11/27/2011

オスロ

オスロに関するメモ

ベネチアに行ったときも思ったが,日本の円高は,我々一般の人間からするとほとんど円高ではないのではないか,と思う。オスロでは,消費税のような税金があってそのためにかさ上げされているのだと思うが,500㏄の水は500円以上する。とてもでないが,円高の恩恵なんてない。
食事も非常に高額である。

税金を高くして,その税金が日本の消費に再度利用されるのであれば,ため込んでいる人の消費を喚起したことと同様のようになるので,経済活性につながるようにも思う。税金で高くなって消費が落ち込むとのバランス次第だと思うけど。
ノルウェーはうまく回っているように思う。


お隣のスウェーデンは物価が日本に近いらしい。電車では,Haldenからの帰りに徴税官が来て査察していた。我々は関係なかったけれども。


市庁舎は,ノーベル平和賞の式典に利用される。時間を見つけて,中に入ってみた。壁画がすごい建物だった。礎石造というのは全部傾く運命なのか,床は微妙にうねってた。窓も垂直からずれている部分があった。
それでも,中の豪華さは一見の価値がある。






ノルウェーにはLofotenと呼ばれる非常に有名なレストランがある。ここでは,オイスターやノルウェイロブスターなどを食すと贅沢な時間になる。ノルウェイロブスターは,イセエビとは比べられないくらい濃厚な味わいである。アメリカロブスターよりもすごいということだった。(私は食べたことが無い。) オスとメスで味が違うらしい。私はオスを食べたが,海が凝縮されたような香りがした。好き嫌いはあるとおもうけれど,私は非常においしく感じた。
殻も含めて,味噌汁にしたらおいしいのに,と思ったけれど,あえなくウェイターが持って行ってしまった。なんだか,成仏してくれないんじゃないかと思って不安になった。


今の時期は,日が短い。9時くらいに明るくなって,2時くらいにはもう夕方(斜陽)である。時差ボケもあって,夕方8時にはくたくたになって寝てしまうが,夏ならこんなことはないだろう。

打ち合わせは何回か,今後も行う予定なので,良い時期にあたるとよいな,と思う。

11月23-25日 Vol. 2

翌日は,KjllerのIFEを訪れた。こちらにはJEEP2という研究用原子炉がある。
ここの原子炉は重水炉で,γ線量が中性子に比較して小さいので,照射実験をした時にコンクリートの温度が高くなり過ぎないという良い点を持っている。日本のJMTRを使う選択肢もあったが,JMTRが停止中で再開時期が明確になっていないことを考えると,結果としてはやむを得ない判断だったのではないか,と思う。

Kjllerには,ホットセル(放射能を有するサンプルの様々な実験を行う実験室)もあり,こちらでは,PIE(Post irradiation experiement)の検討として,我々がやりたいことが確実にできるかどうかの確認のため,打ち合わせを行った。
コンクリートの実験はしたことが無い(実際は,60年代,70年代に実験が行われたあと,世界中で研究はおわってしまっており,文献は出てこない。)とのことだったが,セラミック等の実績があるため,逆にいろいろな提案もしていただいた。

さまざまなテクニシャンが,我々の研究に深い関心を持ってもらい,多くの提案を受けたため,あたらしいスキームも含めて再検討することにした。

原子炉の内部も見学させていただいたが,そこには,回折装置,SANS,NR(中性子ラジオグラフィ)があった。回折装置およびSANSはC-S-Hの構造解析に適していることを考えると,今回の実験で含めて検討した方が良いのでは,という提案はまったくそのとおりだった。C-S-D(重水)で検討した方がよいと思い込んでいたが,そうでなくても多くのデータは得られる。多くの影響が確認できると考えられるので非常にチャレンジングだと思った。

こちらのNR装置は,X線用のフィルムを感光して用いており,アナログ方式だった。デジタル化はされていない。そのため,解像度はかなり高いようだった。一方で,撮影時間は,核燃料のケースで8分程度ということなので,トモグラフィなどはちょっと難しそうだ。しかし,テクニシャンは,かなり熱い方で,コンクリート実験にもぜひ使うべきだ,という意見をもらった。まあ,実際は難しいと思うけれども,ぜひ,提案をいろいろしていただきたい,ということを伝えた。

これらは,ここ半年程度は余裕があるので,こちらでも検討を深めたいと思う。

滞在2日だったが,ビジョンの共有ができたこと,それぞれの責任者が明確になり,連絡を密にとれる体制を構築できたことは大きな成果だった。やはり,メールではなくて会わないとダメだな。

というわけで,今にいたるわけだが,残念ながら飛行機の状況がわるくてヘルシンキに2時間以上足止めが確定してしまった。やれやれ。午前中に家に帰られるとおもったのにな。

11月23-25日

現在,ノルウェー,というか,帰りのフライト中によったヘルシンキ。
来年以降実施予定のコンクリートの中性子照射実験の研究打ち合わせのため,ノルウェーのHaldenおよびKjellerのIFEに行った。初日は,rig(試験体を格納して,原子炉内に設置するコンテナのこと)の設計者や原子炉実験の専門家と,当方の研究計画および想定する結果,および測定中注意しなくてはいけないことなどの情報提供を行って,また,rigの設計図をもとに起こりうる問題について,片っ端から議論した。


想定しうる実験の失敗局面などをリスト化することは,今回の実験実施上,かなり重要な思考実験で,おかげでこちらのスペックがよく相手に伝わった。
詳細を詰めるためには,さらに設計用データを相手に渡す必要がでてきたので,結局,最終決定にはいたらなかったけれども。

その後,Halden原子炉の方に訪問させていただき,研究用原子炉の見学を行った。私は研究用原子炉に訪れたのは,JRR-3以外では初。こちらは商用原子炉のためのあらゆる実験ができるようになっており,多くの実験設備および技術者の数に圧倒された。

ノルウェーは,水力発電で国の電力のほとんどをまかなっているため,商用原子炉は持っていない。しかし,これだけのスタッフを将来の技術オプションとして確保している,ということに文化の厚さを感じさせられた。
近年は,電力が自由化されたため,逆に売電することが多くなって周囲の国の電力需要に従って電力価格が上がってしまったらしい。一般家庭では,暖房用に暖炉を作ることなどが最近流行しているということだった。

電力自由化は,国民という単位でみたときのメリット,デメリットはよく考えた方がよさそうだ。他国と電力融通できない国ではあるけれども,電力価格は上がりそう,ということだけは確率が高そうだ。

11/21/2011

11月14日

11月14日は,太平洋コンサルのY田さまをはじめとして,何人かの方に来ていただき,研究についてのディスカッション。比表面積の定義,意味あいについてかなり厳しいご意見をいただいた。ご指摘のとおりなんだけども,収縮との関係については,さらに課題ができたということで,ありがたい会議でした。

最近始めた照射実験についても,骨材の意見をいろいろ伺った。大変貴重な意見をもらった。
4年生は,ディスカッションに良くついてこれていた?ように思う。大変マニアックなディスカッションだったと思うのだけれども。今はわからなくても,この積み重ねが後でいろいろつながるはずです。

11月12-13日

父が古希を迎えたので,伊豆のホテルで親族でお祝い。
私には妹が二人いるのだが,それぞれに子供が複数いて,偉い騒ぎになった。
私自身は家族が風邪でダウンしてしまったので,(私もちょっとまずかったけども。),息子を連れて5時間かけて伊豆高原にいってきた。ホテルの食事もおいしかったし,風呂も大きかったしで,息子はご機嫌だった。

翌日,ぐらんぱる公園ということろに皆でいったけども,子供は大はしゃぎだった。

はじめて,ウォーターボールというものに挑戦した。

11月11日

放射線影響に関する研究の交流会。
放射線の実験は非常に高額なため,あらかじめ専門家からも実験の意義,やり方,データの目的などを再確認して,本当に妥当かどうかを検討するのが目的。コンクリートは私だけで,その他は従来からの専門家の先生方。

コンクリートの実験については,そもそもコンクリート論もかぶせてプレゼンしたところ,研究の作業仮説については合意を得ていただけたよう。ただ,細かい所については,さらなる検討が必要。
ひたすら勉強です。いかにコンクリート工学とつなげるか,というところだけは徹底的にディスカッションしないといけないかな。

11月9日

この日は,昼に茨城のT海中学にお邪魔しました。長期的なコンクリートがどのように変質するかとうことに興味があって,いろいろコアをとっていたりするのだが,低強度コンクリートの問題もこの枠組みに入れたいとおもって,その初サンプル。
この中学は耐震補強をするはずだったのだが,その予算が下りる前の3月に被災してしまい,大破の状態になってしまったというもの。構造部分からもコア抜きをさせていただけるということだったので,いろんな方に助力をいただいて実現しました。非常に貴重なサンプルが得られたので,内部でどうなっているかを,筋道だってひもといていきたいと思っています。

夕方は,MRIで打ち合わせ。課題山積みを再確認。

11/07/2011

11月7日

いろんな研究者のみなさまに,質問をしまくっていましたが,やっと解決しました。
AFmの単相をとりだそうとやっていたのですが,通常行う,AFtをサリチル酸で溶かす手法だとAFmが謎の物質に変化してしまうことがあって,所定の目的の実験ができませんでした。X線チャートは間違い無くAFmなんだけど,TGとか他の物性は,まったく別物という。アルミナゲルとか存在しているんでは,とおもってFTIRとったり,チャートのハロウを見たりしてもまったく無し。まさしくわけがわかりません。

五十嵐が文献を読みあさって,やっと一つの論文を信じてやったら,本当にAFmだけの単相を合成できるようになりました。最初は炭酸化したりして大変でしたが,結果オーライです。
これで,やっと研究が進みます。

しかし,10年前と比べても論文の集約効率というのは劇的に高くなっています。それだけ文献を読まないといけない,ということですが,果たして我々は,それだけ過去の知見を生かして今の研究をやっているのか,ということに責任もって答えられるようにしないといけないですね。

一部は国のお金で研究をやらせていただいているのであるし,過去の知見も同様でありますから。

特に大型の研究については,過去の研究をどれだけ調査しているのか,というチェックがあっても良さそうです。(まあ,建設系の分野に限っては,ということなのかもしれませんが。)

11/06/2011

11月5日

この日は,建築学教室主催の第13回 まちとすまいの集い,というものを開催した。
http://www.nuac.nagoya-u.ac.jp/topics/machi/machi.html
90名くらいの外部の参加があり,最後の質疑討論での司会を仰せつかっていたので,かなり緊張していたが,会場が適度にワームアップされていて,質問が途切れることはなくてほっとした。
出来合いの質問じゃあ,あじけないもんね。

というわけで,今年も無事,まちとすまいの集い,が終わりました。

11月4日

この日は,AIJ東海支部の論文締切でした。東海支部の論文は4枚ものなので,起承転結とデータなりそれなりの蓄積が無いと投稿できません。毎年,4年生は,これに投稿できれば良いペース,ということとらえているのですが,今年度は解析ベースで最初の勉強時間をとったこともあり,皆,投稿ができました。
中性化については,あれこれ調べていたり,一部共同研究をしていたりしておりましたが,水和モデルもおおよそ納得できる状態になってきたので,耐久性面へのテコ入れをしようということで,4年生に主担当となってもらって,解析コードの開発をすすめました。

中性化のコーディング上の問題は,一つは,気相の拡散係数が大きいこと,細孔溶液への溶解スピート,気相での析出反応も早いことなどがわかっていることから,解析の時間ステップをかなり細かく評価しないといけない,ということです。
過去の研究では,析出反応プロセスを速度論的に評価すると,気相の拡散や溶解平衡などを無視して(表現には語弊があるかもしれませんが・・・)進むことができるので,ある範囲で解を収束させることができますが,逆にこの速度を与えることが経験則になってしまうため,他者の再現性が難しいのではないか,という点で考えさせられました。
一方,最近では,熱力学平衡モデルによって,毎回相平衡を解こうとしますと,2つの点で問題になります。一つは,気相も含めて平衡を取りますと,すべて炭酸カルシウム析出にむかってしまうため,どれだけ解析ステップを小さくとってよいのかわからなくなってしまうというものです。このことは,逆にいうと,解析ステップの時間間隔で,中性化スピードが変化してしまうという問題を引き起こします。
実際は,中性化現象を律速している速度則がどこかにあるはずなのですが,現状ではそれが理解されていません。広島大学の石田先生・河合先生はこの問題を解くために,気相の溶解速度の検討を行っています。
中性化モデルを真摯にとこうとすると,解析上はこの問題は非常に大事なのだ,ということがコーディングをして理解できました。
石田先生の溶解速度のデータがあるので,その他を平衡モデルで用いた場合の最少ステップをどのようにすればよいか,ということの足掛かりができるわけです。

そんな分けで,4年生の解析コードでは,溶解速度を速度的に評価し,残りを平衡問題としてとらえる形の解析手法として検討を進めることにしています。
JCIまでには,水和モデルと連成した若材齢の脱型問題まで進められればと考えています。

11月2日

この日は,初めて,東大のI田先生に名古屋に来ていただき,最新の研究成果などを踏まえてディスカッションさせていただきました。前日入りしていただき,夜の部ももったわけですが,数年ぶりに痛飲といいますが,えらいありさまになりました。帰りは,乗り過ごした上にタクシーで帰るという,まったくもってダメダメでした。
翌日のディスカッションはダメダメとは程遠く,DuCOMなどがどんな方向性を目指しているかなどの垣間見れる貴重な時間でした。我々としても,五十嵐のやっているセメントの反応,相組成,比表面積評価などの一連の流れについて紹介させていただくとともに,コンクリートの放射線影響に関する研究についてもご意見をいただきました。

また,1年後くらいを目途にやりましょうということで,新しいディスカッションテーブルが設定できたことが大変うれしかったです。