昨年は少し進捗が遅かったのを反省して,今年は大幅に実験を進めています。ゼミでは毎週,多くのデータが出てきて,やっと以前の雰囲気が戻ってきました。これからは,論文化を強力に推し進めていかないといけません。ここからが正念場です。
1~8日は,ICICに出席してきました。今年から,一般委員会となり,多くの参加者が集いました。10カ国30名となりました。発表は,ここでわかるようにORNLと日本の発表が多く,あとはキーとなる発表としては,フランスの処分関係の方のガンマ線影響に関する理論的考察,フィンランドの照射実験,スペインのZoritaプロジェクトでの詳細数値解析計算と照射環境のキャラクタリゼーション,などでした。
最終日には,今後の可能性を模索すべく米国との共同研究の可能性を模索してきました。かなり,具体的な提案がまとまり,これらを日本にもちかえって,企画化していきたいと考えています。
翌週は,国内共同研究の打合せを行い,特許化案件が2件ほど出てくるほか,今後の実験方向性でかなり面白いものがではじめました。仕込んだものが,花開きつつあります。
13日は,Ellis Gartner博士に来名いただきました。3年位前からは,かなり具体的に収縮メカニズムとC-S-Hのデータをお互いに交換して,メカニズムについて議論してきました。先日,逝去されたJennings博士のglobuleモデルについても議論しましたが,Jennings博士は最後にglobuleモデルを引っ込めた論文を公開しており,その発展が我々に課された課題だ,ということを話しました。Ellis博士が近年の我々のデータと博士自身が取得した結果をもとに提案するあらたな仮説をご紹介いただきました。あまりにエレガントすぎて,ちょっと衝撃でした。化学の背景を確実にもっているということは,本当に素晴らしいと思いました。今後,1,2年のうちに我々はそれを論文の形で知ることができると思います。
13日は,新しい論文が公開になりました。
Numerical Approach towards Aging Management of Concrete Structures: Material Strength Evaluation in a Massive Concrete Structure under One-Sided Heating
この論文は,博士の時から行なってきたセメントの水和反応モデルを大幅に改良し,加えて,さまざまな物性についてモデル化をすすめたものとなっています。私は,数値モデルやメカニズムを念頭にそれを明らかにする実験的検討というのを10年継続してきました。その間に寺本先生,五十嵐先生が巣立ち,その他に,岸君,堀口君,篠野君,杉江さん,西岡さん,別府君,伊藤君,やその他の素晴らしい学生と一緒に研究でき,膨大な実験データを蓄積してきました。この論文の査読結果の最後は,One of the best paper,で締めくくられており,大変に嬉しかったです。この論文は,我々のやってきた数値解析的研究の10年間の集大成です。それが専門家に適切に認めてもらえたことは大変に嬉しいです。個人的なささやかなコメントだとしても・・・。
自分でいうのもなんですが,膨大でそして信頼に足るデータが多数あり,数値モデルのステップステップをすべて検証しているので,ぜひとも,ご一読いただけたらと思います。
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