10/01/2015

10年

名大にきて10年が経ちました。多くの学生さんと一緒に研究ができ,私の中で少し,コンクリートっていうものはこういうものだ,というのがわかるようになりました。
また,セメントやコンクリートにかかわらず,外装材,粘土,マグネシアセメント,分析技術,構造,振動,モニタリング,などなどについて勉強が膨らみ,最近では化石の勉強をするようにもなりました。
まさか,10年後のこの日が,米国で化石を探しているなんてことは想像だにできませんでした。そしてその研究が,このタイミングで火星に水があることがわかるようになり,宇宙建築につながっていくということもひょっとしたら本当の事になるのかもしれない,そういう可能性のある大学にこれたことは本当に嬉しいことだと,あらために認識しています。総合大学にいることの意義,というのは見えないものではありますが,大変に大きいと私は思います。

また,自然を相手にするようになったその中で,世の材料の成り立ちという大きな枠組みの中からなにを紡いでいくか,その紡ぎ方というのはどういった美しさを持つべきか,というのが段々とわかってきました。
私は,麻布の時も東大の時も,いつも友人と比較して頭の回転の遅い方だったと認識していますが,10年も同じ所でかじりついていると,やっとそれなりに見えてくるものがあります。愚鈍な方が良いことがあるというのはこういうことかな,と。
そういったことが10年という単位ではじめてわかってきました。


そしてもう一つ,生き方としてよくよく私にわかったことは,必要とされる人と一緒にいた,というものです。
名大への所属はそもそもは公募ではありましたが,多くの先生方に良くしていただきました。一緒に研究をしていただいた企業の方,大学の先生方も,また,多くの学生も,ある意味で私の研究室を選んでいただいたわけですが,そうした中で私ができることがなにか,その中で一緒になにをか残していこうと考えることが望外の喜びにつながってきました。
今日の米国出張も,コンクリートや地質の研究を一緒にやっていこうよ,と誘っていただけた吉田先生方があったのでこうしてできているわけですし,原子力関係の研究も関村先生に認識いただけたことは本当に嬉しいできごとでした。
現在も名大の中で,ゆっくりとではありますが,ネットワークが広がりつつあります。その中で,少しですが,私が人を頼るということもできるようになってきました。


時としては,人の気持ちに土足で入るような失敗もして後悔も多い人生ですが,広げた学問と人とのつながりを閉じることなく,つぎの10年に繋げたいと思う次第です。

お知り合いになれた皆様に心より御礼申し上げます。

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