7/02/2015

近況

きづいたら2ヶ月放置でした。ぎりぎりのラインで生活しています。残念ながら、具体的なアウトプットがなくて、時々いらいらします。

5月はなにがありましたかねぇ・・・。
セメギがありました。セメギでは、1件、収縮低減剤の研究についてプレゼンしました。従来型の収縮低減剤には二つの低減要素があり、いままでそれがぐちゃぐちゃに議論されていたのが、収縮メカニズムをはじめ、議論が収斂しない原因だったことを説明しました。見られていた人はあまりいなかったかもしれませんが、あのプレゼンには、セメントを改善する非常にクリティカルな内容が示されていました。今後、数年はそれに関する研究を粛々と進める予定です。

5月11日、セメギの前日には、土木学会の3種委員会の場で、好きにしゃべらせてもらいました。芝浦工大は初めて伺いましたが、大変きれいな大学でした。C-S-Hの研究は、特に日本は科学的背景の無い黒魔術みたいな研究が一部にあるので、どうしたものかと思います。研究の多様性を担保することは大事ですが、科学的でなく、イメージ先行の研究がはびこって、特に日本のようなたこつぼかした中で、エライ先生がそういうことをすると、10年以上、変な宗教が残ることになるので、私は嫌です。そういうことが内容に英語で論文を投稿して、ちゃんとした査読をうけて議論をするということが大事だと思います。

このちゃんとした査読、というのもくせ者で日本では揚げ足をとることが査読みたいになっていて、それも困ります。議論のポイントで何が矛盾しているか、何が過去の論文と対立していて、議論の正当性はどこか、が明解になれば論文はそれで良いと思います。

日本は、議論がケンカになってしまうところも困ったところで、研究の否定が人格の否定と取られるのは本当の困ります。といっても、これは、質問者(私自身)の資質の問題もあるのかもしれないので、それはそれで反省点は多いです。

5月15日は、原子力発電所施設の視察に行ってきました。世界では、廃炉された原子炉施設から、材料の劣化を評価して、今後の経年対策や維持管理、設計に反映させる研究がもりあがっております。日本もそのような研究が粛々と始められようとしています。コンクリートについても、非常に大事な研究であり、一般構造物に展開できる基盤研究として、是非展開できれば、と思っています。

5月18日の週は、共同研究先との打合せが4つあり、それぞれ今年度の目標を明らかにしました。論文化するもの、材料開発のターゲットを設定したもの、さまざまです。昨年、もうパンクするといっていたのに、どうしても断れず大型のプロジェクトを引き受けたのもあって、本当にぎりぎりラインで進めています。

5月25日、学内の廃棄物講習会に出席してきました。学内のトラブル、安全講習で非常に勉強になりました。安全に関する講習は時々出て行かないと気持ちがたるむので、研究室運営上は非常に重要なイベントと位置づけています。年1回はなにかしらに出席したいです。

5月30日 大阪で、チェコ工科大の先生と研究の打合せをしました。原子力の放射線影響の委員会で一緒になった先生ですが、横浜国大を出られていてさまざまな議論ができるので非常に楽しい相手です。今後とも、いろいろできたらよいと思っています。

5月31日~3日 オスロー、フィンランドに行ってきました。照射していたコンクリートサンプルがトラブルを起こし、大事件になりましたが、サンプルはなんとかなりそう、ということになっています。フィンランドでは,同じような実験をしている研究チームと打ち合わせしました。なかなか興味深いデータ交換でした。





4/29/2015

近況

研究近況。

1)今年度は,国プロの責任的な奴が2?,下につくのが3です。その他に,メーカーさんとの研究が5,ゼネコンさんとの研究が3,科研の基盤Bが2,海外基盤研究が1,萌芽が1,という状況。ちょっと多いです。今年度,ケリをつけないといけないのが2,あります。

2)収縮低減剤のメカニズムについては,セメギで速報的なものを出しましたが,従来のメカニズム以外で,今後,なにを研究しなくてはいけないかが明確になりました。とりあえず,ここまでの成果については,国内と国外の友人と議論して,CCRに投稿しました。今後,この研究については,フランス側のチームと一緒に研究することになりそうです。

3)収縮の小さい石灰石を用いた時に,拘束下のコンクリートでなにゆえ,可視的なひび割れの発生が抑制されるかについて,実験と解析の両面から,示すことができました。こちらについても,Native Checkを受けていて,出来上がり次第投稿しようと考えています。今後は,やっぱり,遷移帯の研究ですね。施工と材料性能の関係,今一度,整理していきたいと思います。

4)1H-NMRについては,現在,ペースト,トバモライト,モンモリロナイト,Vycorグラス,などをさまざまに調湿して測定を実施しています。T2緩和時間の挙動を比較していますが,おおよそ,シグナルに帰属やその状態がなにかが理解できるようになりました。なぜか,セメント分野では,緩和時間のダイレクトデータが示されている文献が少なくて,その上,CONTINの結果も横軸がログスケールだったりしているので,わからないことが多いです。McDonald博士らのチームの研究でも,いくつか,微妙,というかこのデータになっているはずだけど,こんな結論だせるのかな,と思います。
一例をいえば,Portlanditeは極性が大きすぎるので,きれいな減衰カーブになりません。そのため,十分水和した普通や早強のペーストで,乾燥を大きくしていくと,減衰カーブに極性の影響のカーブが重畳して,適切な処理ができない場合があります。こういったことがあまり記載されていないのは,フェアじゃないんじゃないかと思います。Portlanditeの研究は,案外,世の中のセメント化学の研究者がフォーカスしていないのですが,最近,非常にいろんな物性に聞いてくることがわかりました。Portlandite大事だよ,ってメールしたら論文が帰ってきて,Portlanditeのさまざまな結晶成長について,すでにモデリングとメカニズムの解明が終わっている,ということを教えてもらいました。いやあ,さすがです。フランス。目の付け所も本当に素晴らしい。私が勉強不足,というのもあると思うんですが。

5)SAXSは,大分,整理できてきましたが,広角側のピークが何に帰属しているかというのがわからない部分があります。よくよく見てみると,USAX,SAXS,WSAXSをちゃんと連結してワイドレンジで帰属を評価している論文は,Allenらも含めてありません。超小角でPortlanditeの最小結晶寸法との比較を議論しているところまではよいのですが・・・。なんか,Artifactの結果があるような気がします。この点をちゃんと書ききらないと論文投稿には辿り着かないのですが,5月中にはこの辺りをきっちり書いていけたら,と思います。結構小さいサイズのなにかが存在するんですよね。

6)今年度は少し構造部材性能まで踏み込んだ研究について,力を入れていこうと考えています。科研のテーマも,乾燥と構造体影響ですし,ASR関係の進展評価と部材性能の関係も興味深いです。規制庁事業で関わっていることもあり,このあたりを整理していこうと考えています。
解析については,少しFEMから離れて,RBSMを頑張っていこうと思います。









4/19/2015

客観性について

研究室にも留学生が増えてきました。名大自体の留学生が増えているので,ある意味当然の流れだと思います。AIIBの問題や領土問題を始めとして,日々ニュースに出てきますが,日本のメディアの偏向報道はひどいので,CNNやBBCやその他のニュース(それだって偏ってて,トーンはいつも同じなんだけど)を少しだけかじって,スタンスの補正をしています。留学生は,日本で勉強してみたいと思ってくれている大事な人ですから,偏向報道に基づいて変なトラブルがおきてはいけないと強く思います。
日本の報道ばかりを当然と思っていると,知らずに相手の気分を害したり,世界的な常識から外れることも増えてきます。地下鉄の中吊りに,隣国の悪口を平気で書く国はまともな国と言えるでしょうか。
たとえば,日本語のわかる米国の友人を東京で案内して,電車にのったらものすごく恥ずかしく思います。
個人的に思うことと,世間的に思うことはもう少し,わけてかんがえられないのか,とも思います。

視点を多重化するために,あるいは,日本の立場,相手の立場を理解するためにも理解になりそうなのが,以下の本です。

日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫) 文庫
岡田 英弘

橘玲の中国私論 ダイヤモンド社
橘 玲

前者は,以前にも紹介したことがあると思いますが,日本史を学ぶにしても,アジア史全体で理解しなくてはいけない,ということが大変によく分かる本です。日本史が日本という領土の中だけで閉じてよいわけがなく,そもそもどういった事情で日本が誕生したのかもまで,掘り下げて記載されている良書です。非常の科学的にかかれていて納得できるものです。

後者は,最近出版されたものですが,中国に行ってきた多くの研究者が,あのゴーストタウンの量は半端ではなく,あれで良いわけがないという感想を聞かせてくれます。また,投資関係の知り合いは,中国のバブルは崩壊間近という議論とそうではないかもしれない,という議論で二分しています。どんなものか想像もできなかったし,それがどういった状況にあるのか,といことについて事実とともにわかる本がないかと思っていた時に出てきた本でした。(こういうように世界の状況が日本語で手に入る国,というのは本当に素晴らしい。)
結果として,ゴーストタウンのもとにまで戻って,中国の状況を非常に具体的に記載してくれているのがこの本です。歴史書とならべてなんなんだ,とも思われるかもしれませんが,この本のわかりやすさは,群を抜いています。当然,端折ることの怖さを横に置くべきとは思いますが,ずいぶんと私は目が開かされました。

4/17/2015

英語

最近,とみに英語を使う場面が増えてきているのだけれども,ブロークンでなんとかなっているものの,コミュニケーションがあんまりだとも自分で理解しているので,てこ入れすることにしました。

三省堂に行ってみてわかりましたが,諸外国の教育プログラム用の教科書も,かなり,充実していて,日本語に翻訳されているものも増えていました。オランダに行ったときにトレーニング用に推薦されたOxwordの教科書をはじめとして,結構,当時は先進的だなというものもたくさん並んでいました。

昔,駿台の英文700選というのがあって,1週間くらいで盲腸の入院中に暗記したことがありましたが,結局,暗記だけだと暗記にとらわれてあまり使えなかった覚えがあります。私の学習履歴は極めてシンプルで,今思い出すと貧相なことしかしていなかったですし,本当に勉強というものがどういうものかがわかったのは,高校3年生の1月以降で,それまではなにをやるべきなのかの本筋がわかっていませんでした。

で,英語の話にもどすと,中学3年生レベルの1行英作文でも,瞬間に出てくれば十分会話は成り立つんですよね。難しい熟語とか変な言い回しはほとんど必要無くて。あとは,単語数の問題ですから。
そういうわけで,日本の中学3年生,あちらの小学レベルの単文を瞬間的に英訳することをやりたいな,と思って本屋にいったら,そういうものが米国の教科書としても,日本の学習書としてもたくさんあるのでびっくりしました。結局,そういうことが重要だと言うことになっているんでしょう。
というわけで,面白そうなのを数冊買って,朝か夜寝る前に数ページ,音読して英作文をするっていうまるで高校生のような生活を初めて見ました。ジョギングと英語,健康的です。

Theイングリッシュ300 っていうのは良さそうです。


一方,英語論文の執筆については,相変わらず,冠詞がネイティブチェックではひっかかっているし,決めの言い回しは難しいし,ということで良質な英文をゆっくり読みたいな,と思って本屋の棚をみてあるいたんですが,決め手に欠きました。よく考えたら東大の時の教養の教科書が,なんか良さそうだったな,ということを思い出しました。結構,印象深かったので家にも残していたのですが,やっぱり,格調高い英語がならんでいましたので,これをもう一度,ゆっくり読もう,ということにしました。

良質な教科書を作る,というのは教える側に立つと重要なことがよくわかります。学習する側も自分の癖とか習慣を理解した上で,自分向けの形に作り込む必要があるわけなので,万人向け,っていうのは無いのかもしれません。
でも,模範となるなにかを示す,というそういった教科書は,最近少し減っちゃいましたね。誰にでもわかる,とか,わかりやすい,とか。
確かに,私の記憶にも線形代数のカーネルの意義だとか,全微分と偏微分の違いだとか,理解した後に,もっと簡単に説明してくれたらよかったのに,というものがたくさんあったように思います。でも,そればっかりでよいか,というのもちょっと違うかなとも思ってきました。

簡単なことをあえて難しく言う必要はありませんが,正しいことをより厳密に伝えたかったんだろう,ということも今ではわかります。私は,そんなにきちっとした正確ではないですし,数式も使えればよい,とくらいに考えて取り組んでいることが多いので,厳密な話は正直いって苦手なんですが,でも,それはそれで,模範という意味ではやっぱり大事なんだろう,と思います。

こういうのって,本当にしばらく考えたりしなかったんですよ。頭がすごく小さい領域にいたような気がします。


3/03/2015

年度末

12月からつづいていた怒涛の3ヶ月がなんとか着陸しそうです.
大学の一大イベントである入試関係も(おそらくは・・・)無事にすみそうですし,卒論,修論も無事終わり,国プロや受託研究,共同研究の報告書もおおよそ終わりました.(まだ,2件おわっていないものがあります.)

大型予算のものはすべて終わって,少し気が楽になりました.今年は,博士の学生もいなかったので,髪の毛全部抜けるかとおもうかのようのな事態が2回くらいありましたが,卒論生も修論生も協力してくれて,なんとか乗り切れました.

3月は例年,その年度の研究について頭を整理し,次年度の研究体系をイメージするとともに,論文を記載する時期となっているはずなのですが,次年度の研究の種まきや骨格づくり,仕込みに忙しくて,あまり,ゆっくりできていません.

3月に入って,いきなり出張が続くなど,ちょっと慌ただしい時間が続いています.ちょっと落ち着かないといけないな,と思います.

1/31/2015

研究近況

・セメントのC-S-Hについては,現在,1つCCRに投稿中で審査待ちです。C-S-Hの層状構造の特徴的な点を議論しており,査読が通ったらこちらで内容を紹介したいと思います。
現在は,この仮説にのっとりながら,セメントペーストの収縮メカニズムについて,さらに深く議論しています。JACTの2010年に発表した論文は,結果として,処女乾燥下においてコロイド的変質が生じるプロセスの非回復成分の収縮は,統計的吸着厚さで評価できる,というように解釈できますが,現在は,回復・リバーシブルの収縮ひずみについての検討を進めています。

Feldman博士らと,今は,Beaudoin博士らのチーム,あるいはSetzer先生らのチームが,長さ変化等温線について,さまざまに報告しています。しかし,いまだかつて,セメントペーストの長さ変化等温線で,湿度の往復で完全にリバーシブルなデータを取得した人はいません。

これがまた,セメントペーストの収縮メカニズムを議論できない理由と我々は考えていますが,ここ2年くらいの研究で,やっと,リバーシブルな長さ変化等温線を取ることができるようになりました。
ここ1,2年でこのデータをベースに,適切な長さ変化メカニズムについて議論していきたいと思っています。

・一方,多孔体の研究もすすめており,最近は,サンプル提供いただいてVycorグラスの長さ変化等温線を測定しています。20℃ではほとんどリバーシブルなデータを取得できる条件を明らかにしましたが,40℃ではリバーシブルになりません。高湿度域の挙動は,かなり不安定な挙動であり,これに依存して長さ変化等温線の残差が生じてしまいます。(その他の挙動は再現性がある。)
この点について,今,実験条件とメカニズムの両面で詰めています。

・収縮低減剤の作用メカニズムも相当に細かいところまで見えてきました。セメギでは,その一部を発表しようかと考えています。

1月末

昨日は,卒論発表会がありまして,無事,研究室の学生3名も発表を終えました。1年の研究成果のはずですが,人それぞれのドラマがあって,発表時にもドラマがあって,濃縮された10分でした。

教員側としては,学生の晴れの場ということで,かなり大きめのホールでの発表の場を用意しております。それを楽しめるくらい,研究生活を充実させてくれ,という意味を込めて。今年も,数名はそれにふさわしい研究発表だったように思いました。

卒論というのは,研究として世界の第一線のものになるのは難しく,さまざまなレベルがあってしかるべきと思いますが,それでも,やっぱり,本人も含めて成長したなあという成果発表になるべく教員と学生は努力すべきと思います。大学の時の頭の体操具合の重要性は,ふりかえってからじゃないとわからないのですが,なんとかして先回りでそれを教員側は学生に伝えられたらと思っています。ひょっとすると本人も悔しいのかもしれませんが,それなの?という発表を見てしまうと,微妙な気持ちになってしまいます。

普段から甘く,優しく,なあなあだと,普段はお互い気持ち良いのかもしれませんが,いざという時に結局,学生本人が損をするという結果になります。スポーツでもそうですよね。普段,努力してない人が本番で成果を出せるわけもなく,勝てないスポーツは楽しくない。勉強も,研究も,仕事も一緒です。仕事になると自己責任という言葉で,自分に厳しく出来ない人は,どんどん取り残されます。
晴れの場,ということはそういうことを反面的に教えることもあるのです。

1/25/2015

インフルエンザ

年明け早々,インフルエンザになってしまい,大事な時間を失いました。後半は,いろいろよく考える時間ができました。東大の池内 恵准教授の著作などをよみ,イスラーム国について学びました。
研究については,以前,ぎりぎりの状況が続いています。

今週末から,卒論,修論の発表会になります。


1/01/2015

謹賀新年

年があけました。謹賀新年。本年も,どうぞよろしくお願いします。
今年は以下のことを頑張りたいと思います。

1.研究室の学生さんが,全員の研究を理解した上で,さまざまな知的体験を楽しめるような雰囲気を構築する。
2.英語で論文を書くことを研究室の標準にする。
3.コンクリートの放射線影響に関する研究についてReview論文を作成する。
4.コンクリートの乾燥・熱影響について,ナノスケールから構造応答まで評価可能な数値解析モデルに関する論文を執筆する。
5.週に4日以上,ジョギングと筋トレを実施する。お腹いっぱい食べないようにする。
6.子供と一緒に自然に触れられる体験を毎月1回実施する。

12/31/2014

今年を振り返って

大晦日になってしまいました。部屋の大掃除もしていないのに・・・。
家族はすでに実家にいるのですが,さすがに年越しに顔をみせないわけにはいかず,今は新幹線で移動中です。
この時間を利用して今年を振り返ってみたいと思います。

今年の丸山研の状況について
・日本人の博士がいなくなり,研究の厚みは少し薄くなりました。分かっていたことなので,なるべく私が学生にレクをするということで,積極的にゼミを運営したつもりでしたが,10月以降は出張が多くなってしまい,やや手薄の感が出ました。学生の成長具合を見ますと,結局のところ学生それぞれのポテンシャルにしたがって成長しています。実験系で力を発揮する学生,数値解析で力を発揮する学生,両方やれる学生,人それぞれですが,少なくと研究室に所属した時を考えれば,だんだんと楽しめるようになっているのではないかと思います。今年のはじめに決めた方針で,なるべく自分が学生に具体的なやり方を示す,という指導は達成度70%くらいだと感じています。ただ,なんでも教えるのがよいのか,というのはずっと疑問でもあったので,そのバランスを試行錯誤した結果と捉えています。


12/30/2014

としのせ

11月上旬から一気に年の瀬になってしまいました。いろいろ考えていることをまとめようと思っておりましたが,今年の東京出張の数は多く,あっという間にこの時期になってしまったというのが実状です。

キーワードだけでも上げておこうと思います。備忘録。

1.大学授業の英語化について
・大前研一氏の本以降,いくつかの大学の戦略と国の政策に関わるまとめのような本を読みました。小国の場合,大学教育後の人材の活躍の場が,必ずしも国内市場だけで十分ではないことから,活躍できる市場を見据えた形の大学という観点では,英語で勉強しておくということは,当然の行為ではないかと思われます。
その観点で,工学部や工学研究科が前に進むための工学,の実施者であるべきということを考えれば,実施者が活躍できる場は広ければ広いほど,その活躍の可能性は広がります。
今後,日本の市場がしばらくは縮小傾向にあることを考えれば,また,建築という業種が縮小傾向にあることを考えれば,市場をもとにもとめなくてはいけません。これは,人材とともに企業も同様です。

・アカデミアでは,自国語で学べることが大事,という気概があります。これは本当に大事なことで,最先端レベルで母国語の情報が手に入れられるということほどすばらしいことはありません。明治時代以降の先人の賜物でもあります。しかし,それにとらわれることが本当によいのかどうか,というのをもう一度問う必要があるのではないかと思います。というのもアカデミアの方の進歩を推し進めるという観点からも,人材交流・知見交流は大事であるけれども,すでに標準語は英語となってしまったいま,母国語で議論をすることの価値は相対的に落ちているからです。

・そう考えると,全体として英語化を進めるということは当然の議論ではないかと思うに至りました。

・日本の大学の講義は少なくとも私の身の回りの環境では,義務教育の様にボトムあるいはミドルの学力を有する学生をベースに授業を進める場合が実際のところ多いです。これは,不合格を出しにくい無言の圧力,あるいは不合格が多いことはレクチャーが適切で無いとみなされる風潮から,落第を数名にするということが,教員にとって最適戦略になるからで,学生と教員を高め合う環
境にありません。その結果,優秀な学生の学習速度を落とし,貴重な人材育成に失敗しています。
それ故,諸外国から来た人にいわれることですが,大学の学部教育は終わっている,という事態になっています。
例外は,東大の授業ではないかと思います。私の受けた授業は,学生が本気でついていかないと振り落とされるような授業が多かったように記憶しています。
一方,大学院教育は素晴らしいと言われています。いわゆるゼミ形式で,基礎から高等研究までもっていくある種の信頼関係に基づく少数教育から排出される学生は,特に,素晴らしい教員との出会いによって,素晴らしく成長します。ただ,残念ながら,教員の平均は,落ちているのではないかと思われます。というのは,文部科学省の研究振興とも関連するのですが,どの分野も競争が激しいというわけではないことで,競争が激しくない分野や競争をよしとしない文化がいくつかの分野で見られ,その結果として適切でない人が教員になる場合もあるからです。

・つまり,日本の大学で学生が育つかどうかは,運になります。自分の子供を育てる場合を想定すると得心が行きますがいまの大学教育のままでよいかというと,改善して欲しいことは多数あり,そのうちの筆頭は英語化でしょう。自分の子供が活躍する場を広げたい,といって反対する人はいないのではないでしょうか。また,大学の選択は自由です。もし,日本語で学んでほしいというのであれば,そういう大学に行けばよいだけです。私の提案は,名古屋大学として,英語で学べる環境があるというオプションを広げる一翼になるべきではないか,というものです。


2.移民の問題
・多くの日本人は,あるいはマスコミで議論されている移民は,マックジョブ担当ということになっているようです。移民を受け入れて,犯罪が多くなるというのは,結局,自分たちのやりたくないことを移民にやらせてやろう,というひどく歪んだ価値観から出ているのではないかと思います。しかし,近年の各国の移民政策では,条件をつけるところが多く,いわゆる,高級技術者(弁護士,会計士,教員,経営者,その他)を受け入れる方向性もありえるわけです。
・英語化の議論と一緒になりますが,そういった高級技術者を受け入れて,その人達と切磋琢磨する環境というのは非常に好ましいように思います。大きな問題点は,島国の中の巨大市場に慣れてしまっている人たちが,日本語環境を既得権益としてその市場の囲い込みをしたがり,彼らを排他的に扱ってきた文化にあります。おそらく,今もって多くの日本人は,そういう競争をいやがり,安直にその利権を守ろうとするのでしょうが,そうした企業なり,団体なりは早晩競争力がなくなるものと思われます。
・移民の問題も英語の問題も結局,表裏一体であり,国内市場を開放して高級職も含めて世界と一緒に競争していこう,という一種の規制緩和です。(この場合は暗黙の参入障害排除でしょうか。)

・いわれなきバイアスや過去の経緯を引きずった貸し借りの(明文化されていない)テキストの中で大学改革をやらされるとか,文部科学省の意図のわからない文章作成とか,そうしたものにつきあう大学の経営状態はかなり末期的症状だと考えています。大学の方針を自ら立案し,必要なものを文部科学省提案から取捨選択するなり,文部科学省に提案するなりの積極的な取り組みというのができていない今,組織を活性化するために経営能力のある人達が執行部になることが重要で,そのためなら,海外の適切な経営者に来てもらって運営してもらったほうがよっぽど楽になるのではないかと考えています。既存のテクストを捨て去る勇気を日本人が持てないなら,その部分はお願いしたら良いんじゃないでしょうか。

・いずれにせよ早晩,競争をして個人のちからを上げていく,そのためには個人のちからを尊重するような人材評価,職業の枠組みも必要になってくるでしょうか,力ある人は日本の既存の評価制度を好まない場合もあっても,外に活路を見いだせるという選択肢を持つわけで,選択肢を広げるということはやはり大事であろうと思います。


3.研究について
・多孔材料の収縮メカニズム, Vycorのデータが蓄積されました。セメントペーストとやはりメカニズムは違うように思います。既往の収縮理論との整合性を考えていますが,高湿度域の挙動がやはり不明です。気-固界面に囲まれた水のポテンシャルというのは,微小空隙であっても,バルクの水に近くなるのか,というのが疑問点です。

・併せて,収縮低減剤の役割を極めて明解に説明できるデータが蓄積できました。来年度前半中には投稿したいと思います。

・1H-NMRの装置を導入しました。現状,環境ノイズに悩まされています。バックグラウンドがこんなに高いのはなぜか,というのがわかりません。

・RBSM,FEM,いずれもかなり丸山研のモデルが3次元の形に実装されました。現状,乾燥による物性変化,微細ひび割れ,収縮ひび割れと構造性能の関係,放射線によるコンクリートの劣化が構造挙動に及ぼす影響,などをテーマとして学生さんが取り組んでいます。
材料構成則上の問題もいろいろわかってきたので,いずれ,進展があって外に公開できるのではと思います。

・骨材の遷移帯の考慮が収縮予測にきわめて重要であるということをJACTの論文で公開しました。
また,既往の五十嵐先生との実験結果で,異なる水和状態のセメントペーストの物性に関する一連のデータについても,JACTで論文公開しました。

・現在投稿中の論文は以下のものです。
-割裂引張強度が乾燥によってどのように変化するか (JACT)
-C-S-Hの乾燥時に生ずる変質について(CCR)
-骨材の収縮(BCM)

・現在,水和モデルについて過去にジャーナルに投稿していなかったので,その集大成になりそうな論文を現在執筆中です。


11/16/2014

11月3ー4日 ICMST-Kobe

ICMSTという日本保全学会の国際会議に11月3-4日と参加してきました。あまりコンクリート分野の人は入ってきたわけではないのですが,廃炉を用いた研究について国際的に議論が高まっており,特に先進的に実施しているスペインのZoritaプロジェクトについて議論することも目的の一つとして,CSICのC. Andrade教授に来日していただき,関係者で議論をしました。


湿度センサ

センシリオン社のSHT-75は,90~10%RHの領域で極めて精度が高く,海外でも,コンクリート中の湿度センサとして利用されています。私は,イリノイのLange先生からこのセンサを紹介を受けてしばらく使っていた時期があります。国内でも,センサの元締めや,このセンサチップをつかってセンサシステムを開発している企業などがあり,いくつかのルートで手に入りますし,自分自身でチップだけ購入して,学内の弱電系の技術員さんにお願いすれば比較的安価で利用することができます。