1/03/2011

迷走?


温度勾配時の水分移動で,水蒸気勾配で移動すると考えるのか,吸着厚さによって定まる化学ポテンシャルによって移動するかで全然異なる挙動が出てくる。
水蒸気のフラックスと,たとえば,毛管圧のフラックスが逆方向になる場合というのは,温度変化がある場合には多々生じる。
壁の中の結露とか凍結を扱う建築環境・材料分野では,冬期に着目すると,温度勾配と含水率勾配が反対方向の場合,乾燥(含水率が小さい方向)に水分が移動することがよく見かけられているという。

これらは,凝縮水の毛管圧勾配で整理されていて,こういうポテンシャルを評価するためにポテンシャルをTとhにすることが行われている。

土壌のようにもっとポーラスな材料の場合は,水蒸気勾配の影響というのは比較的に大きいらしい。Philip&De Vriesの論文では,液島を水蒸気が駆け抜けるので,水蒸気移動に対して,液状水がバイパスする効果を与えるということを言っている。

一方,セメント硬化体では,この水蒸気移動はあまり多くないのではないかとおもって,そうしたモデル化をすると,先日の水分移動は,全然異なる挙動を示す。
全体的にいえるのは,内部の水和反応による自己乾燥によって,水分が内部に引き込まれる。その結果,表層はものすごく乾燥することになる。面白いのは,中心部は温度が最高温度に達して以降,継続的に水分を引き寄せて,結果として,もっとも保水量が多い状態になった。

まあ,ちょっと感覚的には現実的ではない結果になっていると思う。

もう少し,モデル化について吟味してみたい。

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