8/09/2009

収縮理論

今月号に収縮理論の論文が掲載された。
いろいろ反響のメールをいただいて、ありがたいことです。
お読み頂いた皆様ありがとうございます。

なんで、こういった形の式に成ったかは個人的にすっきりしていない部分や、未解明な部分もある。
ようは、ある平衡状態で、含水率と比表面積と弾性率がわかっているとひずみは一意に定まるよ、ということがいいたかったわけです。

体積含水率は、比表面積および吸着厚さの関数なので、本当は相対湿度の関数になるのかもしれない。
体積を変化させる分離圧と水分を移動させる化学ポテンシャルがなぜ同一にならないのか、は疑問ののこるところである。多田さんにご指摘いただいたように、Derjaguinの言っている分離圧を変化させるなにかの作用素が変化して、分離圧自体が変化するメカニズムがありうるという形の立式も可能だったかもしれない。その点については勉強不足だったし、ヒステリシスの部分のデータが不十分であるので、現在、さまざまなヒステリシスループのデータを取得している。


今から考えると、もっと良い書き方があったように思うし、式の形ももっとわかりやすいものがあったように思う。分離圧を差分として支配方程式に組み込むかどうか、は最後まで悩みました。ただ、平衡状態を基準として立式されるという前提にたてば、分離圧は差分でなくてもよかった。一方、水-表面間に作用する分離圧のユニバーサルな式と、それを用いてセメント硬化体に組み込む場合には差分形式になるということは補足すべき事項だったと思います。
英文化の際には、もっと洗練したものにしようと思います。

私はセメント硬化体のように様々な空隙が多様に分布しており、吸着水が基本的に連続的になるような硬化体においてインクボトル効果というものが存在するとは考えていません。
吸着のヒステリシス挙動を説明するための別の仮説はまだ、2,3は存在します。近々にどこかに仮説だけは言おうと思います。立証は難しいんですが、J-PARKの力があれば可能と思っています。

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