8/15/2015

2015年8月上旬のメモ

・名工大/NIPPO/飯島建築事務所との共同研究は,若材齢のスラブの挙動に関するものです。一部は,東海支部で今年発表されているように,通常の施工プロセスでどんなことが起きているのか,品質はどうやって確保するのかというような極めて普遍的な問題を扱っています。今回,酷暑日の7月28日に打込み(名古屋では最高38℃)を行なって,その時の部材内部の湿度分布や強度分布,長さ変化について測定するということを酒井田くんがやっています。試行錯誤な研究で,予備実験無しの検討は結構しびれるものがありますが,大分,挙動は採れ始めているという報告があるので,楽しみにしています。

・関連して,昨年度の基準法整備事業のS16に加えてもらったのは,非常に知見が広がりました。データは,まだ取得中のものもあると伺っていますが,示されたデータと解析による強度予測は大分良い一致を示しています。これらは,論文化すると海外においても,構造体コンクリート強度という日本特有の概念を知ってもらう上で良いんじゃないかと考えています。

・湿度測定は,Azenha博士がACTに良い記事を書かれていたのですが,SHT75はやはり,ドリフトして問題が大きい。特に若材齢は。センサが死んでしまいデータが取れないことも多く,かなり試行錯誤してもうまく行きません。Azenhaさんに聞いても,やはりその点はむにょむにょ,っていう状況。若材齢コンの湿度測定という観点では難しいというのが当研究室の見解です。

・8月5日は名古屋でのJASS5の講習会でした。特殊コンの方で発表させてもらいました。JASS5は,解説や関連の告示を読んでおかないと理解できない部分が多いです。特に構造体コンクリート強度についての取り組みは,基準法での解釈とそれを踏まえた上でのJASS5としての取り組みが示されていて,しかも裏には阪神大震災があったからこうした方がというようなざっくばらんな話まであって,全体像を理解しているのは数人しかいないようです。
ルールを守るための最低限のはなしと,過去の来歴を含めた整理(桝田先生が素晴らしい解説を各所に書かれていますが)は少し区分して書いた方がよいのかもしれません。一冊の良さもあるんですけど。
割りきって記載っていうのが今後,各節で必要とされるんじゃないでしょうか。

・7日は,大学のオープンキャンパスでした。私は今回担当ではないので,客観的に見られました。建築教室は,大分疲弊していて,もはや頑張ているものの客を見ていない状況にあります。せっかく,期待してきた学生にたいして悪評を持って帰らせるようなら,やらずに秘密のベースに隠した方がよいのではと。これは,もはや,誰の責任というわけでもなく構造疲労のようなもので,戦略として工学部と掛け合ったほうが良いです。
人数をすごく絞って,頑張れる研究室だけでやる,というのも良いと思います。ファンをつくるというのがどういうことか,先を見せるというのがどういうこととかけ離れたことをやってしまっています。

外に出て見てみて,初めて理解しました。これは辛いです。

・10日,午前に博士学生の公聴会を行いました。スラグセメントと膨張材の話です。研究科長(地球惑星系)がふらりとこられていろいろ質問をしていただき,思ったよりも盛り上がりました。広大の寺本先生にも,質問してもらいました。回答はいろいろ思うところがありますが,質問は非常に適切なものだったと思います。ディテールだけじゃない,全体像を理解する,関連分野については全て答えられるというのが博士として大事なことだと思います。

・10日午後は,チェコ工科大のPetr Stemberk 先生と今後のコラボレーションについて打合せをしました。今回は,来名していただき,研究室の実験設備などを見ていただきました。洋上プラント関係,原子力関係,その他いろんなことでコラボができそうということで,博士を共通に教育していく方法などについても議論しました。良い所をつかってコラボ,というのがスピードの上でも大事です。国内で,あるいは自分の研究室内でゼロから,というのは国内ではどこかがやらないといけないですが,道ができればあとは枝葉になるのでそれに統合化していく,というのが大事なところです。大きくなったら,分家として独立してもらって競争する,そうやって多層化,多重化しつつ層を厚くしていくことが大事じゃないかと思います。

・11日は,夕方にパリ東大学とラファージュとテレカンファレンス。大分,フランス系英語にもなれてきましたが,高分子と物質の相互作用とか難しい話になるとなにがなんだかわかりません。まず,単語がちゃんと聞き取れてない。アセチレンなのかエチレンなのか・・・。
でも,まあ,無事新しい学生も見つかって,10月からパリ東大学と二者で学生を教育して博士を取らせたいと思います。研究の着眼点,ポイントも大分議論できつつあるので,実験の抑え方なども含めて計画が練れてきいます。

・12日,終日論文書き。+事務書類一式。返信していないメールが沢山ありました。すみません。思い腰をあげてやっと,文章を書き始めました。論文は少し距離をあけると本当に手が進みません。一日1,2時間と自分で言っていても,忙しさや疲れにかまけて距離をあけちゃうと本当にもどってこれない。つらい1日でしたが,なんとかモードが戻ってきました。年末までに3本ほどは書き上げたいと思います。




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