9/23/2013

イタリア出張 その2

震災に関連するものでは,組積造のモニタリングなどに参加させてもらい,ああだこうだと議論してきた。フィールドでの議論は,その場で頭のフル回転させること,その場に多種多様な人の考え方があることで,本当に勉強になる。

イタリアの調査チームは,構造,RC,材料で,それらの分野もかなり広い領域で網羅されているので,補完関係にあって,非常に良く出来たチームだと思う。いつも,勉強させてもらっている。

さて,イタリア調査の後半では,ベネチアのブラーノの塔屋およびそこでのレンガの劣化について調査した。ブラーノには地震がわるわけではなく,人工地盤の上の塔がただ傾いて,それは進行しているのか,あるいは修正の必要があるのかどうかを議論する課題だが,それとともに沿岸部にある構造物なのでさまざまな劣化をみて,材料的にそれを勉強しようというものである。



研究,といいたいところだが,そもそも,ベネチア大学をはじめ,多くのイタリアの大学ではレンガの劣化について研究が進んでいる。着目している塩類風化についても,Salt weatheringで多くの論文が出されており,私の場合はまだまだ。

岩石学的にみた劣化は,さらに広範に研究されているが,レンガのそれはあまり体系だってはいないようだ。なので,ちょっと踏み込んでみてもよいかもしれない。
ブラーノ島内などを調査しても,レンガの風化はいくつかのタイプがある。だいたい3つくらい。
低温の硫酸塩や,乾湿繰り返しなどに着目したモデルで整理していきたいと考えている。目地の成分も重要なファクターだろう。

アユタヤは,低温になるとは思えないので,畑中先生のやっている塩類風化についてもインタビューしてみたい。

一方,今回,ドリリングして高さ方向の含水率(正確には電気伝導度)を測定してみたが,非常に面白いというか不思議な結果になった。当初予定していた分布と異なっていたので,大変おもしろいと考えている。面内の劣化の分布を予測するには,こうした挙動も評価できると良さそうだ。

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