11/28/2007

豊田講堂の改修

豊田講堂の改修工事がそろそろ終わりそうだ。槇文彦の初期の傑作で,施工はT工務店が行っている。今回の改修工事もその流れを受けて,T工務店だ。

コンクリートの型枠には,表面に木目をつけるため,杉板が使われたが,今回どうような形で高強度で増し厚して補強を行った。(かぶりが少なく中性化が激しかったのだ。)
杉板をダイレクトに使うと,アルカリに触れて樹液が出てしまい,表面にダレが生じてしまうそうなのだが,それを防ぐために,アルカリ溶液の中に型枠をつけ,樹液をだして用いたと聞いた。
かなり,金がかかっている細工で,さすが豊田講堂(トヨタ出資)だ。

11/27/2007

セメント・コンクリート研究会


大学の先生方でやるマニアックな会議に参加してきた。
さすがに,大物先生の前にやるとなると,急に自分の用意したPPTがインパクトが無いと思い,急遽,昼から作り直した。

M先生の鉄筋腐食速度モデルは感心した。ただ,あれを突きつめようとなると,ちょっとしんどいな。
結局,不連続な問題をどのようにモデル化しますか,というひび割れの問題と同じ点に行き着いてしまうと思う。カオス的なモデル化であっても,人間はそのまま数式で表現しようとするのだが,どちらかというとコンピュータの離散的な性質をそのまま使った方がよさそうだ。

骨材問題の定義と写真はインパクトがあった。H先生。この人は,工学と政治の狭間にいられる人なんだな。すばらしい。T先生も似た傾向をもつけど,どちらかというと哲学に寄りすぎだな。

木材を切っても,二酸化炭素の固定したそのままなので,別に環境負荷は増大しないよな。

宴会は,中の出し物がエンターテイメント抜群だった。幹事をされたA先生には御礼申し上げたい。

次の日に閑谷学校に行って,論語の講釈を聞いた。
これも,素晴らしかったが,楷の木の紅葉がみれず残念だった。次回は是非,みたい。
 

11/19/2007

揮発油税の暫定税率、原油高騰で焦点に浮上

NIKKEI NET(日経ネット):主要ニュース-各分野の重要ニュースを掲載
そりゃ,個人も流通業者も大変だとは思うんだけど,そもそも,環境負荷低減で,イギリス,EUでは1L 200円あるいはそれより高い金額で流通しているのに。
どちらかというと,税金が何に使われているかをもってはっきりした方が良いと思うんだが。
景気回復に寄与するというなら,その論調でもう少し,説明して欲しい。

11/18/2007

思想と運用

最近,頭の中で良く出てくる議論。
まだ,頭が整理されていないので,だらだらと書く。

・性能設計において,過剰設計は悪である,は建築にもあてはまるのか。
顧客が100%,自分が購入しようとしているものに対する要求性能が書き下せるのであれば,余剰設計は悪かもしれない。自動車が過剰に強く,そのため,コストが加算されているのであればそれは顧客を裏切っている,という論理だ。
これは,現在の建築物,土木構造物にあてはまるだろうか。この間,構造の先生が,例の原子力発電所がこわれなかったのは,設計とおかしいと言った。構造の人間は皆,過剰設計は悪であると,アメリカなら訴訟がおきるという。

いつ,日本の国民は地震について完全に理解したのだろうか。
国民の総意として,原子力発電所のもつ性能がいつ決定しただろうか。
日本という国が被爆国でありながら,原子力発電所を持ち,テロの脅威もさらされつつあり,エネルギー問題で苦しんでいる中で,原発を壊れるかもしれないという状況で建設すべきなのか。
建物の持つ構造性能,施工性能さえ明かになっておらず,今後どのような地震力がくるかも分からない中で,謙虚に(ひょっとすると国側や電力側からのコスト削減要求にも抵抗して)安全率を見込んで(経済的にはコストをかけて)今回の事故を抑えた人こそ賞賛されるべきではないのか。それが,地震国で建物を建てようとする,エンジニアの良心ではないだろうか。
実験や経験をしないで計算機やっている人にこの傾向は多い気がする。(あくまでも,気がする,程度なんだけれども。)
現状の技術と将来有るべき姿の中間に常に我々はいて,その中で善なるものはなにかと工学的に扱っていくのが研究者,教育者,政治家なんだと私は思うのだが。


・指針は誰のためのものなのか。
最近の指針は性能設計の流れのなかから,モデルコード的な(コンクリートという材料物性をこうやってモデル化しても良いですよ,という数値計算用の諸条件)と設計のフィロソフィーについてが一緒になっている。
モデルコードをつくる,ということに関しては,もはや研究者の遊び場になっている。自分の実験・研究成果を入れ込みたい,ということだ。同じ現象に二つの式が入っていたりする。
過度期の今,様々な評価手法があることは良いが,設計の運用上は困る事態が生じるはず。
そういう事態は,誰のための指針なのかを忘れた結果だと私は思う。
設計指針自体のフィロソフィーについても近年,同様の動きがある。

コンクリートは構造的にはひび割れは不可避のものとしている点
引張強度が小さいので,ちょっとした乾燥収縮等のひび割れはやむを得ない場合が有る点
ひび割れが入ったとしても,それが小さければ十分に部材としては耐久性がある場合がある点

一方で,
ひび割れは,ひび割れ幅だけじゃなくて密度も耐久性に影響がある点
加水等コンクリートそのものの品質を落とすことが,ひび割れ幅を小さくしてしまう(ひび割れ密度は上がる)ことがある点
ひび割ればっかりに注意が行くことで,そもそも大事にしなくてはいけないものがおろそかに成ってしまう点
等々様々な要因がからんでいる。

場合によっては加水したり,鉄筋抜いたり,バイブもかけない悪意を有する施工者,無知な施工者がいる中で何を良しとして,何を悪として,どうやって世を良い方向に向かわせるか,ということを総合的に議論することが必用。
難しい指針ばっかりが先行して,形ばっかり整っても,世界が良くなるかどうかは別の事だから。

・姉歯の罪は軽すぎではないか。
彼が行った判断は,地震時に耐えられない建物を造ったとしても,自分の利益のためにはやむを得ない,ということではないか。
これは,未必の故意どころか故意である。
人数から言えば,強盗殺人以上の問題だと判断できるし,さらに,国家の建築物への信頼を貶めたことが,本当に5年ぽっちの刑で償うことなのか。
日本の法曹界はこれがいったいどういうことなのか,どうしてそのようなもっと説明をするべきだ。

しかも,本人は全く反省していなくて,上告している点から,次の場でもっと議論してほしい。

・一級建築士制度はどこにいくのか。
姉歯の問題は,大学教育が根拠となるようなものではない。

一級建築士の受験資格に現場の経歴をいれて大学教育を省くことは問題ではないか。その問題は文部科学省の問題であって,国交省の問題ではないと言い切る国交省には,姉歯事件の反省が何も生かされていないのではないか。また,現状無視という現在の確認申請の問題と全く同じことが起きているのも,まったく思慮されていない。

結局,日本の建築は将来のビジョン無く失敗をただす形で後手後手ですすんでいくことしかできないのだろうか。

次の一級建築士制度は,ゆとり教育と同じくらいの建築業界の後退を促すかもしれない。

11/17/2007

マンション

妹がマンションを買うということで,物件を見に行った。××××不動産がディベロッパーなのだが,内装に難ありでいかがなものかと思った。我が家は両親も建築業を営んでいて,父も建築学会の司法支援をしたりしているのだが,途中経過の話を聞くと,あまりに消費者をなめきっていて不愉快になった。
また,数千万円の買い物の顧客に対する対応がそういうものかと,愕然とした。

知り合いのゼネコンの施工の方々に聞いても,そんな対応するのはちょっとおかしい,という話なので一般的なレベルよりも低いレベルの施工業者にあたってしまったのだろう。

11/15/2007

HSC

高強度のシンポジウム 12月15日 アブスト締め切り
http://www.jci-web.jp/8HSC-HPC/

何個かは,投稿しないとな。

11/08/2007

SEDUS















本日,SEDUSの椅子が届きました。同居人からのプレゼントです。設計にいたので,安く買えるのだそうです。
ファブリックを好きな色にしてもらったので,納期にかなり時間がかかったのですが,非常に満足ゆく製品です。背もたれやらなんやら,いろいろ調節でき,腰の負担が劇的に少なくなるとともに,姿勢がよくなります。

これから,長時間の仕事に対するパフォーマンスなどを追って報告したいと思います。

黄表紙投稿

久しぶりに黄表紙を投稿した。忙しくて,なかなか時間が取れず,ずるずる書いてしまったのだが,この1ヶ月は無理にでも時間を作ってけりを付けたかった作品です。
初めての構造分野での投稿なんで,ちょっとリアクションに期待。建築では,なかなかインパクトがある論文だと思うのだけども。

11/06/2007

プログラム公開(数点)

大したプログラムでも無いですが,作ってから数年たち,大分こなれている(といっても使い方が自分の中で限定されているので,汎用性は無い)はずのプログラムのいくつか公開しました。

一部,市販のライブラリ依存のものもあるので,かならずしも,可搬性がある形にはなっていませんが,必要であればソースを公開します。ご一報下さい。

http://www.degas.nuac.nagoya-u.ac.jp/ippei/04program/prgrmtop.html

その他にもガジェット的に昔はいろいろC++で作っていたのですが,最近はめっきり数値解析が主軸になって,Fortran90で書いています。

ユーザーインターフェースはWindowsのAPIを覚えなくてはいけなし,かつ,変化したり,バグがあったり,OS変わったらまた勉強しなくてはいけなかったりで結構しんどいので,最近はやっていません。Borlandをいじってたときは,本当に開発効率が高かった。初期のCCBMもBorlandC++Builderでつくっていたのだけれど,Borlandがなかったら,博士論文は1年遅くなったかもしれない。

最近は,日比野君が研究室に来たので,また,JAVAもいじってみたのですが,今までの作品を移植する元気もあまりない。

Phython,JAVA,C++,Basic,C#を比べると,便利なのはC#なんだけど,いかんせん動作が遅くてあまり好きになれないし,開発環境自体が重たい。

研究に必要なのは数値計算として割り切ると,Fortan90は早いし,メモリ管理は楽だし,コンパイラやライブラリにお願いすれば,並列計算もそこそこやってくれて,近頃のDualプロセッサも使いこなせるしで,まったく言うことがない。
Module機能で可搬性も上がるし,コメントの付け方も楽になったし,自由記載もできるし。

ということを言い訳にして,最近はユーザーインターフェース付きのアプリはあまり作っていない,ということです。

そのうち,Fiberモデルとか,その他の教材用アプリを公開します。