1/14/2018

2年前

2年前の投稿を紹介します。

JCI年次論文が明日〆切です。研究室の論文投稿を原則英語,をかかげてしまったところ,大変なことになってしまいました。自分が言い出しっぺなのでしょうが無いですが,久しぶりに全論文に猛烈に赤を入れまくっています。
投稿は,おそらく4,5編になるんじゃないかとおもいます。また,日本語に留まってしまったものも出てくると思います。
別に英語じゃ無くて良いし,日本人に読んでもらいたいならば,という議論もあるんですが,名大まできたなら,英語で論文を書いたことがある,くらいの経験は積ませた方が良いだろうと思った次第です。日本語のレポートはたくさん書きますしね。
英語化して良かった点がいくつかあります。
・日本の国際的な情報発信を考えたときには足りていない情報が多くてもったいないことがわかる。論文に英語名が無い奴などは大変に損してるし,そういうことじゃいけないということが学生自体が認識する。
・英語で論文を書くと文章が具体的にならざるをえず,何を理解していて何が理解していないのか,自分でも認識できる。日本語は主語がなかったり,ぼかして書くことができますが,英文ではそれらを明確にします。なんとなく理解しているのと,ソリッドに記載するのでは全く別です。うちの研究室はこういうことのトレーニングの一貫として,数値プログラムの勉強をさせるのですが,英語化はそれと同じかそれ以上の効果があります。
日本語で良いというのはまさしくその通りだし,各学会がGoogleとアライアンスを組んで,英語と日本語のつい訳論文を提出すれば,それぞれの分野の過去の論文はすべて英語化できるでしょう。(これはこれで,日本の土建の研究分野が喫緊にとりくまなくてはいけないことだと思います。)
でも,コミュニケーションとして技術を適切に伝えるという意味では,英語で書かせるというのも良いもんだ,ということがよくわかりました。
建築学科は英語化に反対する人も多いですけど,まあ,やってみてもよいんじゃないかと思います


2年前から、同じ気持ちだったわけです。
今年も研究室から投稿される論文は英語を基本としています。そういうのって、やらされないとできない人もいるので。私は、その必要性を理解してもらうのと、無理やりにでも体験してもらうこと自体が、若い世代に大事だと思っています。

で、セメント協会のC-S-H研究委員会やら、昨今の自分のまわりの研究を見渡すと、
1)工学研究(設計的研究)なら、ゴールにいかに早く到達するかが大事。ゴールを設定したなら、最短を目指さなければ大学に大型共同研究を持ってくる意味がなくなる。その観点で、国際的に知見交換ができて、いざとなったら大事なキーパーソンを教えてくれるネットワークは本当に大事。
2)科学的研究(維持管理的研究)なら、国際的に通用する科学技術的基盤をしらなければ、意味がない、少なくとも国費をつかった研究で重複が過去と重複があったら大きな失態。そういう観点でもつねに自分に興味がある内容についてアップデートしてくれる研究連携チームの存在は大事。ただし、研究の追試、二番煎じ、再現性確認は超大事。こんな時代で、一番がもてはやされる時代だからこそ、日本はちゃんと再現性を含めてちゃんと咀嚼して、自分たちの考える第一歩を示していく骨太の科学技術社会をつくって見せていくべき。
科学は、本当に言いっぱなしなところがある。
日本は工学・科学両輪で前にすすめるあり方というのを、土木・建築業界で指し示す、そういったことをSIPでも考えたら良いと思います。

2018年

すいません。フェースブックに関心事を書いていたら、こちらがおろそかになってしまいました。本年もよろしくお願いします。

JCI年次論文が佳境ですね。今年は、博士学生がジャーナル投稿を目指しているのであまり、本数は多くありません。最大で4本かな。いろいろ、議論を生むようなデータはあるんで、今後に繋がる検討になりました。やっぱり、論文を書かないと学生も頭が整理されないし、実験として気づいた新しい発見と実験の当初の目的がずれた場合の整理が大事になることもあって、学生が論文を書いているときはワクワクします。

一方、セメント協会の委員会で取りまとめてきたC-S-H研究会の報告書の見通しが断ってきました。3月に報告会も実施するので興味のある方は是非出席ください。
セメント協会にもありますので、ぜひ、御覧ください。なかなか、大部な報告会です。
この教科書は、すごく良いです。本当に若手のみなさんを中心に我々の知見、留意しなくてはいけないこと、日本で全然チェックされていなかったことなどが、ふんだんに、網羅的に入ってます。もう、各種の査読で、変なことが書いてあったら、こちらをみて勉強してくださいって、かけるくらい。
耐久性研究とか、維持保全関係の研究は、設計フェーズから科学にもとづく将来予測フェーズになるんで、その観点で科学的事実から目をそむけちゃいけないし、宗教的・悪魔観的因習にとらわれてもいけないのです。
日本にセメント化学の研究室が、なくなりつつある今、ぜひ、若い人たちには目を通して欲しいです。

さて、すでに次年度に向けての動きが活発化してきています。名大の建築の中にも新しい風が吹きます。4月からの建築教室には期待です。

研究室的には、日本の学生には国際的な刺激を、また、海外に向けては日本でのアクティビティの高さをアピールする場になるように研究室運営を抜本的に見直しています。
現在、博士学生は7名(うち、留学生4名(中国、チェコ、フランス、タイ))、次年度はこれに海外からポスドク(いずれもフランスの大学出)を2名雇用する予定です。その他にも、名大で研究する社会人が数名検討されています。
卒論、修論の学生は、これらの国際的なアクティビティに大いに影響を受けてもらいたいし、国際感覚をもって卒業してほしいです。

実際の研究では我々が貢献できるところを増やし、建築学がいかに幅広い学問なのかを認識してもらいたいと思っています。
一つは、福島第一の廃炉のためのコンクリート汚染の研究、もう一つは、放射線で変質するコンクリートの研究について、あらたなプロジェクトが開始されました。2017年広範からスタートなので、2018年から本格化します。
後者は、米国のORNL、ノルウェーのIFE、チェコのREZとコラボをします。日本国内でも、いろいろな大学、国の研究機関とコラボの議論を開始しました。

建築のわくを超えた論文が出ると面白いですね。