インターネット上でもここかしこでカンニングの問題が議論されている。個人的なコメントであって,大学人としてのコメントではないので,その点はご了承いただきたい。
・カンニングは警察が動くような「事件」なのか。
偽計業務妨害ということで,仕事が増えるのが事件なのであれば,学内での問題は,すべてこれに相当してしまう。私はカンニングの問題が明らかになった時に,いくらなんでもこれで警察は動かないだろうと考えていた。理由は上記のとおり。それ以外にも,大学は自治を尊しする気風があって,基本的に他の権力が介入することを嫌っていると思っていた。東大ではそういう雰囲気だったんだけども。
カンニングの罰則というのは,おそらく入試要項などに書いてあって,その罰則は,入学できない,ってことだと思う。警察に突き出しますよ,なんて書いてないし,その他の法律でもそんなことは書いていないと思う。
その観点から,学生は,入学できないという罰則だけを受ければよいのではないか,と思った次第。
カンニング自体は悪いし,Yahoo知恵袋に投稿というのも,大学を侮辱するような行為だったと思う。でも,マスコミ報道などから,つるし上げをくっている状態を考えると,学生が少しかわいそうな気がする。彼のお母さんまでインタビューをされているらしいし。大学側もこんな風にしないでも,正体を明らかにできるのなら(警察経由じゃないとできないのかもしれないが),不正行為で失格にすればよいだけだったんだと思うんだけども。
これが,別のカンニングだったら,京大はこんなことにしていないと思うし。
卒論でも,普段の期末試験でも,全部これに関連する問題が出てしまうんだけど,それって今後どうなるんだろう。
いろんな立場から意見集約する必要があると思うので,決して文部科学省の現場をしらない立場の人がルールをつくるのだけはやめていただきたいと思う。
大学は大学側で今回の件は,関連しない大学も今後どうするか,今回の件をどう考えるか,というのはディスカッションした方がよい。
以下,関連する文章で,面白い考察が含まれているもの
http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20110304/1299168573
http://www.news.janjan.jp/living/0706/0705316449/1.php
http://slashdot.jp/yro/11/03/04/0852258.shtml
今回,警察の介入以外に,NTT Docomo,Yahooが簡単にデータを開示したことも個人情報保護法の趣旨,あるいは電気通信事業法の観点からもディスカッションされている。個人的に,国家に対して個人情報が取得されていること自体は問題ではないかと思うが,最近の冤罪事件などを思い浮かべ,権力ににらまれただけで簡単に人生がおじゃんになってしまう状況(逮捕,抑留,マスコミ報道,企業からの首切り通知のコンボ(刑が確定していないのに))というちょっと冷静でない状況を合わせると怖いところがあるな,と思う次第。
日本は,刑事罰を受けている以上に社会的罰が非常に大きくなっている気がする。だから,懲役が少ないのかもしれないのだけれども。こういうことを考えるうえで,裁判員制度というのはやっぱり,あった方がよいのかもしれないなあ。
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