現在,海外出張中です。少し時間ができたので。
1.院試
院子が無事終わりました。学生さんもみなうまくいったようで一安心です。これから卒論に向けて気合を入れていこうと思います。前期に,いくつかあたりをつける実験をやりましたが,いずれもちょっとうまくいっていません。やり方がわるいのか,それとも取り組む課題がよくないのかの判別が難しく,なかなか大きな問題でこのあたりは指導者の力量が問われていると思うのですが,判断に苦しんでます。合わせて別の方向性も同時に踏んでいき,どっちに転んでも良いようにするのがベストでしょう。
2.セメント若手の会
今年,初めてセメント若手の会に参加させていただきました。非常に興味深いお話をさせていただき,勉強になりました。セメント化学をやられている皆さんと話ができるのは非常に刺激になります。博士学生のI君も参加しましたが,ともに刺激を受けたようです。合宿形式というのは,やはり良いですね。途中N先生が変えられてしまったのは,大変残念でした。
3.AIJ大会
AIJの大会もセメント若手の会の前にありました。私は今年ははじめて構造のセッションで発表させていただきました。超高強度のところのせん断について,骨材のかみ合いの話で質問をうけて,ちょっと満足のいく回答ができなかったのは反省点です。そもそも骨材のかみ合いを考えていなかったというのもあるのですが。膨張委員会のシンポでは,もう少しこのあたりを説明したいと思います。
その他,窯業系サイディング等のセッションにも参加しました。ALCなどの研究分野と比較するとあまりメーカーの研究的なデータの蓄積が少ない感じを受けました。成分を明らかにできないのかもしれないですが,ある程度化学的な分析を網羅的にやったほうがよさそうだな,と思いました。無機系の研究者の人は関わっていないのでしょうか。
AIJ大会を学生の発表の場にするのは体験として良いと思いますが,いくらなんでも論文になっていないものを学生に発表させるのはいかがなものかと思うものがいくつかありました。既往の研究についても調査していないし,実験は失敗しているし,いくらなんでもひどすぎるかと。学生がかわいそうに思いました。それでも,責任は発表者にあるわけですが。
あのデータを引用して指針類が書かれるようになったら,建築学会の信用も揺らぎかねないと思います。
姉歯以降の問題として,建築業界に自浄能力が問われているわけですから,そのあたりはきちんとしていきたいところです。
4.海外出張
現在,海外出張中です。先日までリヨンにいました。ラファージュの中央研究所で研究発表を丸1日やってきて,かなり刺激的な一日でした。研究ディレクターの方3名もいらっしゃり,かなり値踏みされた観があります。
収縮・線膨張関係の研究については,課題は多いけども面白いアプローチだね,というような感じでした。高分子や界面化学の方などにも聞いていただき,かなり込み入ったディスカッションをさせてもらいました。今後の課題としていくつかが明確になりましたが,本気でやるにはちょっと予算がたりないな・・・,という感じです。
最近やっている(といっても外には発表してなかったのですが・・・)部材内部の性能予測については,かなり評価をしてもらえたようです。私自身は,モデリングで実務に反映させることについては,現場を与えてもらっていなかったので少し遊びのようになってしまっていた観がありましたが,ここ数年,原子力発電所などの特殊施設についての場を与えられ,モデリングについて真剣に考え始めたところだったので,非常にうれしかったです。
その他,いくつか研究室でここ半年くらいで出てきたデータなどについてもディスカッションしました。ヨーロッパで取り組んでいる人がいないテーマなので,非常に興味を持ってもらいました。JCIではそのうちいくつかは発表できたら良いなと考えています。直接黄表紙に投稿してしまうこともあるかもしれませんが。
どの分野にも,ドンぴしゃの厳しい質問をくれる人がいる環境というのは素晴らしいと思いました。こういった武者修行を他でもやった方がよいなと感じました。
最近の国際会議では,じっくりトーンを合わせてディスカッションできるテーマが少なくなっていた(最近だとICCCはもちろん素晴らしかったですが)ので,戦略を考えたいところです。
直接本人のところにいくのが一番よさそうですね。
それと,やはり共通概念・言語として熱力学についてさらに深く勉強する必要があると感じました。40までには,熱力学,界面化学の教科書をもっと読み込むことを心に決めました。さらっとよむのではなく,血肉になるようにノートを取りながら,という時間をなんとしても取ろうと思います。
5.現在
で,現在はベニスにいます。昨年ラクイラにいったのですが,今年は上の件があったのでラクイラにはいけずベニスで調査団に合流します。今日はちょうどスポットの空きだったので,あらかじめ予定していましたが,カステロベッキオにいって補修事例を調査してきました。ま,調査といっても,建物の在り方を見てきたということなんですが。
やっぱり,スカルパは良いですねえ。職人って感じがします。日本だと谷口吉生になるんですかねえ。写真は次に掲載します。
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