10/29/2017

海外出張総括:リヨン/ルーベン

IAEAの国際会議「Fourth International Conference on Nuclear Power Plant Life Management 」に出席しました。5年に1度の会議で、前回のソルトレーク・シティに続いて2回目です。その名のとおり、原子力分野のマネジメントの会合でして、どちらかというと一般的なマネジメント、それをうまく回すための知見交換の国際会議です。人間の一生よりも長く運転しよう(米国では、80年を目指している。)というところでは、場合によっては原子力発電所を作ったゼネコンもメーカーもいないわけです。すなわち、知見は運転側がちゃんと管理しなくてはいけなくて、メーカーがいる間はノウハウだといってものをクローズし、なくなったらそのまま消えるなんていうのを許すのかどうか、というのもマネジメントで議論するテーマです。そもそも設計した人もいなくなり、初期に運転を立ち上げた人もいなくなった上で、ノウハウ・知見もまるごと飲み込んで世代を超えていくのは、人材育成も含めた壮大なマネジメントであり、挑戦です。最近の韓国の原発の部品偽装の件、神戸製鋼、日産の件などを見るとこれは、人間の善悪をも乗り越えるチャレンジであると言わざるを得ません。そこで必要とされる技術はなにか、工学とサイエンス、それらをどのように融合して価値判断に結びつけるのか、ということを深く考えさせられる会議でした。

建築というのは、特に日本では一世代限りのものとして設計されることが多いのですが、本当にそんなんでよいのか、ということもこのご時世考えるべきです。サステナブルというならが、作られるものの概念ごと変えなくてはいけないわけです。それと同時にその概念に資する技術もまた、現在の建築の枠を超える必要があります。

KU Leuvenは1400年台に作られた大学で、EUの中でも古い方の大学です。メルカトールとか、有名な研究者を何人も輩出しており、EUの重点12大学の一つであり、Timesや他の大学ランキングでも東大よりも上のことが多い大学です。
そこの先生(Ozlem Cizer先生、Assitante Prof.)から、国際会議の招待講演の依頼を頂いたのですが、都合で出られなかったのでお詫びを兼ねて伺いました。私よりも若い女性の先生でしたが、ジオポリマーやSCMを用いたコンクリートの研究を積極的にやられていて、RILEMの委員会や国際会議等にも多数参加されています。研究について、いくつか議論させてもらいましたが、主要論文を一通り目を通していて、特徴的な研究チームの実験や研究スタイルも頭に入っており、話がすごくはずみました。組積造のライムモルタルとか、炭酸化にも詳しかったです。ここにもまた、構造・材料・化学・科学を結びつけようとしているチャレンジングな研究者がいます。日本の若手の材料の先生は、彼女の研究もチェックしておくと良いと思います。Research Gateにも参加されてますし。

10/17/2017

JACT

放射線を照射した時のコンクリートの劣化のメカニズム解明と維持管理における健全性評価法を提案した、原子力規制庁の国家プロジェクトの全体像を記した論文が、Journal of Advanced Concrete Technology誌に掲載されました。[Development of Soundness Assessment Procedure for Concrete Members Affected by Neutron and Gamma-Ray Irradiation]

5/21/2017

5月だった (途中報告)

GW中は,東京と名古屋を行ったり来たり。家のことも,外のことも無難に過ごしました。家のそばに,安い大型銭湯があってサウナが気持ちよくなったのは,明らかにオヤジ化しているんじゃないかと思いました。

GW後半から,オタワで行われている,OECD/NEA ASCETのASRを生じたRC壁のベンチマーク解析に出席しました。日本からは3チーム,その他は,米国,カナダ,フランス,フィンランド,が参加されていました。私は規制庁に対して,審査の観点から必要なノウハウの構築とその重要性評価の観点から参加して,レポートを作製しました。実験はトロント大学で実施されました。トロント大学といえば,Collins先生がかつて在籍し,RCとして著名な大学でした。しかしながら,今回のベンチマーク解析の実験は,残念ながらひどいかったです。まず,せん断壁の載荷が行われたのですが,私でもわかる載荷の間違いが複数あって,ベンチマーク解析は惨憺たる結果になりそうでした。
これからのとりまとめが大変になりそうです。それでも,フランスチームの考え,米国のチームの考えば,明瞭に出てきていて,別の観点で大変参考になりました。自分がビハインドしている部分では,大変勉強になりました。


帰国翌日は,RC壁の載荷を自分の研究室で実施しました。こちらは,1年間,壁を室内で乾燥させて,それから載荷したものです。養生を90日程度実施したバージンの壁と挙動の比較をするもので,先日のJACTのReviewPaper,に対応したものです。大変興味深い結果がでました。このことで,ナノ・原子スケールのC-S-Hの挙動が,RC構造を考える上でも大事だということが示されたといえます。


翌週は,Prof. Peter McDonald(Surrey大学)が名大に来られました。ご存知のようにPeterは,1H-NMR Relaxometryをセメント系材料の応用し,非破壊でナノスケールの水の挙動を評価する手法をNanocemプロジェクトで確立し,近年さまざまな影響力を持つ論文を執筆しまくっている先生です。Ellis Gartner博士との紹介で,昨年から共同研究を実施しており,今年は,東北大の五十嵐先生もPeterのところに滞在しております。今回,時間を見つけて,初来日していただき,さまざまな講演をしていただきました。名大では,NMRの基本から2日間にわたった講習会をしていただくとともに,東京でのセメント研究者とのワークショップ,セメント協会での講演などを行っていただきました。
1H-NMR Relaxometryでの成果で,もっとも大事な点は,層間水とゲル水(我々はゲル水と考えていませんが),キャピラリー水に対してT2緩和が交換していない(このデータは2005,6年に公開),ということです。水和を継続しているときも,乾燥した時も,卓越したT2緩和に分解できるため,これらは空間的に多くの部分で独立だ,ということ。すなわち,コロイドモデルでは,これらの水は接触面積が増えてくるために,T2緩和は分離できず平均的な値を示すはずなのに,つねに同様の卓越するT2緩和時間が示される。
このことは,結局のところ,C-S-HはFeldman &Seredaのいう,ミルフィーユ状の,シート状構造を構成していることの証明になっています。すでに2008年ごろからヨーロッパでは議論されており,(ちょうど,JenningsのColloid model IIが出版された年),ヨーロッパではコロイド理論の否決になった年でもあります。
こういうことが,日本にはまったく紹介されておらず,いまもってよくわからない解釈が国内学会でも跳梁跋扈しているのは,自由度が高いのか,お気楽なのか,謙虚さがないのかわかりませんが,私個人としては大変恥ずかしい状態だと思っています。


セメント協会のC-S-H研究委員会では,このあたりまで論文から深読みできる若手研究者が1名でも増えれば良いと私は考えています。今,日本に必要なのは底上げではなくて,トッププレーヤーの育成です。トップが低いと業界全体が沈没します。足をひっぱるんじゃなくて,優秀な若手を見つけたら,業界全体で投資するようにしていかなくてはいけない。そのためにはセメント系材料では科学的視点や他分野との意見交換が国内では大幅に欠落しているので,若手をなるべく別分野や国外に出す,あるいは助教やポスドクを他分野から連れてくるような努力が必要と思います。
名大では,現在,その仕組みづくりを検討しています。

5/20/2017

もう,5月だった。(4月の話)

4月がすぎて,すでに5月でした。これでは,全然情報公開になってない・・・。

3月後半ですが,最終週は次年度からの研究開始を踏まえた打合せが多くて,ほとんど研究について考える時間(正確には,データを評価したり考察したりする時間)がありませんでした。予定表を見てみると,卒業式の日以外には,2件以上の打合せが全て入っています。

4月4日には,E. Gartner博士が名大に来られて講演を行いました。CO2低減を前提とした次世代のセメント系材料のあり方など,EUの動向等を詳しく話題提供いただきました。


Ellisとは,論文も共同で書いており,この間に査読修正を行っていました。無事,論文が公開されました。
この論文は,C-S-Hがなぜ,C1.7SH4.0の組成をもつのか,そこで水和がとまるのか,そして非回復の変質とはなにか,を示したものです。今までのデータをすべて同一のモデルで解釈できる点が画期的です。

4月・5月で新しく仕事が増えました。一つは,SIPの土木関係で,セメント解析研究会というものが立ち上がり,その副主査になりました。もう一つ,福島第一の問題に関連して,コンクリートに関わる研究として,NDF(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)における検討委員会の主査を務める事になりました。いずれも,かなり大事な仕事ですので,出来る限りのことをしていこうと思います。
4月の最終週には,ConCrack5の国際会議が東大でありました。学生のJangくんが若材齢の時間依存性を考慮したRCのひび割れ構成則を提案して,マスコンひび割れの予測方法を提案しました。画期的とは言いませんが,今まで明示的に考慮されなかった時間依存性の問題をちゃんと取り扱ってみたという点には価値があると思います。会からは,論文化の推薦をいただきました。Jangくんが対応できるようなら,ぜひ,論文化したいと思います。




4/08/2017

3月後半について

3月の20日の週は,H大学のN先生のところに研究の打合せをしにいったり,K大学の環境工学系のI先生のところにお話を伺いにいったりいたしました。K大学の建築の状況は由々しきものがあり,他人事ではないな,と思います。なんども外でも発言をしていますが,建築学科が専門職教育を標榜するんだったら,専門学校で十分ということを示すことになってしまうので,学問領域の拡大とか,学問の深化とか,そういったものをつねに自己評価していかないといけないと思われます。なにもわかりやすいジャーナルだけが評価ではないのですから,自分で自分の価値を定義・提議していくことをしていなければ,わかりやすいところに駆逐されてしまうのではないでしょうか。
あと10年もたったら,人口分布から考えても,東海圏に必要な大学は半分以下にならざるを得ないわけことを考えたら,ちゃんとやっていったほうが良いと思うんですけども。

3月最終週は,卒業式がありました。頑張った学生が出て行くのは毎度のことながら,寂寥感があります。とはいっても,それが社会ではあるので,そうした環境で自分と学生がどう高めあっていけるかを再出発しようと心をあらたにいたしました。

さて,新しい論文が一本公開されました。

Ellis Gartner, Ippei Maruyama, Jeffrey Chen:
A new model for the C-S-H phase formed during the hydration of Portland cements
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0008884616303921

従来のC-S-Hの構造は,Richardsonの論文に見られるように,11%RHとか,D-dryなどの乾燥条件で構造形式をとりまとめてきており,それをもとに,湿潤時の評価をおこなってきました。これは,PowersらのEvaporable,Non-evaporable water の研究以降の考え方であり,Porous Materialの考え方を踏襲しています。しかし,実際には処女乾燥化で非回復の変質がおきることもわかっており,湿潤状態のC-S-Hがどういったもので,非回復の変質が何に基づくものかを議論した論文は(ほとんど)ありませんでした。

加えて,Powersの論文やYoungらの論文にあるように,水和が停止するときのC-S-Hの構造は,C1.7SH4.0となっており,このH4.0にはゲル水が含まれるということになっていました。が,しかし,なぜ,水和物の残余空間であるゲル空間がC-S-H量とともに増えるのか,その割合がなにゆえ一定なのかは未解明のままです。

これを解決するモデルを提案したものが,上の論文です。
ある意味では,Powers,Jenningsらの考え方を全部再整理したものになっています。
また,この論文は,Jennings博士とChanvillard博士へのDedicationとなっております。
もし,論文が手に入りにくいようでしたら,メールいただければご送付いたします。

3/05/2017

フィロソフィー

Monteiro先生をお尋ねして,C-S-H研究について議論しようと思ったいたのですが,放射線影響研究で存外もりあがってしまい,昨日はあらためて,Prof. Wenkのゼミでプレゼンする機会をいただき,特に石英のメタミクト化について議論しました。
ほんとうは,カルサイトコンクリーションについても議論しようと思ったのですが,そちらは時間切れ,というか,ちょっとやり過ぎかなとおもって控えました。
結晶構造学の権威と簡単にお会いできるのは,素晴らしいですね。ちょうど,クォーツァイトの研究をやられているということでした。

こちらの博士の学生ともいろいろ話をしました。5年目ということです。こちらでは,主となる専攻とサブの専攻2つのクラスをとることが必須で,博士論文はそれほど大事ではないそうです。かれは,放射光をつかった分析で優れた成果を出していましたが,5年目でこれだけ広い知見をもっているのか,と大変衝撃を受けました。
私は,同じくらいの知識を得るのに10年くらいはかかったので。もちろん,世界最先端という環境もあるのですが,幅広いバックグラウンドを持っているということが重要なのだと思います。

博士のあり方についてもいろいろ考えさせられます。日本の博士のプロセス自体は欧州のそれと似ています。しかし,理系で手段の有用性を学問として捉えているのは日本だけではないかと。Ph.Dと博士号のフィロソフィーの違い。リベラルアーツの重要性を理系が真剣に取り組まなければ日本の大学はダメになるな,と,また思いました。「今ある技術で何ができるか」,を考える人ばっかりなのは日本だけです。外に出れば,理系も文系も関係なく,学問を納めた人間は社会が何が必要か,から考えて会社を経営したり,研究していたりすると思います。

結局,技術をどうつかうか,社会にどう貢献するのか,なにが求められているのか,次の世代に何を残すのか。

今の日本は最先端の技術さえ,取り込むことができない上,つかいこなすフィロソフィーを伝える人も少なくなってしまったように思います。
建築学が,建築の新しい価値をどれだけ探しているのか,どれくらい本気でやっているのかが改めて問われていると思います。

3/01/2017

3月に入ってしまいました。

みなさま,気づいたら正月以降,1回も更新なく3月に突入してしまいました。今,LAにおります。明日は,SFに移動で,UC BerkeleyにProf. Monteiroを訪ねます。

近況
1)放射線研究
8年間に渡ったコンクリートの照射研究が終了しました。おおよそ何が起きているかは明らかになりましたが,研究の常ですが,やればやるほどわからないことがわかります。今回,科学的根拠を明快にして新しい健全性評価フローを提案しますが,これが本当に適切化どうかは,さらなる研究が必要です。加速試験はつねに実際の現象との比較が必要であり,加速試験の限界は何かと併せて議論しなければいけません。
中性化の加速試験と実際があわないのと同じです。そもそも,中性化メカニズムちがうんですから・・・。

というわけで,新しい研究ができるよう現在,米国とも協議中。うまく日本国内でも予算が付けばよいですが,最悪,我々のサンプルを米国に渡して,研究を継続してもらおうと思っています。

なお,報告書については概要をすべて英語にして論文として出版する予定です。そちらについてもうまくすすみましたら,みなさまにご報告申し上げます。

2)原子力維持管理特集号
みなさまのご協力で,大変素晴らしい,維持管理の特集号が発刊されました。フリーです。みなさま,ぜひ,一読ください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jact/14/Special_Issue/14_S1/_article

3)研究室
次年度は,D1が一気に3名増えます。昨年秋入学した学生と併せて4名です。今後はプロジェクトと紐付けて博士学生を増やすことを検討していきたいと思います。今,1件の案件で,文科省案件でもこの提案が可能かどうかを検討してもらうようにしています。博士にはサラリーを出し,国際公募で優秀な学生を集めることを,遅まきながらやっていきたいと思います。
学部4年は残念なことに1名でした。一緒に成長していきたいと思います。

4)その他
各種の報告書を記載しているところです。次年度も国プロ関係が多く,ちょっと気になりますが,できる範囲で粛々と,そして前進を目指したいです。









1/03/2017

謹賀新年

あけましておめでとうございます。

あっという間に年が明けました。本年もどうぞ,よろしくお願いいたします。
年を取るということは,夢を見て不断の努力をするとともに,あきらめることの繰り返しのようです。
友人のブログにも書いてありました。
http://blog.tinect.jp/?p=20565

40を過ぎたら,もう先が見えます。限られた時間の。その中で何をすべきか,しなくてはいけないかは大事な問題です。世の中,時間とその対価はもう少し見直されるべきではないか,という点も多いです。
大事なことは何かを見極めながらも,満足できる前進がかなうよう頑張りたいと思います。



12/28/2016

12月 近況まとめ

今年も、残すところ4日になってしまいました。毎年毎年、自分の想像していないようなことがたくさんおきるので、来年も何が起きるのか楽しみです。

7日 カザフスタンの研究炉で照射実験ができないかの打合せを行いました。かららの研究炉で受託を受けたことがないようで、議論が少し骨が折れました。それと、研究者なのに物事に対する真摯さ、謙虚さがないのでこりゃダメかもな、と思いました。研究者は、過去の自分のやったことについても厳密に評価しなくてはいけません。正しいものは正しい、できたものができた、でもそれとは裏返しに、自分の研究の意義がわかっている人はどこが限界で、どこが穴でどのように次にやらなくてはいけないかをわかっているものです。対人的に傲慢であっても、研究について謙虚さがないというのは、知識がなさすぎるのと同じで研究コラボの相手として最低です。

9日 教授承認のお祝いで研究室OBの寺本先生、五十嵐先生に開催していただきました。すごく小さなもので、今まで共同研究をしたことのある方だけに絞ったものでした。大変楽しい親密な会になりました。

14日 京都で科研Aの研究としてジオポリマーの研究について紹介させていただきました。材料が利用できるかどうか、っていうのは適材適所でどんなものでもどっかに使えるとは思うのですが、通常のセメントコンクリートほどの汎用性があるかというのはやはり領域は小さいように思います。私はそれよりもいったいどんな反応速度と生成物ができていて、それはどの程度に制御可能なのか、という点に興味があったのですが、AAMとGPの違いについて、おおむね理解して、基本的なところはスペインや英国チーム、日本の電中研チームにキャッチアップはできたと思います。が、それ以上の研究が必要なのか、何を目指すのは、もう少し時間をかけて、周囲状況を把握した上で考えないと出てこなさそうです。

16日 つくばで防災科学技術研究所の振動台(震動台?)で行われている東北大・高橋先生の研究を見学させていただきました。実はパラレルにやっている研究として私の試験体もかかわっています。振動台をつかって自分が実験をする日が来ることも、数年前には考えもしなかったです。

19日 規制庁に照射研究の報告を行いました。今年度、過去8年の集大成の報告書をつくらねばならず、正月返上になりそうです。ただ、この成果で今後の展開がかわってきますので、やはり一つの重要ポイントとして認識しています。

21日 今年度最後のNUCON(名古屋大学・コンクリーション研究会)。ユタ州の鉄球殻コンクリーションがアジアの全く別のところで発見され、そして、火星の話につながってきました。私は鉄球殻の人工生成という範囲で貢献しましたが、もうすぐ、論文投稿になりそうです。異なる分野で壮大なテーマに取り組むのは、放射線照射研究もそうですが、大変刺激的な体験です。

23日 補講。B3とB2の授業がありました。モルタル作品、面白かったのですが、ちょっと建築物ではなくてオブジェが多かったかな。私としては立体をつくってほしかったので、次年度はもう少し課題を変えようかと思っています。B3の建築と素材、その経年変化に関するレポートは力作ぞろいでした。みな、愛知県に建築が少ないながらも、実際によいものを見て意欲的な発表が多くてとても楽しい発表会でした。

26日 いろんな研究委員会がありましたが・・・。最後、原子力関係の先生方に現在の研究についてご報告して意見をいただきました。今後展開予定のプロジェクトについても、多角的なご意見をいただきましたので、プロジェクト提案に入れ込んでいきたいと思います。相変わらずの、馬鹿を言ったら斬る、くらいの迫力の先生で痺れました。

27日 共同研究先と水分移動に関する実験結果について議論をしました。水分移動、わかっているようでほとんどわかっていません。コンクリートの多くの構成式は限られたデータセットで議論しているので、まだまだ改良の余地があります。多孔体理論、ボルツマン・マタノ方の限界についての議論はまだまだやるべきではないかと思います。

卒論・修論時期で核心に迫るデータが多数でてきています。JCI年次やセメギに投稿してもらいたいと思っていますが、それと同時に英文ジャーナルへの投稿を修士学生でも普通に行える研究室にアップグレードしていきたいと思います。

頑張ってまいりましょう。みなさま、良いお年をお迎えすることを祈念しております。来年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。


12/24/2016

補足

MITが新しい建築をつくるから,といって研究者を公募した時に,日本の建築の先生方でその公募に残る人ってイメージできますか?
若い人にはそういう人材を目指してもらいたい,と思っているんです。自分もそうなりたいし。

12/20/2016

建築雑誌「建築学におけるグローバル化」

「今後の建築(材料)研究者についての意見」ロングバージョン

1.はじめに
今後、日本の大学の建築学科はどのようになっていくだろうか。日本の大学は、選択と淘汰を選ばず研究者の競争は抑制され茹で蛙状態に近いが、そろそろ選択と淘汰、しかもかなり厳しいものを選ばなくては国際的にも国内産業的にも必要とみなされないのではないか。そのためには長期的な方向性を設定した上で、中・短期的に選択と集中によって成果を評価しつつその結果を踏まえて動的に組織を変更できる柔軟性と意思を継続する強さが必要である。その長期的な目標として、一つは新しい建築のための開かれた研究フォーラムとしての建築学科、またもう一つはそれを水平展開する国内産業に根ざした建築学科が考えられる。今後の建築産業は国内市場の縮小と産業の海外市場への進出を考え、おそらく5%程度の大学が国際研究フォーラム型で研究と海外進出用の人材育成を、残りが国内人材育成のための国内産業型をとることになろう。私の意見はこの5%の国際研究フォーラム型の組織とそこで必要とされる研究者についての見解である。

2.概観
住宅建築はそこにある土地、地域、文化とともに発展してきた。材料はその地域にあるもので構造・環境・意匠を支えるものが利用され、構造はそこで課題となる自然災害、環境は一年を通じた気候の変化に対応することを目標とした。神社仏閣、城郭などは信ずるものへの厳かな気持ちや主の野心を渡来された技術により反映することもあって、新しい技術は先進的建築物でまずは試された。住宅建築は経済性を根拠に土地的な結びつきが強いものの、長期的には先進的建築を中心に国際的な技術動向の影響を受け、取捨選択後に緩やかに住宅建築技術に反映されてきた。すなわち、従前より一部の国際的なフォーラムと一般建築のための技術伝達を別のものとして機能させることは行われてきた。
戦後の、特に高度経済成長期以降の建築研究トレンドを外観するには、建築研究所から公開されている建築研究報告がよいかもしれない(http://www.kenken.go.jp/japanese/contents/publications/report.html、2016年9月25日確認)。ここで示されている研究課題は実に先進的で今日的である。性能設計手法、さまざまな外力に対する構造・材料開発、鉄筋コンクリート造建築物の超軽量・超高層化技術、アルカリシリカ反応を含む耐久性研究、いずれも数十年先を見据えた取り組みで、いずれもが今日の礎となっている。当時の研究者の国際性、先進性、創造性の素晴らしさがよく分かる。残念ながら2000年以降、さまざまな理由があるのだろうが、総合技術開発プロジェクトの数・密度は低下傾向にある。よく言われることだが、研究タイトルだけ確認すると、40年前の建築学会大会のなのか、2016年の大会なのかはほとんどわからない。現在の研究は過去のテーマで飽和し、新機軸があるとは言い難い。
この間の各研究テーマは、多分に国際的な動向を踏まえたビジョンの明確な研究が多い。ビジョンが具体的であり、それが日本に即したものであるほど国際的な名声を博している傾向がある。また、研究が国際的に評価されているものは、研究自体を国際的な場で発表されていたことに留意する必要があろう。当時の状況を察するに、極一部の研究者に情報・研究の集約が行われ、国立研究所(国研)の研究者が国際的な場でのプレゼンス向上に大きく貢献していた。現在の欧米の国研の多くも、国のプロジェクトを国研のチームが先導し、そこに大学の研究者が実質的な研究プレーヤーとして参画する。国研の研究者が国際的な情報収集・交換を行い全体のビジョン策定を行うとともに、プレゼンス向上のための発表を行っており、自由度の大きい国研の研究者の重要性は非常に高い。残念ながら日本の今の建築研究業界における状況とは大きく異なる状況となっている。

3.今後について
建築の多様化・国際化が著しくなっている今日において、建築技術が求められている分野は多い。宇宙構造物、洋上・海底構造物、大深度地下空間構造物、エネルギープラント構造物などがそれである。これらはテラフォーミング、資源・エネルギー開発、国土防衛などと密接に関わっており、いずれも将来の世界と日本において重要技術であるが、建築の技術者がイニシアチブを持つ場面は少ない。海外であれば、デザイナーだけでなく技術者自体もさまざまな将来ビジョンを競い合っている状況においていかにも寂しい状況である。また、材料開発においても、CO2低減の観点から、マグネシウムカーボネートハイドレイト、カルシウムサルフォアルミネート、カルサインドクレイなどを用いたセメントが開発され実用化寸前になっており、これらの中国、中東、アジアへの展開が進んでいるなか日本の研究者はほとんど関与していない。
ISOなどの標準化は、いかにも公平な形をとってはいるものの、実質上、デファクトスタンダードを公的に保護する新しい経済戦争の場となっている。このことを理解した対応が日本から取られているとは思われない。本来であれば、大学研究者、政府、材料開発を担う企業が一体となって販路を拡大できるように取り組むべきであるが、そういったビジョン、商材、ビジネスマインドがやや乏しいように見受けられる。材料開発研究は、大学研究者の場合、健全なビジネスマインドを伴って製品化、市場化、標準化、と段階を踏み産業に発展していくが、こうした適切な野心を工学研究の基本的動機として建築の場で学ぶことも日本では少なくなっている。模範的人物・事例が少ないからであろう。日本では研究と市場が乖離する傾向や規制のための実験が増える傾向がある一方、純基礎科学的研究も行われることが少ないため、工学的研究の名のもとに非常に偏った科学的見解が社会に展開される事例も散見されるようになってきた。科学的知見による前進さえも少ないのが現状である。この傾向は建築基準法の体系とも深くかかわっており、新素材開発コストが市場化の手前で大きいのが建材の特徴であり、その次においても、普及価格に持っていく道も険しい。
こうした状況を変化させるためには、規制緩和と責任の明確化、責任によって生ずるフィーの増大といった建築に関わる自由化が不可欠と思われるが、残念ながら日本社会が望まないのか、責任の所在はあいまいのままな体系が好まれる傾向にあるようだ。

大学の研究者や学生がどのような将来像を見ているのか、あるいは見るべきかは実に重要な課題となっている。学生諸君は現状に疑問を持ち、その因果関係を読み解き、そこにビジネスチャンスを見ることができるだろうか。
現在の建築学における課題の多くは、従来の建築産業内部に留まって解決できる課題ではなくなっている。都市規模の計画・開発では海外では商社が活躍し、建築設計のデジタル化ではGoogle社(正確にはスピンアウトしたFlux社)が人工知能やビッグデータを用い、法的問題も含めた住宅設計を実用化しつつある。材料開発はマテリアルサイエンス分野の研究であり、新しい建築の鍵は、今や常に建築の外にある。そのため、建築分野外との技術者・研究者と知見交換や協業がこれまで以上に必要とされており、そのためには基礎教養、すなわちリベラルアーツが必要不可欠となっている。数学・物理・科学・歴史・文化への深い洞察はどのレベルの建築研究にも必要である。また、研究者間において一定以上の技術上の知見交換には相互にWin-Winの関係を求められる。一段と深い「尖った」知識と実験データが必要不可欠であり、こうした「尖った」成果への執着や評価が建築界隈で重要視する必要がある。
新しい建築ビジョン策定や問題解決の観点から、国際的な人脈・研究ネットワークは重要である。特に先進的情報を分野を超えてタイムリーに確保できるネットワークを有するかどうかで研究成果やその評価は大きく変わる。世界の最先端研究は、選択と淘汰を受け極めて限られたものになりつつあるので、そうした研究拠点といかにネットワークを構築するかが重要である。欧米では大学間で優秀なポスドクやPh.D studentを交換したり、共同で教育・研究したりすることでネットワークを深めることも行われている。交換留学制度、JSPSの各種の留学制度や人材交流制度は、多面的・戦略的に運用すべきものであり、従来、属人的でああったこうしたネットワークも、国内研究者間で共有していくことが望ましい。日本でも、人の活用を真剣に考える必要がある。博士過程というのは、社会にとっても大学にとっても、知識を学生(=研究者)と生産する場であって、学生が授業料を払って学ぶ時代はとうの昔に終わっている。しかし、その認識さえ、博士学生を増やせという文部科学省は変えることができずにいる。

将来生き残る組織は、選択と集中、その裏で切り捨てを行う必要が出てくる。その根幹は、建築学が必要とされる社会、その時に必要となる技術と知識、組織が受けたい社会からの評価、輩出したい人材像、から導き出される将来像とそれを実現するための手段、とくに柔軟な人事と評価システム、である。そのためには、その組織の理念と哲学が必要である。オリジナリティを追求し、各大学がリトル東大ではない何かになることで、日本国の中における建築学の冗長性や柔軟性が獲得できる。差別化を恐れ、平等という名の均一化を保つことでは撤退戦を凌ぐことは残念ながら難しい。教育には連続性が、研究には飛躍が必要だが、我々は教育と研究を変える勇気が試されている。

最後に余計なお世話を。日本の建築若手研究者は、タイムリーに日本の研究を国研の研究者に伝達すること、国際Journal論文として引用可能な形に残しておくこと、そして国際的な委員会の場などで貸し借りを作っていくことがまずは大事である。国の税金で研究をしている以上、知識を日本国に反映することはもとより、国際的な社会でも貢献することが望まれている。それは、国際的な場での議論によりレバレッジを利かせて研究効率をあげることができるからである。既往の研究論文を読まず、40年前と同じテーマを同じ方法で取り組むために税金があるのではないし、素材を変えただけで新しいテーマだと臆面も無く言うことは成熟した国の研究者のやることではないことは知っておいてほしい。つねに前進とはなにかを自問してほしいし、その答えは論文の形であってほしい。そして少し成長したら、国のプロジェクトなどで国際共同研究を行うことや、分野を超えた研究者を率いた研究テーマに率先して提案してほしい。これらのポジションに立つ研究者になること自体が、一朝一夕にできるようなものではないが、まずは、一人の尖った研究者として認められることを目指したらどうだろうか。



11/16/2016

近況 20161116

さて、時間が立ってしまいました。最近の活動について、ざっと・・・。


10月26日にNIMS(Natioinal Institute of Material Science)で講演を行いました。セメント化学の知見がインフラや建築ストックの活用にどのように活かせるかということで、私の経験をもとにマルチスケールな視点の研究が重要であることがいかに大事か、という点で講演させていただきました。合わせて、NIMSの研究設備を拝見させていただき、従来、金属、複合材料、ポリマー、粘土などに利用されてきた研究設備は十分、セメント系材料の微細構造分析に利用できるということを議論しました。
次年度は、Richardson博士やMcDonald博士も来日していただけるという話もありますし、なんらか、東京でシンポジウムなどができたらよいな、と考えています。

10月から、ASRの影響を受けた構造解析に関する研究を受託することになりました。OECDのプロジェクトに規制庁が参加する関係で、私も少ないながら、知見貢献させていただくことになりました。あまり、難しいプログラムを開発することは考えておりませんが、シンプルで効果的なモデルの開発ができたらと思っております。

11月7日~11日は、名古屋大学で、International Committee on Irradiated Concreteを開催いたしました。今回は、8カ国、33名の参加がありました。9日には浜岡原子力発電所で行われているコンクリートプロジェクトに関連して視察を行い、地方紙にもその件が取材されたりと、アクティブな活動を行いました。また、次年度の開催はチェコに決まりました。同じテーマを3日間みっちりと議論するというスタイルは、かなり、効果的です。研究者間が打ち解けて、かなり率直な議論ができますし、誰がどういうことを考えているか、もよくわかります。また、今回は、米国、スペイン、日本の規制庁にも参加してもらったので、今行っている研究がどのように規制に反映されうるか、今何がわかっていなくて、今後なにを研究しなくてはいけないか、など今後の方針なども議論されました。

この間、裏では二国間、多国間の共同研究打合せも裏で行われ、日本としても複数の国と共同研究の可能性について打合せしました。
また、EU,米国などで実施される大型プロジェクトの情報なども入ってきました。全部で6つくらい伺ったと思いますが、そのなかの幾つかについては、コンサルタントの形で参加することになりそうです。研究の実施者というよりは、有識者として研究をガイドすることでも国際貢献できるのは光栄なことです。

さて、一方で、2本の論文が公開になりました。


Multi-scale Review for Possible Mechanisms of Natural Frequency Change
of Reinforced Concrete Structures under an Ordinary Drying Condition
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jact/14/11/14_691/_article

この論文は、構造物の固有周期が変化する要因として考えられる原因を原子スケールからメータースケールの問題までマルチスケールでレビューし、なにかを議論したものです。また、それぞれのスケールでどのような研究が今後必要なのかについても明らかにしました。そもそも、原子スケールの研究と実際の構造物のスケールをどのようにリンクすべきかはずっと頭の中にあったのですが、それをやっと文章の形でまとめることができました。個人的には結構気に入っている論文です。



Change in Relative Density of Natural Rock Minerals Due to Electron Irradiation
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jact/14/11/14_706/_article

こちらの論文は、電子線照射によって岩石鉱物のメタミクト化(アモルファス化、結晶が壊れる現象)について議論したものです。長石類も体積膨張する点、粘土鉱物であっても堆積膨張する点があきらかになったこと、電子線照射によって得られた状況と中性子照射によって得られた体積は大きくことなること、照射の最中のThermal Annealingの影響が非常に重要であることなどを議論した最初の論文といえます。名大の武藤先生と昨年からコラボさせていただいた研究が早速花開きました。
放射線影響下におけるコンクリートについても重要な知見を与えています。


10/22/2016

近況 20161022

職位がかわったからといって、突然何かが変わるものでもありませんし、仕事がかわるものでもありません。とはいいつつも、周りの状況は刻一刻とかわっており、研究状況も含めて猛烈な変化があってちょっと動揺しています。

研究上での進捗を中心として、近況は以下のような感じです。

1.Small Angle X-ray Scatteringを用いて、セメント硬化体中の乾燥時のC-S-Hの凝集構造の変化について議論しました。同様な論文は、Chiangらのものがあるのですが、かれらは、WAXS領域を測定していませんし、どういうわけか彼らが指摘するピークはどうやっても出てきません。そのため、別の観点からの議論を行って、Discフラクタルモデルを用いることで、C-S-Hの凝集構造の変化とその中に存在する層状構造が乾燥時に動的に変化するデータを示すことに成功しました。

Microstructural changes in white Portland cement paste under the first drying process evaluated by WAXS, SAXS, and USAXS
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0008884616301144

共同研究を実施していただいた、共著者の旭化成の松井さん、坂本さんには足掛け6年の長きに渡り、測定、議論をさせていただき感謝申し上げます。本当に長かった。

2.英国で実施した、1H-NMRのCPMGシーケンスについてやっと名大で測定が可能になりました。これでさまざまなデータについて議論ができます。英国で議論した際、ハイデルベルグが出しているホワイトセメントのFeの量が議論になりました。日本の太平洋セメント社(今は、海外産に変化してしまった。)のホワイトセメントは、Feの含有量が小さく、NMR測定にベストな製品と考えられます。研究用途に使うのは想定外かもしれませんが、非常に貴重な研究リソースを失ったのは大変残念です。

3.M2の張くんの研究で、やっとマスコンのひび割れ予測が有限要素法でできるようになりました。破壊エネルギーの時間依存性と塑性変形の考え方、また、温度履歴に依存する物性を適切に評価すると、予測できるという結果になりました。現実をどれだけモデリングするか、というのは常に課題になるのですが、面倒くさがり屋の私共としては、これはどうも考えなくてはいけない、というギリギリのところの現象がいくつかあきらかになったので、論文化できると考えています。Concrack5で概要を発表します。

4.時間と体調マネジメントは常に重要な課題です。もう、無理な会合は無理と言って休まないとこわいことになってしまいます。関係者のみなまさ、ご迷惑をおかけしますが、どうか、ご了承のほどお願い申し上げます。

5.私は音が苦手でした。とくに読書や研究の作業をしているときの音楽は邪魔でしかありません。ただ、最近、電車を含めた公共機関の輸送での騒音がかなり自分の心理面のストレスになっていることを発見しました。(その傾向は飛行機の耳栓で感じてはいたのですが・・・。)その為、移動時に音楽を聞くようになりました。40年生きてきて新しい展開で自分でも驚いています。

6.移動時に論文を読むことが多かったのですが、これですと自分の知識が絞られるばっかりで、なんだか人間ちっちゃくなってしまいそうなので、小説や新書を読むように変えました。論文は大学の作業の合間に読むようになりました。最近読んだのは、村上春樹の「女のいない男たち」でした。久しぶりの短編集です。ねじまき鳥クロニクルあたりから、男女間の絶望的な境遇について記載される傾向が増えてきていましたが、これはその濃縮版です。基本的にスタンスが諦観からスタートしているので、テンションによっては読めないものもあったのですが、最近読了しました。
人間関係には不可逆なものが多く、ターニングポイントは日常に沢山転がっています。自分のどうしようもない怒りとか、欲望とか、野心とか、そういったものを客観視しなくてはいけないと思ってもできない状況を村上春樹の言葉で置き換えて説明してもらったようです。ただ、もちろん解決にはならない。40もすぎると、いろんな哀しいことも起きるようになりますが、そういうのはどうやって体に馴染むのを待てるようになるんでしょうかね。