オスロの次は,チューリッヒです。博士課程の五十嵐君が,私のデルフトのときの同僚だったPietro Luraのところに行ったので,分析や測定関係で相談したいことがあったので,スイスのEMPAを訪問しました。
Pietroが最近ETHのProf.になったこととかはしっていたのですが,EMPAでの正しいポジションは良く理解していなかったのだけど,コンクリートセクション全体のマネジャーになっていて,それはそれはすごい昇進具合で度肝を抜かれました。いや,すまん,なめてたよ俺,ってかんじです。
4日に空港で久しぶりの再会を果たし,その後は,チューリッヒで最近有名なベジタリアンのレストランで,カレーを食べました。(なぜにカレー?)
5日は,朝一から,Pietroの所に来ていた交換留学生・博士学生のプレゼンがあって,そのプレゼンを聞いて,そこから所内見学。まあ,建築研究所をイメージすればよいんだけれども,これ,ぜんぶPietroの采配でプロジェクトが動かせるのかと思うと,こりゃあ,スイスすげーことになるぜ,と思いました。
彼は,ある意味すごくコンサバティブな研究者だけど,コラボレーションの達人で,彼自身10カ国語を操れる。非常にフレンドリーで多くの権威の人の間でも研究プロジェクトを成立させるなど,年齢,国に関係無く良いところを引き出す達人です。彼自身が優れた研究者であるからこそできることで,これは,ちょっとすごいことですよ。本当に。
彼にあのポジションを惜しみなく与えたEMPAは,本当に素晴らしい。五十嵐も本当に良い時期にEMPAに行けたものです。機材,財源,人材,すべてがそろっているEMPAは今後も材料研究をリードするでしょう。
というわけで,私なりにいろいろがんばらんとな,と思いつつも,こりゃあ国のあり方の問題でもあり,生半可な形でやっていくのは厳しいなと思いました。集中投資というのはある意味当たり前のことですが,日本ではあれほど大胆にはやれないでしょう。
それが良い面でもあるときもあるのですが・・・。人口減少時期においては,もう少し大胆にやる必要があるかな,と思います。
午後は,私の照射研究の講演を行って,(こじんまりと),その後は,最近お互いがやっている体積変化研究に関する本音のディスカッションを行いました。かれらも別方向で線膨張係数の測定を実施していましたが,ある意味で同じ研究をやっており,まったく同じジャーナルに投稿中であることもわかりました。
まあ,こういうことがオープンに話せて,笑い飛ばせる環境というのはすがすがしいです。
その後,私は,ニュートロンラジオグラフィの後方散乱による定量精度の話題についてアドバイスを行ったり,超音波による損傷探知における密度影響の重要性についてのコメントをしたりして,逆に私は今研究室で体積収縮の測定手法をトレースしているので正直にお願いして,ノウハウを伝授してもらえました。
研究ディスカッションというのはこれくらいディープに踏み込めて,かつ,お互いにメリットがあるというのは理想じゃないかと思います。
というわけで,結構軽く考えていたEMPA訪問ですが,かなりヘビーなディスカッションになって,結局ふらふらになりました。
でも,何にしても研究は楽しくやらなくちゃいけない,っていうのをひしひしと感じました。しばらく,プロジェクト・成果ドリブンなものが多かったのですが,こういう自由な研究を皆で楽しむっていうのは本来あるべき姿だよな,っていう。
研究は楽しいものなんですよみなさん! 競争してライバルであって,でもお互いの成果を話ながら,新しいプロジェクトに夢を馳せる。
この体験を学生のみなさんと共有することが私の楽しみの一つです。
食事関係:
最終日,ドイツ語圏ではあるものの,ラクレットが食べたくて,Pietroの秘書にラクレットを食べられる店を紹介してもらい,3つの内,これがおすすめ!っていわれていった店がラクレットをおいていないという,最後のハプニングは,苦笑せざるを得ませんでした。
おかげさんで,このくそ暑い(スイスは暑かった)中,フォンデュを食べて,よけいふらふらになって帰った次第。
まあ,こういうトラブルは,後になるほど語り草になるので,それはそれで良いのだけどもね。
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