7/28/2016

Windows 10

最近,Windows 10のMobile phoneを購入してみました。電話としては利用してませんが,いろいろ便利です。恥ずかしながら,初のスマホです。
購入してみてよかったな,と思うのは案外Windows 10は良いかもしれない,ということがわかったことです。

まわりのOSは,すべてWindows 7で十分と思っていました。あるいは,アップデート自体が問題になるとまた,数時間費やすことになるのでそのリスクが怖い,ということです。

また,USBメモリのファイル保存に関してフォーマットが,Windows10とWindows7では互換性が無く,ディスクの取り外しを行って互換性を担保するものに書き換えをしなければ,USBメモリが破壊してしまうという情報もあり,身の回りのOSを全部固定しておくほうが安全,という考えもありました。

でも,案外つかってみてよかったので,身の回りをWindows 10側でそろえるという決断をやっと昨日からできまして,順次アップグレードをしております。タッチパネルのついているノートPCはそれなりに快適です。デスクトップでよいところあるか,と言われると見た目が少しよくなったかな,程度ではあるのですが・・・。

というわけで,今も夜なべして家のデスクトップPCをアップグレード中です。



7/27/2016

かご

同じかごに卵を盛るな,という格言にしたがって,自分の研究が一つの分野にかたやらないようにバランスをとっておりましたが,どうも原子力建築分野に偏っておりまして,最近再編を行っています。

それは,特に現在のような研究背景をもと土木建築分野であると,同じ場所から見える景色というのはどうしてもかたまってしまうので,いろんな人とのコラボレーションの可能性を広げる上でも,なるべく多くの人の意見が聞けるプロジェクトのそばにいたい,という思いがあります。

最近は,文部科学省系のプロジェクトとして,科研というのがありますけれども,基盤Sの大型プロジェクトとして,名古屋市大の青木先生のものがあります。「歴史的建造物のオーセンティシティと耐震性確保のための保存再生技術の開発」というなかなか壮大なテーマでして,自分がこれに何が貢献できるかは別として,全体的なとりまとめ方向についてはやはり考えてみたいテーマがいくつかあります。
個別要素としては,塩類風化,特に過飽和状態からの結晶成長圧とか破壊と結晶成長のダイナミクスとか,そういったものに興味があります。セメント系に戻ればDEFの問題などと同じ研究課題(違う点もありますが,それについてはまた別に話をしたいです。)になるわけで,実験系としてシンプルなものができるのかな,と。京大の先生とのコラボも期待できそうなので,非常に頭が刺激されます。

また,一方の基盤Aのプロジェクトとしては,京大構造系の荒木先生の分担もやらせていただき,ジオポリマー(というか,アルカリ活性硬化体ですね。)について少し手をだしました。ようは副産物をどのような速度でどのように溶かして析出させるか,という技術なわけですが,これをポリマー化までもっていくことの技術の整備と,硬化体の良しあしについては議論しておいたほうがよいかな,と思います。

その他,地質分野の多くの方とやらせていただいてるコンクリーションや化石に関する研究は,また,別の面白い展開になってきています。

その他,こまごまといえば,
・セメント関係では,収縮低減剤の作用メカニズムに関するフランスとの国際共同研究はいよいよ佳境に入ってきました。
・9月には英国に2週間滞在する予定となっていますが,Surray大学をはじめとして1H-NMR-Relaxometryに関する共同研究を実施するとともに,C-S-Hの結晶構造に関する議論を深めてきます。また,このテーマについては千葉大学の大窪先生ともすでに2年ほど実験をやらせていただいて,やっと佳境に入っているところでもあります。(長かった・・・)
・チェコ工科大とは,補修材に関する共同研究とその他,数値解析手法の開発について研究を進めています。

などなど,大型のプロジェクトを原子力建築分野で実施する一方,ここ1,2年は他分野との協業,国際共同研究,などフレームワークとして多様化するとともに,研究テーマもさまざに広げていきたいと思います。

といっても,研究室のマンパワー的にはほぼパンパンなんで,どうしたものかな,とは思っているんですが・・・。


7/26/2016

学振76委員会 講演

昨日,76委員会でお題をいただき講演をさせてもらいました。内容は,最近の数値解析技術について,水和反応から物性予測までを,ということでした。

私自身,最近は再び数値解析を用いた論文も何本か投稿している人間ではありますが,数値解析の原理とそれにとりまとめるまでの縮約にいろいろある限界について考えることが多く,また,それに対応した実験もできていない部分がおおいので,むしろお題をするほど偉そうなことはいえず,むしろ苦悩しているという状況なので,講演としては難産でした。

結局,素直に現状のState of the art的なものにして,日本がトレースしていない状況,何か課題なのか,ということについてアラカルト的に紹介することにしました。

でも,本当に伝えたかったことは,数値解析をつかうためにも,いや学問としてコンクリートを考える上でも,最も大事なことは以下のようなことなんじゃないか,ということです。

データをとって線をひき,安全率を考えて設計することには一定の価値があることは認めます。しかし,それはもはや設計行為であって工学的研究であはりません。新しいデータをとって,プロットして,また線を引くことになんの進歩があるのでしょうか。データを取るたびに新しく線を引くのでしょうか。

人件費を考えれば,毎年数十億円の研究費が毎年我々の関連分野で使われているわけですが,そこでセメント化学・コンクリート工学でなにが進歩しているのか,そういう形で批判をしている研究者はいるでしょうか。

科学的なマインドなく,後戻りの無い成果がほんの一握りでもあれば,そこは足場となるわけです。足場なく,上の建物をつんでも,それは砂上の楼閣です。日本のコンクリート工学は砂上の楼閣になりつつあります。コンクリート工学内で議論している用語は,他分野で使われているでしょうか。他の工学・科学分野と共通の言葉を使い,お互いの科学的進歩を分かち合い,前身をつづける学問分野になっていますでしょうか。

同席していた東大・石田先生とも話をしましたが,コンクリート工学分野は,あるいは建築・土木分野は自分たちだけで閉じた世界を築きつつあるのではないでしょうか。

毎年使う研究費の10%でもよいので,足場をつくる研究,後戻りの無い研究,前進のための研究に使われることを心から望みます。また,私は,そういう観点で研究を進め続けようと改めて思いました。

7/12/2016

Review of the Current State of Knowledge on the Effects of Radiation on Concrete

コンクリートの放射線劣化に関する課題と各国の取り組み,および国際的なとりくみについてとりまとめたReview論文が,Journal of Advanced Concrete Technologyに掲載されました。[リンク]

いろんな課題が整理されています。最近の関連の文献を紐解くには便利なReviewになっていると思います。もし,ご興味があれば御覧ください。

Review of the Current State of Knowledge on the Effects of Radiation on Concrete
Thomas M. Rosseel, Ippei Maruyama, Yann Le Pape, Osamu Kontani, Alain B. Giorla, Igor Remec, James J. Wall, Madhumita Sircar, Carmen Andrade, Manuel Ordonez

米国DOEの研究所,米国規制庁,スペイン規制局も連名っていうちょっと豪華な布陣。日本はただの大学の教員,ゼネコン。日本の研究体制のなんというか,現場対応的なものがそのまま見えてますね。このほのかな残念感を著者を見て感じられたら,相当に研究通です。


近況

7月6,7,8日と日本コンクリート工学会年次講演会で博多に言っておりました。期間中,かつて名大にいた先生と会食でき,旧交を深めることができました。
司会は,今年は腐食(防食)で,面白く聞かせてもらいました。すぐ調べればわかることだと思いますが,電気防食だとASRがまずそうですね。電流で逆に加速したら面白いことできないでしょうか。
あとは,Cationが移動するのですけど,シンジェナイトとか,なにが析出しているのか気になります。しかし,水酸化カルシウムに対して,何を選択的に析出させたらバッファーになるのか,っていう研究はされているんでしょうか。こちらも興味深いです。

JCI総会で恩師に君もそろそろ懇親会に顔を出すようにといわれ,はじめて主催側でないときに懇親会に出てみました。いずれの学会もそうですが,おじいちゃんのための会になっているわけで,研究者間の懇親は別のところでもできそうだな,と思いました。企業の方と久方ぶりにお会いする機会としては素晴らしかいですけども。
今回は博多だけあって,食事もおいしいし,むしろ混雑がすぎたので欠席した方がよさそうでした。なんか,アラートがあるとよいですかね。

その他の夜の会では,同世代のみなさんと飲めたので元気が回復しました。


7月10日(日)は,名古屋市大の青木先生代表の科研(S)の打ち合わせでした。文化遺産保存に関する打ち合わせで,少し疑問に思っていた点について,直接実務に携わっている方のお話がきけてよかったです。コンクリートはやる人がメンバーをみるとたくさんいそうなので,レンガの塩風化をやろうと思いました。塩風化は,DEFとは違い,過飽和条件がイメージしやすいのでメカニズムや数値モデルは,材料や周囲土壌,飛来物質条件が定量できれば,その場その場に応じたモデルは(比較的)簡単につくれるのでは,と推察します。ですので,むしろ問題があった場合のキャラクタリゼーション方法についてざっととりまとめることと,現在起きているその現象をどのように停止させるか,ということが課題ですね。
回復性を担保しつつ停止する手法,というのはなかなかに課題です。チャレンジングなので燃えますけど。少し頭の体操をしたいと思います。


CCR投稿中の論文2本の査読が返ってきました。おおむね総じてPositiveと判断していますが,いずれもそれなりの分量の査読結果でした。Rejectよりは議論が続くのがありがたい。