1週間遅れですが,明けましておめでとうございます。
昨年度の総括もままならぬまま,時間がすぎます。
年明けは,横浜の方に家族でくるまで初めて移動しました。新幹線のありがたみがよくわかります。自動車は年をまたいで,高速道の料金が細々変わっていたので,ああ,今年も,NEXCOをはじめ,皆さん大変なんだなあ,としみじみ思いました。
電力も,自由化とか,送電・発電分離とかおっしゃっていますが,日本だけは予定調和の中にいて,経済合理性が良く動いているということは理解する努力をした方が良いと思います。官製談合は良くないと思いますが,世の中はいろいろ痛み分けでうまくいっているということは良くあるわけです。
先日,ノルウェーの話を出しましたが,ノルウェーはそもそも水力発電と需給のバランスが良く,国内必要電力を水力でほとんどまかなえて,電気料金も安い過ごしやすい国でした。しかし,電力を自由化し,他国からの参入を許すと,国内の安い電力は海外で高く売れるので,国内電力は海外にまわされ,国内電力価格が高騰,おまけに水力だけではまかなえず,他の高いコストの電力を購入せざるを得ませんでした。
エネルギー問題は,国防および国家経済の根幹をなすインフラの問題でして,なんでも自由化が良いというのは,利益を得られる側からの発言であることは理解しないといけません。
国際的な経済戦争の場において,日本のためを思って発言する諸外国がいるわけがありません。
正月早々,電力網を韓国とつなげるとか,送電を分離するとかいう話題が日経で出てきましたが,国民のメリットというよりは,自分がその産業で利権・利益を獲得したいという人間からの発言に経済産業省が動かされるような形が見え隠れします。
昨年の夏,一斉に韓国で停電があったように,しょっちゅう低減する国の送電網とつなげて日本の需要として何のメリットがあるんでしょうか。韓国の原子力で発電した電力を買う,というようなドイツとフランスのような格好をめざしているのでしょうか。しかし,韓国で原子力災害があったら,偏西風でダイレクトに被害にあるのは日本であるし,そのことを考えても,リスクの分散が適切にできているとも思われません。
どういうビジョンとどういう国民のメリットがあるのか,というインフラである電力政策については,政府および霞ヶ関の方々には適切な説明をいただきたいと思います。
送電と発電の分離についても同様です。電力需要は工業,その他の産業の高度化にともなって,送電網を維持し,更新していく必要があります。今,東京の大手町近辺で大型ビルの開発が行われますが,電力網にそのビルを組み込むと数億程度の工事が必要になりますが,これらは,東電が負担しています。送電・発電の分離を行うということは,送電の中で利益を出し,そのための負担は民間が背負うということになります。
ビル一つ建てるための単価は,極端に高くなりますし,これは個別マンションでも同様です。どういう隠れたメリットがあって,どのような便益を東電が与えてきたか,ということは,送電・発電分離の議論によって明らかになってくるでしょう。
世代の問題もあるのかもしれませんが,過去の熟慮されてできあがったものとか,過去の経緯で最適化されたものというのは,日本人のあうんの呼吸で成立されてしまっているがために,あらためて掘り起こすとああそうだったのか,ということが少なくありません。
また,最近の人は自分を含めて表層的であり,どうも考え方の裏をあまり理解しないで議論している風があります。一つは謙虚でないこと,一つは目に見える情報で判断をせざるを得ないという環境があると思います。ものごとが高度化しているので,体験的に体得した感性で判断ができないというフィールド,実線不足もあるかもしれません。
難しいのは,60以上の層の方と話しているとこれらの認識は,当然のことと捉えているために,我々が意識して掘り下げて情報収集することが難しい,という点です。相手は当然と考えており,こちらは,何がそういった背景なのか,場所も宝もわからない状態で知識として体系化するのは非常に困難です。
大きな流れとしては,戦後という断絶,その後のバブル期以後の実線不足は,今後,我々の世代における一つの大きな課題となるように思います。徒労を良しとは思いませんが,実践的体験というのを30台前半までにいかに積み上げられるか,というのはノウハウ社会,超高度化社会におけるキーポイントと思います。
逆に,実践を経験していない方々が前後のバランスとか,ポピュリズムの結果として権力を握りますと,非常に社会的にインパクトの大きい害となるので,その制御も今後の課題ではないかと思う次第です。
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