4/26/2011

~4月26日

4月19日は学生実験の初動。測定することの原理について話す。あとは安全教育。
20日は減災センターでの打ち合わせ。広報・報道関係,夜はゼミ新入生歓迎会。なかなかアクティブな学生が多くてうれしい限り。
21日 外壁材の最終報告と報道への最終調整。最後に問題がでて難航。社会の縮図のような会議だった。
22日 実験室の引越など。重量棚を山ほど購入した。いやあ,全然ものがおさまりきらん。どうしたものか。
23-24日は,家の整理と過去のデータ整理。学生が出してくれたデータを検証したり,シミュレーションと比較したりして,再評価。論文に出来そうな点もあったので,少し論文形式のメモを残す。
25日 この日も重量棚が届く。研究室総出で整理。大分分けたけど,この後,さらに第2弾がくるんだよなあ。昼,東大の時の友人と会う。意見交換。夜に土木の方達と懇親会。29日から2日まで,震災調査に同行させてもらえることになった。

4/19/2011

新年度始動

新年度が始まりました。昨年は残念なことでしたが,今年は4年生が3人きて,研究室も活気づいてきました。非常にやるきがあるのは,すばらしい。

私も,普段よりも時間があったのもありますが,まずは,論文などを読み込めるための建築材料,コンクリート工学上の話題提供やレポート課題などを順次出して,学生の基礎力アップを図っています。
今年は,少し解析的検討も,ということで,まずはFEMで温度解析ができるようにと,Fortran90とFEMの理論について,毎週,適度な課題を与えています。有限要素式を自分で作れて,Fortranで内挿関数と積分の原理がわかれば,FEMは簡単に作れます。

少し自慢になりますが,既に,3人とも,FEMによってコンクリートの温度履歴をPGPLOTで出力できるまでになりました。
次の課題は水分移動か中性化のモデル化にしようかな,と思っています。3週間でこれっていうのは,結構良いペースではないかと。

その次は,応力解析ですねえ。
院試の勉強がはじめる6月くらいまでに,コンクリートの現象で面白い点をパラメトリックスタディできれば,なかなかの進捗ではないか,と思います。
不静定構造物の施工手順を考えた応力解析とか,膨張応力の解析,PC部材の解析なんかもおもしろそうです。
もう1ヶ月で,ひび割れは難しいと思うけど,クリープ解析くらいまでは,もっていきたいところです。

実験やりたいのですが,研究室の引越があって,調整が大変な感じです。

4/14/2011

4月4日~4月14日

基本的に,震災関係の話で埋まってしまって,あまりアクティブには動けていない。結構,深層心理に訴えかけてくる物がある。一つは子供の問題で,二重に情報収集をしており,それで気分がめいっていた分もあると分析する。
あとは,家族に会ってない,というのも大きいかもしれない。

授業も開始されたので,気合いを入れないといけないな。
3月末は,さまざまなことが延期されたのだが,そのつけが4月にどばっと来ているかな。淡々と処理していくしかできないのだが。

黄表紙の5月号,6月号には,セメント硬化体の比表面積の論文,吸着等温モデルの論文がそれぞれ掲載される。吸着等温モデルは,本当はC-S-Hのはじめから熱力学平衡計算からもってくる,ということをやろうとしたが,多相吸着になった分からの履歴依存性を考慮できなかったので,結局,工学モデルにした。工学モデルは工学モデルとして,t-Curveの形を示したので,空隙構造分析など,実は幅広い応用が可能な論文になっていると思う。それを別角度から検証することが今後必要なんだが,よく考えると,水についてのみ検証方法が水しかない,という点が問題。
あの吸着等温線データは是非確認してください。すごおく,きれいにとれているから。

結局,セメント硬化体の水の履歴については,別の角度からの検証が必要になる。NMRもSAXSも手法としてはあるけれども,何か,といいきるには少しデータがたりない。

一方で,最近,水分移動の工学モデル(いろんな人が使いやすいように考えた),温度履歴時のセメント硬化体の体積変化,窯業系サイディングの体積変化,などについて論文を執筆・投稿した。いずれも,構想を練っていたものなのだが,水分移動は,少しものたりない。全部化学ポテンシャルで整理できるかとおもったのだが,空隙の温度依存性が結構大きくて,整理できなかった。まあ,逆いうとこの部分が,別の論文になるとは思うのだが。

骨材とのインタラクションに関するFS実験は,うまくいっているのといってないものがある。コンクリートの透水性,あれはちょっと難しいですね。時間軸,空間軸,両方において制限がある問題で,これを評価する枠組みは,本腰いれて研究しないといけないかな,と思われる。

最近は,研究分野を拡張するために,錆び,電気化学,腐食,風力発電,送電・系統の本などを読みあさっている。岩盤の鉱物についても読んでいるけれど,電車内の往復では入る程度の情報ではなかった。ちょっと襟を正してよみなおさないと。
その他,粘土鉱物の研究は,水の挙動として相当に参考になるんだが,ハンドブックを端から読んでいる。諸学者には,こういうハンドブックなどから,有名論文をピックアップして読んでいくのが手っ取り早い。

その他,英語論文のための原稿も少しづつ準備している。年1,2本は英語論文を出せるようなペースづくりをつくっていきたい,というのが今年度のまずは,目標。
次は,新しい研究分野の開拓,ですね。

4/04/2011

追記

子供の問題,懸念は払拭されました。
すみません。ご心配かけまして。

3月20日~4月3日

そろそろ新学期が始まるので,授業準備などをはじめないと・・・。
3月20ー21日 富士宮市に震災調査に。報告は4月6日の建築学会での報告会(リンク先,PDF)で。

3月24日 新卒論生3名を含むゼミの1回目。上の学年から,どういうことをやっているか,についての紹介と,丸山研運営上の注意点,心構えなど。今年は,院試が8月最終週で,その前にAIJ大会があり,やや変則的。スケジューリングなどの注意点も。
午後は,新しくできた減災センターの打ち合わせ。

3月25日 卒業式。勅使川原研はゼミやってた。うちも,継続学生については,適宜実験・研究予定に関する打ち合わせ。

3月26日 減災センターのシンポ。3.11以降なので,やるべきかという議論もあったが,結局,東海地区の防災という意味で,やる意義あり,ということから大幅なスケジュール,登壇者の変更となったが,開催された。かなり,盛会であったと思います。NHK,OBの方が報道の限界について,わかりやすく解説してもらったのが印象的でした。

3月28日 外装材の開発も大詰め。今後の報道発表などについての打ち合わせ。広告代理店も含め,パンフレットの状況確認など。

3月31日 JCI耐久性力学の幹事会。状況確認など。その後,JCIの膨張委員会WG2。目次の確認,今後の方向性の最終確認。

この間,子供にあうが,どうも体調が芳しくない。1ヶ月検診で状況が明らかになると思うが,ある程度覚悟がいるかなあ。

4月1日 COEの会議。予算の関係もあって,若手が雑用で疲弊しきっている。コーディネータ役に徹する人もいないので,このままだとまずい,ということから仕切り直しの会議。でもなあ,議長が・・・・・・。工学系というのは,良くも悪くも前に進めるので,私は好きです。あと,結論の無い会議は嫌いです。出席の意味が無い。理学系の人は,こういうの気にならないのか,と思う。

4月2日 代謝を調べてみたら,びっくりするくらい落ちていたので,筋トレを始めることに。区のスポーツセンターで,トレーナーの人に相談して基礎的な奴から。昔つかっていた体のパーツやランニングに必要な筋力は結構残っているんだけど,水泳で使っていた筋力はほとんど無くなっていた。ポンドとキロの違いがあって,昔のウェイトとの関係がしっくりこないんだけど,いや,本当に悲しいくらい無くなってた。こういうの確認することも大事ですね。腰回りの筋肉が落ちていたので,補強しようと思う。

4月3日 筋肉痛が,予定していないところに来ていて,まさか,2日後!?と思ったが,4日時点でも来てないので負荷が足りなかったかも。もう一度,負荷を調整しないといけないな。
運動をしない,ということは鬱病になる準備をしているのと一緒ということを医者の友人がいってたけれども,確かに,総じて動きが軽くなるなあ。ジョギングとはまた,別の効用がありそう。

4/02/2011

震災

文書中,不適切な表現があるかもしれませんが,私の考えたこと,ということで記載しました。閲覧した皆さんにとって心地よい文章にはなっていないかと思いますが,一個人的意見として扱ってもらえれば幸いです。

震災から3週間くらい過ぎた。地震による被害,津波による被害,原子力発電所の被災による二次被害など,おわったもの,継続したものがある。原子力発電所の状態については,さまざまな情報がいまだ整理されていない状態にあるし,地震・津波の被害状況についての詳細調査は,今後,各学会等が現地入りすることで明らかになっていくのではないか,と思う。

そんな中で私が考えたこと。

1)復興について
震災後の復興は,生活をまったく元に戻すことではない,ということはなんとなく思惑を共有している部分があるように思う。少し言いにくいけど,たとえば自分の身の回りで考えれば,大学の数だって,人口分布にもはやそわなくなっているわけで,全部を元に戻すということは,今後の時代を考えればミスマッチだろう。合併などの話が提案されてもおかしくない。損切りを伴って復興を行うのであれば,調整に要する時間も要することから,一次案については,早い段階で示す必要があるが,政府・関係機関にそれを準備している/していた,という話は聞かない。
しかし,東北が生まれ変わるためには,過去のしがらみ・利権にとらわれない立場で,将来を見通したグランドプランが必要だと思う。

日本の政治は,あるいは日本は,捨てることによって生きるということを,戦後の成長期の期間やってこなかった。バブル後の対策でも,心理的な要素が強く,損切りをすることができなくて,債権処理がごてごてにまわり,見えない形で日本の税金や国債の形で割り振られた。

温情主義と復興支援は切り離す必要があると思うけれども,そういった意志決定をしてきたことのない日本でそれをすすめることが果たしてできるのか,というところで若手の生きる意志のようなものが問われているのかな,と思う。

ビジョン,グランドプランが必要,ということは私もしょっちゅういっているが,これだけ大きなものを一人で描くというのは,情報整理の観点からも難しいと思う。しかし,この局面で日本が苦手としているこのことを改めて問われているのであるから,情報集約方法,意志決定も含めてやってみる必要がある。たとえば,各大学などがコンサルタント方式で技術提案のように,今後の復興計画を提案してもよい。
今の日本の大学で,それだけの即効的なプログラム作成能力があるかは,期待薄ではあるけれども,一つの官僚集団だけでなく,いくつかの独立の集団から提案させて,良い物を評価すればよいかな,と思う。

2)建築物について
勉強として,富士宮の震災調査に同席させてもらったが,これはもう,建築耐震技術の成果であるとしか言いようがない状況がそこにあった。震度6強であって,あの程度の被害状況であるのであれば,もはや,地震の問題は,建物の設計・施工技術の問題にはならなくなりつつある。一部,ちょっとしたトラブルが見られるのは,やはり新しい造成地とか,地盤が緩い部分であって,その部分は,集中的に被害が見られる。これは,まわりの地盤から考えれば,地盤・土地の観点から,建物を建てるべきに注意すべきところとそうでないところがある,という判断になるのではないか,と思う。
たてられないところ,というのは無いけれども,その場所に適した構法なり,やり方が出てくるわけだ。

液状化とか,地震・洪水などについてはハザードマップが閲覧できる場合も多いし,過去の土地利用図をみて,過去に自分の購入しようとしている土地がどんな土地であったかもわかるわけで,家を建てるときにその程度の調査はすべきだ,ということなんだと思う。
原子力についての知識について,国民中が知る事になったわけだけれども,今後,浦安の事情なども含めて,マスメディアで何回か紹介するようなポジションを建築学会などが示せればよいのではないか,と思う。

最近,木造利用普及の観点から,伊勢湾台風以後の,建築学会の木造禁止(防火、耐風水害が想定される場所での木造住宅の建設を慎むべきという提案 以下参照http://www.aij.or.jp/jpn/databox/2010/20100726-1.htm)が,別の意図から避難を受けたりしていたが,今回の津波映像などでもRC構造物が圧倒的に安全であることは示されたように思う。本当にコストの問題は残るけれども,私もRCの住宅に住みたい。

今後は,既存不適格をどのように,やはり構造上,行政上,防災上考えていくか,というのが問題として残る。これは,防災の人がいってきた通りのことだ。東海地方は,東北地方のように震災をあまり受けていないので,既存不適格構造物が相対的に多い。この点,議論すべきところだろう。

3)電力について
50Hzと60Hzについては,変換器を増設するか,統一するかしないと危機管理の問題として正しくない。今回,あらためて問題が浮き彫りになったわけで。
原子力発電所は,地震国にはつくらせないという国際世論があるということが報道されていたが,おそらく,科学立国を標榜する国は,そうならないだろう。
逆に言うと,それで原子力政策が止まる・止められてしまう国というのは,科学の力が信用されていない,ということでしょう。研究者,あるいは研究を伝達する人に問題があるということなる。
日本がどういう方向性を進んでいくのかは,国民がどの程度の電力をつかって,どういった生活を享受したいか,ということで判断すべきだろう。
原子力発電所が無くても,生活に問題は無い,というような見出しで文章を書かれている大学教員もいるが,今から,30年前の生活に戻るのが国民の意思なのであれば,それはしょうがないかな,と思う。
私としては,エネルギーを消費してでも,新しいものを開発・研究していく活力ある生活の方が好きなんだが。

4)感情論と復興のこわさ
復興にしても,原子力政策にしても,浪花節の感情論で決定する(今の政治には多分にそういう要素が多い。)のは,本当に恐ろしいのだ,ということを国民にも理解してもらう必要がある。
科学政策への投資削減,防災への投資削減を積極的に現政権が推し進めた点が直接的に今回の震災を拡大させたというわけではないが,長期的にこうしたものごとにどうやって対応するかということを考えていなかったということは,一部露呈したのだと考えられる。
政治の側にいる人は感情論でなくて,復興ビジョンと併せて考えてほしい点が多々ある。たとえば,今回の震災で,日本の工場に部品を発注する・依存することがリスクだと認識されたので,多くの切り替えが発生するだろう。この影響による失業量も長期的に相当量発生するだろうし,中小工場は,離れた点で2工場経営するとか,工場に地震対策がどの程度されているか,ということが発注の契約書に謳われるようになるだろう。
これは,それだけでも相当のリスク負担で,今後,日本が考えていくべきことの一つ。
長期的に中小工場の仕事がアジアに振り分けられる可能性があるわけだが,ニッチな技術をどれだけ保つかというだけでなく,それを営業する上でも地震対策によるコスト上昇が日本企業に求められることになる。この冗長性のためのコスト負担は,地震を前提とした日本国の上で考える場合,どういう整理をするか,当然損切りしないと整理しきれないので,そこについては,是非とも明示的に議論をする必要があるかと。

5)報道
今回,日本の報道は,不安をあおっておもしろがっていただけのようだった。神妙な顔をしても,悲惨な映像を出すことが使命とでも思っているかのように繰り返し報道するだけだった。
放射能の拡散問題については,定量的データ,判断に必要なデータや参照すべきものの情報を出した民放は無かった。
報道はエンターテイメント化して久しいが,まさか,この非常事態において放送局が全力を注いでこの程度のデータも取ってこれないとは思わなかった。
この非常事態で報道が何のためにあるのかを考える人は,報道側に誰もいなかったのではないか。
結局,被災した人のローカルな情報を伝達することもかなわず,放射能の拡散を懸念する人に判断するデータも示さなかった。国は電波を管理しているので,非常事態における報道についても,国が検討する必要があるように思う。

3月の頭に子供が生まれて,妻子はまだ,川崎にいるので放射能の拡散問題などについては,結構情報を収集した。たぶん政府の情報発表は,その段階で憶測を生まないようにした最低限のものが発表されていて,政府としては正しかったんだろうと思う。
ただ,ある程度,データを読み解くことのできる人にとって,(そしてそういう人は政府批判に走りがち),情報は十分ではなかった。
チェルノブイリのレポートも公開されている文献は読んだし,医学的な統計データの整理が難しいこともよくわかったし,風や降雨の影響について理解もできた。
また,どういうわけか,アメリカなり,フランスやオーストリアなどが,懸念材料が出たときにタイムリーにレポートを公開していて,信頼性についてどうすべきかの議論はありつつも,可能性を検討する上では,非常に理解には役にたった。
しかし,日本のこういったレポートというのは,あまりウェブには公開されていなかった。
降雨の関係で,多摩水系にも放射能が集約する可能性があるといって,子供用に水を購入した方が良いということを報道前にアドバイスできたのは良かった。こんな小さなことでも,乳児をもった親については,非常に大事な事のように思う。
でも,翌日,すぐに水に値が千葉の方で変化したことが報道されていたので,この点,国は注意するように配慮していたと思う。むしろ,こういう配慮をしていた点を報道は全面に出した方が良いし,さまざまな可能性を国民自身が考えるように促すとよいのではないか,と思う。
この辺,非常に難しいが,仮説や前提と結果というもののセットで情報を国民に出せるよう,教育や報道についても配慮する必要があるのではないかと思う。