今年は,D学生1名,M学生2名,B学生1名が卒業することになりました。コンクリート研として,私共は,学生が自分が成長できたと感じられる教育,研究プロジェクトをどれだけ提供できたか,をこのタイミングで振り返ることができます。幸いなことに,最近は,周りの協力をお申し出いただいている方々のおかげで,材料・構造に関わる,おそらくもっとも困難な研究のいくつかに携わらせていただくことができ,学生もそれに関わることができています。
また,研究設備ももっとも,(マニアックな方向ではありますが)整いつつあり,疑問に思った様々な事柄を明らかにすることができる環境もそろいつつあります。
ただ,こういったインフラは,結局中の人がどうなっているか,というのが大事なので,中の人が使いこなさなければただのゴミです。
今年卒業した各学生は,ツールとして環境を使いこなすこと以上に,人として周囲の人間にインパクトを与えられる人間でした。
大学教育をやっていると感じますが,結局,その人のエンジンというか,成長ポテンシャルというのは大学に入る前にきまっているように思います。好奇心,努力,忍耐,社会性,リーダーシップ,研究室で開花するタイミングを提供はできますが,いずれも研究室に入る前にあらかた決まっているようです。
私達が何かを与えるとか,育てるというのは専門技術については多少はあるかもしれませんが,そんなものは生きる力としては大したことではありません。なにしろ,それで一生食べることなんてできませんから。
ツールを組み上げて何をなすか,どの問題と取り組むか,制約条件の中でゴールに近づくにはどんな手法あるかを素早くイメージできるか,というようなことが大事なわけで,そういう場を見せたり,私がその実践をやってみせたりするということが,学生の中の何らかのきっかけになる,というだけのことです。
名大の学生は優秀ですが,なんにしても,今年卒業していった学生さんと1年から数年,一緒に同じ課題に向き合って,いろいろやれたことは特に楽しい時間でした。特に,それぞれがそれぞれの自分と向き合って,自分の能力を信じることができ,自分のちからが素晴らしいものであることに気づき,自分で自分の将来を切り開くことができるという一連のステップを小さいながらも体験するということを共有したことが,本当に楽しい時間でした。
同じ苦労を共にし,同じ目的を持った人たちと酒を飲むのは大変に楽しいものですよね。結局はそういうことなんじゃないかと思います。
彼らが引き続き,尊敬できる先輩に巡りあい,信頼できる同輩とともに楽しい時間を過ごせることを心から祈っています。
私は,いままでの経験を胸に,今後出会うはずの学生に対して,さらに楽しい空間が提供できるように努力したいと思います。
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