3/04/2012

近況 その1

結局、2月は2件だけだった。こまめにかけなくなっちゃったな。


修論発表会後は、いくつかのプロジェクトの報告書へ向けての活動。一部は今書いている現在でも継続しているものもある。いずれもかなりのボリュームのタスクだったけれども、学生さんたちにサポートしてもらった。多謝。
近年、責任のあるプロジェクトを引き受けさせていただけるようになってきたのだが、その規模が大きくなるほど、末端までのコントロール力が問われているようになる。目標までのプロセス・ステップを切り分け、各プレーヤーにゴールを設定して、進捗状況に合わせてゴールを変更して、落としていくというのは、プロジェクトが大きくなるほど片腕となってくれる人材の数が必要になる。逆に言うと、大学では片腕となってくれる人の数以上にはプロジェクト数を増やすことができない。

ということを考えると人材の育成と確保というのは、大学でプロジェクトを遂行する上でも重要な課題である。


さて、数あるプロジェクトの中でも出口の高度さという観点でいえば、某プロジェクトのハードルは結構高い。要は、(簡単にいいすぎると不適切かもしれないが)、建築物に求められる機能についてどれだけのパフォーマンスをもっているか、を吐き出せっていうことと考えられる。
現状の建築分野における設計では、想定外力に対してある程度の余裕度をもって作ることで安全と考えようとしているわけだが、設計における条件と建物の性能、という点に少し乖離があるようだ。もちろん、住宅性能表示における耐震等級みたいなものはあるんだけれど。

(すでに気づかれて研究をされている先達がいることは十分承知の上で・・)
一般建築物については人命保護を第一目的としていたために、それ以上のパフォーマンスについて踏み込むような検討はやや希薄だった。あるいはやってはいるんだけど、その先の具体像をつくって共有して、社会的にフィードバックすることをやってこなかった、ということかもしれない。
損傷評価も、破壊モードの同定も、完全ではないわけで。その先のことをどうこう、というのは、たとえばRCのことを知れば知るほどやや無謀のようにも思えるので、強い要求がなければ、自然と避けてしまうのは無理も無いように思う。

一方で、今回の震災で、新耐震の建物が壊れず、むしろ、その後の継続的な建築内の経済活動についての評価が世論として求めらるようになっていることを考えると、建築構造-構法-材料分野は、天井落下とか雑壁のキレツとか、そういったものにも目を向けて機能維持に対するパフォーマンスを評価する枠組みを検討していかねばなるまい。
今現在、個別に取り組みを行っているわけではあるが、建築物としての階層構造の中で、これらの機能保持からどのように設計を体系づけるかという問題は、今後の一つの大きなテーマだと思う。そこまで要求される建物がどれだけ増えるか、というのは別として。

結局、天井にしても壁にしても、あるいは別の内外装材にしても、人の安全という観点からは一緒の尺度で考えるべきものであるから、部材で区切るというよりは建物として考えるということは、本来あるべきことだ。
考え方自体は建築研究所の性能総プロのときに議論は相当にされているし、今も多くの研究者に理想的な漠然とした像は共有されているけれども、あまたある部材をどのように落としていくかというとなると、棚上げされた状態にあると言える。

建築材料の人は、一度、設計に立ち戻って自分の立ち位置と細分化された建築の諸分野の人とどう連携して何を出力するか、という見直しを行った方がよいと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿