7/30/2007

Potrace

CONCREEP8という国際会議を来年10月に企画しているが,そのパンフレットに企業ロゴを載せる必要がでた。あらかじめ,企業のロゴをデザイナーに委託して作成したところには,PSファイルやAIファイルで保存されており,常にロゴが適切に運用にされているようになっているが,すべての企業は必ずしもそうなってはない。

いただいた,ロゴの中にはgifやbitmapファイルになっているものがあったので,どうしたものかと途方にくれていたら,オートトレースソフトがいくつか存在することを知った。

・Portrace
http://potrace.sourceforge.net/
コマンドラインで実行するもので,GUIになれている人にはなんだかよくわからないかもしれないが,FAQ等をよめば,かならず実行できる。ZIPを解答して,そのフォルダのパスを通して,コマンドラインから実行すればよいだけ。ワイルドカードが使えるので,バッチ実行が可能になっていて,すごく便利。

あらかじめ,読み込むファイルをフォトショップなどでコントラストを挙げておくとか,白黒2値化しておくと精度があがる。

WinTopo Freeware
昨日紹介したソフトにもある。Pro版が存在し,Free版でもインストールされて,レジストリが汚れるといったデメリットがあるが,それでも便利なことには変わりない。GUIがお好きなひとはこちらを選択すると良いでしょう。

7/30までの雑誌類

・日経ビジネス7.9 置いてきぼりニッポン
韓国のFTAがちょっと前に話題になったが,日本がいかに票田のために国内を守り,結果として競争力の無い業界が多いか,ということを指摘している。たしかに,自給率維持というのは,リスク管理として大事だが,ここまで産業等がグローバル化してしまったら,食料輸入国を分散してリスク管理するとかするしかないのじゃないだろうか。農業にしても保護政策ばっかりで,生産力向上にまったく結びついていないのであるから,なんらかの業界としてのてこ入れが必要だろう。そういう意味では,近年の日本米中国輸出というのは画期的な事であるように思う。

日本は,ものつくり王国といっても良いのはよいが,そればっかりで,金融をおろそかにするのも問題。個人的に金融で資産が増えるという仕組み自体がなっとくいかない,というか生産能力と資金が独立して市場を形成していることに危うさを感じてはいるが,そうはいっても,それで国際政治が決まってしまう現在なのだから,強みは強みとして使い切るくらいのことをしなくてはいけない。

個人資産で金が余っている量が相当あるのであれば,それをてこに金融で儲けられるようにすればよい。英国を見習って欲しい。ものつくり自体もサービスありきで考え,高度なサービスとして金を払う市場を形成すれば,必然的にものつくりもうまくいくのではないか。何も戦力を一つに絞ることは無いし,強いところは,強さとして遠慮無く使い切って欲しいものだ。

大学の人間,工学の人間として金融ばかりになるのはいかがなものかと思うし,学生がそういった偽業的なものを喜ぶ価値観に偏るのは心配。良い物,システムを作るのはいずれの社会でも創造的行為なはずで,それを評価し,より発展させるというところに目を向けて欲しい。

・週間ダイヤモンド 7.14 派遣の裏側
派遣会社の評判,職種毎の相場を知りたかったので購入。大企業の丸投げとか,雇用問題の隠れ蓑にされている実態とは何かを知るために購入。
1級建築士をもってても,大して稼げないんですね。

・週間ダイヤモンド 7/7 営業入門
サービスの対価,信用獲得へのプロセス等々の勉強のために購入。どうということはなかった。

・週間東洋経済 7/28 日本と英国
GDPで日本を超えた英国の実態に関するレポート,サッチャーの自由主義経済とブレアの保護政策のバランスについて書かれている。日本の指導力の無さ,ビジョンの無さが浮き出る良いレポート。日本の政策というのは,何故理由とか,コストパフォーマンスとか,見通される結果とかをわかりやすく国民にレポートしないのだろうか。
選挙の演説でも何行っているのかよくわからないし,ためしに質問してみても,何のデータに関しても勉強していないし,具体性をもった議論,定量的な議論をしない。国民ももっとつっこまないといけない。

・日経ソフトウェア 2007.9 元気が出るテスト
デバッグについて書いてあるけど,特にどうということはない。あまり,読むべき点が無かった。

・CAD&CG 2007.9
こんなMagazineがあることを知らなかったので,立ち読みして,購入。昨日のリンクはこれを参考にした。内容は面白い視点で情報収集していると思うが,コストパフォーマンスに関しては疑問。まあ,日経ソフトウェアよりは読む人間の数が少ないのでしょうがないのかな。

・週間ダイヤモンド 6/16 金融商品の罠
株を始めたいと思って早数年経過したが,今もって納得いかない点が多い。投信にも興味があったが,これを読んで大分納得した。

7/28/2007

7月28日までの情報

・微小センサー関連
http://www.levex.co.jp/products/index.html

・3次元スケッチソフト(Google Sketch up はFree)
http://www.sketchupjapan.com/

・イエスマイハウス 間取りスタディソフト
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/pickup/pw4/pw004780.html

・あ!動く図面 JWCAD図面を3次元で表現
http://www.cg-system.com/Auz_home.jsp

・Metasequoia モデリングソフト
http://www.metaseq.net/

Parthenon Renderer  (レンダリング)
http://www.bee-www.com/parthenon/index.htm

・Kerkythea (レンダリング)
http://www.kerkythea.net/joomla/

・Wintopo Freeware (ラスターデータ → ベクターデータ)スゲー便利そう
http://www.softsoft.net/wintopo/dl-wintopo.htm

7/19/2007

ICCC雑感

12th international congress on cement chemistry (モントリオール)に参加してきた。
・近年の機器分析技術の発展により,推論されていた現象が実験的事実として確認されつつある。ただし,機器分析技術に対して,セメント,セメント水和物がそれでも複雑で,場合によっては実験データが誤判断されることがある。特に,試験機器の限界をわかっている研究者と,そうでない人の研究とでは,深みが全く異なっていて,検証データを積み重ねて蓄積しているところを見極めることが重要だと聞いた。(というのも,一緒に参加されていたセメント化学の方に教わった。)

・現状,コンクリート工学者が,その必要性からセメント化学のフィールドに乗り出すことも国内では多いが,やはり,その基礎は薄弱で見られたものではない研究も多いらしい。特に測定したらこうなった,こうなったから,おそらく多分こういうメカニズムが考えられるという形の論文が多く,本人は得意げらしいが,セメント化学からみると噴飯物の論文がまかり通っているとのこと。やはり餅は餅屋に頼むべく,セメント化学の方々との共同が必要なようだ。

・話は脱線するが,論文数で実績を評価するために,論文がインフレしている。1本あたりの価値が減っているし,査読する側の人間もお粗末になっているし,まったく哀しい状況だ。CCRであっても,間違っている論文をよく見かける。この間も腐食発生条件の論文で,破壊エネルギーの取り扱いが間違っている物があって驚いた。むしろ1本の価値を深く検討するような評価軸も取るべきである。当研究室の前任者であるT教授は,査読者を公開するシステムにすべきだ,との意見をおっしゃっていたが,まったくその通りである。査読者も執筆者と同等に扱えば,もっと真摯な対応が見られるのではないだろうか。

しかし,この議論も結局論文数主義が存在すれば救うことはできない。どこかの学部や学科で論文が出やすい体制を作ってしまえば,結局学内の政治に影響を及ぼす。土木や建築では,査読論文が年1本でれば良い方だが,化学などでは10本は軽く出るとも聞く。これで,論文1本を同列に評価されてしまえば,とても太刀打ち出来ない。

・水和のKineticsというのは,モデルと実験の両者から推論するしかないのが現状だと思う。平衡論で議論することは出来ないし,結果としての水和反応データは取得できる。そうすると仮定した物理法則の適合性を見極めるしか手法は無く,結果として東京大会での近藤連一先生のレベルを超えることは未だ難しい状況にあると言える。水和反応モデルの発表は,2編しかなく,そのうち一編は,あまりにもEngineeringな物だった。(断熱温度上昇式で評価するようなものに近い)。
一方,私の発表もEngineeringなアプリーチであったが,かなり複雑だったようだ。その場では質疑が無く,後でいくつかリアクションをいただいたが,いずれもアジアの方々だった。

・フレンチ料理をご馳走いただいた。フレンチ料理は,あまり良い印象がなかったのだが,まったく印象が変わった。オーベルジュ,ケベックフレンチ。ワインにうんちくがあると言うとちょっと,うさんくさく思っていたのだが,大した特技だと感心した。

7/01/2007

7月1日までの本 

Newsweek 6/27 快眠できる100の方法
夏に向かって睡眠確保のために買った。最近は,寝るために走ったりもしているが,昨年よりは睡眠が深くとれるようになった。それでも,ちょっとした音などでおきたりはしてしまうのだが。
あまり,特別な手法については書いてなかったが,睡眠空間が商売になる,というのは東京ではありうるな,と思った。大学内にもそういう施設を作って欲しい。

Newsweek 7/4 世界企業ランキング
以前から,この世界企業ランキングをみているのだけれども,この世界企業ランキングは,利益率,ブランド名だけでなく,環境対策を含めたCSR評価が入っている点で注目していた。日東電工のような企業はあたりまえとしても,東芝のように確たる環境関連製品を出していない企業でもCSRが適切に評価されている点は興味深い。

日経ビジネス 6/25 崖っぷち親子家計
今年前半の私の興味は,今後の人生(靱性)設計についてである。プライベートな部分の問題ももちろん興味がある(大学の先生の給料というのは,それはそれは哀しいのです。)。しかし,どちらかというと,今後の建築業界を考える上での興味の方が大きい。建築物というのは,大部分の日本人にとって,もっとも大きな財産であり,買い物である。これが,今後,日本人の懐具合に影響を受けるのであるから,こういったことはちゃんと考えておかないといけない。当然,ハウスメーカー各社やゼネコンは考えていることであろうけれども,大学人として今後の建築と日本人の関わり方,その時の建築物のあり方は考えておかないといけないだろう。

最近考えたこと
ミートホープ、NOVA、コムスン 3つの企業の挫折が物語ること
CSRもそうなんだけども,そもそも企業がグローバル化してしまうと,信用というもののメリットが少なく成ってしまう点に問題があるので,今後はそれは期待できないと思う。
木村建設(姉歯事件)の件でも考えたのだが,まず,一つに企業のあり方に2通りの存在理由ができてしまった。古くからの企業というのは,そもそも長期存続が第一義の目的であった。利益を上げるのはその次である。長期存続を考えるから,市場の飽和による利益低減・飽き等によるリスクを避ける目的で,利益を開発投資に回すようになる。企業が大企業,市場を拡大していく理由はここにあるといえる。ユニクロの利益率が最大だったころというのは,おそらく2000年前後だったろうが,しかし,日本市場における飽きやその後の利益を追求し,事業を継続する目的で,新しい方向性,新しい市場をもとめて商品開発,ブランドイメージ確立のためのCM,海外展開を行ったわけである。利益率至上主義ではこうならない。こうしたことは,市場との間で信頼が有効に機能する。信頼が損なわれ,ブランドイメージが傷つくと長期存続が出来なくなる。

最近のベンチャーに見られるように,この利益率至上主義が企業の第一義の目的になりうることがある。
これは,短期の利益であっても経営者が一生を過ごすだけの金銭を手に入れられるような市場規模が簡単に見つかるようになった(市場がグローバル化,単一化)したからだと考えられる。
建設会社というのは,往々にして地場の企業で信用が大事なはずであるが,日本全国に市場を持つようになり,いくつかの大型物件で(不正な)利益を上げれば一生を食っていけるだけの金が手に入れることが可能になった。
ベンチャーの,買収による短期利益を目的にすることに似ている。

経営者の目的が利益第一主義になっても,不都合が生じなくなった。これは既存の企業モデルを統制するための法律では統制できないと思う。

モラルを期待するには,モラルによる利益が無いといけないだろう。倫理性だけで議論するのは,そろそろ厳しいのではないか。