昨日は,建築学会で行われたJABEE(Wikipedia)研修会,に参加した。
JABEEとは,ワシントンアコードに対応するための日本の機関であり,研究機関のISOみたいなもんである。
教育の品質保証とその結果による,欧米との卒業要件の互換性担保を目的としている。
こういった認証機関というのは,まったく駄目な機関とか,自己改善,成長能力のない分野,やるきが無い環境で重要と思うのだが,(そもそも性悪説なので),多くの場合,日本の環境にはなじまないとおもうけど,大学教育に関しては,必要かもしれない。
JABEEは,大学教育システムが機能しているかどうかの評価が主眼であって,システム設計のみを評価する。だから,独自のポリシーで教育して,これでうまくいくんだ,という証拠さえあれば,基本的には認証される。
大学で必要とされるかもしれない,っていうのは,日本の大学の以下の特徴(私の知っている範囲だが)にある。
・教育よりも研究が重視されている。特に教員評価は研究成果の比重が高い。
・大学の業務と同等に社会的貢献活動が多く,結果として授業品質・回数の低下が起こる。
・大学教育について評価する手段がないため,教員に教育をまじめにやるインセンティブが少ない。
(もちろん,現在の危機的状況を感じて,気合い入っている先生もいる。)
広大・名大でJABEEを体験したけれど,
メリット:
・出力評価になるので,いいのがれができない。結果重視で授業が評価される。
・すくなくとも,やる気が無い先生というのは,JABEEをやると教室内で浮き彫りになる。
・授業の連携をやるようになり,教える項目のヒエラルキー,順序,システムが明確になる。授業設計が明確な目的の下に行われるようになる。
・学生の年ごとのばらつきがわかったりして,柔軟な教育ができるようになる。
・良い授業をしている教員も授業アンケートなどから浮き彫りになる。
デメリット:
・やはり,これに関わる時間はかなり多くなる。専任的にやる人が二人は必要になると思う。
(特に導入期)
・紙が大量に利用される。環境にやさしいとは思えない。証拠作りには必要なんだけど。
というわけで,メリットの方が多いと私は思う。ただ,少人数の教室,コースはつらいね。
学生にしても,このシステム内でまじめに学習しないのであれば,それはもうどうしようも無い。
逆に,丁寧にやっている分,学生の責任というのも見えてくる。
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