2/03/2013

既存不適格


例年1月から3月は、本当に忙しくて、周りを振り向く余力がなくなるのですが、びっくりすることに今年はすでに1ヶ月たってしまっておりました。恐るべしです。
1月に入って、一つ国の関連のお仕事に呼ばれて、出来る範囲で貢献をしています。

どこの分野でも難しいのですが、既存不適格の問題です。新しい技術があるのですから、安全・安心を確保すべきという観点では、間違いなく最新の知見、技術を用いて基準類は高度化すべきです。
一方で、難しいのは既存不適格で、この不適格が不安を生じさせるからとか、修正ができないからといって、逆に高度化を阻む慣性力が生じます。これは、日本独特の官僚文化によるものなのか、なんなのかわかりませんが、欧米でこういった問題は生じません。
原発の場合の安全強化も同じフレームワークで高度化が阻止されたことが民間の自己調査委員会で指摘されていますが、これはどうも、日本全般に渡って生じているもののようです。





最近では、選挙でのインターネットの利用の問題なども議論されていますが、法律やその解釈が硬直化し、正義かされ、そもそも誰のための何を目的としたかという視点が抜け落ちて、ルール化された慣習が大きな支配力をもってしまっています。

既存不適格の問題は大変に難しいですが、最重要の建物については、やはり利用禁止にするとか、別のものに移し替えるとかそういったことが必要でしょう。逆にいえば、工学として当時の設計限界を当然我々は理解すべきだし、その後の修正についてもコストを見込むべきです。
地震については余裕度を持つように設計することができますが、そもそも想定していない外力に対して余力を持つことはできません。これを修正・補強するには大幅なコストがありますが、重要構造物については、維持管理費と同じく、こういったものも予算化して計上・ストックすべきです。
逆に、国の予算はこういったものこそ、基金化すべきであるし、民間については安全向上に関する対応予算については、ある種の建物については経費として認める必要があります。その建物が利益を生むのであれば、税金の一部は基金に回すべきではないかと思われます。こうした、安全確保自体の国全体の枠組みの議論は、局所論ばかりの現在、議論されていないように思います。

建築基準法だけでなく、多くの安全に関する基準でこういった問題が生じます。広く言えば、アスベストや農薬、その他についてもこうした問題がつきまとっています。
つたない意見ですが、どこかで、こうした問題をいかに国の良い方向へとつなげていくかという議論が行われることを望みます。

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