9/30/2015

カタール出張

シルバーウィークに,1泊2日でカタールに行ってきました。秋田県ほどの国に人口200万人,ドーハには20万人がすんでいます。全人口の1割がカタール人で,その他は出稼ぎ労働者だとカタール人は言っていました。
カタールは産油国で,その利権をカタール人が握っていると聞きました。詳しい状況はよくわかりませんが,カタールを見ている限り,特権階級のように見えます。
厳密な宗教観を有しており,一切,お酒が飲めませんでした。ぜったいに裏口があるはず,とおもっていた私は奇しくもお酒断ちでした。

今回の調査の目的は,カタールが近年研究に資金を助成しているカタール財団の研究費がどのようなものか,というものでした。また,併せて,シビル分野でのコラボができないか,ということでプレゼンをカタール大学でさせてもらいました。

結論からいいますと,カタール財団による研究費は少しハードルが高そうです。極めて政治的な部分があるし,表の顔だけでないこともわかりました。逆にそういった資金をもらってしまったら,それはそれでしんどいだろうな,という部分もありました。野心の大きい人は,是非,日本からもチャレンジしてもらいたいと思いますが,私個人としてはメインでパートナーになるのはしんどいとおもいました。
一方,9月末で,朝方31℃,昼間40℃を超える土地での建設ということについては興味があります。耐久性も今後の大きな課題だと認識しています。現在,2022年のワールドカップにむけて都市が急成長のドーハでは,人口も車も増えており,大変な状態になっています。その後来るだろう経済停滞期も含めて,どのような成長を進めていくところか,都市設計をどうするのか,それぞれの建築がどんな人生をたどるのかということは,今後の中東建築を考える上では重要なロールモデルになると考えられます。

幸いにも,地下鉄工事を担当されているFujitaの方に現場の状況も伺うことができましたが,やはり土地土地の困難なことが多くありそうでした。

私個人としては,お酒がまったくないという時点で,生活面での興味がなくなっちゃいましたが,ホットエンバイロメントという観点で大変興味があります。いやあ,コンクリートってどうなっちゃうんでしょうねえ。

カタール大学では,カタール人の先生に大変熱い話を伺いました。たしかに資源がなくなったあとにこの国はどうなっちゃうのか,というのは重要な危機意識ではないかと思います。お金がなくちゃだめだけど,お金だけでもダメだ,という大変な問題に直面されていました。
今の日本政府もそんなかんじなところがありますけどね。

危機意識をもつ現場と権力が繋がることができない,というのは不幸な状態なんだな,と改めて思いました。






炭酸カーボネーション論文

博物館の吉田先生を筆頭とした研究グループでの成果が,やっと公開になりました。スタートして,あしかけ5年でしょうか。感慨深いものがあります。

http://www.nature.com/articles/srep14123

Nature本体では難しかったのですが,Nature系列のScientific Reportsからの公開になりました。

ここでは,ツノガイのコンクリーションを扱っています。なぜ,特定元素が濃集するのか,なぜ球状体を拡散則に反して形成できるのか,なぜ,こんなにもエッジが綺麗なのか,などについて説明が可能な合理的な仮説を提案しました。

また,その提案から必然的に,これらのコンクリーションは思ったよりも早くできてしまう,ということが明らかになりました。

今後は,これらの工学応用についても検討を進めていきます。

日経新聞の記事

その他の記事

その他,ツノガイ,名古屋大学で検索するといろいろ記事に取り上げてもらったことがわかります。