4/19/2015

客観性について

研究室にも留学生が増えてきました。名大自体の留学生が増えているので,ある意味当然の流れだと思います。AIIBの問題や領土問題を始めとして,日々ニュースに出てきますが,日本のメディアの偏向報道はひどいので,CNNやBBCやその他のニュース(それだって偏ってて,トーンはいつも同じなんだけど)を少しだけかじって,スタンスの補正をしています。留学生は,日本で勉強してみたいと思ってくれている大事な人ですから,偏向報道に基づいて変なトラブルがおきてはいけないと強く思います。
日本の報道ばかりを当然と思っていると,知らずに相手の気分を害したり,世界的な常識から外れることも増えてきます。地下鉄の中吊りに,隣国の悪口を平気で書く国はまともな国と言えるでしょうか。
たとえば,日本語のわかる米国の友人を東京で案内して,電車にのったらものすごく恥ずかしく思います。
個人的に思うことと,世間的に思うことはもう少し,わけてかんがえられないのか,とも思います。

視点を多重化するために,あるいは,日本の立場,相手の立場を理解するためにも理解になりそうなのが,以下の本です。

日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫) 文庫
岡田 英弘

橘玲の中国私論 ダイヤモンド社
橘 玲

前者は,以前にも紹介したことがあると思いますが,日本史を学ぶにしても,アジア史全体で理解しなくてはいけない,ということが大変によく分かる本です。日本史が日本という領土の中だけで閉じてよいわけがなく,そもそもどういった事情で日本が誕生したのかもまで,掘り下げて記載されている良書です。非常の科学的にかかれていて納得できるものです。

後者は,最近出版されたものですが,中国に行ってきた多くの研究者が,あのゴーストタウンの量は半端ではなく,あれで良いわけがないという感想を聞かせてくれます。また,投資関係の知り合いは,中国のバブルは崩壊間近という議論とそうではないかもしれない,という議論で二分しています。どんなものか想像もできなかったし,それがどういった状況にあるのか,といことについて事実とともにわかる本がないかと思っていた時に出てきた本でした。(こういうように世界の状況が日本語で手に入る国,というのは本当に素晴らしい。)
結果として,ゴーストタウンのもとにまで戻って,中国の状況を非常に具体的に記載してくれているのがこの本です。歴史書とならべてなんなんだ,とも思われるかもしれませんが,この本のわかりやすさは,群を抜いています。当然,端折ることの怖さを横に置くべきとは思いますが,ずいぶんと私は目が開かされました。

0 件のコメント:

コメントを投稿