水分吸着挙動のデータ取りで,かれこれ500以上はとってきたので,過去のデータを全部見直すことにしてみた。学生さんに手伝ってもらって。というか学生さんが整理した。五十嵐君,どうもありがとう!
まず,1番最初に気づいたのが,収束時間の件で,どうも105℃24時間の乾燥は強烈すぎて,若干の水和反応を伴う。40%RH以下のヒステリシスが大きすぎる。
既発表の論文のデータに整合性が出ないわけではないが,この点は改善の余地がある。
しかも,水和が止まっているとおもって,105℃で24時間乾燥した試験体を数ヶ月後に追試をすると,BET比表面積はかならず小さくなっている。これはどういうことかというと,乾燥後の試験体を水和停止したつもりになって封緘しておくと,乾燥期間が長くなる効果が働いて,C-S-HのSi鎖長が伸びて,比表面積が小さくなるということになるわけだ。
これは私にとって驚きだった。実験上,大いに留意する必要がある。
半年くらいでBET比表面積は,かれこれ30m2/gくらい変化する。強烈な乾燥条件だと,厳密に試験プロセスを管理しないと,実験データのばらつき要因になるので注意が必要だ。
一方で,RH11%乾燥は非常に安定していて,長期保存についても再現性が高い。RH11%乾燥した試料を30分ほど脱気すると,平衡時間が少ないだけでなく,安定したデータがとれる。最近の若材齢データは全部この方式に実は変更している。
ちなみに,105℃乾燥との換算係数もわかっているので,まあ,あるていどのばらつきはあるが,再現することはできる。水和圧も出すことは可能だ。
いろんな人のデータを見ているが,やはり数をこなさないとわからないことが多くある。そして,思いついたら確認が必要だ。今回,気になって追試したデータは,非常に有用な知見も与えてくれた。
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