7/27/2016

かご

同じかごに卵を盛るな,という格言にしたがって,自分の研究が一つの分野にかたやらないようにバランスをとっておりましたが,どうも原子力建築分野に偏っておりまして,最近再編を行っています。

それは,特に現在のような研究背景をもと土木建築分野であると,同じ場所から見える景色というのはどうしてもかたまってしまうので,いろんな人とのコラボレーションの可能性を広げる上でも,なるべく多くの人の意見が聞けるプロジェクトのそばにいたい,という思いがあります。

最近は,文部科学省系のプロジェクトとして,科研というのがありますけれども,基盤Sの大型プロジェクトとして,名古屋市大の青木先生のものがあります。「歴史的建造物のオーセンティシティと耐震性確保のための保存再生技術の開発」というなかなか壮大なテーマでして,自分がこれに何が貢献できるかは別として,全体的なとりまとめ方向についてはやはり考えてみたいテーマがいくつかあります。
個別要素としては,塩類風化,特に過飽和状態からの結晶成長圧とか破壊と結晶成長のダイナミクスとか,そういったものに興味があります。セメント系に戻ればDEFの問題などと同じ研究課題(違う点もありますが,それについてはまた別に話をしたいです。)になるわけで,実験系としてシンプルなものができるのかな,と。京大の先生とのコラボも期待できそうなので,非常に頭が刺激されます。

また,一方の基盤Aのプロジェクトとしては,京大構造系の荒木先生の分担もやらせていただき,ジオポリマー(というか,アルカリ活性硬化体ですね。)について少し手をだしました。ようは副産物をどのような速度でどのように溶かして析出させるか,という技術なわけですが,これをポリマー化までもっていくことの技術の整備と,硬化体の良しあしについては議論しておいたほうがよいかな,と思います。

その他,地質分野の多くの方とやらせていただいてるコンクリーションや化石に関する研究は,また,別の面白い展開になってきています。

その他,こまごまといえば,
・セメント関係では,収縮低減剤の作用メカニズムに関するフランスとの国際共同研究はいよいよ佳境に入ってきました。
・9月には英国に2週間滞在する予定となっていますが,Surray大学をはじめとして1H-NMR-Relaxometryに関する共同研究を実施するとともに,C-S-Hの結晶構造に関する議論を深めてきます。また,このテーマについては千葉大学の大窪先生ともすでに2年ほど実験をやらせていただいて,やっと佳境に入っているところでもあります。(長かった・・・)
・チェコ工科大とは,補修材に関する共同研究とその他,数値解析手法の開発について研究を進めています。

などなど,大型のプロジェクトを原子力建築分野で実施する一方,ここ1,2年は他分野との協業,国際共同研究,などフレームワークとして多様化するとともに,研究テーマもさまざに広げていきたいと思います。

といっても,研究室のマンパワー的にはほぼパンパンなんで,どうしたものかな,とは思っているんですが・・・。


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