1/01/2010

2009 年の総括

気づいたら,2010年になってしまっているような気がするけれども。
反省と整理をかねて,2009年のことを。
毎年,何かしら躍進があればよいとおもって,一年を過ごしているわけですが,2009年は多くの前進がありました。

・収縮理論
2009年の目玉は,個人的にはやっぱり収縮理論を整理できたこと。先見の明というか,熟慮が足りなくて,論文においては若干整理不足のところも見られたけれども,それでも,新しい着眼点というのは,個人的には達成感があった。S先生の教えで,よい理論・研究というのは,聞いたらあたりまえで,なんでそういう風に理解されていなかったのか,というものである,というものがありますが,この研究がそういう形に少しでも近づけたら,と思う。

・線膨張係数と高炉スラグ微粉末
個人的に,マニアックな物性でしかなかった線膨張係数,そのうちの時間依存性をひび割れに直結できる形で整理できたのはうれしかった。新しい観点から物性を検討する必要性が認識されればよいのではないかと思う。

・分析手法に関する知識
建築教育でいえば,分析関係や化学の領域はまったく異分野になる。しかし,性能設計とその検証という枠組みには不可欠であり,分析・解析技術について理解が及んでいなかったのは,大変に恥ずかしいことであった。2009年は分析技術について,それなりに学習が進み,ほしかった分析器のいくつかが,研究室に配備され,研究に重厚さが加わったのは大変うれしい。

・多くの学生の受賞等
当研究室の学生は,現在までのところ,M2以上は,みな対外的な賞を受賞するなど,なんらかの客観的な評価をいただいている。これは,学生諸君の努力・才能によるものであるが,こうした開花が客観的な形で残るのは,本人だけでなく,私にとってもうれしいことである。
2009年では,寺本君,岸君,五十嵐君の諸君が受賞し,研究とは関係ないが,猪飼さんが1月に受賞する。


・勉強不足
いろいろな分野に足を踏み出している。たとえば,G-COEでは気象・気候モデルをはじめとしたマルチスケールの解析についててコーディネータを行っており,多くの基礎的な知見を蓄えることができた。真鍋淑郎先生等の話を生に伺えたことは今後の糧になるだろう。また,米本昌平氏のインタビューをきっかけに国際政治における環境問題についても文献を収集して,分析を開始した。材料関係では,分析関係で川瀬先生と共同研究をすることができ,分光について深い第一歩を踏み出した。それ以外にもT田さんのアドバイスにより,新しい分析機器による測定をはじめた。その他にも結晶,ガラスなどを研究されている方々とネットワークが少しづつできつつある。一方で,自分の基礎学力が無いことが露呈し,より広範な基礎学力アップのために,多数の教科書を読む必要を実感し,実行に移した。

・コンクリート工学とセメント化学
コンクリート分野は,特にモデル化について土壌分野に大きく影響を受けている。物質移動現象や崩壊現象のシミュレーションなどは特にそうだ。また,その他の現象についても多くはやはり多分野での成功結果をカスタマイズした形になっている。しかし,大学内での役割ということを考えたとき,学問的抽象性についてコンクリート分野から発信できるものは何か,というのを考えていかなくてはいけないだろう。何が発信できたのか,というのはひとつの重要な評価軸であるからだ。
化学反応というのは確かにひとつの観点だ。東大の石田先生のコンポスト技術というのは,工学的応用のひとつの成功例だと考えられる。現象の整理手法という意味で,コンクリート工学からの発信である。
私の提案した分離圧を収縮から算出するという手法は,特殊なAFMなどの装置を用いずに多孔材料中の表層を評価できるという点で応用が広いのではないかと考えており,そういった観点での研究の展開を今後図りたい。

・子供
家庭では子供が1歳になった。子供の教育,自分の責任等について考える時間がかなり多くなってきた。今後,私が子供に対してどれだけ明るい未来を提供できるのか,(これは研究室学生に対する私の使命でもあるが,)というのは大変緊迫感のある命題である。経済,文化,宗教,政治について多面的に考えるように文献を漁った。
一神教とグローバリズム・西欧史,冷戦構造の移り変わりと環境問題および経済圏形成のための国際政治,南北問題における主権のあり方,憲法改正と日本の主権・軍事,戦後の日本の政治史について理解を深めたことは有益だったが,確定的ビジョンを持つにはいたらず,これは2010年に問題を持ち越すことになった。
日本の大学における教育者・研究者としての自己についても見直しを行った。その中で,大学のあり方を自問できたことも収穫であったのではないかと思う。

以上,若干よっぱらいながら,とりまとめた2009年の総括である。訂正・修正もあるかもしれいけれども,これらの反省点を生かして,2010年はよりいっそう実りのあるものにしていきたいと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿