研究近況。
1)今年度は,国プロの責任的な奴が2?,下につくのが3です。その他に,メーカーさんとの研究が5,ゼネコンさんとの研究が3,科研の基盤Bが2,海外基盤研究が1,萌芽が1,という状況。ちょっと多いです。今年度,ケリをつけないといけないのが2,あります。
2)収縮低減剤のメカニズムについては,セメギで速報的なものを出しましたが,従来のメカニズム以外で,今後,なにを研究しなくてはいけないかが明確になりました。とりあえず,ここまでの成果については,国内と国外の友人と議論して,CCRに投稿しました。今後,この研究については,フランス側のチームと一緒に研究することになりそうです。
3)収縮の小さい石灰石を用いた時に,拘束下のコンクリートでなにゆえ,可視的なひび割れの発生が抑制されるかについて,実験と解析の両面から,示すことができました。こちらについても,Native Checkを受けていて,出来上がり次第投稿しようと考えています。今後は,やっぱり,遷移帯の研究ですね。施工と材料性能の関係,今一度,整理していきたいと思います。
4)1H-NMRについては,現在,ペースト,トバモライト,モンモリロナイト,Vycorグラス,などをさまざまに調湿して測定を実施しています。T2緩和時間の挙動を比較していますが,おおよそ,シグナルに帰属やその状態がなにかが理解できるようになりました。なぜか,セメント分野では,緩和時間のダイレクトデータが示されている文献が少なくて,その上,CONTINの結果も横軸がログスケールだったりしているので,わからないことが多いです。McDonald博士らのチームの研究でも,いくつか,微妙,というかこのデータになっているはずだけど,こんな結論だせるのかな,と思います。
一例をいえば,Portlanditeは極性が大きすぎるので,きれいな減衰カーブになりません。そのため,十分水和した普通や早強のペーストで,乾燥を大きくしていくと,減衰カーブに極性の影響のカーブが重畳して,適切な処理ができない場合があります。こういったことがあまり記載されていないのは,フェアじゃないんじゃないかと思います。Portlanditeの研究は,案外,世の中のセメント化学の研究者がフォーカスしていないのですが,最近,非常にいろんな物性に聞いてくることがわかりました。Portlandite大事だよ,ってメールしたら論文が帰ってきて,Portlanditeのさまざまな結晶成長について,すでにモデリングとメカニズムの解明が終わっている,ということを教えてもらいました。いやあ,さすがです。フランス。目の付け所も本当に素晴らしい。私が勉強不足,というのもあると思うんですが。
5)SAXSは,大分,整理できてきましたが,広角側のピークが何に帰属しているかというのがわからない部分があります。よくよく見てみると,USAX,SAXS,WSAXSをちゃんと連結してワイドレンジで帰属を評価している論文は,Allenらも含めてありません。超小角でPortlanditeの最小結晶寸法との比較を議論しているところまではよいのですが・・・。なんか,Artifactの結果があるような気がします。この点をちゃんと書ききらないと論文投稿には辿り着かないのですが,5月中にはこの辺りをきっちり書いていけたら,と思います。結構小さいサイズのなにかが存在するんですよね。
6)今年度は少し構造部材性能まで踏み込んだ研究について,力を入れていこうと考えています。科研のテーマも,乾燥と構造体影響ですし,ASR関係の進展評価と部材性能の関係も興味深いです。規制庁事業で関わっていることもあり,このあたりを整理していこうと考えています。
解析については,少しFEMから離れて,RBSMを頑張っていこうと思います。
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