10/30/2011

原子力発電について

原子力発電に関するスタンス

1.エネルギー需給の観点から
エネルギーの安全を考えるのであれば,エネルギー源は多様化しておいた方が良いと考える。自然エネルギーによる自給率上昇は悲願である一方,多くの課題があるのが実情である。その観点から,原子力発電もエネルギー源の一つとして確保しておくことが望ましいと考える。
たとえば,太陽光発電は,日射時間をとらえた効率が日本の環境ではあまり上がらないということ,電源系回路の耐久性が高くなく,発電パネル以外にも多くの技術開発があるため,採算ラインが低くならないという課題がある。
風力発電については,日本の電源としての風力についてはNEDOが国家プロジェクトとして風況データを網羅したが,欧米のように良い環境があまりないのが実情である。今後は,陸上ではなく,海上に進出する必要があるが,日本の臨海は,すぐに50m以上の水深となってしまうため,ヨーロッパの着底式ではなくて,浮体式で対応する必要がある。しかし,浮体方式に実用化研究は現在までに1例しかないので,今後,日本が率先して技術開発する必要がある。
加えて,日本の特殊事情として漁業権の問題があり,海洋を自由にいじることができない。この問題は,日本古来の文化とも融合していて根深く,私もよくわからないが,すくなくとも海域の開発を阻んでいる問題であることは確かである。
(阻むことが良いのか悪いのかも私には判断できない。)
といったわけで代表的な自然エネルギーについては今後も開発・政治的な問題解決をしなくてはならない問題があるため,一定量の原発の稼働はやむを得ないのではないかと思う。

2.今までの原子力行政について
多くの人間が冷温停止に10年以上の年月がかかるということは理解していなかったのではないかと思う。電気のスイッチのように,スイッチオフにできない,スイッチ切ったら核反応はすぐに停止するといったようなイメージを国民に与えたのは間違いだったと思う。原子力の最大の問題はそこではなかろうか。
たとえば,浜岡原発を某首相が独善的に稼働停止にせよと命令したが,福島を見てそうしたというのであれば,情緒的な判断としか考えられない。
福島の問題は,原子炉および燃料棒貯蔵に関する冷却のための電源喪失が問題だったのであって,地震に対しては原発はすでに稼働を停止していた。
すなわち稼働中であっても,稼働停止中の冷却中であったとしても,電源喪失のダメージはほとんど同じであるので,緊急停止をする必然性が見つからない。
核燃料の冷却ということが理解されていないから,こういったことが進行したのではないか,とも思われる。


3.原子力と建築
福島原発に関わるデータの分析はすんでいないが,制御棒の引き上げを実施し,復水器の稼働をさせることができる程度の建築物の損傷であったと考えられる。
加えて,震度のより高い女川原発においても大きな問題が生じていないことを考えると,原発における建築構造物の責務は果たしたのではないかと考えている。

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/f12np-gaiyou_1.pdf
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E4%BA%8B%E6%95%85#cite_ref-HOAN20110606_10-0
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AE%E7%B5%8C%E7%B7%AF#3.E6.9C.8811.E6.97.A5

もちろん,様々な機器系事故後においても余震を含めた耐震性確保が望まれているのも事実であるし,冷温停止中においても安全性を確保するのが建築構造物の使命である。
はなはだ断片的ではあるが,先人の残しが建築構造物の設計上の技術というのは大きく考えて誤ったものではないと考えられるので,これらを学ぶとともに,今後要求される性能に合致した材料・構造上の問題については,私の貢献が可能なのであれば,行いたいと考えている。

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