10/24/2015

その他の近況

大体,更新できない時というのは,もう,自分を反省する時間もなく延々と日々をなんとかやりくりしている状態です。
最近は,来週に控えた米国出張先でのプレゼン用の研究が全然すすんでいなくて,ひたすら解析コードを書いていました。集中して時間が取れればなんということもない作業もぶつぶつ時間が切れてしまった中でやりくりすると,それはそれで時間がすぎていってしまいます。


四国出張

米国出張後,愛媛県の方に出張いたしました。今年度からあらたに開始した研究にアルカリ骨材反応を生じたコンクリートの将来予測というものがあります。アルカリ骨材反応を生じても,要求性能を満たしている間は,構造として十分使用できますが,それを20年にわたりモニタリングと構造性能評価を行なって,実施してきている素晴らしい建築物が四国にあります。

大変にお忙しい時期ではありましたが,現地を視察させていただき,私の知りたい情報や関連するデータを実際に確認し,構造物としての現在の状況がどんなものかも知ることができました。

もう少し,プラスで実験をするとともに,数値解析によってパラメータスタディを行うと,すごく良い事例として世界が参照されるようになることを確信しました。

予算の出処というのはいろいろ難しいところがありますが,多数,業界のためにやるべきことがあるな,と再認識しました。

米国出張

今年も米国ユタ州にFe-コンクリーションの研究に行ってまいりました。昨年と同様に,地質,リモセン,地球化学,惑星,などなどさまざまな面子での研究です。昨年最終日に大どんでん返しがあり,仮説が全部ひっくり返りましたが,今年はそこからスタートして1年間議論を重ねて現地入りしました。どの層準になにがあるかを確認して,これを見つけたら論文用の証明がおわりという,詰将棋のような状態で,毎日なんらかの発見があり,そして気づきがありました。
なによりも,日頃の行いのよさなのか,雨の日に現地入できず,ドライブがてら実施した調査でも,びっくりするような発見があり,すべての日が無駄なく,最終日において論文の詰めとなるデータが確認でき大変満足な出張となりました。

本当は,なんでも書きたいところなんですが,詳細は論文で明らかにしたいと思います。
私としては,この現象の工学的応用に興味があり,早速,現地の砂をもってきて,再現実験の可能性を検討しよつお考えております。










10/01/2015

10年

名大にきて10年が経ちました。多くの学生さんと一緒に研究ができ,私の中で少し,コンクリートっていうものはこういうものだ,というのがわかるようになりました。
また,セメントやコンクリートにかかわらず,外装材,粘土,マグネシアセメント,分析技術,構造,振動,モニタリング,などなどについて勉強が膨らみ,最近では化石の勉強をするようにもなりました。
まさか,10年後のこの日が,米国で化石を探しているなんてことは想像だにできませんでした。そしてその研究が,このタイミングで火星に水があることがわかるようになり,宇宙建築につながっていくということもひょっとしたら本当の事になるのかもしれない,そういう可能性のある大学にこれたことは本当に嬉しいことだと,あらために認識しています。総合大学にいることの意義,というのは見えないものではありますが,大変に大きいと私は思います。

また,自然を相手にするようになったその中で,世の材料の成り立ちという大きな枠組みの中からなにを紡いでいくか,その紡ぎ方というのはどういった美しさを持つべきか,というのが段々とわかってきました。
私は,麻布の時も東大の時も,いつも友人と比較して頭の回転の遅い方だったと認識していますが,10年も同じ所でかじりついていると,やっとそれなりに見えてくるものがあります。愚鈍な方が良いことがあるというのはこういうことかな,と。
そういったことが10年という単位ではじめてわかってきました。


そしてもう一つ,生き方としてよくよく私にわかったことは,必要とされる人と一緒にいた,というものです。
名大への所属はそもそもは公募ではありましたが,多くの先生方に良くしていただきました。一緒に研究をしていただいた企業の方,大学の先生方も,また,多くの学生も,ある意味で私の研究室を選んでいただいたわけですが,そうした中で私ができることがなにか,その中で一緒になにをか残していこうと考えることが望外の喜びにつながってきました。
今日の米国出張も,コンクリートや地質の研究を一緒にやっていこうよ,と誘っていただけた吉田先生方があったのでこうしてできているわけですし,原子力関係の研究も関村先生に認識いただけたことは本当に嬉しいできごとでした。
現在も名大の中で,ゆっくりとではありますが,ネットワークが広がりつつあります。その中で,少しですが,私が人を頼るということもできるようになってきました。


時としては,人の気持ちに土足で入るような失敗もして後悔も多い人生ですが,広げた学問と人とのつながりを閉じることなく,つぎの10年に繋げたいと思う次第です。

お知り合いになれた皆様に心より御礼申し上げます。