1/03/2010

1月3日

午前中に川崎から,名古屋へ私だけ移動。大学に帰ってきて,テストの採点等を終わらす。この後,論文の査読が2編,JCI膨張委員会用の解析,梁試験のプログラムの見直し(ポストピーク以降がどうも間違っていた!),研究室のWEBの刷新のためのプロトタイプ作成等々の作業が入っている。

帰りの新幹線では,新春のPresidentと回折分析の本(丸善の実験化学講座)を読んだ。Presidentの今週号はいろんな人の意見が書かれているもので,もとはとれたかな。回折の本は,基礎的なことが分かりやすく要約されているので,厚いわりにサクサク進む。

私の独学の手法は,ともかく同じテーマの内容のいろんな人の教科書で読み込んで,全体像をつかんでから,大事なディテールから手を動かして詳細を理解していくというものだ。吸着の化学についても,国内で吸着でヒットした一般書は全部購入して目を通した。全体像を理解するようになんども往復していると,直感で数式が理解できるようになる。
不器用というか頭の回転が遅いので,全体像を抑えてからでないとうまく理解ができない。ディテールから積み重ねていても,全体像になかなかたどりつけないのだ。とくに私は数式だけから概念にたどりつくのは苦手で,たとえば5次元以上の代数計算は,とけるけど直観力が働かなくなる。それを補完してくれるのが教科書の往復読みである。
大学の時の友人と比べると遠回りの勉強なんだとわかってはいるのだが・・・。

個人的には熟成というか時間も大事だ。新しい概念が頭の中でしっくりして,自分の応用に利用できるまでに私は他の人より少し時間がかかるようだ。高校の時から,その点は自己認識していて,中間試験に熟成が間に合わなかった。大学入試には間に合ったんだけど。

このことを認識してから,私は本には,無制限にお金を費やすことにした。ともかく,興味をもった分野・内容については,教科書のようなものを購入して一通り目を通して寝かしておく。目次だけの場合もある。そうすると,なんだかよくわからないけれども,頭の底にいつのまにか沈殿していて,気づいたときにひょっこり顔を出す。イスラエルチベリの「分子間力と表面力」なんて,博士1年の時に買った本で収縮の勉強しながら,研究室で寝る前に読んでいた。理解なんて全然できていなかったが,6年たって,収縮理論を着想したときにはフル活用だった。なんだか調子のよいように聞こえるかもしれないけど,大学に入ってから,こういうこと習慣にしておいたことで研究ではずいぶんと役に立っている。

私の本棚は,ジャンルはめちゃくちゃである。コンピュータとか複雑系について修士の時にはかなり読み込んだし,経済とか最適化も結構読んだ。プログラム言語も10以上勉強した。全然関係ないようなことではあるけど,頭に沈殿して,それが枝葉を伸ばして,新しい情報とリンクしていくので,何かわからないけど,役に立つ。情報への対応力が上がっていく。
こういったリンクは指数関数的に増えていくので,若いうちに読んでおくことが重要だ。学生には,分野を問わず乱読してもらいたいものだ。


脱線したけれども,全体像と個別の式の因果関係を理解することは結構大事だ。実験データを評価するときにも理解が格段にあがるし,いろいろなメカニズムを原理的に考えられるようになる。実験の評価において直観力の感度が凄く上がる。また,数値計算の評価もできるようになる,など良いことづくめなので,学生にはぜひ,自分に合った勉強方法を模索してもらいたい。

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