5/14/2012

出張

現在,IAEAの国際会議でソルトレークに来ています。福島後,IAEAの国際会議で包括的にさまざまな立場の方が発表される予定となっており,当方としても自分の研究はもとより,現状,どういうことをとりまとめて,原子力の今後の在り方に反映させるのか,といった点にも興味があり,さまざまに情報収集してこようと考えています。

いかんせん,マスコミの報道は,科学的にフェアでないものが多いですので,一次情報に触れて考えるという意味で,論文発表ほどダイレクトで楽なプロセスはありません。国際会議に出ることの意義は,1)最新のものである,2)重要な発表をしている人と直接,講演後に話をできる,3)自分の講演に対しての批評をダイレクトに聞ける,ということでこんなに便利な場はありません。

最近は特に2)が重要で,いろんな論文・情報が交錯しておりますが,キーノードはだれか,信頼できるデータをもって,もっとも科学的にすすんでいるのはだれか,ということを理解して,ネットワークを構築することができるというのは,日本の国内研究がややもすると蛸壺になりがちな現状では非常に大事です。

原子力研究においては,実験が高価なこともあって,既往研究の掘り起しが大変に大事なのですが,分野横断型の研究になっていることがあって,論文集だけではデータを掘り起こすことができません。コンクリート分野でいえば,ORNLのNaus博士なわけですが,当方から打ち合わせを打診しようとする前から,直接当方にミーティングの打診があるなど,さすがは情報掘り起しに余念が無い,と改めて感心しました。

彼らのデータコンパイル能力は半端ないですから,極東にいる人間としては,大変にありがたい話です。また,議論がオープンであることも素晴らしいです。どうも日本の工学の人間は,ノウハウを隠したがる傾向にあって(私も,発表前のデータはやはり公表に躊躇するのですが)難しいのですが,欧米だとそうでもないみたいです。

3)も,論文投稿前に要人の前で講演するのは良いと思います。アピールすることにもなるし,必要なデータとか論理上の欠陥を指摘もらえるなら,こんなに良い機会はありません。また,本当に先に進めるのであれば,欧米の方と一緒にデータどりを考えるなど,広く考えて前進できればよいのではないか,と最近では思います。特にサイエンス系の人の力なしでは解決できないことも多々ありますので。



さて,レセプションでは,さすがに無機材料はマイノリティだったのですが,こちらの規制庁の人などと話ができて良かったです。研究課題はやはり同じような問題意識のようで,地震については国際的にもう一度整理しようという機運があるようでした。


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