1/08/2007

Newsweek 1/3・10

要約及びコメント

石油が枯渇されるといわれて,はや数十年経つがいまだ枯渇の兆しはない。新たな油田の開発,油田探索技術の向上,石油くみ上げ技術の高度化,といったことがその要因である。

技術の向上を織り込んで将来予測を行うことは難しいが,安易な悲観論に流れるのも彩が無い。

ネガティブな不確定要素だけでなく,こういったポジティブな不確定要素もあるので,不確定要素を戦略に組み込む技術は今後も引き続きホットな話題だろう。簡単なものであれば,シナリオ相関モデルなどで,シナリオを複数用意するというのもありだ。

一方,産業的な意味ではなく,政治的な意味で資源は大事になった。ロシアに代表される資源ナショナリズムの台頭に対して,日本が直面する課題は大きくなるだろう。省エネだけでなく,資源代替も今後考えていく必要がある。

経済の安定的成長に関して社会基盤の管理は重要であり,それが小コストにすることは国防上も重要である。

政治の愚行による人材の損失(私の同級生で日本国籍を捨てた人間が二人いる。),安価な労働力を求めた工場の移転(これによって技術の輸出,ノウハウ獲得のチャンスが低減)が引き続きおこっている。

中国の奴隷制度に代表される企業誘致戦略に西洋諸国は安易に与してしまったが,今後は,労働力が高いとしても自国内で生産することの重要性が再認識されるだろう。

p.48 産油国に対して核の抑止力が失われたという指摘は素晴らしい。経済的依存度の方が,核の抑止力よりも強くなるということは,今後日本の政治方針の基軸とすべきだと思う。

最後に,石油高騰によって,代替エネルギー開発のチャンスが大幅に増えたことを研究者は,あるいみで喜ばないといけない。つまり,代替エネルギーは,多少高くても使用される見込みが出てきた。バイオマスも,石炭を液状化する技術も今後は実用化されるだろう。

建設市場は,多くの材の生産に石油が使われているため,縮小されることはわきまえておかなくてはならない。

キーワード
ヒューチャージェン:アメリカ主導のプロジェクト 石炭火力発電所の二酸化炭素を大気中に放出せず,回収し,地下に永久に閉じこめる技術を内包するもの。イリノイ州かテキサス州でプラント稼動予定。地下汚染に関しての指摘がある。

ダドリー・ハーシュバック:ハーバードのノーベル化学賞受賞者。「恐竜を煮込んで,シダを水に浸し,地表面近くで長い時間をかけて比較的低い温度と圧力を保ち続ける」と石油ができることを証明した。なお,石油には化石燃料ではないという指摘もある。


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