40を切ると挙動が切り替わる。これは,PowersやBentzが言及していることでもあり,パーコレーションの閾値の話である。これを統一的に評価しようと思った点が,現状の課題の難しさであるが,このあたりは,総空隙の関数として表す形で工学的に整理をして,まずはモデル化しようと考えている。
それなりの解析データを示さねばならないこともあるので,そことの両にらみである。


水和反応モデルは,最近簡易版を黄表紙に投稿した。(エーライトビーライト論文,今度掲載のアルミネート系の論文)。しかし,この後,さらなる簡易版で,パラメータを切り替えて,PLM関係の国際会議論文として投稿した。今後はこれをベースに議論していこうと考えている。未反応核モデルは難しすぎるし,変数が多すぎるので,今後は適宜利用する程度になると思われる。

速度論の表現は,実に多様で,理論が無いので,いかにハンドリングがしやすい工学的モデルに落とし込むか,ということになる。μicでは,もっと難しい理論で水和直後から表現しているが,それでも速度パラメータは3変数以上は必要になっている。
どこのレベルで利用していくか,という点を考えることが重要だが,コンクリート工学として利用するのであれば,全域でそれなりに水和実験を表現して,かつ,少ない変数でやれるものが良いだろう。
モデルの拡張性を踏まえながら,モデル化するという技量は,なかなかに難しい。ドンぴしゃの構成則があれば,それで良いが,現実はそうでもないので,水和関係のモデル化は,いったり,もどったり,になってしまっている。


プライベートでは,諸事情あって,今月末に引っ越しを急遽することになっててんやわんやとなっている。引越屋もさることがら,事務手続きが偉い大変で・・・。プライベートなんて,結局,国が介入したらなくなるんだから,早く,総背番号制にしてもらって,統一番号で一カ所かえたら,全部切り替わるようになってほしいところだ。
子供がもうすぐ2才になるが,勝手にiPadをあやつって,動画を見ているのはびっくりした。おそらく,横にいて使い方を学んだんだと思うが。iPadというのが直感的というのは本当かもしれない。

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