本日は,朝から膨張材の部材試験のための解析を行った。温度依存性の物性を入れると非線形な結果が出てくるので面白い。それが正しいかどうかは微妙だけれど。
JCIマスコン指針の解析は,断熱温度上昇,強度発現,自己収縮に独立な発現原点を与えているが,これが結構くせもので,温度が低いときや高い時に変な挙動をしているように思う。
たしか,委員会にもいくつかの計算例を提出していたのだが,壁部材のマスコンの場合に,初期の圧縮が蓄えられなかったり,逆に異様に大きくなったりすることがある。
首都高速の実験例との比較は,マスコン制御指針の付録に載せてあるので,あの程度の感度であるということと,ひび割れ発生確率の中にそれなりに丸め込まれているので,指針上は大きな問題はないと思われる。
しかし,近年話題になったように,W/C=0.5程度であっても自己収縮の影響が無視できない状況で,解析を高度化していくためには,部材試験で精度の高いものを皆でやっていくべきものと考えられる。
とくに,従来はコンクリート性能(強度,ヤング率,収縮の時間依存性)→部材(鉄筋応力,無応力計,有効応力計)といった実験が主流であるが,近年の混和材の利用や,骨材の多様性も問題になっていることを考えると,これらをパラメータにしないまでも,セメントやモルタルの物性も抑えて,化学分析をしておくことが将来のためになるものと考えられる。
JCIも年に2年に一回くらい,こういった部材試験について補助金を出して,データをストックしていくとか,あるいは実部材をモニタするのに,ゲージ代やデータロガーレンタル代を補助して,そのデータをストックするとかいう枠組みを作るとよいと思う。で,それらをコンクリート技師なり,診断士のための開示資料にすれば,うまくまわるんじゃないだろうか。
欲をいうなら,常時モニタリングも継続すると良いんだが。
あるいは,良質なデータは,購入するとかするのでもよいかな。個人の人がデータをとっておくと,後でJCIに売れるとか,面白いんじゃないだろうか。耐震診断でコア抜きした結果について,さらに分析を加えると,JCIが買い取るので,施主の耐震診断費用が少し浮く,とかどうでしょうか。ごまかす業者も出てくるかな。
あるいは採算が取れないかな。
なんにしても,建築はこれから中古市場になるから,こういった点を抑えるのが重要だと思うんだが。
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