1/26/2010

環境問題

環境問題の中心には、シミュレーションがあるのは皆さんご存じの通り。
しかし、面白いのは政策決定においてシミュレーション結果が大きく取り上げられる点。地球の歴史、というか時間の流れは押し戻すことができないので、現状のベストの技術を組み合わせ、シナリオ設定のもとに、ありうる将来を想定して現状の方向について合意を得るという状況は、科学技術のプレゼンスとして最高の場であろう。

そういった意味で、政治と科学技術が密着しているのなかで、科学技術のあり方自体の変化している。大きなことは、結果を理解するために、難解なものであっても、できる限りの説明責任があるということ。逆にいえば、環境問題を考える上で、市民自身が原著にあたり、政治を考えるように科学を考えなくてはいけない時代が到来したということだろう。

先日のCOP15でも、後進国側から、多くのNPOの発言が出たが、いくつかの発言には環境問題自体の本質をつかめきれていなかったものもあり、特徴的であった。
環境問題を議論するための、データ、手法自体が先進国から出るので、対立する後進国がそれをキャッチアップできておらず、対等に話すこともかなわないというのは、帝国主義とか、あるいはグローバリゼーションによる搾取といったものと構図は非常に近い。

ちょっと話はずれたが、コンクリート業界であっても、それに近いことは結構ある。つまり、多くの人がトレースできないシミュレーションの結果に基づき、指針類を作って、よいものをつくるための配慮をするという事態は、そのシミュレーションの作成者や結果を信任するという行為があり、それは極めて政治的である。
指針類によって利権行為が生じれば、それは、また、いくつか議論を生じさせることになるかもしれない。

高度な実験でも同様である。

説明、っていうのは民主的な進歩において非常に大事なことだ、と再認識する次第。

1/23/2010

最近

今週の主なできごととしては,
19日 ASCOTのひび割れ委員会 骨材データが少しだけ出てき始めた。試験方法によって値は結構ことなる。骨材問題の難しさがよくわかる。ばらつきも大きいのだろう。

20日 修士論文説明会 これからの人もいると思うが,そこそこ良い出来ではないかしらん。

21日 JCI膨張委員会 膨張材を用いたコンクリートの実大模擬試験を行うので,その評価について。当方は参考として解析結果を持って行った。膨張材として何をとるのか,どういった特徴が取れればよいのかの議論については,やはり立ち位置によって意見が多少異なる。実用的な手法ということであっても,力のつり合いとか物理法則を無視しては,適用範囲が著しく制限されるので問題ではなかろうか,という話もあった。

個人的にエネルギー一定則については,適用範囲や取り扱いが茫漠としているので,誰かが再整理しなくてはいけないと思う。当方のデータでは,やはり合わない事例も多くあるし,自己収縮,乾燥収縮はエネルギーにどう組み入れられるのか,強度レベルの問題,線形クリープ則との相互比較について不明なところが多い。私の勉強不足なのかもしれないが,なんだかすっきりしない。ぜひ,そのあたりはすっきりさせてほしい。

環境問題については,生データ,実際の論文を読んでいないとなかなかな議論が進まない。特にバイアスがかかった解説書をもとに話すと,気候研究者のやっていること,IPCCの立ち位置が正確にならないので,誰の何についての話かが堂々巡りになって,結果として感想以上の話にはならない。これは,学内のCOEでも,ときどき議論の論点がシフトしていってしまうところと何か共通の事項であると思う。
分野横断型の部分で議論をすると,バックボーンと自分のしゃべっている根拠については,つねにリファーして確認していく必要があると思う。こういう生データに基づいて,こういう仮説でこう思っているということは,かなり丁寧に相互確認が必要だ。そうしないと,お互いが推察の上で議論を進めてしまうので,変に感情的になるか,あるところで議論が発散して,そんでなんだっけか?ということになってしまう。

この分野の教科書というのは骨が折れるが,ぜひとも必要なところだ。


22日 博多駅のコンクリートの品質評価委員会。フライアッシュを利用した事例で大変勉強になった。なにしろ,実際の現場の問題は,大学にいるだけでは出てこない。一方,ポンプの問題もそうですが,大学でやるにしても限度があるので,このあたりは,もう少し攻め方について検討したいと思う。

夜は,懇親会ののち,九州大学や博多にいる友人と飲んで,深酒。まあ,この年になるとみんなそれぞれ,面白い思想を持つようになるよね。


読んだ雑誌等
Newsweek 世界の教育,グーグルvs中国
世界の教育について。アメリカの最近までの躍進はエリート教育にあった。つまり,天才に金をかけて,何かを生ませて世界をひっぱっていってもらう,という話。おそらく技術開発などにおいては,そういったことは必要だろう。一方で,こういった教育制度は見直しの時期に来ているとのこと。消費社会を考えればわかるが,大量消費の底上げ,つまり,格差の底辺を底上げする必要があり,GDPへの影響で考えると,底辺側の初頭教育が大事で,特に保育園や幼稚園での教育が,高校卒業率をUPさせるというデータがあるようで,このあたりはひょっとすると民主党の話の大本にもあるのかもしれない。
大学教育の立ち位置の問題もあるので,少し調べることにしよう。

国際化によって利益を得てきた先進国の手法が今後もほんとうにデファクトスタンダードとして成り立つのかは興味深い。いろいろな問題もあって,インターネットに情報があふれかえるのことが本当に良いのか,というのは私もいろいろ思うところがある。特に子供の教育を考えた場合に,望ましくない情報がやはり,ネット上には多いわけで,それってどういうタイミングで開示していくのかっていうのは,技術的にも,教育論的にも難しい。まあ,これは個人的なスケールの問題だけど,これと同様なことを中国は国の問題としてとらえているわけだが,これが本当に間違っていることかっていうのは,ちょっと長い時間をもって見ていく必要があるのではあるまいか。

情報が完全にオープンな方が,新しい発想があって,文化も経済力も向上するというのが今まで正とされてきた考え方ですが,たとえば,経済力の向上についても,今後は従来と別な方向性が求められるような気もするし。

中国は欧米を軽んじるようになっているところを考えても,今後どうなるかは興味深い。


日経ビジネス 原発漂流
原発関連なので。核拡散防止条約があることから,原子力を国として売っていくには,原子力協定を結んでいく必要があるが,まだ,カザフスタンと協定交渉中であるだけで,どこともやっていない。
日本のメーカーはまったく,政府によって足を引っ張られているわけだが,これは,まあ,アメリカが裏で手を引いているのかもしれないし,あるいは官僚がビジョン不足なのか,あるいはアジアの国々の牽制なのか,そのあたりは書いていなかった。日本は被爆国というレッテルも,国際政治上は微妙な問題ではあると思うのだが。
東芝はウエスチングハウスの買収に成功したので,アメリカ企業として売り込むことはできる可能性がある。日立,三菱が今後どうするか,というのは独自に買収などで検討した方が手っ取り早くてよいかもしれないらしい。

週刊ASCII
・FMV-BIBRL LOOS U/G90はよいかもしれない。電池の持ちが少し弱いなあ。
・ATOK 2010は2月5日に発売。このMicrosoftの最悪なIMEからは早く抜け出したい・・・。もう,本当に最悪。
・ドラフティングキャドプロ というソフトは便利そうだ。Illustrator+キャドみたいな感じ。
Avira AntiVir Products というのがフリーのウイルスソフトとしてよいらしい。

1/18/2010

自己ひずみ応力が構造物へ及ぼす影響

超高強度の論文をてし先生と連名で黄表紙に投稿して半年がたつが,その間にいくつか情報があつまった。驚愕の事実は,以下のとおり。

1.自己ひずみ応力については,すでに梅村先生・青山先生がおおよそやりつくしている。
青山先生の論文は自己ひずみ応力の構造挙動(ラーメン構造等の全体系を含む)であり,それが1950年代に論文化されている。

2.梅村魁:塑性ラーメンの自己歪応力と終局強度,建築学会,P.165-166,1955年6月
「したがって次のことが一般に言える。「完全塑性をもつラーメンの崩壊荷重は自己歪応力の有無に無関係である」いいかえると,完全塑性構造物で変形を考えず水平終局強度だけを対象にするかぎり,不動沈下,温度収縮等による自己歪応力は一応考えないで設計してよいということになる。これは,部材各部は十分完全塑性を持ち,また,繰り返しに対して同一抵抗を示すことを前提としているわけである。
しかし,一般構造物の骨組みは,鋼,コンクリートのような塑性体でも,理想的な完全塑性でないから,以上の理屈も実際には色々の問題がある。完全塑性に近いと考えられる鋼材でも,不動沈下等によって切断することがあり,鉄筋コンクリート骨組みでも地震をともなうと崩壊することがある。すなわちある程度の塑性をもっているものでも,その変形に一定の限度がある。以上の理論もこの変形限度に頬かむりした結論であるから,実際の設計にはこの点をまず,検討しなければならない。鉄骨造,鉄筋コンクリート造でYield hinge的な接点がどの程度ゆるされるかによつて,終局強度もまたかわってくる。さらに,鉄筋コンクリートでは強度以外に耐久性その他でコンクリートのひび割れも問題になる。」

3.青山博之:鉄筋コンクリートラーメンの終局体力と自己歪応力,日本建築学会論文報告集,第60号,pp.617-620, 1958.10
「自己歪応力は一応考えないで設計してよいということになっている。しかし,実際の構造物では強度以外に変形の特性がまた重要な要素であり,自己歪応力が変形限度やきれつの点で,あるいは振動周期や減衰性の点で問題になるので,これらを実験によって明らかにすることが必要である。本研究は模型鉄筋コンクリートラーメンに自己歪応力を与えて,その終局強度および変形を実験的に考察しようとするものである。」

いやあ,怖いことですねえ。もう,やっとる。
ちなみに部材については博士論文の前半にまとめられているそうです。今,原稿を取り寄せる算段をしているところ。

1/17/2010

Engineers

Engineers work to develop economical and safe solutions to practical problems, by applying mathematics and scientific knowledge while considering technical constraints.

wikipedia


safe solutionというのが大事ですよねえ。
economicalとsafeのトレードオフって,もっとまじめに考えた方がよいかもしれませんね。

1/13/2010

Intel

IntelCompilerVer.11 + MKL + VisualStuido2008 の組み合わせは,リンクが遅くで拍子抜けする。

査読対応

10月に投稿した黄表紙の査読結果が12月に帰ってきていて,対応しなくてはとおもってお正月越えしてしまった。再査読条件が50以上もある意見で,最初はぐぬぬぬ,と思いましたが,頭を冷やしてみると素晴らしい指摘をたくさんいただいておりました。

急いで論文化したということもあって,説明不足が多々あり,それがまた,多くの問題点を浮上させてしまったということもあって,大変反省するとともに,このように査読をいただいた方に心より感謝。

というわけで,本日やっと対応が終了。もう一度,時間をおいて読み直して再投稿です。

しかし,時間分光法って考えた人,天才ですね。これ思いついた人は,やってみて,解けるじゃん,ってなったのか,それともこうやったら全部解決ですね,ってなったのか気になる。
私は後者の人間にあこがれるけど,そうなれそうにない・・・。



JCI,今年は研究室から少ない。

1/10/2010

Chrome

http://realtimeweb.jp/archives/769

日曜日

この土日は,家で過ごした。一つは息子と過ごす時間が少なくなっていて,自分でもこういうのはよくないな,と思ったからだ。
また,家のPCの方も調整しながら,リニューアルするウェブコンテンツを作ったり,そういった整理から今後,どのような方向に研究室をかじ取りすべきかなどを思考。

といいつつも,当座,あらたに開発要請が来ているプログラムをやらないといけなかったり,論文化や英文化できていない問題や,現在査読対応中で対応しなくてはいけない論文などもいろいろあったり。

焦ってもいけないのだが,進めなくてもならず,いろいろ気が抜けない。
残念ながら,明日は大学にいかないといけなさそうだ。

全然関係ないけど,PhotoshopはCS4になって定量評価などができるようになった半面,フィルターなどのハンドリングが悪くなったような気がする。CSになる以前の方が,慣れているからかもしれないけど好きだなあ。
まあ,あまり使わないんだけど,WEBでロゴつくったりするのを考えていたら,なくなっているフィルタが複数あったので,(というか見つけられなかっただけかもしれないけど)困ったという次第。

やれやれ。

1月10日

気づいたら,あっというまに2,3日すぎていた。
昨日は,D1の寺本君がアメリカに留学するので,その壮行会を行った。なかなか気のきいた会だった。寺本君には,ぜひ,体に気をつけて,勉学と遊びに精を出してほしい。

昨日は,超高強度関係で似たような研究をされている方とディスカッションをさせていただいた。ざっくばらんいいろいろ話ができたのはありがたかった。やっぱり,企業だと目的が決まっているので,それに合致した実験の量は非常に多く,データの蓄積が多い。
当方はどっちかというと,狙いを決めて実験をやるというのもあるし,理論的に下から積み上げたいというのがあって,量はそれほどこなせないところがある。そういう補完関係があるので,ディスカッションは楽しかった。

家のWindows7では,XPモードを導入した。これは,VirturalPCにWindowsXPを乗っけるやつで,昔はVMwareとか,MCでVirturalPCを使っていたことがあったが,それとまったく同じ。ただ,設定がすごく簡単になっていて,さすがにMicrosoftが買収しただけある。何もしないので,USBやらドライブやらは共有されていて,親OSで読み込んだ仮想CDドライブも,XPモードから利用できるので結構楽。
昔のアプリや,自分がつくっていたアプリでx64でうまくうごかないものについては,こちらで動かせるのでありがたい。
起動とスリープに若干時間がかかるが,ずっと立ち上げておけばよいだけの話なので,これは結構便理だと思った。ネットで調べると賛否両論というより,否認の方が多いようだけど,私は気に入ったという話。


梁の解析で,不釣り合い力の考え方が整理されたら,ちゃんと正しい計算ができるようになった。これから構成則を入れたりして,実際の実験に合わせるというか,感度を得る検討をしていかなくてはいけない。結構しんどいなあ。時間がとれるかしらん。


学生があっというまにTOPASを使いこなしている。というか,このソフトはやはりすごい。いろんな変数を切り分けて考えられるので,我々でもなんとか理解ができる。
マシンの方は,いろいろトラブルがありつつもなんとか動いている。やっぱり,最初はいろいろありますねえ。

1/07/2010

WEB 編集 備忘録

http://codetch.com/
https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/179
Firefoxのアドオンで,かなり高性能。
Dreamweaverの代替として,複雑なウェブでなければ十分使える。

まあ,最近のだと,VisualStudioでやるっていう方法もあるんだけども。

1/06/2010

Windows7 備忘録

1.HDDの認識
XPのマシンの中のHDDを引っこ抜いて、Windows7のマシンにくっつけると、NTFSのバージョンの違いなのか、認識されない。コントロールパネルのシステムとセキュリティの中の管理ツールの中のディスクの管理を選択しても、未知のデバイス、といったような表記になっている。
これは、この部分を右クリックしてインストールだか、導入だかをすると、そのままマシンに組み込まれる。
(正しい表記でなくて、もうしわけない。)

2.アクセス権
古いHDDのすべてのファイルは、異なるユーザー(未知のユーザー)の所有権になっており、著作権管理だか、アクセス権管理だかが厳しくなってしまったWindows7では、すべてのファイルにアクセスするたびに警告がでる。これ、素人の人というか、あまり詳しくない人がいたら、困っちゃう問題でしょうね。アップデートしても問題ないんだろうか・・・。私はBekcyというメールソフトをつかっているが、このフォルダをCドライブじゃなくて、持ち運びが可能なDドライブに保存しているのだが、メールソフトからもアクセスできなくて、ソフトがクラッシュする。
最初、なんだかわからなかったので、しばらくエラーメッセージを見ていて気がついたわけだけど,こんなの普通の人じゃわからないだろうなあ。
で,これの対処法ですが,つないだHDDのドライブを選択して,右クリックして,セキュリティタブの中のアクセス権を変更,で対応可能。グループ名またはユーザー名の中で,自分の名前を選択して,編集を行い,古アクセス権やそのしたのアクセス権を全部許可にすれば,それドライブ内のファイルは全部,アクセス権を得られるので,変なメッセージやアプリのクラッシュはなくなる。

やれやれ。

現在,各種アプリをインストール中。

まめFile5

http://www.vector.co.jp/soft/dl/winnt/util/se478430.html

Windows7 x64に対応

1月5日

本日は,朝から膨張材の部材試験のための解析を行った。温度依存性の物性を入れると非線形な結果が出てくるので面白い。それが正しいかどうかは微妙だけれど。
JCIマスコン指針の解析は,断熱温度上昇,強度発現,自己収縮に独立な発現原点を与えているが,これが結構くせもので,温度が低いときや高い時に変な挙動をしているように思う。
たしか,委員会にもいくつかの計算例を提出していたのだが,壁部材のマスコンの場合に,初期の圧縮が蓄えられなかったり,逆に異様に大きくなったりすることがある。
首都高速の実験例との比較は,マスコン制御指針の付録に載せてあるので,あの程度の感度であるということと,ひび割れ発生確率の中にそれなりに丸め込まれているので,指針上は大きな問題はないと思われる。

しかし,近年話題になったように,W/C=0.5程度であっても自己収縮の影響が無視できない状況で,解析を高度化していくためには,部材試験で精度の高いものを皆でやっていくべきものと考えられる。

とくに,従来はコンクリート性能(強度,ヤング率,収縮の時間依存性)→部材(鉄筋応力,無応力計,有効応力計)といった実験が主流であるが,近年の混和材の利用や,骨材の多様性も問題になっていることを考えると,これらをパラメータにしないまでも,セメントやモルタルの物性も抑えて,化学分析をしておくことが将来のためになるものと考えられる。

JCIも年に2年に一回くらい,こういった部材試験について補助金を出して,データをストックしていくとか,あるいは実部材をモニタするのに,ゲージ代やデータロガーレンタル代を補助して,そのデータをストックするとかいう枠組みを作るとよいと思う。で,それらをコンクリート技師なり,診断士のための開示資料にすれば,うまくまわるんじゃないだろうか。
欲をいうなら,常時モニタリングも継続すると良いんだが。

あるいは,良質なデータは,購入するとかするのでもよいかな。個人の人がデータをとっておくと,後でJCIに売れるとか,面白いんじゃないだろうか。耐震診断でコア抜きした結果について,さらに分析を加えると,JCIが買い取るので,施主の耐震診断費用が少し浮く,とかどうでしょうか。ごまかす業者も出てくるかな。
あるいは採算が取れないかな。


なんにしても,建築はこれから中古市場になるから,こういった点を抑えるのが重要だと思うんだが。

1/05/2010

1月4日

大学の作業環境がWindows7に移行したのに伴って,家のPCも一式買い換えることに。Adobe系のソフトは必要最小限のものを買い替えないといけないので,結構な額になる。Officeのオープンライセンスは,大学教員の業務にかかわる作業は家でもやってよい,ということになっているので,ありがたい。

夜にPCが届き,早速作業したら,結局机周りの大掃除になってしまった。
なんだか,埃が凄くてがっかり。

JCI膨張委員会用の解析と,自分用の解析を早くすっきりさせたいので,はやく環境を整えたいところ。

古いPCのセカンドHDDをつなげたら認識しなかったり,昔のアプリを入れたら,テストモードというものになってしまったりで,なかなか前に進まないが,こういう変な頭をつかうことも大事なんだろう。

1/03/2010

1月3日

午前中に川崎から,名古屋へ私だけ移動。大学に帰ってきて,テストの採点等を終わらす。この後,論文の査読が2編,JCI膨張委員会用の解析,梁試験のプログラムの見直し(ポストピーク以降がどうも間違っていた!),研究室のWEBの刷新のためのプロトタイプ作成等々の作業が入っている。

帰りの新幹線では,新春のPresidentと回折分析の本(丸善の実験化学講座)を読んだ。Presidentの今週号はいろんな人の意見が書かれているもので,もとはとれたかな。回折の本は,基礎的なことが分かりやすく要約されているので,厚いわりにサクサク進む。

私の独学の手法は,ともかく同じテーマの内容のいろんな人の教科書で読み込んで,全体像をつかんでから,大事なディテールから手を動かして詳細を理解していくというものだ。吸着の化学についても,国内で吸着でヒットした一般書は全部購入して目を通した。全体像を理解するようになんども往復していると,直感で数式が理解できるようになる。
不器用というか頭の回転が遅いので,全体像を抑えてからでないとうまく理解ができない。ディテールから積み重ねていても,全体像になかなかたどりつけないのだ。とくに私は数式だけから概念にたどりつくのは苦手で,たとえば5次元以上の代数計算は,とけるけど直観力が働かなくなる。それを補完してくれるのが教科書の往復読みである。
大学の時の友人と比べると遠回りの勉強なんだとわかってはいるのだが・・・。

個人的には熟成というか時間も大事だ。新しい概念が頭の中でしっくりして,自分の応用に利用できるまでに私は他の人より少し時間がかかるようだ。高校の時から,その点は自己認識していて,中間試験に熟成が間に合わなかった。大学入試には間に合ったんだけど。

このことを認識してから,私は本には,無制限にお金を費やすことにした。ともかく,興味をもった分野・内容については,教科書のようなものを購入して一通り目を通して寝かしておく。目次だけの場合もある。そうすると,なんだかよくわからないけれども,頭の底にいつのまにか沈殿していて,気づいたときにひょっこり顔を出す。イスラエルチベリの「分子間力と表面力」なんて,博士1年の時に買った本で収縮の勉強しながら,研究室で寝る前に読んでいた。理解なんて全然できていなかったが,6年たって,収縮理論を着想したときにはフル活用だった。なんだか調子のよいように聞こえるかもしれないけど,大学に入ってから,こういうこと習慣にしておいたことで研究ではずいぶんと役に立っている。

私の本棚は,ジャンルはめちゃくちゃである。コンピュータとか複雑系について修士の時にはかなり読み込んだし,経済とか最適化も結構読んだ。プログラム言語も10以上勉強した。全然関係ないようなことではあるけど,頭に沈殿して,それが枝葉を伸ばして,新しい情報とリンクしていくので,何かわからないけど,役に立つ。情報への対応力が上がっていく。
こういったリンクは指数関数的に増えていくので,若いうちに読んでおくことが重要だ。学生には,分野を問わず乱読してもらいたいものだ。


脱線したけれども,全体像と個別の式の因果関係を理解することは結構大事だ。実験データを評価するときにも理解が格段にあがるし,いろいろなメカニズムを原理的に考えられるようになる。実験の評価において直観力の感度が凄く上がる。また,数値計算の評価もできるようになる,など良いことづくめなので,学生にはぜひ,自分に合った勉強方法を模索してもらいたい。

1/02/2010

1月2日

本日は,実家から嫁さんの実家に移動。子供が,なぜか今頃人見知り,というか男性に苦手。油断すると私も避けて通る。こまったな。
現在,査読を受けている論文の対応について,共著者の先生とのやり取りが開通。全部で50点ほどのご指摘をいただいていているが,残り2つまで詰まったところ。
当たり前すぎで飛ばしてしまった点もあって,確かに,丁寧に積み重ねる形をとっていなかったので,反省する点も多く。

さて,そろそろJCIのシーズンですね。研究室内のものについては,最終調整に入らないと。
今年は,どれくらい書ききれることやら。

1/01/2010

1月1日

本日は,午前中に実家の近所に初詣に行き,午後はだらだらと仕事など。
いくつかメモ
1.論文盗用など「学者のモラル」が厳しく問われた事例
[リンク]

→岡島先生の例など知らないこと多数。慣用的に問題で無いと考えている例なども,学生側からの意見により問題となる事例があった。研究室では,毎年4月に研究室ガイダンスを行っていて,その中で対外論文の著者に関するガイドラインを示している。

2.ネットで共有できるディスク SkyDrive
[リンク]
→ Microsoftが企画しているドライブ。かなり評判がよいらしい。Exploreに組み込むこともできるようで,BackUpとしてもよいのかもしれない。さすがに保存するデータは選別する必要があるけれども。

3.地理情報分析支援システム
[リンク]
こちらも評判のよいソフト。研究向け。

昨日は,義弟と父とで大学という機関のあり方をつまみに酒を飲んだ。義弟は経済学部卒で政府系銀行に勤めていて,去年までは政府に出向していた。
思考の多様性とか,教育というものがローマ時代の教養のようなものとして存在するとして,大学というのを日本の中でどう位置づけるかというのは,非常に難しい。
事業仕分けのように有用性というにしても,多様な価値観なり,あるいは新しい価値観でないにしても思考のオプションを示すということだけでも大事なことではある。
有用性というのをどのように定義するか,あるいは定義すべきかどうか,ということを統一することさえ難しい。
大学の存在意義というのをどう考えるか,ということに取り組んでいる人の文章でも読んでみようと思う。

謹賀新年

本年もよろしくお願いします。

2009 年の総括

気づいたら,2010年になってしまっているような気がするけれども。
反省と整理をかねて,2009年のことを。
毎年,何かしら躍進があればよいとおもって,一年を過ごしているわけですが,2009年は多くの前進がありました。

・収縮理論
2009年の目玉は,個人的にはやっぱり収縮理論を整理できたこと。先見の明というか,熟慮が足りなくて,論文においては若干整理不足のところも見られたけれども,それでも,新しい着眼点というのは,個人的には達成感があった。S先生の教えで,よい理論・研究というのは,聞いたらあたりまえで,なんでそういう風に理解されていなかったのか,というものである,というものがありますが,この研究がそういう形に少しでも近づけたら,と思う。

・線膨張係数と高炉スラグ微粉末
個人的に,マニアックな物性でしかなかった線膨張係数,そのうちの時間依存性をひび割れに直結できる形で整理できたのはうれしかった。新しい観点から物性を検討する必要性が認識されればよいのではないかと思う。

・分析手法に関する知識
建築教育でいえば,分析関係や化学の領域はまったく異分野になる。しかし,性能設計とその検証という枠組みには不可欠であり,分析・解析技術について理解が及んでいなかったのは,大変に恥ずかしいことであった。2009年は分析技術について,それなりに学習が進み,ほしかった分析器のいくつかが,研究室に配備され,研究に重厚さが加わったのは大変うれしい。

・多くの学生の受賞等
当研究室の学生は,現在までのところ,M2以上は,みな対外的な賞を受賞するなど,なんらかの客観的な評価をいただいている。これは,学生諸君の努力・才能によるものであるが,こうした開花が客観的な形で残るのは,本人だけでなく,私にとってもうれしいことである。
2009年では,寺本君,岸君,五十嵐君の諸君が受賞し,研究とは関係ないが,猪飼さんが1月に受賞する。


・勉強不足
いろいろな分野に足を踏み出している。たとえば,G-COEでは気象・気候モデルをはじめとしたマルチスケールの解析についててコーディネータを行っており,多くの基礎的な知見を蓄えることができた。真鍋淑郎先生等の話を生に伺えたことは今後の糧になるだろう。また,米本昌平氏のインタビューをきっかけに国際政治における環境問題についても文献を収集して,分析を開始した。材料関係では,分析関係で川瀬先生と共同研究をすることができ,分光について深い第一歩を踏み出した。それ以外にもT田さんのアドバイスにより,新しい分析機器による測定をはじめた。その他にも結晶,ガラスなどを研究されている方々とネットワークが少しづつできつつある。一方で,自分の基礎学力が無いことが露呈し,より広範な基礎学力アップのために,多数の教科書を読む必要を実感し,実行に移した。

・コンクリート工学とセメント化学
コンクリート分野は,特にモデル化について土壌分野に大きく影響を受けている。物質移動現象や崩壊現象のシミュレーションなどは特にそうだ。また,その他の現象についても多くはやはり多分野での成功結果をカスタマイズした形になっている。しかし,大学内での役割ということを考えたとき,学問的抽象性についてコンクリート分野から発信できるものは何か,というのを考えていかなくてはいけないだろう。何が発信できたのか,というのはひとつの重要な評価軸であるからだ。
化学反応というのは確かにひとつの観点だ。東大の石田先生のコンポスト技術というのは,工学的応用のひとつの成功例だと考えられる。現象の整理手法という意味で,コンクリート工学からの発信である。
私の提案した分離圧を収縮から算出するという手法は,特殊なAFMなどの装置を用いずに多孔材料中の表層を評価できるという点で応用が広いのではないかと考えており,そういった観点での研究の展開を今後図りたい。

・子供
家庭では子供が1歳になった。子供の教育,自分の責任等について考える時間がかなり多くなってきた。今後,私が子供に対してどれだけ明るい未来を提供できるのか,(これは研究室学生に対する私の使命でもあるが,)というのは大変緊迫感のある命題である。経済,文化,宗教,政治について多面的に考えるように文献を漁った。
一神教とグローバリズム・西欧史,冷戦構造の移り変わりと環境問題および経済圏形成のための国際政治,南北問題における主権のあり方,憲法改正と日本の主権・軍事,戦後の日本の政治史について理解を深めたことは有益だったが,確定的ビジョンを持つにはいたらず,これは2010年に問題を持ち越すことになった。
日本の大学における教育者・研究者としての自己についても見直しを行った。その中で,大学のあり方を自問できたことも収穫であったのではないかと思う。

以上,若干よっぱらいながら,とりまとめた2009年の総括である。訂正・修正もあるかもしれいけれども,これらの反省点を生かして,2010年はよりいっそう実りのあるものにしていきたいと思う。