怒濤の忙しさでした。5月なのになんで,こうなっているかというと現在,居室を構えている4号館が新築になるからです。補整予算がついたので建て替えになりました。
・研究室にある引越計画
・備品番号の整備とそれらの移設費用の見積もり依頼
・備品番号が無いものが大量にあった。(全部で70くらいあった。)
・備品の寸法測定
を行いました。いやあ,実験棟大分わかった。いくらなんでも。
恒温恒湿室の引越がもったいなくて,あとちょっと出すと新しくなる金額なわけです。これはびっくりでした。
アムスラーの移設もしんどいですね。移動後に反力とれるところがないので,引張試験はむずかしそうです。かえってくれば床を整備するので大丈夫でしょうが。
あとは,反力床・反力壁を入れるので,その寸法を決定したり,平面図をつくったり,養生室等の設計,電力量の見積もりなどを行いました。
建て替えは周囲の嫉妬を買いますし,面積バトルはえらいことになっています。確定する面積は,今後相当の期間FIXなので,妥協点の模索の難しい交渉が続いております。
いやあ,勉強になりますねえ。
5/17~5/18は野口研OBの研究者による意見交換会というのを行いました。現状の研究状況や今後どうしていきたいかなどの意見交換ができました。内容は非公開が原則ですのでここでは書けません。
5/20~22日 セメント技術大会でした。今年は,兼松先生筆頭で,セメント協会論文賞をいただきました。また,研究奨励金もいただくことが出来ました。頑張って成果を出します。
水和と収縮の関係は,特に温度履歴の観点から再度見直す時期に来ております。線膨張係数の経時変化が生む温度ひずみ,という新しい観点から見れば,高炉のひび割れの問題は再整理できる問題になります。
また,温度ひずみ,すなわち線膨張係数と温度履歴を制御するという問題と自己収縮を制御するというのは,時として背反,時として同じ方向を向きます。材料開発者,ユーザーは,この点を明確に把握しないといけません。膨張材や収縮低減剤の役割について諸処の問題が生じていたのもここに起因されます。
田澤先生が自己収縮の問題を指摘して以降,温度一定下の挙動というのは大分,工学的な把握がされてきたと思います。
一方,土木構造物の方で議論されている温度ひび割れ,その中に存在する自己収縮の問題は定量的議論がうまくできていません。この理由は,線膨張係数の経時変化を正確に捉えようという試みが,従来までに少なく,しかも,その目的が明確でなかったからだと思います。
加えて,従来研究の線膨張係数の問題は高強度の問題で捉えられてきていました。
この様な状況から,我々は薄片部材に温度パルスを与えることで温度履歴条件下であっても,線膨張係数が取得できる試験機を開発し,線膨張係数による問題と自己収縮による問題を区分することに取り組んで来たわけです。
今年度のセメント・コンクリート論文集では,高炉と普通を比較した場合の,水和による温度履歴条件下において,線膨張係数の経時変化に起因するひずみ成分と自己収縮成分を分離し,従来までのメカニズムの把握の問題点を指摘する論文を投稿しました。これはセメギでも発表したものです。
加えて,昨年度,線膨張係数の含水率依存性のデータを取得しましたが,脱離線上で相対湿度70%までは乾燥プロセスにおいて線膨張係数が増大することを再度確認しました。(オリジナルはMayer,1950かと。)
このことは,線膨張係数を制御するためには,骨材種を変えるだけでなくて,水分を供給することでも制御できることを意味しているわけです。
この観点から,含水人工軽量骨材を用いて,線膨張係数を制御し,温度ひずみ成分を制御するというこころみについても,検討し,論文投稿をしました。
この論文は,コンクリートの若材齢ひび割れ制御に一石を投じるものと考えています。
5/23 成田のオーバーレイの解析についての打ち合わせでした。膨張材の効きの問題,遅延剤の影響についてのディスカッション,FEM上での問題が議論になりました。
5/24 午後,打ち合わせ。収縮低減剤がどうして収縮低減できるかについて,理論的に説明できるようになったので(まだ,再査読後の結果が出ていない・・・),実際にメーカーと打ち合わせを行った。意見交換で,収縮が低減できる物質について経験則と理論の整合性についておおよその一致を見たが,分子の選択性,分子量の問題,影響範囲について,より分子レベルの分析が必要であることをご教授いただいた。第一原理計算や分子動力学を考慮した分子とC-S-H表面の相互依存性について検討する研究テーマが浮上した。1,2年で出来るとは思えないので,高分子系の研究や最近のICCCでの計算手法を検討しながら,研究テーマの模索を行う。
5/27 阪大の鎌田先生・内田先生のところにAEセンサや超音波測定について話を伺いにおじゃました。ノイズの拾い具合,型枠の問題を含めて,相当のノウハウの産物であることがわかった。これは一朝一夕に出来る者ではない。マシーンを借りてすぐにできるものではないことがわかったので,共同で研究をすることを再確認させていただいた。
Pietro(EMPA)の研究で,凝結時にAEのピークが来るという論文があり,これがメニスカス形成時の音であると説明している。大変興味を持っていたのだが,変形が大きいところなので型枠との摩擦面から発生する音である可能性も有るらしく,若材齢は発生源特定が相当に困難であるとのことだった。まったく,そこまでは頭がまわっていなかった。
AEセンサの受診側は1ポート100万程度とのこと。
5/28 ASCOTのひび割れ委員会。方向性が不明瞭かな。JCI,AIJの委員会との差別化,公共的な役割としてどこを向いていくのか,という点についてビジョン確立の必要があろう。これは委員長が決めないいけない問題と個人的には思う。委員の集合で決める種類のものでは無いような。
また,委員会で集合することの魅力が減っているようにも。ノウハウなり,新しい知見,自分の知識向上等インスパイアするようなデータの公開がないと委員からの求心力が薄れる。また,委員も自分のデータを公開して,ディスカッションして得られるものが無いと,公開する気にならないかも。ディスカッションのクオリティ確保についても方策が必要と思われる。
JCIやAIJの委員会は,いろいろなフィードバックができたり,共同研究の高度化が行われるなどという背景が自動的に醸成されている。同じフレームワークでの委員会活動にはならないことに留意が必要。
以上が,私の考察。
5/29 愛知減災協議会に出席。当初,JCI中部支部の委員会に出席予定だったのだが,4号館実験棟の問題が浮上して,結局協議会後の懇親会で協議することになり,そのまま滞留。予定が狂った。なかなか,得心のいかないこともあるが,そもそもの合意形成プロセスに問題があったわけで,大いに反省。
5/30 大学院説明会でした。
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